オフの日

 

 

部活が終わってから跡部は忍足に誘われて忍足の部屋を訪れていた。
お互いに一人暮らしであるのでたまに夕食にお呼ばれしている跡部である。
跡部のマンションでは火曜日と金曜日の週に2回ほどハウスキーパーを
雇っているが昼間の間に掃除や食事の用意をしてくれているもので、お互い
に顔もあまり知らない。
忍足は跡部とは違って全てを自分でしているそうだ。何でも他人が自分の
プライベートな空間に踏み込まれるのが我慢ならないらしい。その感覚はわからないでも
ないが幼い頃から誰かが世話をしてくれていることに慣れている跡部には、
自分でやるより面倒臭くなくていいと思っている。

 

自炊しているだけに美味しい忍足の料理を食べて、お皿をキッチンに運ぶと
「風呂入ってきいや。景ちゃん寝てまうやろ?」
と言われて追い払われた。たしかに部活で疲れた体は休みを要求していて、
段々眠くなってきた。
けれど汗を流さずにいることも気持ち悪いので跡部はその言葉に従うことにした。

 

シャワーを浴びて戻ってくると忍足が入れ違いにシャワーに行ってしまった。
シャワーを浴びたことで目が覚めてしまったのでTVを付ける。けれどそのうち
飽きてしまって、積み上げてあった月刊プロテニスの最新号を見つけて手にとった。
パラパラと見ていると忍足が戻ってきて跡部の隣に座る。
忍足は何も言わない。跡部も何も言わない。でもこの沈黙は双方にとって心地よく、
いつからこんなことが日常になってしまったのかはもう覚えていないのだけれど
居心地のいい空間であることは確かだった。

 

「景ちゃんこっち」

 

そう言われておいでおいでされたので、忍足の足の間に座り込んで雑誌を読みつづける。
忍足によっかかると、極自然なことのように忍足の腕が跡部の腰へと回る。
忍足はこの体制が好きらしくて、跡部も最初の内は照れていたけれど最近では慣れてし
まったので抵抗はない。忍足の体温が触れるのは安心できることだから。
忍足は跡部を後ろから抱きしめたまま、リモコンでTVを回している。
もう少しこの体温に触れたいな、と思った跡部は雑誌を閉じてふうっと満足気なため息
を漏らして体の力を抜き忍足に深くもたれかかった。
そうすると、TVを見ていたはずの忍足が跡部の頬に軽く唇を落とす。まだ少し濡れている
亜麻色の髪にも、耳朶にも軽い羽のような口付け。
くすぐったくて跡部が身をよじると、前に回された忍足の腕に力がこもる。
そうしてまた始まる口付けに跡部が軽く声をだして笑うと
「・・・・あかんわ」
と忍足の声がボソリと聞こえた。
そしていきなり体が少し浮いて忍足と向かい合わせになる。いつもは自分より少し高い位置に
ある忍足の端正な顔が少し下にあるのは新鮮な感じがしたけれど、それよりも忍足の膝の上に
乗せられて向かい合うという体制の恥ずかしさから跡部は顔を真っ赤にさせた。
「いきなりなにすんだよ!おした…んっ」
忍足の手が素早く跡部の後頭部に回り跡部を引き寄せて文句をふさいだ。
音を立てて唇を離すと忍足は跡部の瞳を見つめて言う。
「忍足じゃなくて侑士。二人きりの時くらい名前で呼んでって言うたやろ、景吾」
そう言って跡部の返事も待たずにまた口付ける。
今度は息さえ奪うような深いキス。
歯列を割って侵入してくる忍足に跡部はついてゆくので精一杯だ。
「ん、ん・・・ふ、あっ」
時折漏れる艶やかな声と濡れた水音にお互いの体温が上がった気がした。
「ゆ…し、」
ようやく深いキスから解放されて忍足の名前を呼ぶと忍足は心底嬉しそうな顔をして
濡れた跡部の唇を舐め上げて、軽くキスをする。
「な、景吾…してもいい?」
何のことか分からない程子供ではないが、答えが言えるほど跡部は素直ではない。
結果跡部は困ったように先ほどのキスで潤んだ瞳を忍足に向けるしかない。
それが忍足を殊更に煽り立てることがまだわからないのだろうか。
「景ちゃん…そんな目えして見たらあかんよ?いやだって言っても止められへんやろ?」
苦笑して跡部の瞼にキスする忍足のその言葉に跡部はブスくれた。
「イヤだって言ったってやめたことないだろ…」
その言葉に忍足はにんまりと笑った。
「だ・か・ら!今日は部活で疲れとるやろ?景ちゃんがイヤって言うなら、辛いけど
 我慢して寝るわ。な、どっち?ダメ?」
忍足の長い指が跡部の顎をくすぐるように撫でる。見上げてくる欲に濡れた綺麗な
忍足の漆黒の瞳。
この瞳に見つめられているのがたまらなく幸せだなんて言ったら忍足は益々つけあがる
だろうから言ってはやらないけれど。
跡部は顔を真っ赤にさせたまま、忍足の耳朶に口付けを落とした。
照れ屋な彼の了解の合図に忍足は笑い、もう一度跡部にキスをして男の割に軽い跡部を
抱き上げて寝室へと運んだ。

