Birthday Card 4
「沙悟浄様
本日はお誕生日誠におめでとうございます。今日のこのよき日に当店をパーティー会場としてお選びくださったことを大変光栄に思います」
そこまで読んでとりあえず悟浄は魚類のような口をして八戒を見た。八戒は相変わらずにこにことしていて、ちっとも悟浄の表情の意味を汲み取ろうとしてはくれなかった。本格的にレストランへと招待してくれようとしていることを悟浄は悟るしかなく、オソロシイ思いで続きを読み始めた。
こんなこと書くレストランで自腹が決まったらナイ○ティ○インどころの騒ぎではないだろう(というか見ている人は少ないと思う)
「私どもはお客様に最高の環境で最高の料理をお召し上がり頂くために、細部にわたって注意を払っております。また、多少お客様にもお手伝いいただく部分もございますが、それは最高の料理を召し上がっていただくための準備だとご理解いただければ幸いです」
三蔵と悟空はすっかりあきらめ顔で、悟浄を見ている。今年はきっと書くネタにもつまったのだろう。こんなにレストランレストランした文章を一体誰が書いたのだろうと悟浄は頭を悩ませた。
「当店は山の奥にございます。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んでおります。どうぞ沙悟浄様。お連れ様と共に今すぐおいでくださいませ。
西洋料理店 山猫軒」
……駄々をこねても事態は悪化するだけだろうなと悟浄は悟っていた。力なくうなだれて、悟浄は立派な印の押してあるそのカードについていた地図に従って、「山猫軒」を目指して歩き始めた。