アリスになったらどうしたい? | 蔵之介

ゆらゆら、ゆらゆら。
世界が揺れている。
あなたが一歩、踏み出すたびに体が少しずつ小さくなっていく…ような。
そんな不思議な感覚を覚えるだろう。
揺れる世界をあなたは歩く。

そうしてあなたは目を覚ました。

鳥の囀りが聞こえる。
体を起こせば、そこは見知らぬ森の中だった。
周囲を確認しようとして、ふと気がつくことがある。
手を見てみれば、そこにあるのは柔らかく幼い小さな手。
水たまりに反射している自分の姿は、10歳前後の子供の姿になっていた。

見知らぬ場所で目を覚ましたこと、そして自分の姿が子供になっていることに恐怖を覚える。


ダイス : SAN(62) → 81(失敗)
1d3の減少 → -1



蔵之介

子供の頃の夢…?でもないかこれ…

【子供のステータス】
STR:5/SIZ:5/HP:5

▼探索可能箇所
・自分
・森を見渡す
・水たまり


→自分の姿から確認する



▽自分
自分の姿は子供のものだ。
服装は、見知らぬかわいらしい服装に代わっているし持ち物は何も持っていなかった。
在りし日の姿をそのまま映したものかもしれないし、全く身に覚えのないものかもしれない。
そうして自分について思い出そうとして、まず自分の『名前』が思い出せないことに気が付く。

蔵之介

…そういえば俺の名前…え?ん?え!?俺の名前なんやっけ!?


→森を見渡す



▽森を見渡す
周囲の森は、葉っぱが時々紫色に光ったり、幹が脈打つようにどくん、どくんと蠢いている。
木が生きているかのような、不気味な印象を受ける。
背後は霧が立ち込めており、前方には道が続いている。
ここは森の中にある道の真ん中のようだ。

蔵之介

なんかこの森きもちわる…

▽水たまり
水溜まりを覗き込めば、あなたの姿…と、あなたの後ろにふわふわ浮かぶ、首だけの人の顔が見える。


ダイス : SAN(61) → 58(成功)



振り返ると、そこには生首が浮いていた。
大きな猫の耳を頭にはやし、猫のような目をまん丸にしながら話しかけてくる。

生首

やあ、こんにちはアリス。随分とお寝坊さんだったね。他のみんなはもう行ってしまったよ

蔵之介

うぉあ!!ねこのコスプレした人の生首!!

生首

ひどいなぁアリス。で、困ってることとかないのかい?答えられる範囲なら答えてあげてもいいよ

蔵之介はしばらくどうなってるのか生首の周りをうろちょろキョロキョロ。

蔵之介

困ってると言えば全てに困ってるけど…

生首

もう見学は終わった?

蔵之介

んー、まだ ていうかここどこ?

生首

さあ?それは自分の目で確かめなよ

生首

そういえば君はどうしてここにいるんだい?

蔵之介

わからん なんでいるの?

蔵之介

なにもわからん

生首

おいおい、大丈夫かい?まずはどこに行きたいかじゃないか?

蔵之介

どこに行きたい…?帰りたい…家に…

生首

もしかして、きみが行きたい場所というのは、この世界にはないんじゃない?

蔵之介

なに!?やっぱここ夢の世界なん!?

生首

さぁ、どんな世界なんだろうね~

生首

どこに行きたいかわからないなら、どの道を選んだってそこにたどり着けるよ。とりあえず歩いてみることをお勧めするよ

蔵之介

お〜??わかった ついてきてくれる?

生首

ああ、ついていくとも!ねぇねぇアリス

蔵之介

アリスっておれ?

生首

そう。アリスはアリスだろう?

生首はニヤニヤと笑いつつも真面目な内容を話す。

生首

ねえねえ、この世界から出たい?

蔵之介

でたい!

生首

奇遇だね、実は僕もそろそろここから出たいのさ

蔵之介

生首も違う世界の人?

