世代を越えた想い 第3話 再会ドラゴンソウル作 ポケットモンスター二時創作

 ナナシマ周辺に浮かぶ、とある研究所の研究員達が全員揃って記憶喪失に陥っていたと言う事件から3日が過ぎていた。
研究員達は記憶を失っているし、監視カメラ等の映像には何も映っていない。
研究所で一体何があったのかは解明されず、歴史の永遠の闇に葬られる事になった。
ただ、その研究所付近で白いポケモンなのか判別が難しい生き物が目撃され、何処かへ飛んでいったと言う情報がただ1つあった事のみだが…。


「気配が移動している…?何処へ行くんだ…?」
 私はあのポケモンの気配を辿って人目のつかない洞窟に辿り着いた。
だがそこには誰もいなかった。
先程なのか、それともかなり前にどこかへ行ってしまったのか、見当がつかない。
だが急がなければ取り返しのつかない事が起きそうな気がする。
私は直感的にそう感じ、再び大空を飛びながら気配を探る。

 どこにいるんだ?
私の想いがあのポケモンに届くなら届いてくれ。





 私はジョウト地方で「スズの塔」と呼ばれる塔の屋上にいます。
ご主人様の息子様が連れ去られて2週間も経ってしまいした。
もう私にとっては生きる事が辛くてなりません。
確かに私と同じ種族はこの世界にそう多くはありません。
ですが、私にはこれ以上生きるのは辛い事です。

 私はこの塔の最上階からの光景を見て、溜め息をつきました。
ご主人様、すぐにあなたの元に向かいます…。





「…待つのだ。」
 ふいに後ろから聞こえた声に驚き、私は後ろを向きました。
そこにいたのは赤い鳥の様で、神々しさを感じる1羽のポケモン…。

「何故お前は自ら命を絶とうとする。」
「…辛いんです。」
「己の人生に嫌気が刺したのか?」
「いえ、ただ…。」



 私は目の前にいるポケモンに今までの事を話しました。
そのポケモンは私の話を全て聞き、それからそのポケモン…いえ、彼は私にこう言いました。
「下界に暮らすポケモン達から聞いた話だが、東の地カントーから南に浮かぶ島々から、ある人間達が全員記憶を失ったとの事だ。」
「?…それがどうかしたのですか?」
「そこから1匹のポケモンと思しき生き物が確認されたとの事だ。」
「??…それが私に何の関係があるのですか?」
「そのポケモンは元はお前の傍にいた人間の可能性が高い。」
「!…でも、そのポケモンかどうかは分からない生き物が何故元人間だと言い切れるのですか?」
「昨日の事だが…。」




 それは昨日の出来事だ。
行く当ても無く、私が気ままに空を飛んでいた時だが、ある1匹のポケモンが私に近づいてきた。
そのポケモンからはとてつもない力が漂っていた。
本能で私はいつでも戦えるようにしたが、相手は交戦の意思は無く何かを聞きたいような素振りをしたから、私はそのポケモンの話を聞いてやる事にした。
そのポケモンは、元は人間であった事と、あるポケモンを探している事を私に話した。
探しているポケモンは紫色の長い髪に水晶のような物が頭にあり、体は細めで水色が特徴だと言った。
私は知らないと答えると、そのポケモンは再び何処かへ行ってしまった。



「それから色々考えながらここに来たら、お前がそこで身を投げようとしていた所だった。」
「………もしかして、…そのポケモンは…!」
「お前を探しているのかもしれん。今もどこかでお前を探しているはずだろう。」
 彼の言葉を聞いて、私は塔を降りる事にしました。
降りる直前に私はそのポケモンの名前を聞いておこうと、私は振り返ってそのポケモンに名前を伺いました。

