小話/4-618さん
べ、別に、そんなオボコイぶりっ子じゃないんだからそれぐらい知ってるし
それにアタシがその気になればいくらだってサンプルは見られるんだし、
でもいくら見目麗しい美男子のソレでも興味ない相手のなんて見たく…ない。
えっと、こないだ腰掛けた感じからして…その、あれぐらいならば、きっと
いやいや平常時とその時とでは成長率が違うっていうからそうなると――
「…なにしてらっしゃるんですか?」
「ううん!なにも!もうそっちのメニュー決めてあるから。いいわね?」
たかがランチだというのに横暴な上司に首に縄付けられてお供した先の
高そうなレストラン。一時失礼して席に戻ってみれば彼女は手持ち無沙汰なのか
ナプキンを筒型に丸めては思案顔。かと思うとあらぬ方向を見て溜息。
なかなかに珍しい光景なのでしばらく眺めていたら、教師に内職を見つかった
生徒のようにギクリとした様子を見せたがそれも一瞬のことだった。
ナプキンを 優雅に膝に広げ、いつものように確認という形の事後承諾を求められた。
何だろうと思ったがそこは気にせずスルーすることにして、私は上司の提案に頷いた。
「今回ばかりは鈍感で助かったわ」
「なんのことです?」
「別にいいの。ヒトリゴト」
…そんな昼下がり。