 

 

 

倒れこむように二人でもつれ合ってベッドに。
スプリングのきいたベッドの軋む音にまで跡部は羞恥を覚える。
行為に入る前の時間が少し苦手だ。色々考えてしまうから。
意識ごと、早く奪って欲しいと思う。
「景吾…」
熱のこもった忍足の声に背筋が震える。熱い手のひらがシャツの合間から跡部に触れる。
跡部の唇に口付けていた忍足の唇は跡部の柔らかな頬をすべり、耳朶に触れる。
舐め上げられて段々と下肢に溜まる熱。
「ふっ、あ・・・・」
震える長い睫に、潤んで揺れる蒼の瞳。それらは忍足を煽ってやまない。
特別な仕草を見ることなく高ぶってゆく自分に苦笑をしつつ、けれど彼を辿る手は休めない。
跡部の弱い耳朶を舐め上げて、徐々に唇を下げる。折れそうに細い白い首に口付けを
落として強く吸い上げると咲く紅い花。
屋外スポーツをしているというのに驚くほど白い肌は、少し力を込めて吸い上げるだけで
忍足を満たすための所有の印が咲く。
満足気にその首筋に残した印を指でなぜるとくすぐったいのかいやいやするように首を振る。
それも可愛らしくて忍足は微笑む。
「ほんま、景ちゃん可愛ええ。」
「…っ可愛いくねえよ!馬鹿なこと言うんじゃねえよ、いつもいつも…」
「そんなんほんまのことやから仕方ないんちゃうん?」
笑って、今度は鎖骨のあたりを吸い上げると、感じやすい跡部の体がピクリと
震える。音を立てて吸い付かれ跡部は聴覚からも刺激されて段々と高ぶって
いく自分を自覚する。こんなにも余裕がなくなるのは忍足相手だけで。
今までこんなことはなかったのにと舌打ちしたい気分だ。立場が違うとこうも変
わるのだろうか。でも・・・と思わず考えていると、
「あっ!!」
いきなり胸の突起を舐め上げられて信じたくないような甘い声があがってしまい、
慌てて唇を噛む。
「景ちゃん、今違うこと考えてたやろ?失礼やで?」
強く突起を吸い上げられて跡部は艶めいた声を我慢することができない。
「こんなんじゃ物足りんってこと?景ちゃんエッチやなあ〜」
「なっ!!違う!」
からかうように言われて跡部は顔を真っ赤にして起き上がろうとするが、
忍足に押さえ込まれてうまくはいかない。
「じゃあなに?」
少し焦れたような色が忍足の瞳には宿っているのだが、頭に血が上って
いる跡部はそれに気付かない。
「なんでお前だとこんなに余裕がなくなっちまうのかってむかついてたんだよ!!」
勢いよく言い切った跡部の言葉に忍足は跡部を見下ろして目を真ん丸くし、思わず
笑ってしまった。
喉を鳴らして笑う忍足にからかわれていると思った跡部は憮然とした表情を
むけた。
「マジでむかつく…っ」
そんな跡部に忍足は笑いを抑えて、シワの寄った眉間にキスする。
「ほんまに…景吾には敵わんわ…。」
「なんだよそれ?」
忍足の言葉の意味がわからなくて不思議そうな顔をする跡部に忍足は溶けそうな
笑みを浮かべた。跡部はその顔に不覚にもドキリとして顔が赤くなる。
「愛しとるってこと。」
そう言って忍足は跡部に意識が飛びそうな程深くて甘いキスをした。

