言葉はもう殆ど交わされない。ただされる事に対して僕が見せる様々な反応を通して彼女が判断して、更なる刺激を繰り出すの単純な繰り返しに過ぎないのだが、その全てが物語り代弁していたと言う事以外の何物でもない。もう胸から腹部はどろどろだった、全てロコンの舌によって湿らされ次第に濡らされたそこはすっかりゴワゴワとしてしまっている。
「はあ・・・はひゃ・・・ぅっ・・・」
息も絶え絶えと言う表現に相応しく、僕は天に突き出した格好で前脚を折って虚ろに瞳をしていた。その様にすっかり満足したのか、そんな僕に構わずに彼女は次なる動きへと本格的に改める。体を更に引いて、そうある場所を見つめて投げかけるのだ。
「お漏らししちゃって・・・もう」
「あ・・・あ・・・その・・・ぉ」
お漏らし、それは生暖かさ。ふと感じていた夜風による涼しさとは異なる、内からの生暖かさの漏れ出でいた感とその言葉は結びついた。そして一気に僕は赤面する、しかし恥ずかしがるのではなくもっと見られたいと言う気持ちが沸き起こり、ただでさえ弛緩して開いていた後脚がより開かれるのも、全く躊躇しない僕がそこにいた。
「開いちゃったわねぇ・・・もうこんなに・・・」
彼女はまたそこを前脚で突付き、そのまま輪郭に沿って撫でる。ロコンの足裏にある肉球の毛と異なる感触が更なる興奮を誘ったのは言うまでもなく、そしてそれがふとした膨らみに触れた途端、僕は電撃を食らった後の様な熱さを背筋に感じた。
「何時もしているのに・・・何時も初心なあなたが好きよ・・・イーブイ」
「・・・!」
言葉にならなかった、それでも口をぱっくりと開けたまま荒く息を吐き出す事で応えるのみだった。彼女もそれは承知だったのだろう、言葉ではなく直接的な動きとして再び僕に問いかけるのだ。しばらく前脚でひたすら刺激し、軽く入れて解した果てに舌を付ける。そして力を込めて、脚の代わりにねっとしたとした硬さと柔らかさを以って、僕のあそこを、ふっくらとした割れ目を舐め回すのだ。
わざとらしくたてられる水音、そして肉音。舌と割れ目が触れ合うそれは幾ら食らえど尽きる事のない刺激であった、途轍もなく甘美で仕方ない、一度知ってしまったらもうふとした事でほんのりと暖かくなってしまう魔性の刺激。彼女の動きが激しくなればなるほど、僕は、僕は混濁してただ反応していくだけになる。
喘ぎ震え漏らし、彼女が満足するまでひたすら弄られる、それが「雰囲気」の正体なのだ。僕はここで同性である彼女にひたすら弄られ、いやもう嬲られてその身を捧げる。
「あ・・・アく・・・い・・・ぐ・・・ょ・・・っ」
そしてそれが僕として覚えている限りの限界だった、もう彼女が彼女自身が時折炎を口から吐き出す時とはこの様な具合なのだろうか?発散しきれない快感の蓄積、それが転換した熱の蓄積の果てに・・・生暖かい液体を確かに、吹き上げて何時も僕は果てるのだ。
再び正気を取り戻した時、大抵・・・もう朝日が辺りを満たしているのが常だった。意識を完全に失っている間、何があるのか、僕は知らない。だが言えるのは何時も僕が目を覚ます時は彼女、タミは気持ち良さそうに寝ていて、起きるまでの間にミオが朝の食事を用意する、それが暗黙のルールである以外は僕は知らない。そして何事もなかったかの様に、ただ平安に惰眠を貪り、休息を得た朝と変わらずにタミとミオはその日もまた、目的に向けて動く、それが1日だった。
彼はふと目を覚ました。そしてむくっと起き上がるなり、妙なところで寝ていたものだと頭を軽くかじりながら寝ぼけ眼から次第に覚醒して、立ち上がる。
「んーと・・・何してたんだっけ」
眠りについたのも良く覚えていなかった、何をしていたのか、何かをしながら眠ってしまったのは分かるのだが、明らかに目の前でスリープモードに入っているパソコンではない、別の事に手を出している内に眠りに付いた筈だった。
だがそれが思い出せない、何か触れていた筈だったが見える範囲ではその触れていたと思しき物はなかった。しばらくそのまま固まって、そこまでこだわらなくても、と思い直して体を向き直しかけた時、何かに触れた。
(ん・・・?)
