スーパードラゴンドラゴンソウル作 スーパーマリオ二次創作


 竹山直人12歳。
 テレビゲーム開発で全世界に有名な「あの会社」が世に送ったゲーム、スーパーマリオシリーズ大好きの小学6年生である。
とにかくマリオが出てくる物はゲームだろうが、マンガだろうが何でも買う、まさにマリオ一筋の小学生だ。

「すげー!マリオの新作だ!」
 学校から帰ってきてパソコンの電源を入れて、ゲーム情報サイトでマリオの新作を知った直人は早くも興奮状態だった。
「今度のマリオは宇宙が舞台なんだー!すげー!」
 そのゲームは「あの会社」が現在開発中の新世代ゲーム機対応のゲームだ。
「スーパーマリオギャラクシーって言うんだ・・・。うわー!早くやりたいなー!ヨッシー出るかなぁ?」
「ちょっとうるさいよ!」
「あっ、母さんゴメーン。」
 興奮すると周りが見えなくなるのが直人の欠点である。
とは言え、誰だって好きなゲームの続編や新作が登場すると興奮してしまう。
ちなみに彼はマリオの他にヨッシーとクッパが好きだ。
それ故に、その会社のゲームキャラクター達が一同に集結した「あの超有名異色格闘アクションゲーム」でも、
マイキャラはいつもその3人なのだ。

「楽しみだなぁ〜。」
 そういいながらランドセルを机において、
ベッドに置いてある「あの会社」製作の2画面携帯ゲームにカートリッジを挿して電源を入れる。
挿したゲームは勿論マリオが主人公のゲームだ。
ベッドに寝転がりながらゲームをプレイして、たまに母がくれるお菓子を食べながらゲームに没頭していた。




「ご飯よー!」
 一階から母の声が聞こえた。
「ちょっと待ってー!」
 急いでセーブして電源を切り、下の階に下りる。
テレビを見ながら晩ご飯を食べて、風呂に入る。
そんな毎日が続く。
別に直人はそれが退屈と言うわけではないようだ。
風呂から上がり、髪の毛をタオルで拭きながら自分の部屋に戻る。
「さてと、勉強しよう。」
 彼は髪の毛を拭きながら机に座る。
ランドセルを開けて、学校から配られたプリントと筆記用具を取り出してプリントに答えを書き込み始めた。



「よーし、宿題終わり!」
 鉛筆を置いてんんーっ、っと伸びをする直人。
もう夜の10時だ。
この後やりたい事は特に無いからもう寝よう。
早速パジャマに着替えてベッドに横たわった。
そして目覚し時計をセットすると、部屋の明りを消して眠りについた…。


 しばらくして彼は目を覚ましたが、周りはとても暗かった。
「あれ・・・?まだ夜なのかな?」
 直人は周りを見回した。
まだ夜・・・にしてはおかしい、たまに真夜中に起きる事があるんだけど、その時はこんなに暗くなかったはず・・・。
やっぱりおかしい、こんなに暗いと何かに閉じ込められている気がするし、妙に狭い。
彼はこの暗闇の中から出るためにがむしゃらに暴れ始めた。
暗闇の中は狭い上に、何か硬く感じられる物が壁になっている。
「出してー!誰かここから出してー!」
 彼はただひたすら何も見えず、おまけに狭い空間の中でがむしゃらに暴れた。


 しばらく暗いところで暴れること数分、卵の殻が割れるような音と共に突然目の前が明るくなった。
「うっ・・・。」
 周りが暗かったためか、突然目の前が明るくなった事で思わず目を閉じる。
そして目がゆっくりと明りに慣れてきて少しづつ目を開ける。
「・・・えっ!?えぇっ!!?」
 その光景は彼にとっては驚きの一言だった。
何と、そこはマリオの世界、つまりマリオワールドだったのだ!
当然のように生えている大きなキノコ群に、緑豊かな大地に透き通った海や川。
空は驚くぐらいに晴れており、さらには様々な物に目が付いていた。
その目は死んでいるのか据わっているのか分からないが、ごくまれに瞬きしている。


