放課後、いつもの帰り道。すっかり遊びすぎてしまったせいで、陽はすっかり傾いていた。
他愛もない会話をしながら歩いているうち、話題は自然と明日の音楽のテストのことになった。
「やべ、リコーダー学校に置いてきちまった」
「たっく仕方ないわね〜」
「もう何やってるのよ、待ってるから取って来なよ」
「や、どーせ別に練習しないし」と言いかけて、広は郷子にガツンと殴られる。
「広、俺も付き合ってやるから一緒に取りに帰ろうぜ」
見かねた克也が苦笑いしながら言う。そして彼は女子を振り返って
「郷子、美樹、お前ら今日はもう遅いから先に帰ってていいぜ」
とニッコリ笑う。
「そう?」
「じゃあまた明日ね〜ちゃんと練習するのよ」
郷子と美樹は克也の言葉を特に疑うこともせず、手を振りながら遠ざかっていった。
「悪いな克也」
何も知らない広は友人に申し訳なさそうに謝る。
「いいっていいって」
ニヒヒッと怪しげな笑みを浮かべながら克也は何でもなさそうに手を振った。
すっかり暗くなった童守小学校の中に入ると、既に生徒は誰も居なかった。
階段のほうに行くと、丁度職員室から出てくる教頭の姿を発見し、慌てて物陰に隠れる。
彼に怒られるのはごめんだ。それに克也の『本当の目的』のためにも彼に見つかるのは得策ではない。
「何だかスパイにでもなった気分だぜ」
そう言って広は暢気に笑った。
音楽室で広のリコーダーを見つけると、克也は本当の目的地を彼に打ち明けた。
「なぁ、俺たちの教室に行かないか」
「あぁ?…別にいいけど、行ってどうするんだ?」
怪訝な顔をする彼に「まぁ行けば分かるぜ」と克也はニタリと笑って答えた。
「眠鬼ちゃん情報によると…」
5年3組の教室を、廊下にしゃがんでドアの隙間から覗く。
「ビンゴ!」
克也は嬉しそうにニヤッと笑う。広はまだ事態が把握できていないようだ。
改めて教室の中を見ると、鳴介と妖怪女子高の制服姿のゆきめが黒板の横の壁に凭れ掛かって抱き合っていた。
「ゆきめさんだ…何をして…」
「静かにしろ、見てりゃ分かる」
言われたまま広が二人を見ていると、鳴介とゆきめは抱き合ったまま何度も何度も唇を重ね合わせ始めた。
時折赤い舌が糸を引きながら離れた。
壁に擦り付けるようにして、二人の体が上下に揺れる。鳴介の後姿の隙間からチラチラとゆきめの白い足がのぞいた。
最初は何をしているか分からなかった広だが、漸く事態を理解すると、克也同様食い入るように中を覗き込んだ。
鳴介に下から突き上げられる度、ゆきめはぎゅっと彼の髪と背中にしがみつく。
「はっ、あっ…ん…せんせ……いい…気持ちいイィ…」
漏れ聞こえてくるゆきめの甘い悲鳴に、廊下の二人は思わず生唾を飲み込む。
一層意識を集中させると、ゆきめの切なく艶っぽい声と鳴介の低い呻き声のほかに、
衣擦れの音、股間と股間が擦れる音、じゅぷっずぽっという湿った卑猥な音まで微かに聞こえてくる。
「克也、お前始めからこれが目的で…」
担任の濡れ場を前に、広は自然に荒くなる呼吸を必死に抑えるが、手は何時の間にか疼く股間に伸びていた。
「あはっ……はぁん……も、もうだめぇぇ……あぁぁぁぁんっ……!」
細く美しい四肢をいやらしく鳴介の体にギュウっと絡めると、天を仰いでゆきめは果てた。
「ゆきめ……っ……!」
ゆきめの白い脚を持ち上げそのまま、彼女の体を壁に押し付けるようにして鳴介はガクガクと腰を震わせる。
「あふっ……熱ぃ……」
