超越したる世界とカラダ 冬風 狐作 ポケットモンスター二次創作
 ポケモンとトレーナーの関係はそれこそ様々、と思えていたのは一体何時までの事だったろう。そしてそれが、今の確信へと変わったのは一体何時だったろう、とも僕は思える。
 そもそも、の話ではあるがどうしてここにポケモンがいるのだろう。ポケモンとはゲームの中、漫画の中、とにかく身近で多数見かけながら決して直接触れる事の出来ない存在ではなかったか、と僕は記憶している。でも、今、それは単なる記憶でしかない、確かに、今、触れているのは暖かさのある、匂いを纏って、鼓動のしている存在、カラフルで、それはとても有り得ない色合いをした存在と僕は今、一緒にいる。
「ああ、バシャーモぉ…っ」
 ふと耳に届いた言葉、それは甘い声で、対して応じる声まで聞こえる。原因はそう、そちら、そのペアであるのだけは間違いない。僕は隣にいるポケモンの手をぎゅっと握りながら視線を向ければ、なるほど、そこでは今、正にその身を抱き合っているトレーナーとポケモンの姿が見えた。
「ほんっと、バシャーモ大好き…っ」
「私もです、マスター」
 応じる声、それは彼女が抱き着いているポケモンが発している。ポケモンが人語を操る、それ自体がおかしなものなのかもしれないが、少なくともいないはずの、存在し得ないはずのポケモンが今、ここにいる時点でもう、そんな事は気にすらならない些末事でしかない。
「もう、私にも向いて下さいよ、マスター、ふふ」
 そんな時に僕は僕で、ポケモンにふっと呼び掛けられる。そして顔に手を添えられては、僕はそのポケモン、マフォクシーと唇を重ね合わせていたのだった。

 バシャーモ、それは私にとってはすっかり特別な存在だった。彼の事を知ったのはもうずっと昔の事、小さな画面の中で進化した姿に、どこかで時めいたのは本当何時の事だったろうって思いながら、今、私は彼を抱きしめ、そして重ね合っている。
 ふっと横を見れば、ついさっきにずっと好きだと言っていたポケモン、マフォクシーと出会えたばかりのタケシ君の姿が見える。確か、昔にポケモンを教えてもらったのは彼からだったな、と思い返すと、何だかとても大きく恩返しが出来た、そんな気分にすらなってしまうのが不思議だった。
 だけど、そんな思いに耽るほど、私の心の容量は大きくない。むしろ、大きくても大半がバシャーモへの思いで満たされてしまっているから、とても余裕はない。バシャーモ、その細身だけど大柄で、赤と黄色、そして白で彩られた暖かな肉体はもう私のパートナーの大好きな肉体でしかないのだから。
「ねぇ、キヨミ、しよ?」
「うん…したい、しよ?」
 大体はバシャーモの方から誘ってきてくれる、私の名前と共に若干たどたどしい言葉を操っての響きを聞いた途端、私はもう気持ちがとても落ち着いてなぞいられない。もう道に満ちていた気持ちは一気に決壊して、強く抱きしめ返す。
 すると途端にバシャーモの、彼の手が動き始める。私のスカートの中にふっと手を入れてきてくれる、途端に、その鳥にちなんだポケモンらしい硬い鱗、そのひんやりとした冷たさがお尻のお肉を通じて私の背筋を、脳みそを震わしてくれる。とても抵抗なんて、否、私の要求なんて言えない。出来るとしたらそれは、もっともっと、と体を反応させるだけでしかなくて、より股間を開いてしまう。
「キヨミ、かわいい、今日もかわいい」
 かわいいなんて言われたら、ますます私は彼に寄り添ってしまう。恋は盲目?そんな言葉なんてなくても、私はすっかり彼なしではいられない。だから彼が悦ぶなら何でもする、その鳥の片手で尻肉を揉みに揉まれながら、更に片手が私の着衣を脱がすのを、よりしやすい様に体を動かしながら、彼にすりついて、その暖かな臭いをたっぷり吸いながらアピールしてしまう、私はあなたの、雄のバシャーモの雌なの、と酷くしてしまう。
 最初の頃は人の服を解くには、一旦体を離さなければ上手く出来なかった彼も、今やこの姿勢でもささっとしてくれる。勿論、その前には私自身が彼にとり、脱ぎやすい姿勢になる様に配慮してはいるのだけど、出会ってからの日数を考えれば驚異的に上達しているし、何より、これまでに付き合った事のある人間の男達よりもずっと気遣ってくれるのだ。
 一言で言ってそれは無垢さから来ているのかもしれない、ポケモンはポケモンである。そう人間の様な様々な縛り付けとは無縁の存在、それだけにストレートで最初は少し戸惑いもあったけど、今はもう気になるどころか、そう接してくれるのを欲している私がいる。仕事から家に帰って、買い物から家に帰って、目が覚めて、そのどんな時にも今は彼が、バシャーモがいる。