 しばらくその光景にただ立ちつくしかなかったが、やがて口を開いた。 「これって・・・夢じゃないの・・・?」
 ここで直人は、はっと気付いた。
「あれ?何だか声がちが・・・!!」
 直人は自分の体を見て驚いた。
何と直人はヨッシーになっていたのだ!
その外見は少しスラッとした外見に、口や鼻の部分は丸みを帯びて大きく、
赤い靴と、赤い鞍(馬等の背中に置いて人を乗せる物)、後頭部、丁度目の反対側には三角の突起物が三つ付いていた。
下あごから腹部が白くて尻尾まで続いており、両手には4本の短い指に温厚でパッチリ開かれた目が今の彼の姿だった。
「どうなってるの・・・?何で僕がヨッシーになっちゃったんだろう・・・?」
 小学6年生の頭脳をフル回転させてしばらく考えていたが、ここである物が視界に入った。
キノコ王国を裏切った悪いキノコだが、最近ではそうでもない奴が色々現れ始めている「クリボー」だ。
「・・・・・・じゅるり。」
 垂らした涎を手の甲で拭ってクリボーを見る「元」人間の少年直人「元」ヨッシー。
そして彼はクリボーの横から自分の舌を伸ばしてクリボーをからめ捕る。
「!?」
「おいひほ〜。いひゃひゃきま〜ふ。」(訳:おいしそ〜。いただきま〜す。)
 舌でからめ捕った状態のため、言葉が変になっているがそれでも構わず、クリボーを頬張る。
直人・・・いやこの場合はヨッシーと言った方が良い、はそのままクリボーを呑み込んだ。
「ふぅ〜。味はなんか普通だなぁ。」
 と言いながらクリボーの大きさの分に膨れ上がった自分の腹を見た。
「あっそうそう。ヨッシーと言ったら・・・。」
 そう言って彼は下半身に力を入れる。
すると、肛門から卵が出てきた。
「ふふふ。これこれ〜。ヨッシーは呑み込んだ相手をすぐに卵にしちゃうんだよね〜。」
 そう言って彼は先程自分が産んだ卵をいとおしく見た。


 それから数日の月日が過ぎていた。
直人は自分の姿がその後もこの世界にあり続けること、何故自分がヨッシーになった事に僅かながら疑問を抱いていた。
でもいつもはそんな疑問を考えず、本能のままに生活していた。
フルーツを沢山食べたり、様々な所を散策したり、同じヨッシー達に会おうと旅をしたり・・・。


「それにしてもマリオの世界ってなんだかバラバラだなぁ。」
 彼は卵を産みながらそう言った。
実際マリオの世界は現代らしく高層ビルや車等割と普通に発展している所もあれば、
また別の所ではマリオシリーズおなじみのブロックや土管があったりと、文明とかが意外とバラバラだったりする。
整備された街ではキノピオや様々な種族達が暮らし、普通に土管やブロックがあるところはクリボーやノコノコが歩いていたりと、
これもまたアンバランスなのである。
「はぁ〜・・・。早くマリオに会いたいなぁ・・・。」
 彼がこの世界にやって来てから、ずっと思っていた事があった。
言わずもがな、マリオ兄弟と言葉を交わしたい事である。
彼はマリオに会いたいが為に色々な所を旅していた。
しかし、肝心のマリオはピーチやルイージとバカンスに行ってしまったと言う。
他人から聞いた話だと、マリオ達にも色々と事情があってなかなかのんびり出来なかったので、
キノコ王国の大臣「キノじい」が豪華客船を用意してマリオ達はバカンスに行ってしまったのだ。
「豪華客船でバカンス・・・これって・・・明らかに(マリオ)パーティ7じゃん。・・・あっ、つまり僕はその時の世界にいるんだ!」
 何も無い原っぱに座りながら、彼は分かったように言ってそのまま寝転がる。
彼はマリオ達がバカンスから帰ってくるのを待つことにした。