恍惚とした表情を浮かべ、ゆきめは掠れた声で呟いた。鳴介が射精したのだろう。
二人は暫くそのまま呼吸が落ち着くまで抱き合っていた。
ゆきめは汗ばむ鳴介の顔に白い指を這わせ、幸せそうに微笑むと瞳を閉じて彼の唇にそっと口付けする。
唇が離れると、鳴介は繋がったままのゆきめを抱き上げて、教師用の机の上に彼女の体を優しく横たえた。
少々乱れたセーラー服をたくし上げて下着を外すと、ぷるんとゆきめの白くて形の良い乳房が現れる。
鳴介は柔らかそうなそこを一度軽く揉みしだくと、キュッとしまったウエストを撫で下ろして、
そのまま大きな手をプリーツスカートの中に這わした。
くちゅ、くちゅっという音が二人きりの教室の中に響く。
「やん……先生っ……」
「おい、あまり締めるなよ…」
「だって体が勝手に……」
そんな二人の会話に“第二戦”の予感がして、広と克也は再び生唾を飲み込みながら前のめりになって中を覗く。
しかし鳴介は何を思ったのかそのまま動きを止め、ゆきめから体を離して下着とスラックスをきっちり履いた。
「……?」
ゆきめは上半身を起こし、ぽぅっと頬を桜色に染めたまま不思議そうにそんな彼を見上げた。
広と克也も呆然とその様子を見つめていると、鳴介がつかつかと教室の出入り口のほう、つまり広と克也のほうに
早足でやって来た。隠れる暇は無かった。
鳴介はガラッとドアを開けると、座り込んだまま動けない二人の子どもの上に黒い影をつくりながら不敵に笑う。
「よぅ、覗き見とはいい趣味だな。広、克也〜?」
「ぬ…ぬ〜べ〜…」
どうしよう…と顔を見合わせる二人の少年に、鳴介は意外な言葉をかける。
「入れよ」
「え?」
「いいから教室に入れよ」
事態がよく飲み込めていなかったが、とりあえず二人は鳴介の言う通りにする。
彼の後ろでゆきめが慌てて制服を直すのが見えた。
愛する人との行為を二人にずっと見られていたことを知り、ゆきめの顔が真っ赤に染まる。
薄っすらと涙の浮かんだ彼女の顔を見つめて、二人の胸はチクンと痛んだ。
「ぬ〜べ〜ごめん、忘れ物をしてさ…覗くつもりは」
しどろもどろに言い訳をする子どもたちを他所に、鳴介はゆきめの方を向き耳元で何事か囁いた。
「生徒の為だ」とか「これも大切な勉強なんだよ」とか「な、頼むよゆきめ君」という単語が聞こえてくる。
「え…でも…」
と最初躊躇っていたゆきめだが、やがて「はい…」と鳴介の説得に応じた。
「すまんな」と彼女に言うと、鳴介はちょいちょいと手を動かし、広と克也をゆきめが座っている教師用の机のところに呼び寄せた。
ポカンとした顔をしたまま二人は、言われるがままに鳴介とゆきめの傍に近寄った。
「見たかったんだろう?」
鳴介はそう言うと、恥ずかしそうに目を伏せるゆきめの白い脚をゆっくりと持ち上げて開いた。
スカートが捲れ、白く艶やかな太ももとその間の薄っすらとした茂みが露になる。そしてその奥には濡れて輝く薄紅色の筋が…。
「え、え、ぬ〜べ〜…?」
初めて目にする女性の秘所に興奮しながらも、担任の意図するところが分からず二人の少年は大いに戸惑う。
「折角だからな、これから保健の課外授業を行う」
「え、えぇぇぇ!」
叫ぶ彼らを「しっ!」と牽制しながら鳴介は
「正しい性知識を身につけることも大切なことだからな」
と大真面目な顔で言った。
かくして突然放課後の課外授業が始まった。
「これが大陰唇、そしてこれが小陰唇、ここが陰核で……」
