Dr.モロー?の島(アナザーエピソード)いつもROM男作
 そう、あれはある飛行機事故が元凶だった。生き残りの3人は救命ボートに乗り、幸いにも無人島らしき島にたどり着く事が出来たのだった。
「あれ?島じゃないか?」
「やった、俺達は助かったんだ!!」
「えぇ、あそこなら水や食べ物があるかも。」
 生き残りの3人・・・マクシミリアン・ファリス,ジーニアス・サハリン,そして、私,アイナ・C・ケニー・・・他の乗客500人あまりの人間は全滅だった。

 ボートを岸につけた私達は早速、島を散策する事となった。
「残りの食料と水を持ちましたか?」
「ああ、全部持ったぞ、アイナ、準備はいいか?」
「ええ・・・あ、あれは何?」
 いきなり、銃を持っている白いスーツに包まれた人間が5人ほどこちらに向かってきていた。
「何かやばそうだな。逃げるぞ。」
 何も言わずに私達は走っていた。相手は丸腰の私達に発砲していた。
「ぐぅ・・・。」
「マクシミリアンさん!!」
「走れ、奴らから何としても逃げ延びるんだぁ!」
 マクシミリアンさんが撃たれてしまった。多分、助からないだろう。しかし、悲しむ間も無く走っていた。何とか身を隠す事が出来る洞窟を見つけ、二人で身を寄せ合っていた。
「はぁ、はぁ、何なんだ?この島は?」
「とにかく、一休みしたら・・・」
 パンッ
「うぐぅぅ。」
「ジーニアスさん!」
「行ってくれ!あんただけでも助かるんだ!!!」
 私は何も考えずに走って、走って、走った。
「こ、ここまでくれば・・・」
 パンッ
 う・・・撃たれたの?なんで?まいたと思ったのに・・・。

 何分経っただろうか?不意に目が覚めた。体は固定されているようで動かない。
「目が覚めたのか?」
「貴方は誰?」
「名前は無い、強いて言えば、Dr.モローと呼ばれているな。」
「ふふふふ、今夜は私の実験台になれる事を幸運に思うがいい。」
「実験台?」
「そうさ、実験台さ。」
 男は、全身が写る鏡を私の目の前に置いた。真っ裸の私が写っている。
「やめて、やめてよ!!。」
 暴れてみるが、固定された手足が痛くなるだけで抵抗するだけ無駄だった。
「ふふふ、あーはっはっははははっは。」
 男は笑いながらも器用に私の腕に注射器を刺した。急に体が熱くなる。
「あぁぁぁああああ。」
 男にとって、私の悲鳴に似たあえぎ声はさぞかし心地が良かっただろう。すぐに鏡の中の私に異変が起こった。
 最初に全身から茶色に似た毛が生えてきた。おなかの方は真っ白である。次に私の手足がくっついて硬くなり、色も黒くなってしまった。頭からは硬い角が生えてきて、痛みを覚える。血も出ているのだろう、頭が生暖かい。
 今の姿だけを見たら、中途半端な鹿に似た生き物だった。よく分からないが、多分、ガゼルだろうか?次に顔や全身の骨が軋むように悲鳴をあげ始めた。舌は顔以上に伸び、それに追いつこうとして顔も変形していく。骨格は少し曲がり、尻尾が出てきた。すぐに分かった理由は、壁から浮いたような感覚がして、革の拘束具が破れ外れてしまったからだった。
 今の自分の姿をおもむろに見る、獣と人間が半分づつで入り混じった姿だった。無理やり怪物にさせられた感覚から何故か自然と涙が出てきた。

「どうした?せっかく新しい姿になれたと言うに、心外だな。」
 何故か、男は隣の部屋にいて窓ガラス越しに私を見ていた。
「他の二人はどうしたの?会わせてよ!!」
「今すぐあわせてやろう。」
 ウィィィン
 別の扉が開く・・・私の顔色は変わる。そこには私と同じく、獣半分人間半分の2人がいた。狼と虎だ。
「前門に虎、後門に狼・・・くくく、あーはっはっはっは。」
 2人の瞳には正気という二文字は見当たらなかった。
「ただの旅行でこんな目に会って・・・あんただけは呪い殺してやる。」
「奇遇だな、私もゴーストという物を見てみたかった。」
 次の瞬間、目の前が真っ赤になった。最後に聞こえたものは、あの狂った科学者の狂った笑い声だった。


 完
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