月の美しき今宵
我が手に在りしヒトキリマルが薄く、鈍く光を放つ

今度は失敗を許される事は無い
いや、前回は『試合』だったから負けたのだ

今度は『死合』
暗殺に長けたくのいちである私が負ける事は無い。

そう、自分に言い聞かせながらゆっくりと立ち上がる

「あっ…」

下から吹き上げてくる突風に身体がぐらりと揺れる。
雰囲気作りにと高いビルを選んだのが間違いだったか。


GS美神短編 「血の掟」


「氷雅よ」
「はい、大姥(おおばば)様」

今宵より数年前。
GS選抜試験で一人の男に負けた私は、くのいちの里に戻って直ぐに大姥様に呼ばれたのだ。
傅(かしず)く私に、この部屋全体に、優しくも強い大姥様の言葉が響く。

「氷雅よ。選抜試験にて男に負けたというのは…それもくのいちの奥義を使って負けたというのは、本当かね?」
「…はい」

忍(しのび)にとって、『負ける』と言うのは『死』を意味している。
私はあの男に殺されてもおかしくは無かった。
ただ、『試合』だったから生かされただけなのだ。

苦々しく返事をする私の言葉が空気に消えても尚(なお)、大姥様の言葉が続いてくれない。

押し潰されそうな重い空気
あまりの重さに、息が止まってしまうような感覚に陥(おちい)りそうになる。

「氷雅よ、お前に命じる」
「はい…この、命に掛けましても…」

大姥様より命じられたのは二つ。
一つはくのいちの技の磨き直し。これは望まれずともやるつもりだった。
そしてもう一つは…

横島忠夫の抹殺
出来ぬ場合(つまり私が負けた場合)は
その男に全てを捧げる事

全て
全てとは身も心も、そして命すら捧げろという事。

その男が私の苦痛を求めるならば、喜んで四肢を引き裂かねばならない。
その男が私の死を求めれば、喜んで死なねばならない。



ゆっくり息を吸い
吐く

ねっとりとした熱気に包まれた今宵

そう、今宵こそが私かあの男の死ぬ夜となる

証人は、頭上に輝く満月がなるだろう


私はゆっくりと四肢を曲げ
屋上の縁(へり)から降りて、ビルから出る為に階段へと向かう。

…やはりこのビルは高すぎた


普段ならば様々な忍具を持っているのだが
今あるのは、くないとヒトキリマルだけ。
身を包むは、古来より伝わる決戦専用の忍装束のみだ。

だが、今は昔と違う。
畏怖の念の元となっていた忍びは今では殆ど居らず、例えその姿をとっても『コスプレ』等と呼ばれる。

ビルを出た途端に周囲から投げかけられる好奇の視線に頬を染め
警察を呼ぼうとする女性の携帯をくないで破壊しながら
私は、あの男の元へと一気に走り出した。


あの男の住まう場所は把握している。
電話番号も、好きな食べ物も、今日の下着の色も、今日何回射精したかも。

私は修行しながらあの男を監視し続けたのだ。
だが、それも今日で終わる。

軽い喪失感と虚無感、それに一抹の寂しさを感じるが
あの男の死と共にそれも消えるだろう。


あの男の家のドアの前に立ち、一呼吸。

現在午前3時。日頃の行動からすれば、あの男は確実に寝ている。
そして、起きる予定は6時半。あと三時間半だ。

だが、もうあの男が起きる事は無い。
私が、今夜あの男を殺…

「…へ?」

音無く開けた瞬間に目に映るあの男の背中。
寝ておらず、座っていた。しかも右腕が激しく動いている。

寝ていると完全に思い込んでいた私は、今の状況に付いていけず

「あ…」

振り向かれ、目が合った後も動けずに居た。
その時にイヤホンが抜けたのだろう

『AH〜YES! OH〜YES!!』

聞いているこちらが恥しくなってしまうほどの大音響で、外国語で喘いでいる女の声が響いたのだ。

大慌てでテレビの電源を落とすこの男にゆっくりと近付き、ヒトキリマルをゆらりと振りかぶる

「きみ、氷雅ちゃんだよな。いきなり来て驚いたよ」
「っ!?」

こちらを見ぬままに機材を操作している男から出た言葉。

私を…覚えて…いた?


