温野菜とカキ氷 冬風 狐作 ポケットモンスター二次創作
「ねぇねぇ」
 大抵、いきなりその様な声をかけられる時と言うのは、それは常にその様な呼びかけあいをしているのであれば別であろうが、何かしらの前触れであると出来るだろう。
「んー何だ?」
「一緒にお風呂入ろうよ」
「ん・・・あぁ良いね」
 それには時として予想だにしていなかった言葉が続く事がある。上記の様なやり取りは正にそれであろうが、当事者次第ではそれは大きく変わる。応える側のリーフィアにとっては確かに唐突であった、しかし鈍感であるその生来の性質が唐突さ以上に付属するものを和らげて、意外なまでに普通の反応を返す。
「あっありがとう、何かたまには入りたいなぁ・・・って」
 だがそれは目の前の相手、青い房を顔の両脇で揺らしているグレイシアにとっては至極真面目な呼びかけ。2人の仲は同居しているリーフィアとグレイシア、性別で言えばそれは牡と牝でお互いに成熟している年頃である。だからグレイシアにとってそう言い出すまでには、実に大きな勇気に支えられている所が大きかった。だからこそ大真面目であり、そして承諾の返事が来た事に大きく胸の内に喜びとして染み渡らせていたのだった、何れにしても2人ともどこか普通ではなかったからこそすんなりと言えたのであろう。
「じゃ、先に入ってるからさ・・・後から入って来てよ」
「あっ・・・うん、分かったよ」
 だがその普通ではない、と言うのもまた2人とも異なる。リーフィアが生来の鈍感振りから来るのに対して、グレイシアのそれはふとした気持ちで生じていたもの。だから2人の様子を緊張感と言う概念で見ると全くの好対照ぶり。リーフィアはすっかり何時も通りであるのにグレイシアは妙に強張ってたり、あるいは力を入れすぎたりしている、そんな具合であったと言える。だから反応、そして認識に違いがあって当然なのだがリーフィアがそれに気付く気配は全く見られない。
 ただ普通に向かい服を脱いで、そして浴室の中に入る。それをするだけだった。

「はあ・・・気持ち良い」
 だがそんな鈍感さだからこそ気が付く時がくると、一気に、そして驚きへと変わるものだろう。だがまだリーフィアにはその素振り見られなかった、のんびりと湯船に浸かる姿、そしてその内心では早くグレイシア来ないかなぁ、と思っているほどだから尚更そうであるのがうかがえてしまえる。
「うん、お待たせ」
 結局、グレイシアが入ってきたのは更に5分くらい経過した頃だった。だが長風呂が好みであるリーフィアにとってはそれは何の問題もなく、のんびりと微笑んで迎える。
「ああ待ってたよ、と言うか久々だよねぇ・・・お前と一緒にお風呂なんてさ」
   リーフィアは思わずその体を見ながら呟いた。目の前でシャワーを浴び始めたその体には、水色と濃い青色の二色で構成されているシンプルさの一方で牝らしい豊かさをたたえられている。何よりその水色の体の上を流れていく液体、お湯がけの存在感を湿らせることで際立たせるから一層の物だった。
「うん、そうだよ。・・・ねぇ変じゃないよね?」
「変?変じゃないんじゃないか・・・うーんあったかい」
 グレイシアの裸体を見、そして寄せられた問いかけを受けてもまだリーフィアは調子を崩してはいなかった。全く何時も通りの、そうと言わんばかりの姿はもうここまで来ると一種の清々しさすらあるだろう。
 しかしそれはグレイシアから見れば逆でも一面ではあった、即ちどうして期待していた反応を見せないのか、と言ったふとした不満。そして同時に浮かべたのは、自分の中にある気持ちを更に高ぶらせると言う効果ではなかろうか。グレイシアがリーフィアに構って欲しかったのだから、そしてこの場にいられる事が幸せであったからこそ当然とも言える気持ちであり、彼女なりにまた気持ちを作っていくのに結果として作用していたのだった。
    だからこそグレイシアは敢えて何も応えない。胸の内では色々と話したくて止まないのであったが、とにかく体を洗うのに専念している様に見せかけて、密かに震えているのすら隠そうとしていた。その震えは前述した気持ちの高ぶり故なのだから、そして何時気付かれるかとかそのタイミングを思えば思うほど、胸が温かく苦しくなって仕方なかった。