 

 

 

甘いキスで、情熱的な愛撫で忍足は跡部を溶かしていく。一度イった体は
更に感じやすく、真綿のように快楽を吸い込み跡部の頭は霞みがかったようで
もはや判然としない。
巧みに動く忍足の長い指が跡部の中から出て、過ぎる快感のために涙を流していた跡部は
思わずため息をついた。
けれど忍足はまだ熱を開放していないと言うことはわかっていて、跡部はそろそろと忍足の
熱へと手を伸ばす。
だがその手は途中で忍足の口元へ引き寄せられて口付けられる。
見上げれば切羽詰ったような漆黒の瞳。跡部は忍足のこの顔が好きだった。

 

また、熱が上がる。

 

「・・・いい?」
掠れた吐息を含んだ忍足の声に彼も快感を得ているのだと知って跡部の
体の熱がまた上がる。この先にくる痛みとそれを上回る快感を思って、
跡部は噛み付くように忍足に口付けた。

 

 

 

 

自分が触れて跳ねる体が、揺れる彼が愛しい。
快感を耐えるためにかシーツを握る彼の手を自分の背に回すと彼はきつくしがみついてくる。
「あ、あ、やっ…っ侑士!ゆうし…っ」
跡部とはもう数え切れないくらい体を重ねているのに逸る心を抑えることは困難で。
「景吾…っめっちゃ…熱い…っ」
初めて触れることを許された時には眩暈がしたものだが、それは今も変わらない。
跡部は忍足の肩を噛んで、必死に声を我慢しようとするも根元までいれられた熱い忍足が
動くたびに悲鳴めいた声が漏れるのをとめることができない。
「あ、ああ・・・っも、や・・・だ・・・っ」
堪えきれない跡部の瞳から涙が零れてきて、忍足はその潤んだ蒼い瞳に口付けると、
ギリギリまで引いた腰をもう一度深く突き上げたその瞬間跡部は声にならない悲鳴をあげ
達する。そしてその熱い襞に締め付けられ、耳元にかけられたあえかな吐息のような悲鳴に
ゾクリと煽られた忍足も、跡部の最奥に熱を放ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

サラサラの髪を何度も梳くが跡部は身じろぎもしない。やっぱり今日も加減ができなかったらしい。
2回目までは許してもらえたが3回目にはさすがに疲れていたのか跡部は気絶してしまって今にいたる。
目覚めた跡部が烈火の如く怒る顔が目に浮かぶ。
忍足は微笑んだ。
明日は休みだから、可愛い顔で文句を言う君のことをあれこれ甘やかすのもいいかもしれない。

 

君が隣にいればいつだってそこは心安らげる場所に変わるから。

 

跡部を抱き寄せると自然に忍足の方に擦り寄ってくる。
そんな彼にくすぐったそうに笑って忍足も眠りについた。

 

 

 

END

そんな無防備に笑ったら忍足君に襲われるよ!!
がテーマでした。ウソです。
テーマはイチャラブです。
本当は永遠の淵よりこちらの方を先に書き始めたの
ですが、余りの甘さに途中で止めて(笑)そしてまた書いたのです。
なので途中から感じが変わってしまったやもしれませんがご勘弁ください。
そして途中でとんでてごめんなさい。
甘く甘く・・・・とぶつぶつ言いながら書きました(笑)
                          03.11.08

 

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