結局何も思い浮かばないまま、一夜が明けた。
普段は着ぐるみが毛布代わりになるので、何もかけずに寝たりもするんだが、生身なので夜風が直にあたる。
というわけで、久々に布団を敷いてねたのだ。久々というあたり、自分に異常を感じるが…
「もぉ〜、貸してあげてるんだから、少しぐらいいいじゃないかー」
「少し…ねぇ…」
で、とにかく元に戻る方法をということで、調査を開始することにした。
流石にこの姿で図書館なり本屋なりを探すのは無理なので、隣の部屋のパソコンを借りる事にした。
しかし、何が悲しくて、この男の部屋に居なきゃならないんだか…
「しっかし、何度見てもすごい部屋よねぇ〜…」
小さなアパートの一室だというのに、このポケモングッズの量! 圧倒されるわ…
ジラーチの比率が多いのは、言うまでもないけれど。
「あ、あまり見ないで… 恥ずかしい…」
「それは私も同じよ」
同じって、対象が全然違うがな! あ、自分に突っ込んでしまった…。
しかし、今は着ぐるみじゃないので、この姿は全裸ということになる。(恐らく)
ということは、やはりジロジロ見られるのは、恥ずかしいというものだ。
もっとも、着ぐるみだったとしても、恥ずかしいのだが…。
「ね〜、まだぁ〜? そろそろ使いたいんだけど…」
「目の前にジラーチがいるんだから、もうちょっと使わせなさいよ!」
強引だなぁ〜、私って。
ちなみに、そのジラーチ本人があんまり喋ってないことに気付いただろうか?
あと少しで脳内にジラーチの意識があることを忘れるところだった。
そのジラーチが喋らない理由とは…
(むにゃ… お星さま〜…)
寝ているからだ。意識だけの状態でどうやって寝れるんだか…。
「ん〜〜…流石に情報が少ないわね…」
「何調べてるの?」
ガン!!!
「わ、わかったわかった。早くしてね…」
流石に、今この内容を見られるのはマズい…。
実は、彼に融合したということはバレていないのだ。現状では…だけど。
「うーん、よし、もういいわよ〜」
「そう? やっと空いた〜…」
「…邪魔したわね…」
少し意地悪そうに言ってみる。
「いやいやいやいやいや! そんなことはないよ! むしろありがとう♪」
流石…というところかしらね。ひとまず、自室に戻るとしよう。
「7日…かぁ… 長いわね…」
とりあえず、得た少ない情報を頼りに推測すると、ジラーチが眠りから目覚めたら、7日は現世を動き回るらしい。
つまり、それがこの事態と一緒だとしたら、この状態で7日も過ごさなければならなくなる。
とはいえ、既に一晩明かしたので、6日になるのだが。
(ふああぁぁ〜〜… おはよぉ〜…)
「おはよーさん。のんきなものね」
ようやく目覚めた体の主。寝てれば頭の中が静かなので、朝には丁度よかったんだけど…
「あなたって、7日たったら、またどこかいくの?」
(え? どこか行くというよりは、ふかあぁ〜〜い眠りにつくだけだけど)
そういえばそうだったわね、千年だっけ? そっちのほうがよっぽど長いわね。
「ふーん… とりあえず、あと6日間、よろしくね♪」
(あ、うん〜。 …えぇぇーーー!?)