 思った以上にマリオ達はなかなか帰ってこなかった。
まだかまだかと待つ直人だが、やがて退屈してきたようにマリオワールドを放浪していた。
このマリオワールドはSFC版「スーパーマリオコレクション」や、
N64版「マリオストーリー」等マリオゲームの世界が1つになっている世界だ。
彼は今後新たなマリオゲームが登場すると、このマリオワールドもその世界がこの世界に現れて、
どんどん大きくなるという仕組みをつい最近知った。
「はぁ〜、マリオ達遅すぎるよ。それに・・・。」
 ここで彼は不意に思った。
何故自分はヨッシーになったのか。
これは何回も何回も考えてきた事だが、この時は非常に気になった。
「元の世界に帰れるのかな?もし帰れなかったら・・・。」
 彼は黙り込んでしまった。
このままマリオワールドにずっといるのも良いけど、でも帰れなかったら・・・。
それに何故自分はヨッシーなのか・・・。

「あ〜ら、なかなか良いヨッシーじゃないの。」
「へっ!?」
 不意に後ろから声が聞こえたので、彼は慌てて振り向いた。
そこにいたのは・・・。
「キャサリン!?」
 そう、体系はヨッシーと似ているが、口の部分が大砲みたいに開いており、全身ピンク、更には真っ赤なリボンを頭に付けている・・・、
自分をメスだと思い込んでいるキャサリンだ。
「あ〜ら、私の名前がわかるの?」
「・・・まぁね。」
「ところで何してるの?」
「考え事だよ。」
「あ〜ら、それだったら私もいっしょに考えてあげようか?」
「・・・いいよ。一人で考えたいんだ。」
 そう言ってキャサリンのもとを離れるヨッシー。
自分をメスと思い込んでいるが、実際はオス。
いわばオカマみたいなものだ。
ちなみにヨッシーには性別は無い。
頭に疑問符を浮かべるキャサリンに彼は溜め息をついて歩いていった。


「はぁ・・・。」
 彼はブッキー坂の頂上からブッキータワーを眺めながら考えた。(SFC版スーパーマリオRPG登場)
この時既に夜だった。
「これって・・・夢なのかなぁ。でもこんなに長く続く夢なんて無いし、それに夢ならどこからか母さんの声が聞こえてきそうだし・・・。」
 じゃあ何だろ?と思った時、流れ星がキラリと光った。
「流れ星さん・・・どうして僕がこの世界にいるのか教えてくれますか・・・?」
 夜空に向かってぼんやりと言った直人だが、突然彼の頭上がキラキラと光りだした!
「えっ!?・・・あっ!」
 慌てて空を見ると、キラキラと輝く星がゆっくりと直人に近づいてきた!
(そうだ!マリオの世界でスターは神様みたいなものだったんだ!)
 とか考えてるうちにスターは彼の前にスターは光を抑えつつ、彼に話し掛けた。
「君がここに来た理由はワシが教えよう。何を聞いても驚かないと約束してくれるかの?」
「は、はい・・・。」
 どうやらこのスターは年齢的に高齢なのだろう、喋り方がいかにも年寄りじみている。
直人は深呼吸をして心を落ち着かせる。
し始めた。
「君はマリオに会いたいと思ったね?」
「は、はい・・・。」
「詳しい原因は分からんが、君は何らかの原因でこの世界に迷い込んだのじゃ。」
「原因が分からない・・・。」
「君がその姿になった理由はな・・・。」
「やっぱり知ってる・・・んですね。僕の正体。」
「ほっほっほ。勿論じゃとも。その事なんじゃが・・・。」

 それから老人のスターは彼が疑問に思っている事に答えるように話した。
この世界に彼が来れた理由はまだ調べている最中だが、仮説としては時空の歪みか、
夢の中にあった彼の自我が、何らかの形でこの世界に来てヨッシーに乗り移ったか、
はたまたは誰かがテレビゲームを抜け出して、彼をこの世界に連れてきたか、である。
また、姿は誰かの実験によるものか、呪文か何かでこの姿になったのか、
あるいは直接ヨッシーに食べられてこの姿になったか、である。
「まぁ、その姿になってしまった原因は3つ目の仮説はまずありえんじゃろうな。」
「何で?」
「君のようにヨッシーは卵を産む。ヨッシー達は卵を投げて攻撃したり、子孫を増やしたりする。」
「うん。」
「それで子孫を増やす時、卵から孵ったばかりのベビーヨッシーは飲み込まれる前の記憶は無いじゃろう。」
「うん。」
「君は元の記憶を持っている。じゃからじゃよ。」
「はぁ・・・。」
一通り話し終わり両者共にふぅと溜め息をつく。