力が抜ける
羽の様に軽いはずのヒトキリマルが、物凄く重く感じてしまう。

どうした、氷雅
任務を遂行しろ
この男を殺すのだ

でなければ、お前が死ぬだけなのだぞ


そう己を奮い立たせるも、身体が言う事を聞いてくれない
涙が…殺していた感情が…

決壊したダムの様に、嗚咽となって吐き出されてしまった…


私は…自分に負けたのだ
もう、絶対にこの男に勝つ事は無い。

私は、この男…
嫌だ、もう『この男』等と呼びたくない

私は、横島殿に…恋を…してしまったのだ。
あの、試合に負けたその時から…

頬を伝う涙を拭おうともせず、ヒトキリマルを逆手に持ち
己の心臓へと向ける

許されるならば、この想いと共に死のう。
この死ぬ瞬間だけはくのいちではなく、一人の女として。

「止めろ!」
「っ!!」

横島殿の叫びに、私の身体が『びくり』と震える。
止められた…いや、私は横島殿に止めて欲しかったのだ。
浅ましいその辺りの女と同様に、横島殿に愛を説いて欲しいと願ってしまったのだ。

それを、『負けたら相手に全てを捧げろ』という大姥様の言葉を利用して
命を絶つことすら止めてしまった

「いきなり俺の部屋に現れたと思ったら、いきなり死のうとするなよ」

優しい横島殿の言葉。
まるで、女童(めわらわ)をあやすかのように優しい手つきで私からヒトキリマルを奪う。

涙が…止まってくれない
嗚咽が…止まってくれない

優しく抱き締めてくれる横島殿に強く抱きつきながら、必死にこの猛(たけ)る胸の想いを伝えようとするも
言葉は嗚咽に変わってしまう

だったら…言葉に出来ないのなら…

「うわっ!?」

力任せに横島殿を押し倒し
横島殿の厚い胸板に座り
横島どのの…先ほど自分で慰められていた…横島殿の大事な部分にゆっくりと手を伸ばし
ズボンの上から優しく撫でていく。

「ひ、氷雅ちゃ…」
「横島殿…お嫌でしたら、言ってくだされば…直ぐにでも、止めますから」

今度は何とか、驚きの声を上げる横島殿に伝える事が出来た。
横島殿からの返答は言葉ではなく…

「…っ…っ!」

私のお尻を撫で擦る横島殿の手の動きが応えてくれる。
少なくとも、私にされるのが嫌ではないという事。

元より薄く、面積の少ない布地で構成された決戦用忍装束は
普通の忍装束と違って急所となる部分以外には殆ど布地が無いのだ。

つまり、横島殿は直接私のお尻を触れてくれているということで…
恥しいながらも『ぴりぴり』とした甘い快感が背中を昇ってくる

だが、横島殿ばかりにさせるわけにはいかない。
これは、私の想いを伝える為の行動なのだから。

私の想いを…受け止めて欲しかったから。


半ば無理矢理ズボンの中に戻したのだろう。
中より取り出した横島殿の一物は、既に亀頭の部分が濡れており
習うだけで経験の無い私にですら、もうすぐに出てしまうのだと判るほど。

「ま…参ります…はむっ…んんっっ!?」
「うっく…っ!」

口の含み方がまずかったのか、亀頭の部分を口に含んだ瞬間に
まるで弾けるかのように私の口内に出されてしまう。

どんどんと口の中一杯に広がっていく横島殿の子種に
出すわけにもいかず、ゆっくりと溜飲していく。
だが、あまりに濃過ぎる横島殿の子種は中々喉を通ってくれず
無理矢理飲み込めば『こくり…こくり』と、自分でも恥しくなってしまうような音が喉から聞こえてきた。

「も、もしかして…飲んだの?」
「ふ…ふあ…じゅる…ん…ふぁい…ちゅる…ちゅ…」

飲んだには飲んだのだが、口の中には半分以上残っており
喋ろうとする度に口から零(こぼ)れようとしてしまう。

零れそうになる横島殿の子種を吸いながら返事をするのが横島殿にとって気持ちの良い物なのか
ゆっくりと柔らかくなっていこうとする横島殿ののが再び口内で大きくなり始めたのだ。

「ん…んふ…じゅる…ちゅ…んちゅ…」

今度こそ、横島殿に私の口で気持ち良くなって貰おうと口内愛撫を再開する。
しかし、早く飲んでしまえば良いものの濃すぎて喉を通ってくれない横島殿の子種が
横島殿のを深く飲み込もうとする度に口から溢れ、それを口内に戻そうとするのだが
その度に『じゅるじゅる』と音が鳴り、口内でぶくぶくと泡立ってさらに飲み辛くなってくる。

だが止めるわけにはいかない。
この程度で止めてしまうほど私の想いは…弱くは無いのだ。

男を篭絡する為のくのいちの技なのだが、初めてという事もあり中々二度目の射精まで持っていく事が出来ない。
いやそれだけではない。

「よ、よこひ…じゅる…ほの…んんっ…」
「この服って凄ぇ薄いんだな。濡れて氷雅ちゃんのあそこが丸見えになってるよ」

興奮して濡れてしまっている私の秘所を横島殿に見られ、さらには『にちゃにちゃ』とわざとらしく音を立てながらそこを弄ってくるのだ。

このままでは、横島殿に気持ち良くなって貰う前に私が絶頂を迎えてしまう。
私は横島殿の愛撫から逃れる様に身を起こし、口内に残った泡立つ子種を必死に飲み込む。

大丈夫、もう喋れるはずだ。

「よ、よこしっ…横島殿、私のここでもっと気持ち良くなって下さいませ…」

思わず声が裏返ってしまうものの、何とか伝え
横島殿のがちがちに固くなっている一物を秘所に当て、ゆっくりと…

「ん…んんっ…どう…ですか」

膜は修行の時に自分で破ったものの、男の一物を迎え入れるのは今回が初めて。
世の女であれば、始めては痛みが伴うらしいが
我々くのいちは身体を武器とするために、未経験の者でも十分にこなしてある。