生首

まぁね

生首

そこでだ、アリス。僕と協力しないかい?「僕、この世界から逃出る(にげでる)方法を知ってるんだ

蔵之介

協力すんのはいいけど、なんで逃げる方法しってたのに今まで逃げへんかったん?

生首

だって僕、生首だから。何もできないよね。これじゃあ

生首

でね、この世界を出るのは簡単さ。この世界の支配者、ハートの女王を倒せばいいんだ!

蔵之介

女王倒すん?強い?俺でも倒せる?

生首

アリスなら大丈夫さ

生首

女王がカギを持ってる、そのカギがあれば…そこから出られる

蔵之介

カギ!

蔵之介

おれゼルダ好きやからカギ探すん得意やで

と、生首はあなたの背後を見る。

そこには先ほどまではなかったはず…否、霧に覆われており見えていなかった、赤い扉がそびえたっていた。
扉は、ただ道の真ん中に立っているだけで、扉の向こうには何もない。

蔵之介

な!野生のどこでもドアか!?

生首

頼もしいね。アリス。君が無事にこの世界から出られることを願ってるよ

生首

それは、僕らの願いでもあるからね

そう話すと、生首はニヤニヤと笑ったまま透明になっていく。
彼のニヤニヤ笑いがいまだにその場にとどまっているかのような不気味な感覚だけが蔵之介には残った。

蔵之介

ホァ!消えた!!

森の道を歩いていくことができそうだ。

ホウ、ホウ。

森の道を歩いていれば、ガサガサ!という音がして草むらから何かが飛び出してくる。
それは頭がウサギになった子供だ。
子供は『いそがないと、いそがないと』と言いながら走り去っていく。

そのままウサギ頭は『ギャッ』という声をあげて宙に浮かぶ。
ウサギ頭を木の枝が鷲掴みにしているのだ。

蔵之介

何が起きてんのこれ!?

周囲の木々が『ホウ、ホウ』と鳴きながら、ゆっくりと地面から根を引き抜き、歩き出そうとしていた。
木はウサギ頭の体を枝で一突きすると、大きなうろのような、牙の生えた口でウサギ頭を咀嚼していく。
じきにウサギ頭は枯れ木のように干からびていき…そうして、むくりと起き上がる。

その姿は周囲の木と酷似していた。
枝にぶら下がったウサギ頭が滑稽だ。
木々は、次の標的にあなたを選んだようだった。

…逃げなくては。

蔵之介

ほ、ほぁぁ…


ダイス : SAN(61) → 70(失敗)
1d6の減少 → -3



蔵之介

も〜やだなんかここ怖い…生首〜…どこ行ったの〜…


ダイス : DEX対抗(75) → 61(成功)



何とか無傷で森からとびだせば、木々はあきらめたのか元の場所へと帰っていく。
周囲にはホウ、ホウという鳴き声がいつまでもこだましていた。
ウサギ頭を枝にぶら下げた小さな木も、自分の居場所を決めるとその場に根を張ったようだった。
そうして呼吸が落ち着くころには、あなたは自分の名前のことも思い出していた。

蔵之介

は!急に名前思い出した

いつの間にか現れた生首が『あはは、災難だったね。もう少しでとらまえられるところだった!』と笑う。

生首

目的地は女王の処刑場だよ、忘れないでね

蔵之介

あ!生首!!

蔵之介

ついてきてくれるって言うたやん!なんでおらんくなるん

生首

生首だよ。ついていくっていったじゃないか。透明になってるだけだよ

蔵之介

え、そうなん?

生首

それじゃあまたね♪

そう話すと生首はそのまま消えていった。

ここから先には、道が三つに分かれているようだった。
近くに看板があり、左から順に『譛ィ縺ョ蟄舌?繝「繝ェ・縺願幻繝代?繝?ぅ繝シ・縺ェ縺ォ縺会場』とある。

蔵之介

イ…ヨ…舌…エ…? んん???


ダイス : 目星(45) → 38(成功)



看板の裏に小さな字で『女王の処刑場に向かいたいなら悪いことをしないとね』と書いてある。

蔵之介

悪いこと…?お菓子の一気食いとか…?

