□HAPPY MERRY BIRTHDAY TO YOU□ |
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自分自身の誕生日を12月24日だと知ったのはいつだっただろう。 チョッパーはそれを思い出していた。いつも群れから離れ、親にも見離された青い鼻のトナカイに誕生日を祝ってくれようなどと言い出した人は確か―――。 誕生日というものが世の中には存在し、そしてそれは祝うべきものだということを知ったチョッパーは鼻水をたらして泣きながら苺のショートケーキを食べた。 しょっぱくて舌が痺れていてなんだかもしゃもしゃしていたが、それはとてもとてもとても、おいしかった。心の底から本当においしいと思った。 だから、誰かの誕生日を迎える人がいるのなら心からお祝いしたいと思う。 ましてやそれがサンジであるならば。 ドラムで初めてサンジと会ったとき、サンジはあばらは折るわ背骨はいかれてるわで大変な状態だった。そんな状態の癖に起き上がった途端チョッパーを見て「非常食」とはよく言ってくれたものだ。 今でも自分は非常食だと思われているのではないかと食糧難に嘆くサンジの視線を受けてチョッパーは冷や汗をだらだらかくことがある。 しかしサンジは、チョッパーに向かって言ったのだ。 「化け物さ」 と。 ルフィのことを、化け物だと。チョッパーのことを化け物だといったその口で、ルフィのことも化け物だと言ったのだ。 サンジにとって化け物とは忌み嫌うものではなく、自分の船の仲間のことを言う単語だと理解したとき、チョッパーはなんだか自分が拘っていたものがものすごくちっぽけなものであるように感じた。 化け物とかそうじゃないとか、そんなことを超越した先にある何かを持っている彼らの、仲間になることができるということはどれだけ自分にとってものすごいことなのかとチョッパーは身震いした。 →NEXT □□□□□ サンジの誕生日まで毎日更新しますです。 2004年2月26日 |