小話/(4-11さん)
「おい、水池。手に持っているのは一体なんだ?」
「ああ?この距離で分からんとは、老眼疑ったほうがいいんじゃないか」
二人の男の下で松永好彦が逃げ出そうとして小さい身体を素早く翻したが
「おっと待ちねえ」
「ギャウンギャウン!!!」
精一杯の抗議を試みるも、あっという間に水池の手に握られたそれに
手足を通されてしまい、あわれ松永君は首輪まで付けられてしまった。
「…気の毒になあ」
「ああ。ありゃ相手が悪い。全面的に悪い」
鼻息まじりの水池に精一杯地面に爪をたてて抵抗するも、着せられた
フリフリの可愛い服に邪魔され、松永君はとうとう拉致されてしまった。
そして数刻後。
がっくりと肩を落として帰ってきた水池と元気に跳ね回る松永君。
「だろうと思った」
「おお流石ブンヤ。どういうわけだか教えてくれるんだろ」
「簡単すぎて口にする労力も惜しいがまあいいだろう。キレイなお姉さんに
モテまくったのは奴ではなく、彼の方だったってわけさ」
「ああ!」
指さした下方に目線をやって納得いった。
当然でしょ!とばかりに尻尾を振って得意げな彼が、そこに鎮座していた。