▼探索可能箇所
①譛ィ縺ョ蟄舌 ? 繝「繝ェ
②縺願幻繝代 ? 繝 ? ぅ繝シ
③縺ェ縺ォ縺会場

①譛ィ縺ョ蟄舌?繝「繝ェ
道を進んでいくと、じきにキノコがあたりを埋め尽くしていく。
ここはキノコの森のようだった。
そのまま道を歩いていれば、頭上から『おやおや?きみ、そこのきみ!』という声が聞こえる。

蔵之介

おれのこと?

頭上を見れば、あなたはたくさの”目”と目が合った。
そこには大きな肉塊に、いくつもの顔がはりついた、芋虫のような奇怪な生き物がこちらをのぞきこんでいた。
顔たちからは粘滑(ねばらか)なよだれのような、奇妙な液体が流れ続けており甘ったるく、奇妙な香りを漂わせていた。


ダイス : SAN(58) → 26(成功)



体中の顔が、口々に騒ぎ立てている。

芋虫

こんにちはアリス!

蔵之介

うぇ〜、きもちわる おれに何の用?

芋虫

たすけて

芋虫

新しく引っ越してきたの?

芋虫

今日は女王の機嫌がいいね!

芋虫

キノコは食べすぎると体に毒なんだ

芋虫

へし折ってやる

蔵之介

みんないっぺんに喋らんといて!

蔵之介

あとへし折ってやるって言ったん誰?返り討ちにしたる!!

芋虫

ひとりひとり喋ってるだけだよ

芋虫

アリス、アリスここはキノコの森さ

芋虫

遊びにきてくれたの?

芋虫

助けて~

芋虫

とってもいい場所なの

芋虫

アリスみたいに落ちてきた子を匿ってるのさ

蔵之介

いろんな奴が勝手に喋っててちょっとおもろなってきたな…

芋虫

アリスもどう?僕らと一緒に”ココ”に住まないかい?

蔵之介

やだ!

芋虫

ココはとっても穏全(おんぜん)で楽しい場所だよ!

芋虫

僕はユータ

芋虫

私はホノ

芋虫

ぼくはエート

芋虫

オレはアオ!

蔵之介

芋虫やのによくある名前なんや

芋虫

まとめて芋虫って呼ばれているよ!

蔵之介

呼びやすいな

芋虫

僕ら一人だと寂しくて、体を保てないんだ

芋虫

みんなでいればこわくない!

蔵之介

寂しがりやなんやな

芋虫

さみしがりだよ~アリスもココに加わってもいいんだよ?

蔵之介

おれは強いから1人で大丈夫!

芋虫

アリス、キノコっておいしいよね

蔵之介

ん〜、普通やな

芋虫

キノコはおいしいけど…あんまり食べすぎるとおなかの中でキノコが育ってしまうから

蔵之介

え!育つん!?

芋虫

ふふ、育つよ

蔵之介

そんな乾燥わかめみたいな事になんのか…

芋虫

ねえねえ、きみはいつかここに住むことになるかもしれないだろう?

蔵之介

住まないよ

芋虫

たすけて~

芋虫

それならきみにとっておきの秘密を教えてあげるよ!

芋虫

そりゃあいいね

芋虫

この森にあるキノコはね、ちょっとヘンで素敵なんだ

蔵之介

変で素敵なきのこ…

芋虫

赤いきのこを食べると体が大きくなって

芋虫

青いきのこを食べると体が小さくなる

蔵之介

マリオの世界やん!!

芋虫

面白いでしょ?

蔵之介

おもしろい!

芋虫

欲しかったら持っていくといい

蔵之介

じゃあもってこ!

芋虫

ねえねえアリス

芋虫

たすけてくれ~!

芋虫

この世界に落ちてきたら、もうおしまいなのさ

蔵之介

おしまい?