それは柔らかい感触であった、そして暖かかった。妙な場所で毛布もかけずに寝ていたのだから冷えていた体にはたまらない、その暖かさに惹かれて首も回しかけたその時、逆にその暖かさが彼を包む。
「う・・・っ!」
視界を包む限りなく黄金に近い輝き、見惚れてしまう様なその輝きが無数の長くそして柔らかい毛の塊であるのに気が付くのはすぐの事だった。そしてそれは酷く懐かしかった、一瞬頭が痛む、何か、脳の底に封じ込められていた何かが引きずり出され展開され、叩き込まれ焼きつかれていく、それにも近い感覚を覚える。
「・・・タミ」
「ミオ・・・」
その中にあった2つ文字の片仮名を口にすると、投げ返されるかの様に似ていて違う同様の物が返されてきた。そして視界が一気に晴れる、背景は見慣れた自分の部屋、しかしそこには本来ならいる筈がないと認識出来て、それでいながらいて当然と言える二重の認識を経た上で安堵出来る存在がいたのだ。
「ここどこ・・・?何だか大きな建物ばかりだし・・・さっき窓から見て驚いちゃった、それに外に出られると思ったら何か硬い物があるから・・・」
弾む声で、しかしどこか不安げな声で彼女、タミは彼に向かって言う。言葉の中の何か硬い物とは硝子の事なのだろう、だがその音色は明らかに戻ってきたもう1つの記憶の中と合致するもの、だからこそ彼は彼女を抱き締めた。
「あ・・・また俺・・・いや僕、寝てた?」
「うん、ずっと寝てるから・・・でもここって別の世界なの・・・?」
敢えて話題をずらした上で普段通り、俺と言いかけて思わず僕と言いなおしつつ彼は思った。そうここは自分の世界なのだと、そして彼女は、何よりも今蘇っているもう1つの記憶は別の世界の存在であるのだと。その姿はあの明るい茶色と橙色の姿ではなく黄金の毛をまとい、細い赤い瞳となった、それでも頭にある毛の盛り上がりに名残があるキュウコン。しかし喋る上にその姿は僕と同じ、ただ彼女の方が矢張り少し大きいのだが、同じ背格好になったタミは正しくそれを象徴しているとしか言えない。
「戻ってきたのか・・・僕」
「こちらでのミオなんだ、あなたが・・・名前だって違うし、それに女の子じゃ無い。cyu
ミオ・・・気になっちゃう」
そう僕は戻ってきた。一瞬2つの記憶が混濁しかけたが、その言葉、そしてそのふと輝いた赤い瞳を目にした事で何とか整理を瞬時にすると僕は不意に落ち着き、その結論を得る。
「戻れて良かったね・・・ミオ」
その長いマズルの中からそう囁かれる、途端に僕はますます抱き締めてしまう。
「でも私も連れてきちゃった・・・ってどうしようっと思ってるでしょう?」
それは図星だった、だから臆せずに小さく頷いてしまう。
「そんなに思わなくていいよ、でも今度はミオに色々とお世話になるんだから・・・よろしくねっ」
「ああ・・・」
僕の口数は少なかった、どう言葉をかけるべきか迷ったのは当然否めない。しかしそれ以上に、思い出した記憶の中で、そう互いに進化をする正にその瞬間に、もうこれで彼女とは出会えない、と言う事を強く思ったのを思い出して噛み締めていた、と言えるだろう。しかし再び出会えた、その喜びに僕はすっかり包まれていたとしか言い様がなく、すっかり言うのを忘れていたのも事実。
「ふふ名前とかも・・・よろしくね・・・っ」
何時の間にか僕が抱き締めてリードしていた筈なのに、あたかも彼女の方がしているような格好になったのもその様な空白が原因だったのかもしれない。だがとにかく、タミとはこれからも一緒、そしてずっと離れられないのだろうとその手の握る仕草で、思わず息を漏らしつつ、彼女の暖かさとは対照的な涼しい、その輝きに対して青い体の僕はまた感じて震えるのみしかなかった。そして不満は全くなかった、未来永劫この様にされる関係であっても良いと言う位に。
「うん、僕の、そう名前は・・・ね・・・」
そう言いつつ僕も手を伸ばす、考えてみたらあの記憶の中で彼女は1度として自らの場所に触らせようとはしなかった。しかしこれからは・・・まだまだ、いやそもそも分からないのだから、とも浮かべて。
そんなゲームの中へ行き戻って来た男、そしてゲームの中から来てしまったロコン改めキュウコン。その姿はどちらも本来の姿とは異なってしまってはいる。しかしとにかくは、長らくパートナーであった2人の新たな生活の始まった瞬間だった。