「あなたの名前は何と言うのですか?」
「私の名はホウオウ。かつて人々が私を崇めた者だ。」
「そうですか。…ありがとうございます!では私はこれで…。」
 勢い良く私は駆け出して、下の階に続く階段を下りようとしました。
「あっ……!」
 ですが勢い良く駆け出しすぎて私は足を滑らせて塔から落ちてしまいました。
下の階に続く階段は屋上の端にあったんです。
「!!」
「!!」
 この塔はとても高いため、私が地面に叩きつけられるまで時間がありますが、その分私の体に走る衝撃が高くなってしまいます。
更に走る勢いを付け過ぎたのか、私の体は仰向けで落下していました。
更に思ったより落下速度が速い上に風圧で体制を立て直す事もままなりません。
このままでは地面に叩きつけられて死んでしまう…。
(そんな…。)
 私は目に涙を浮かべて、物凄い勢いで変わっていく景色を見ました。
あぁ、ご主人様の息子様は生きていたのに、もう会う事が出来ないなんて…。




 あのポケモンの気配を追って私はある街外れにある塔に向かっていた。
その塔の屋上から昨日会ったポケモンともう1匹のポケモンが何か話してるのが見えたが、その2匹の内、手前で話しているポケモンの姿を見た私は空を飛ぶ速さを高めた。
だがそのポケモンが塔から落下するの見て私は急いで塔に向かう。
まさか、身投げ…?
かなりの速さで落下しつつあるそのポケモンに近づき、その体を超能力で落下速度を遅くしつつ、再び超能力を使いそのポケモンを両手で支える。
何とか間に合った。
私が両手で支えているそのポケモンは目に涙を浮かべていた。


「大丈夫か?」
 そのポケモン…いや、彼女に私は優しく声をかける。
「あっ…!」
 両目に涙を浮かべた彼女は私の顔を見て驚いた。
「誰!?」
「さすがにこんなに外見が変わってしまっては分からないか。覚えているか?私…いや…、僕だ。」
「!!…もしやあなたは…!」
「元ポケモントレーナー「ダイスケ」の息子、「ヒロキ」だ。」
「!!!」
「迷惑をかけてすまなかったよ。」
「い、いいえ!そんな事は…!」
「ふふ、構わないよ。素直になっても。」
「…う、うぅ…うわあぁぁん!!…ヒロキ様ぁ!よ、よくぞ生きて、く、グスン…、くだ、下さいました!」
「…そういう主従関係の会話はやめてくれないか?」
「ですけど…!」
「構わないよ。気軽に話してくれた方が気持ち的に良いんだ。」
「は、はい!」
「さぁ、涙を拭いてあげるからじっとして。」
「はい!」
 泣きながら嬉しい表情をするスイクンとそのポケモンを超能力で抱き抱えるミュウツーの2匹はゆっくりと地面に降りた。
その光景を塔の最上階から見ていたホウオウは、良かったなと呟くと、翼を羽ばたかせて飛んでいった。








「あなたの事を何て呼べば良いんでしょうか?」
「そうだな…。僕…私を改造した者達は私の事をミュウツーと名づけたな。」
「そうですか…、ではあなたの名前を呼ぶときはミュウツーと呼ばせてください。」
「あぁ。私は君をスイクンと呼ぶが良いかい?」
「はい。」
「…私がいなくなったからと言って、もう勝手に死のうとかしないでくれないか。」
「約束します。」
「約束だからな。では行こう。亡き父と母のポケモン達を助け出し、彼等と共に暮らす為の旅に…。」
「はい。…もう私はあなたの傍を離れません。」
「私も絶対に君の傍を離れないからね…。」

 2匹はお互いに抱き合って、歩き出した。
亡き両親のポケモン達を助け出す旅へ…。








 そして2匹は時間をかけつつも、亡き両親のポケモン達全員と再会を果たした。
彼等は人目のつかない所を見つけると、そこで腰を降ろして子をつくり、幸せな一生を送ったのであった。
そのポケモン達を再び集結したミュウツーとスイクンの2匹も子供を設けて親となった。
めでたく親となった2匹と子供の中は、他のポケモン達が羨ましがるほどだったと言う。



 完

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