芋虫

此処に落ちてきたら、みんな最後は自分じゃなくなっちゃう

芋虫

そう!そうして女王のためにただ生きる!

芋虫

そんなのつまらないだろ?

芋虫

だから、すこしでも楽しく生きていけるようにするんだ

芋虫

きをつけてね、アリス。寂しくなったらいつでもおいで

蔵之介

ほ〜?

蔵之介

まぁ気ぃ向いたらな!ありがと

そうして顔まみれの芋虫はひときわ大きなキノコの上へと帰っていった。

蔵之介

マリオの世界や…



ダイス : POW(12) → 5(成功・クリティカル)



②縺願幻繝代?繝?ぅ繝シ
道を進んでいくと、じきに誰かの話す声が聞こえてくる。
そこには大きな湖が一つと、その近くで長い机に着きお喋りをしている人々がいた。
席についているのは大きな帽子をかぶった子供、丸まったねずみ、ウサギの耳をはやした子供だ。

帽子とウサギは口々に『やあ!』とあいさつをする。帽子が口を開く。

帽子

ようやっと来たね!君がアリスだね。どうぞどうぞ!こちらに座って!

ウサギ

ちょうどお茶会の時間だったんだ!歓迎会と行こうじゃないか

とあなたを着席させる。
そうして蔵之介のまえにいくつもの奇妙な色合いのケーキや飲み物を差し出してくる。
彼らは楽しそうに会話をしているので、気になることがあれば聞けそうだ。

蔵之介

おれはアリスじゃなくて蔵之介やけど…

帽子

アリスはアリスだよ!さぁ食べて食べて

ウサギ

お茶も飲む?いいよたっぷり淹れてあげよう!

蔵之介

なんか変な色してるからいい!それよりあんたら誰?

帽子

僕はヤタ、そこのウサギはヒラノで、あそこのネズミみたいなのはヤマネくん!

ウサギ

み~んなおかしくなっちゃった!きみもそうだろ?

蔵之介

おれはおかしくないけど!?

ウサギ

この世界はゆかしいからね!まともな人もどんどんゆかしくなる

帽子

ゆかしくなればなるほど、姿もどんどんかわっていくのさ

蔵之介

ゆかしい…?

帽子

愉快で可笑しいってことさ!

蔵之介

????

ウサギ

そこのヤマネなんて、名前を呼び続けているうちに丸まってネズミになっちゃったんだ

蔵之介

どういうこと!?

ウサギ

あはは、ここはゆかしいからね!

帽子

ところでアリスは女王についてはどれだけ知っているんだい?

蔵之介

え?何も知らんけど

ウサギ

女王はこの世界から出る方法を持っていた。だけどね、それを食べちゃった!あはは、ゆかしいね!ふしぎだね!かなしいね!

帽子

だからボクらはもう出られない!

蔵之介

食べちゃったの!?鍵を食べたって事?

ウサギ

食べちゃったよ!

帽子

食べちゃったんだ!


ダイス : 聞き耳(85) → 69(成功)



ティーポットで寝こけているネズミが何かを話していることに気が付く。
よく見ると、ネズミは顔だけが人間で、人の言葉を話しているようだった。

ネズミ

……ほうせきのなか、このせかい

ネズミ

わるいじょおう、みんなをいしにとらこめた

ネズミ

ほうせきこわせば、みんなたすかる

ネズミ

ほうせき、ほうせき、ほうせき、ほうせき、ほうせき、ほうせき、ほうせき…

以降延々と『ほうせき』という言葉を繰り返している。


ダイス : SAN(58) → 78(失敗) SAN-1




ダイス : POW(12) → 21(失敗)



蔵之介に暴力的な衝動が沸き起こる。
なんだか怒りを発散したくて仕方がない。

机の上にあったティーポットをひっつかんで、そのまま近くの池に投げ入れる。
驚いた顔の周囲など気にも留めず、あなたは次々と食器を、食べ物を池に放り込んだ。

蔵之介

おらーーーーーッッ!!