「あ、湯船にも一緒に入るの?」
 ようやくリーフィアが疑問を含めた声を上げたのはそんな時だった。
「うん、そうだけど?」
「でも狭くなる・・・えぁっ!?」
 だがグレイシアは構わず、と言う様に湯船の空いているスペースへと足を突っ込んでくる。流石に鈍感が服着て歩いている様なリーフィアでもそこまでなる、とは思っていなかったものだから、少なくともリーフィアは湯船には交互に入るものだと思い込んでいたのもあって言葉を乱したのだろう。だがそれだけでそこまで乱すものではなかった、リーフィアが入ってくるのを見て思いやり、と言う具合でスペースを少しでも作ろうと中腰になってずれようとした刹那、グレイシアがその体を掴んで来た事、それが最大の原因だった。
(・・・な・・・なにを!?)
 内心でも当然浮かべる動揺の色、視線の先にあるグレイシアの手の位置、濃い群青の手袋に包まれた様な指と手の平が丸くなって掴んでいる自分の体の一部・・・そこが牡たる男子たる物にとって異性に最も触られる事が有り得ない場所と書けば分かるであろうか?
「ん・・・気持ちよくしてあげるから良いでしょ・・・っ」
 グレイシアもどこか口調が早くなっている。それは彼女もどきどきと、気持ちの高ぶりが一層強まり血の巡りが良くなっていた事とは決して無縁ではない口調なのだろう。何より彼女とて牝として女子として、牡の証たるそうイチモツをここまで目の前で目にし、かつ掴んだ事は初めてであったからそれだけで何かやり遂げたという気持ちを感じていたのも否めない。
「お・・・おい・・・やめ・・・っ」
「ここまで来たらもう最後までするんだから・・・っ」
「ひぅっ・・・!」
 どちらも半身を暖かい湯船につけた状態、浴室自体が湯気で温まっている中で繰り広げられるやりとりは明らかに、こうしようと意識していたグレイシアが圧倒的に有利だった。対してリーフィアと言えばすっかりもうされるがままで、前述の喘ぎのみを上げた瞬間はそれこそグレイシアに掴まれた挙句、ペロッと先端を舐められた、それですっかり力が抜けてしまって、尻尾はふにゃりとあたかも茹でられて柔らかくなった野菜の如し、になっている。
(ん・・・これが牡の・・・)
 グレイシアの舌に感じられた味は何とも言えない味だった、お湯の味とも言えるしそうでないとも言えよう味。でもそこに纏われている感覚はグレイシアの気持ちをますます駆り立てるだけ、一種のフェロモン的な要素があったのだろう。リーフィアにしても幾ら口ではなんと言おうとも、本能的な反応としてそうされてしまえば反応せざるを得ない。何時しか睾丸にも手は及んで、つまり密接に繋がっている前立腺にまで刺激が及んだ時にそれは決定的となった。
 そうビクッと、ビクッと竿が包まれている鞘から伸び始めたのだ。それはまだ新鮮な赤色でどこか艶かしい、牡のそれに使うのは適当ではないのかもしれないが、既に液体に塗れている事もあって思わずそう言いたくなる赤さだった。
 それを見つめる瞳は真っ青で毛並みは水色でありおよそ対照的なグレイシア、しかし一度開く口の中はそれは赤くて、彼女もそして彼も矢張り生物である事を意識させられるし・・・それだけ見ればある意味、2人は全うな関係にあると言える。リーフィアは何度もうわ言の様に何かを呟いては喘いでいた、しかしグレイシアにとってはもうそれは何の意味もなかった。温まってしまった体の心と体、そして脳の作用とも言えようがもう夢中で、湯船の中から突き出している尻尾が盛んに振られているのはその現れ。
 あとはもう語るまでも無い、ただそれから10分もしたころには湯船の上とその周辺には白い液体が飛散していて、そして緑と青の、リーフィアとグレイシアが幸せそうな顔をして抱き合って撫であっていた、そう言う光景があるだけなのだから。
「温野菜、ご馳走様・・・」
「もう、いきなりなんだからお前は・・・グレイシアは、と言うか温野菜ってなぁ・・・この蕩けたカキ氷め」
 言葉の内容はともかく、どちらの口角も緩みあっていたのは最大の証。リーフィアがその茶色い指でグレイシアの頭をわしゃわしゃするのに返す様に顔を胸へとこすり付けてきたのは更にそれを強調している。
(兄さんなのにね・・・)
(一応、妹なんだけどな・・・)
 そんな思いを秘めつつ、それからしばらくゆったりと過ごしていた、そんな少し成長した喜びの時間はまだまだ続く様だった。


 完
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