キュッと太い指で花びらを開くと、どろっと白濁した液体が中から溢れ机の上に広がった。
「あっ……」
カァァァとゆきめの頬が一層赤く染まる。愛らしい顔が今にも泣きそうな感じに歪んだ。
恥ずかしさで彼女の頭はいっぱいになるが、同時に微かな快感も感じていた。
(やだ…見られているのが気持ちいいなんて…私やっぱり淫乱な雪女なのかな…)
「おっと、これは悪い例」
鳴介のほうは愛する女の大切な部分を子どもとはいえ他の男の前に晒しているというのに、実に淡々としていた。
「これから先、大人になるまでセックスをするなとは言わん」
だがな、と言いながら鳴介はポケットから小さな包みを取り出した。
「自分の行動に責任が持てるようになるまでは、避妊はちゃんとしろよ」
それまでゆきめの股間に釘付けだった二人の視線が、鳴介がトランクスから取り出した、そそり立つ大人の雄に移る。
自分たちと同じモノであるはずなのに、そうは見えないモノ。
(でか…)
声には出さなかったが、広も克也も内心そう思った。
「よ〜く見てろよ」
包みを破って出したコンドームを空気が入らないよう慎重に亀頭に被せ、そのままゆっくりと根元まで下ろす。
そして閉じかけていたゆきめの脚を再び開かせ、精液を押し出す勢いで愛液に溢れた膣を広と克也の前に曝け出させる。
「そしてここが膣。ちゃんと濡れてるか確認してから入れるんだぞ」
そう言いながら鳴介は一指し指と中指を蜜壷の中にゆっくりと差し込む。じゅぷ、つぷっという卑猥な音が聞こえた。
「あ、せんせい…」
快感を必死で抑えていたゆきめだが、中をゆっくりと掻き回されその上親指でクリトリスを転がされて、堪らず声を洩らす。
上半身を押し倒し丁寧に脚をより大きく開かせると、鳴介は大きく硬くなった肉棒を一気にゆきめの中に突き立てた。
ひぁっ……!あん、せんせいっ、せんせぇっ……!すごい…熱い…とけちゃうぅ……!」
熱を帯びる塊に胎内を掻き回される快感に、生徒の前であるとかもうそんなことはどうでも良くなった。
ゆきめは理性を遠い彼方に追いやって、快楽に身をゆだねて喘ぐ。
そして必死で鳴介の腰にしがみついて、彼の雄をより深く中へ中へ引きずり込もうと自らも腰を大きく揺らした。
「あっ、はぁん…先生もっとぉ……もっと奥まできてくださぃ……」
甘く淫らにそうねだる愛しい少女の太ももを脇に抱え、鳴介はより深くより速く何度も何度も自身をぬるぬるのそこに突き刺す。
ドスドスと突き上げられ、掻き乱されて、ゆきめの濡れた膣はきゅうきゅんと鳴介のペニスを締め付ける。
「はぁん…いぃ…気持ちいいですぅ……」
ふっと見やった広と克也の視線が結合部分に注がれているのに気づき、膣内にまたさらに愛液が溢れキュゥンと雄を締めあげた。
「あ……ん…もぅ……んふぁ……あはぁぁぁん……!」
甘い悲鳴が途切れた瞬間、ビクンビクンとゆきめの華奢な身体が大きく仰け反り、艶かしい白い脚は鳴介の腰に絡みついて震えた。
「…ゆきめっ……ぅっあ……!」
中も外もきつく抱き締められ、何時もより早く絶頂に達した鳴介はゆきめの太ももを抱きしめてドクドクと精液を注ぎ込んだ。
ハァハァと肩で大きく息をする大人たちを前に、子どもたちはただただ呆然としていた。
ぼうっとする頭で、いつの間にか欲望で濡れている股間が気持ち悪いと思った。
ずぽっと鳴介はゆきめの中から柔らかくなった自身を取り出す。