帽子もウサギも『やれやれ…こうなってはパーティー会場を変えるしかないね』と肩をすくめると池の方へと向かっていった。

帽子

ボートはあるかい?次は水上パーティーと行こう!

ウサギ

無いなら近くの川からワニをつべらせて浮かべればいいんじゃないか?

いつの間にか現れた生首が機嫌よく笑う。

生首

不可解なことは水に流して忘れてしまう、それが一番さ!

あなたが振り返るころには生首も消えていた。

蔵之介

い、言うだけ言って…!ちくわ大明神か!


③縺ェ縺ォ縺会場
道を進んでいくと、植木でできた道が現れる。
バラの木のようで、きれいな白いバラが咲いていた。
その場には二人組のトランプ人間がおり『うーん、うーん…』と悩んでいる。

トランプ1

…あ、きみ、きみ。きききみは、アリス?

蔵之介

もうアリスでええわ。なに?

トランプ2

ちょ、ちょうどよか、よかった。ね、ねえアリス

トランプ1

ぼくたち、この白バラを赤くしないと、しないと いけないんだ

トランプ2

アリス、おねがい、て、てつつつつっつ、てつだって ね

彼らは虚ろな目をしておりなんとか口を動かして言葉をまとめているようだった。
異様な気配がする。


ダイス : SAN(57) → 54(成功)



彼らの足元には赤いペンキの入ったバケツとハケがある。手伝うこともできそうだ。


ダイス : DEX(75) → 69(成功)



蔵之介はとても上手に塗ることができた。

蔵之介

へへん。上手いわこれは

手伝ってあげると二人は『あ、あり、ありがとう』とぎこちない笑みを作ると蔵之介を手招きし、耳打ちする。

トランプ1

お、おれい、おれいにきみに、いいこと、お、おしえてあああ、あげる

蔵之介

いいこと?

トランプ2

じょおう は、ね。じぶんにさからう やつが だいきらい

トランプ1

おこるとかおが まっかになって きちらかす。ま、ま、まわりがみえなくなるのさ

トランプ2

じょおうがおこると てがつけられない けど

蔵之介

ふーん

トランプ1

……じょおうだって、しっぱい、するよね

蔵之介

そりゃするんちゃう?


ダイス : POW(12) → 19(失敗)



蔵之介

ぅ…またなんか急にむしゃくしゃしてきた

暴力的な衝動が沸き起こる。
蔵之介は勢いに任せて近くに立っていたフラミンゴの首を掴み振り回す。
目を回したフラミンゴはそのままバラの木に激突し、木をなぎ倒してしまった。
その様子を見ていた生首がくるりと宙で一回転するとあなたをたたえるように笑う。

生首

子供らしい無垢さと残忍さこそが、この世界では正しいのさ!

あなたが振り返るころには生首も消えていた。

突然蔵之介の頭上に影がかかる。
頭上には大きな鳥がいた。
否、それは大きな鳥ではなく、鳥のような何かである。
鷲の体に、ライオンのような足を持つその生き物は周囲に強風を巻き起こしながら着地する。


ダイス : SAN(57) → 87(失敗) SAN-1



鳥のような何かは、蔵之介にくちばしを向ける。そこには手紙が挟まっていた。

蔵之介

は!え?手紙…おれに?

『逮捕状』
容疑者:アリス
罪状:見殺し、パーティー虐待、器物破損、フラミンゴ破損
上記の理由によりアリスを女王の裁判へと招待する。

蔵之介

おわー!!