「ところで・・・。」
「?」
 彼はぼそりと呟いた。
「元の世界に帰れるかな・・・?」
「・・・。」
 スターは黙ったが、やがて口を開いた。
「君が元の世界に帰る事は・・・・・・できん。」
「うっ・・・。」
 当たって欲しくなかった答えが当たってしまった。
「やっぱり・・・。」
「すまぬ・・・。わし等では君を元の世界に返す事は・・・できん。この世界のどんな強大な力を使っても・・・。」
 スターは彼に詫びるように言ったが、直人は顔を下に向けたまま動こうとしなかった。
再びやってきた沈黙。
「でもこれだけは言えるぞい・・・君は辛い分幸せを得る事は出来る。」
「・・・。」
「例えば君のその姿。君が大好きな人物じゃろう?」
「うん・・・確かにこの姿が好き。」
「それに君はこの先、様々な行事なイベントに参加できる。」
「イベント・・・。」
「そうじゃ。例えばレースやスポーツ、運良くばマリオの旅の手伝いも出来る。」
「そう・・・だね。」
「それに君は同じ姿の仲間達が沢山いる。だから悲しい時や誰かと一緒にいたい時は、その仲間達に会えば良いのじゃ。彼等は集落を築いているからの。」
 ショックで沈んでいた直人はスターの励ましに次第に顔を上げて明るくしていく。
「そうだね・・・うん・・・僕この世界で生きていくよ。ありがとう、スターのおじいさん。」
「そうか・・良かった。君が再び明るくなってくれて良かったよ。」
「あの・・・もし僕がさっきみたいに悩みとかで悩んでいたら・・・今みたいに相談してくれるかな・・・?」
「そうしてあげたいが・・・その時は別の者が来るかもしれん。」
「それでも良いや。どうもありがとうございます。」
ペコリとお辞儀した直人にスターは笑みを浮かべる。
「うむ、もし悩みを聞いて欲しかったら、星が良く見えるところでわし等を呼ぶのじゃぞ。」
「はい!」
 そしてスターはゆっくりと夜空へ戻っていった。



 しばらく夜空を眺めていた直人は、誰かがこっちに走って来るのを感じて背後を振り向いた。
「ヨーーーッシーーーーー!」
「!?」
 何とキャサリンだ!
「ちょっとちょっと!今お空に飛んでっちゃった光は何よ!」
「えっと・・・。」
「も〜!あれがお星様なら私をメスにしてくれって願いをしようと思ったのに〜!何で逃がしちゃうのよ〜!」
 そう言って大砲のような口から卵を勢いよく吐き出す!
しかも一度に10個と沢山の量を!
「ギクゥ!」
 直人はひるんだが、すぐにキャサリンから逃げた!
「そんなの知らないよー!」
 そう言って彼はブッキー坂を駆け下りる!
「な〜んですって〜!」
 キャサリンも彼を追いかけてブッキー坂を駆け下りる。
この追いかけっこの結末は、ヨッシーとして生きていく直人が逃げ切る事で幕を閉じた。




 その後の彼の生涯は分かっていない。
何故ならヨッシーはマリオワールドに沢山いるし、殆ど同じ顔ばかりだからだ。
だから彼の生涯が幸福だったのかそれとも不幸だったのかはわかっていない。
だが唯一彼と分かる癖がある。
それは寝るときは星が良く見えるところで寝ていると言う事だ。
そんな事をするヨッシーがいたら、きっとそれはマリオが大好きな元人間の少年「直人」かもしれない・・・。


 完
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