短歌とふ器に注ぐ精神(スピリット)きこしめせやとライムを添へて 栗の花今を盛りに匂い充ち樹下に手招く白衣の男 ビリジャンのふらすこのなかサキュバスとインキュバスとを番わせてゐる 美しきものただにみつめるのその背(せな)に静かにそだつ白き両翼 くれなゐの色に染まりし酔眼の奥に身悶う去年(こぞ)の桃 汝が腕の静脈のあを辿りつつ腋窩に至るうすき唇 百億の精子銀河に拡散し孕む胎無く夏至祭間近 憂ひつつ夢みる月の光浴び密かに孕む碧玉もあり 有明の夢の階わたらむとゆらり身おこす夢の手枕 硝子戸に朝焼けの朱(あか)映り初め天使祝詞はひくく流れる |
written by 於斗矢さまv |