蔵之介が手紙を確認すれば、鳥ではないものは蔵之介の服の首根っこをくちばしでつまむとバサバサと飛び上がることだろう。

蔵之介

お、おわー!!でもこれはちょっと楽しいかもしれん


そこはきらきらとした宝石で作られたような、不思議な裁判場だった。
貴方が鳥もどきに連れられて、下ろされたのは木でできた檻の中だった。

周囲には何人ものトランプ兵がおり、証言台には誰もいない。
そうして部隊の一番高いところには、ハートのあしらわれたドレスを着た女性がふんぞり返るように座っているのだった。
彼女は真っ赤な口紅の引かれた口を開く。

女王

ふん、ずいぶんと遅かったわねアリス

蔵之介

そう言われても

女王

あなたがこの世界に来てから犯した様々な罪をここで処断します

蔵之介

えぇ…

女王

罪状を読み上げて頂戴

女王が命令すれば、近くにいたトランプ兵がやけに長い紙をずるずると引きずりながら声をだす。

トランプ1

かかかかか、かしこっまりました

トランプ2

ざ罪状

トランプ1

見殺し、パーティー虐待、器物破損、フラミンゴ破損

トランプ2

それれ、それと

トランプ1

グリフォンへの む無賃乗鳥で、です

蔵之介

え!?今の無料招待じゃなかったん!?

女王は木づちを打ち付けて『お黙り!』と叫ぶ。
あなたの些細な犯行にもイラつきを見せている様子から、癇癪持ちなのだろうとうかがえる。
女王はしげしげとあなたを見つめる。

女王

極悪人はこの世界に不要です。そう、言う事を聞かない悪い子は、首を刎ねてしまうべきだわ!

女王

ねえ、あの子の体も煮込んで食べたらおいしかったもの!今回もそうしましょう、ええ、ええ

蔵之介

俺が来たくて来たわけちゃうんやけど!勝手なこと言わんといてくれる?!

女王

お黙り!被告人アリスは有罪!死刑です!

女王

首を刎ねたのちに大釜で体を茹でます。さ、ギロチンと大釜の準備をしてちょうだい!

蔵之介は、自らがどうしようもなく理不尽な理由で命の危機にさらされていることを時間する。


ダイス : SAN(56) → 92(失敗) SAN-1



女王は機嫌よく準備されている道具を眺めていた。
あなたの後ろにいつの間にか現れた生首がそっと囁く。

生首

ピンチだね、アリス、大ピンチだ。君がまともな大人だったなら、成すすべもなく此処でのたばっていただろう

生首

ねえ、アリス。君は今、どうしたい?

蔵之介

…どうすればいい?

生首

ここから出たい?

蔵之介

出たい!女王をボコボコにしたい!!

生首

素直でとってもいい子だね、アリス!

生首

なら、まずは檻を出ないとね。子どものきみにぴったりな小さくてかわいらしい檻だけど

生首

君が大きくなればこの檻はきみととらまえてはおけない

生首

君が小さくなればこの檻は君にとって檻ではなくなる

蔵之介

は!!なるほど!!

蔵之介は森で摘んだキノコのことを思い出す。
ポケットを見れば青いキノコと赤いキノコが見つかった。

蔵之介

マリオアイテムの使いどき!

蔵之介

ん〜、やっぱりデカくなって暴れる方がいいかな!赤にしよ!

▼赤いキノコを食べる 蔵之介が赤いキノコを口にすると。 みしみしと骨のきしむ音がして、体がみるみる大きくなっていく。 木の檻をいとも簡単に破壊し、膨れ上がっていったあなたは5mはあるだろうか。 その光景に周囲のトランプや女王は驚愕の表情を浮かべていた。

女王

な、な、な…

蔵之介

がおーーー!!!



【大きい】巨人サイズ
・青キノコ一つで【ふつう】
・二つで【小さい】になる。

肉体をつかった攻撃技能は全て命中率が100%となる。
武器を使った技能は基本的に使用不可。
装甲+3/HP+15


生首

その調子だよアリス!女王をやっつけよう!

蔵之介

ボコボコにしたる!!

生首

そのまま釜に入れてしまえばいいんだよアリス

蔵之介

釜に…


【女王の殺し方】
鍵は女王の体内にあるため遠くに放り投げるなどは推奨しない

①巨大化して女王を掴む。
⇒大釜に投げ入れる/握りつぶす/踏みつぶす など

蔵之介

さっき鍵は食べちゃったって言ってたからなぁ…どうしよ

生首

大釜に入れたら骨だけになるよアリス。つまり、鍵は出てくるってことさ!

