Beatiful Hand



 師匠の手は綺麗ですね。

 …何ですか、いきなり。


 別に。
 今更ながらに気づいただけっすよ。
 白くて、すべすべしてる。

 そう。

 でもこの白い手は

 一体何人殺して何回紅く染まったんでしょうかね。






やわらかな手 ―Beautiful Hand―






 まだ28回だけですよ。

 え?

 紅く染まった回数です。
 基本的にパースエイダーで殺してますから、そうそう手は汚れませんよ。

 …汚れたときは?

 そうせざるをえなかったときです。

 ……。

 …ねえ、師匠。

 なんですか。

 師匠って意外とロマンチストで偽善者なんですね。

 …それは、どういうこと?

 だってそうじゃないですか?
 人を殺した回数は数えてないくせに、どうして手が汚れた回数は覚えているんですか?

 そんなの決まってるでしょう。

 人が死ぬことは他人事でも、自分の手が汚れるのは自分事ですから。



 ……。

 なにか?

 らしくないな、って思って。

 …というと?

 ねえ、師匠。



「生きるの、こわい?」



 スチャ!

「今この距離なら」
「私の手は紅く染まります」
「見たいですか?」

「…そうですね」



「見てみたいかもしれない。けど、遠慮しておきますよ」

「そうですか」



 …ねえ、師匠。

 何ですか。

 俺も、実は「それ以上いったら、本当に殺します」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……貴方は」




 貴方は、私と同じじゃないのよ。




「…さあ、もう行きなさい」

「ええ、行きます」

「さようなら」

「さようなら」




「……師匠、貴方は本当にロマンチストで偽善者だ」
「車をもってるのはそっちなのに…何でそっちが行かないで『行きなさい』なんだよ…」























































「やはり俺は、あの人の『弟子』じゃなかったってことか…」

 …師匠、よく言いません?
 師弟同士って、同じ道を行ってしまうものだって。





「…それなら」

「俺は貴方と一緒に生きたかった…」


 ただ。



 あの娘に会えたのは。




 終わりを限りなく良いものにできそうになった。



 だから。



「俺は、貴方の」



 そして、
 老人は高熱で流れ落ちる灰に飲み込まれた。







「弟子が師匠より先に逝ってどうするの」



 その老婆は、ただ静かに呟いた。
 そして目を閉じて。

 いつまでも。
 いつまでも。



End.






改行が変じゃないの?とか、どれが誰の台詞だよ!とかいろいろ突っ込みはあると思いますが全て仕様です。すいません。

この師匠と弟子は互いに想いあってますね。
愛情とか恋とかいう言葉はこのふたりには似合わない、ふさわしくない、と思ってしまうわたしなのでこの二人の関係をうまくいいあらわすことができません。文芸の心のない私には無理です。

ただ、しいて言うならば、こんな会話をする二人だったんじゃないかな、と思って打ちました。携帯電話機で一気に。

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