 素敵な彼氏で、旦那様のバシャーモが恋しくてたまらない、そして依存しているのははっきりと分かる。ある日、ふっと思い出してスイッチを入れた時、ふっと視界がぼやけて気が付けば、目の前にいた不思議。互いにきょとんとしていて、しばらく過ごしていたのも最近の事とは思えない位に古い記憶かの様に私の中には刻まれている。
 でもそれが事実だと知れて以来、私はもうどれだけだろう、どれだけ彼を感じたのだろう。
「全部脱がしちゃった、キヨミ」
 長い舌が私の頬をたっぷりと濡らしてくれる、目が潤んだのは気のせいだろうか、そして手が自然とバシャーモの赤い毛をかき分けては、その中に潜む割れ目の中へと指を滑らせる様に入れた途端、彼がびくっと震えたのは私からの誘いの合図だった。
「うう、バシャァ…ッ」
 つるっと抜いた指先はすっかり濡れている、その液体はバシャーモの体液、独特な臭いがするそれを自らの鼻の前に持って行って嗅ぎながら私が少し、彼からのアクションを待つまでもなくより強い臭気と熱気が漏れ出してくる。
 男性器、陽物、それは雄たるバシャーモならば当然持ち合わせているもの。何の為に?それは卵作りの為に、ポケモンの子の入った卵を雌が産み落とす為に雄ならばもっていて当然の器官。ただ生憎なのは私が雌でもニンゲンな事だろうか、流石にニンゲンとポケモンでは子は成せなかった、受け入れられてもそれが本来の形で結実する事はない悲しさにどこか寂しさを感じていた折、不意にバシャーモが口にしたのが「仲間を作ろう」との言葉だった―バシャーモはその頃にはある程度の言葉を操れる様になっていた、そう私との交わりを繰り返すうちに不思議と取得していた。

 仲間、だから私はタケシ君を思い出して、幾年かぶりの連絡を取った。久々に会ったタケシ君はやっぱり、ポケモンが相変わらず好きで、好きで好きでたまらないんだ、と弾む話の中で出してきたのがマフォクシーだった。
 そのやり取りをバシャーモはずっと隠れて聞いていた。そして彼が帰った後、バシャーモは少し姿を消して、次に姿を見せた時、ある道具を私に対して見せてきた。
「これは…ボールよね、モンスターボール?」
    「ボール、そう、でもこれニンゲンを入れるボール、だからキヨミを、入れる」
「えっ…!?」
 そこから少し私の記憶は途切れている、ただ暗い中で何だか凄く全身が心までも含めて、全てがリラックスしていたのだけは覚えている。何かこう解けるような感覚で、次にふっと目を覚ました時に傍らに転がっているボールを見て、私は直感した、私はこの中に入っていたのだと。
 そんな私をバシャーモはたっぷりと抱きしめてくれた、その途端、今に通じる気持ちが私の中に芽生えたのは間違いない。先にも書いた通りのパートナーたるバシャーモ、ポケモンではなく彼としてのバシャーモ、だからその後は喜びを分かち合うかの様に、私はバシャーモの肉体を受け入れて大いに鳴いてしまったものだった。
 その彼に言われて、私はまたタケシ君を呼び出した。今度はその「マフォクシー」の入ったソフトを持ってきてね、と付け加えて。
 そこから先に何があったのか、それはタケシ君にとっては今でも信じられないだろう。私とポケモン対戦でもするつもりで来たら、いなり目の前に私と共に現れたバシャーモに語りかけられ、明らかに目を点にしている間にあの、私も入れられた「ボール」の中に、それこそポケモンをゲットする時の様な具合で取り込まれて―その間に、バシャーモはタケシ君の残したゲームを手にすると、具体的には軽く触れただけとしか見えなかったが、途端に強い光が辺りを満たすと露わていたのがマフォクシーだった。
「なんだ、バシャーモじゃない」
 それがマフォクシーの第一声だった、キツネポケモン、バシャーモと同じほのおタイプ、でも小柄な彼女は最初から流暢に人語を操り、私とバシャーモを愉快そうな顔で見て来たものだった。
「噂は本当だったのね、驚いたわよ」
「私も、驚いたけど、すごく、楽しいぞ、こちらは」
「あん…っ」
 私ですらバシャーモから聞いていない事情を知っているとでも言わんかの様な仕草、炎の着いた枝で軽く肩を叩きながらのマフォクシーに彼は私は抱き寄せて口づけを交わして見せる。
 それは恐らくとても、彼女の気持ちを刺激したのだろうか、そんなにアツアツなら私達だって、ね!と居ても立ってもいられない、との具合でそばに転がしたままにしてあったタケシ君の入ったままのボールを手にする。そして、私たちだってしましょうよ、ダーリンと凄く甘ったるい声でくるくると指先で器用に回してからマフォクシーはそのボールを投げれば、出て来たのはタケシ君だった。