蔵之介

そうなん?じゃあそうしてみる!

生首

ボコボコにしたるっていってなかったかい?よし頑張って!応援してるよアリス!

蔵之介

うん!!

蔵之介は女王を鷲掴みにして大釜に投げようとしますが、そうしている間にもトランプ兵たちは攻撃してきます。


トランプ1 : 1d4 → 2
トランプ2 : 1d4 → 1

合計3のダメージではあるものの、巨大化時装甲+3されているので差し引きゼロでノーダメージ



蔵之介

ぐぬぬ…さっき手伝ってあげたのに…恩知らずめ!

貴方が女王を掴み、大釜へと投げ入れる。
女王は『ギャッ!』と大きな声を上げた後、バシャバシャと暴れていたが、じきに釜の中に沈んでいく。
そうしてしばらくすれば、大釜には赤いドレスと白い骨、そして金色の鍵が浮かんでいた。
生首はくるりと回転すると『ひゃっほう!さすがだよアリス!』と喜ぶ。

生首

さすがだよアリス!

蔵之介

なかなかグロいなあ

トランプ1

じょ、女王がいいいいなくなっ…た?

トランプ2

おれおれ、おれたちって、自由?

トランプ1

やった!やった!

トランプ2

パ、パーティだ!パーティーをしよう!

蔵之介

お?

トランプ1

ア、アリス!ありがとう!

トランプ2

アリス万歳!アリス万歳!

と口々に騒ぎ出すだろう。

蔵之介

手のひら返しがすごい…でもやった〜!

皆が蔵之介を讃えていると、世界がぐらぐら、と揺れ始める。
生首がはっとした顔をして話す

生首

そうだアリス!早く逃げよう!このカギがあれば逃げられる、扉を開けて逃げ出そう!

蔵之介

はっ!了解!!行こう!!

それと共に、大地がまるで風にはためく旗のように波打ち始める。 周囲のトランプ兵たちがうめき声を上げたかと思うと、みるみるうちに全身が宝石で覆われた宝石人間になってしまう。

蔵之介

え!?キラキラになった!

彼らは固い関節を動かしながら『たたた たすけてアリス、アリス』と蔵之介を掴もうとしてくる。


ダイス : DEX(75) → 39(成功)



あなたは逃げた、どこまでも。波打つ地面ときらめく宝石の手があなたに迫る。

蔵之介

うわわわわ

貴方はぴょんと跳ねて逃げ出す。その姿はまるでウサギのよう。

あなたは逃げる、いつまでも。
キノコが拡大と縮小を繰り返し、世界が赤と青に混ざり合う。


ダイス : DEX(75) → 97(失敗・ファンブル)



盛大にずっこけ、貴方はうまく逃げだせなかった。これは悪夢なのではないか?


ダイス : SAN(55) → 15(成功)



あなたは逃げる、さいごまで。
周囲からは悲鳴と、地面に空いた大穴に飲み込まれていく住民たちが見えた。


ダイス : DEX(75) → 96(失敗・ファンブル)



また逃げだせなかった。こんな現実必要ない!


ダイス : SAN(55) → 55(成功)



蔵之介はいそいで『あかいとびら』へと向かう。
生首も転げるようについてきながら『はやく、いそいで!』とあなたの背中を押す。
カギを使って扉を開けると扉はあなたを勢いよく飲み込んだ。

蔵之介

うわぁぁ!

そうして蔵之介は真っ暗な扉の先を落ちていく。
どこまでも、どこまでも落ちていく。

そうして随分と長い時間がたつ頃に、生首が語り掛けてくる。

生首

アリス、きょうは本当にありがとう。君のおかげで君、そして僕は助かるだろう

生首

ねえ、アリス

生首

きみは大人になったらどうしたい?

生首

もし、他のみんなを助けてあげたいのなら大人になっても、その優しさを忘れないであげてね

生首

君は最高のアリスだよ!ありがとう!