普通の女の何倍も気持ちよく出来る…らしいのだが、流石に自分では判らないのだ。
それが怖くて、もしかして大して気持ち良くないのではないかと思えてしまって…

でも、横島殿の口から出た言葉は私が望んだ言葉では無く

「氷雅ちゃん、凄ぇ可愛いよ」

私の頬に手を添えて言う横島殿の言葉は、私が望んだ以上の言葉だった。
真っ直ぐな瞳で言われたその言葉に私の頬は『かぁっ』と熱くなり
あまりの恥しさに、思わずぎゅうと抱きついてしまう

「お慕い…申しております…横島…どの…んぁっ!?」

言えた
やっと、私の思いを伝えられた
そう思った瞬間に、横島殿が私の膣内(なか)へと子種を出されたのだ。
私のお尻を掴み、種付けせんとばかりに膣奥で思い切りに。

「はぁっ…横島…どの…横島殿ぉ!…んぁっ…貴男様が好きっ…好きですっ…ひゃうっ…お慕い…申しておりますぅっ!」

一度出しただけでは収まらないのか
横島殿は私の尻肉を掴んだままに下から私を犯して下さる。

全身を走るあまりの快感に、私はただ抱きつくことしか出来ないが
一度、二度と膣奥を突かれ、子宮口を叩かれる度に
彼への想いを嬌声に乗せて叫んだ。

「もっと、もっと滅茶苦茶に…貴男様のお好きなように私を犯して下さいませっ!…んくっ…私(わたくし)氷雅は今宵より、貴男様に全てを…あぁっ!…捧げ…ま…んぁぁぁっっっ!!!」

私が言い終わる寸前で再び膣内射精(なかだし)されて、喜びと共に
私は絶頂の波に攫われてしまうのだ。

「…っはぁ…はぁ…すげぇ…まだ出てる…」
「横島…どの…横島殿ぉ…」

絶頂の快感と、想い人に膣内射精(なかだし)される幸せと共に
私は想い人の名を呼びながらゆっくりと意識を落としていった…



…それから、1時間少し経っただろうか
目を開ければ夜が白け始めている。

名残惜しいが、未だに私の膣内(なか)に入っている横島殿の一物を抜き取り
高鼾(たかいびき)を立てる横島殿の頬に軽く口付けをして離れる。

「…行くのか?」

もしかして、寝ていなかったのだろうか。
少しばかりわざとらしく感じていた鼾は、横島殿の寝た振りだったようだ。

行くのか

どこへ、と返す必要も無い。
だって…

「私はもう、何処へも行きません。私はあの夜よりくのいちではなくなり、貴男様の物になったのですから」

そう、もう私は足のつま先から髪の毛一本に至るまで
そう命すらも全て横島殿に捧げたのだから。

「そっか…だったら『貴男様』とか『横島殿』とかじゃなくてさ、名前で呼んで欲しいかな」
「お、お望みであれば…た…忠夫…さま…きゃぁっ!?」

『可愛過ぎるんじゃコンチクショー!?』と飛びついてくる忠夫様に押し倒されてしまう。
そろそろ朝食の支度をしたい所なのだが

「んぁっ!…そんな…ひぃっ…いきなっ…ひゃ…激っ…激し過ぎっ…ですぅっ!…あぁっ!!」

…もう暫く後になりそうだ。



はしがき
はい、2008/07/06の午前2時に電波…もといエロエロな絵を送ってくださいましたはっかい。様に寄贈いたしますSSをお送りしますゆめりあんでございます。

氷雅ちゃんです。
需要の関連で忌避していた彼女ですが、はっかい。様からの熱い要望によりSS化することとなりまして…

如何だったでしょうか?
くのいちという事で、普段使わないような少し硬い言葉遣いを意識してみました。

はっかい。様より頂いた絵は何処なんだっ!?
と言われそうですが、最初のビルの上に立ってるシーンがそこです。

相変わらず判り辛いですね…あははーっ…あははは…はぁ…

…たしかに言いましたが書いたのはあなたです(マテ

ともあれ夢璃杏さま、ありがとうございます。 あいも変わらずラブラブなんじゃがw

なお、文中にある絵はあまりにもラフなので未掲載としておきますw

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