 そこからはもう冒頭のシーンへつながるとしか言えない―一体何なの!?いや、マフォちゃんは大好きだけど、えっえぇっ!?と驚きの声を上げるタケシ君を甘く笑いながら、これはこういう事なのよ、と楽しげに説明するマフォクシーの夫婦漫才的なやり取りをBGMにしながら、私達はずっと抱き合って無言のままに、時折小さな呟きを交えつついたのだから。

 ただその中でバシャーモはこれから初めての事をしよう、としきりに口にしていたのが私は気になっていた。今、手の内にあるバシャーモの陽物を何時も通りに愛撫しながら、口づけを交わしながら、引っかかり続けている内に彼は私を今までになく強く抱きしめ始める。それは痛い位だった、でもそんな訴えすら言えない位に私の胴体は圧迫され、もう、との途端だった、不意に解放されたのは。
 否、それは解放ではなかった、むしろより強い束縛でしかなかった。私の体と彼、バシャーモの体が境界を失っただけ。明らかにそれは一となっていた、ひとつの結びついた肉体、胴体も頭も手も足も、視覚的に書くなら、お湯の中に撒かれた塩なり砂糖が瞬時に個体としての形を失うの通りだろう。
 そこでの塩や砂糖に値するのは私である、そしてお湯がバシャーモである。バシャーモらしい赤い中に白い私はすっかり染まって溶け込んで、今や「味の着いたお湯」の構成物でしかない。
「ふぅ…んんっ」
 バシャーモの声はずっと力強さを得ていた、たどたどしさはなくなって、またその肉体はより人に近くなっている。少なくとも、ポケモンそのものの四肢ではない、人の要素の濃い四肢のお陰で元々高い身長はより高さを増していて、胸もより張った姿となっていた。
「あらあら、待ってて、私も今に…終わるからっ」
 そのバシャーモにマフォクシーが声をかける。なるほど、そちらにもニンゲンの、タケシの姿は見えない。いや見えてしまったと言えようか、そのマフォクシーの体の中に恐らくは人の足であろう物体が取り込まれかけているのが見えるのだから。
 その足は打ち上げられた魚の尾鰭の様に震えていた、でももう、どうしようもないのだろう、マフォクシーは少し膨らんだお腹を明らかに微笑んで撫でまわしていて、全てが取り込まれるなり、人に近い体型へと変わるのほ見ている人間は最早この空間にはいない。
 いるとしたら、それはそのポケモンとニンゲンを混ぜ合わせた肉体となった2匹の中かもしれない。言うなればそれは最早獣人である、ポケモン獣人、その姿となったバシャーモとマフォクシーは互いの肉体を見つめ合い、双方共に元々持ち合わせていなかった器官に気付いて互いに撫でてまさぐれば、しばらくして響きあうのはキヨミが見せたよりもずっと甲高く、より響く嬌声、鳴き声でしかなかった。
「ああ、すっごい、オスの感覚ってこれなのねぇ…っ!マスターも凄く、気持ちよさそうだから嬉しい…んっ」
「バシャ、あ、ばしゃぁっ、あああ、マフォクシー、激し…んっ」
 雄であったバシャーモを貫く陽物はマフォクシーの持ちたるモノ、ではその時にある受け入れる陰部は、それこそ縦に割れた裂け目であり、奥にあるは子宮であって持ちたるはバシャーモ。しかしその双方の肉体共にも乳房の姿が見える、そして四つん這いとなっているバシャーモの股間の内側には陽物もある。
「ん、あは、んんっ、きもちいいのよぉ…仕方ないじゃないっ、卵、卵ぉっ!」
 そう言って盛んに腰を打ち付けるマフォクシーの瞳はふとした輝きを放つ、特に片方がその本来の赤ではない青色となっているのは、確かだった。そしてそれはバシャーモも同じだった、受け入れつつ喘ぐ体、その細められ、時に大きく見開かれる瞳の片側は矢張り青色で、双方共にオッドアイと化しているのだ。
 まだまだ、と漏らすマフォクシー。その下のバシャーモ、外見からしての燃え上がり様なのであるから、その内面たるや、それはもう燃えるどころではないのだろう。増してやほのおポケモン同士である、肉体も熱いならば精神も熱かろう彼と彼女の中にあるニンゲンがどうなろうか、それはもう浮かべるで足る事だろう。
 今、この空間に、ポケモンの存在するはずのない世界にポケモンが現れて、ヒトと交わり、取り込み、そして交わっている、それだけでもう異様。しかしそれすらも、ある種の多様さと見れば、これもまたトレーナーとポケモンの関係のひとつであるのには変わりない。
 ただ、どういう原理で理由なのか?それを知りたいと思うのは当然のこと、だがしかし聞き出せるだろうか。とにかく、この交尾、卵作りにしか目下興味を抱かず、何より全力を注いでいる彼と彼女にとっては無粋な事だけは確かなのだ。


 完
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