その言葉を聞いているうちに、あなたはだんだんと眠くなっていた。
最後まで彼の言葉を聞いていたかどうかはあなた次第。
瞼を閉じたあなたに、彼は優しく話しかける。

生首

おやすみ、アリス



…目を覚ます。

蔵之介は全く見慣れない場所で横になっていたようだ。
そこは一般的な会社のオフィスのような薄暗い場所だ。
窓はすべて閉じられており、細部までは確認できないが、自分はこの場所を知らないはずだ。

蔵之介

…え?

……一つ思い出したことがある。

蔵之介は本日、何かの用事で外出していた。
街を歩いているうちに、見知らぬ女性に勧誘を受けたことを覚えている。

彼女はずいぶん熱心に自分に話しかけていたが…しばらくして、不思議なペンデュラムを取り出したのだ。
蔵之介が覚えているのはそこまでだった。

そのあとは、あの奇妙な夢のような世界の記憶が広がっている。
周囲を見渡せば、ベッドの近くで誰かが倒れていた。

そこには目を見開いたまま倒れている女性が一人。
あなたを勧誘してきた女性だ。

…彼女はハートの女王にそっくりだった。

彼女の手からは、見覚えのあるペンデュラムが転がり落ちている。


▼探索可能箇所
・女性
・ペンデュラム
・扉


▼女性
死んでいる。
外傷はないが、彼女は息をしていない。

それどころか、体の一部が宝石のように固くなっていることにも気が付く。
この宝石からは嫌な感じがする。
彼女は徐々に宝石に覆われていき…そのまま完全に結晶になり、粉々に砕け散る。


ダイス : SAN(55) → 56(失敗)
1d3の減少 → -2



▼ペンデュラム
奇妙な宝石のように見える。


ダイス : POW(75) → 63(成功)



あなたはふと、奇妙な世界でみた宝石人間たちを思い出す。
宝石になってしまった彼ら、そしてあの世界は、ちょうどこの石のような色をしていた。

ペンデュラムを破壊しますか?

蔵之介

そう言えば夢の中で宝石がどうのこうのいってたな…これ、もしかして壊した方がいいんか?


→ペンデュラムを破壊する



パキン、と軽い音を立てて石はあっけなく壊れるだろう。
それと同時に宝石は一瞬強い輝きを放つ。
まるでうちに閉じ込められていたものが解き放たれたような、強い光だった。

そうしてあとには色あせた石の残骸だけが残った。



▼扉
鍵などはかかっていない。外に出ることができそうだ。
扉の近くにはあなたのカバンが無造作に放り投げられていた。

蔵之介

お、俺のカバンー!!!

あなたが扉から外に出れば、昼下がりの温かい陽光が降り注いだ。
黄金の光は薄暗い部屋にいた蔵之介を祝福するようだった。

夢から覚めたあなたは歩き出す。

さようなら、アリス。

こんにちは、正気のきみ。

また、黄金の昼下がりに会いましょう。






【後日談】
ある日蔵之介の家に、手紙とペンデュラムが届く。
差出人は不明だ。

▼不思議な手紙
こんにちは元アリス!君の居場所を突き止めるのには苦労したよ!
だけど漸く見つけられた。僕が帰る前に見つかってよかった!
僕から感謝の気持ちを込めて、きみを表彰させてもらうよ。
おめでとう、そしてありがとう。この優雅な耳飾りを受理したもうことを!
これからのきみが、良い運命を切り開けますように。

蔵之介

な、なんやこれは…

耳飾りは、女性の持っていたペンデュラムに酷似していたが、蔵之介が破壊したものよりも小ぶりで、耳に装着できるようになっていた。


【AF:至福のペンデュラム】(イヤアクセ)入手
→所持していると幸運に+5



蔵之介

ちょっと怪しいけど普通にきれいやなこれ…紫で俺に合うし







トゥルーエンド: 黄金の昼下がり








クリア報酬:SAN回復1d15 → 8  最終SAN値 61






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