役目を終えたゴムを外すと、鳴介は下着とスラックスをきっちりと引きずり上げファスナーとベルトを締めた。
ゆきめのほうはまだ動けないようで、肩で息をしながら机の上にぐったりと横たわっていた。
桜色に染まった首筋に流れる汗が色っぽいと、その場に居た男たちは皆そう思った。
「さて、もう遅いし課外授業はここまでだ。玄関まで送ろう」
そう言って鳴介は夢見るようにぼうっと突っ立っている、広と克也を教室から連れ出す。
その後姿を、ゆきめは霞む視線で見送った……。
二人を校門まで送り出して帰ってきた鳴介にゆきめは心配そうに尋ねる。
「先生、大丈夫ですか…生徒にあんな場面を見せちゃって…」
言いながらゆきめは先ほどのことを想い出して、頬をぽっと桜桃色に染めた。
「問題ない。二人の記憶を消してきたからな」
意外な答えにガバッとゆきめは顔をあげる。
「だって…だって…性教育の為だって……生徒に学ばせる為だって…」
その時視線の先に使用済みのコンドームが飛び込んできた。
ゆきめはそれを摘み上げてぎろっと鳴介を睨みつける。
「おかしいと思いました。何時もこんなものつけないのに…」
「先生ぇ?」とゆきめは可愛い声で凄む。
「二人が覗いてたこと、もっと前から分かってたんでしょ……騙しましたね」
「いやぁ、騙すつもりは……さっきいつもより濡れてて色っぽかったぞ、それに綺麗だった」
鳴介は慌てて取り繕って言うが、ゆきめの怒りは収まりそうも無い。
凍らされることを覚悟して、ぎゅっと目を瞑った。
しかし、予想に反して何も起こらない。
恐る恐る瞼を開けると、ボロボロと大粒の涙を流しながら自分を見つめるゆきめが見えた。
「私…確かに感じちゃったけど、でもそんな自分の淫乱な部分がすごく嫌いで…うっ…ううう…」
子どものように泣きじゃくる彼女を見て、ズキンと胸の奥が痛んだ。
「悪かった…悪かったから…泣かないでくれよ……ごめん」
「…先生分かってない。私の心も…身体も…全部先生のものなの……本当は他の誰にも見せたくないのに…」
ひっくひっくとしゃっくりをあげながら、ゆきめはぎゅっと鳴介の身体に抱きついた。
鳴介はそんなゆきめが愛おしくて、彼女を抱き上げて机に座ると自分の膝にゆきめを乗せ、額にそっと口付けを落とす。
「…っ!…こんなんじゃ誤魔化されな…」
身を捩るゆきめの顔を押さえつけ無理やり正面を向かせ、そのまま唇を重ねる。
「ん……」
無理やり抉じ開けられた唇の中に、鳴介の紅い舌が捻じ込まれる。
上顎、歯、舌…口の中を舐め回され、くすぐったさとその後から押し寄せる快感にゆきめは背筋を震わせた。
ゆっくりと焦らすようなその動きに、堪らずゆきめはおずおずと鳴介の口の中に自分の舌を差し込んだ。
「はぁ、ん…」
時々吐息を洩らしながら、二人は深く口付けを交わした。
大きな手がサラリ、サラリと髪を撫で回すのが心地良いと彼女は思った。
長い時間そうしてからゆっくりと唇を離すと、どちらのものか既に判別がつかない唾液がゆきめの紅い唇の端に垂れる。
鳴介はそれを親指で優しく拭うと今度は白い首筋に唇を這わした。
首筋や鎖骨のあたりに桃色の跡が次々と浮かび上がる。
制服と下着を押し上げて、白くて柔らかい乳房を引っ張り出す。
舌でゆっくりと桜色の乳首を舐めあげると、「あっ」と短い歓喜の声が響いた。
そのまま吸い付いてみたり時々歯を立てたりしてみる。そして手で、空いているもう片方のおっぱいを優しく揉みしだいた。
するとゆきめは大きく仰け反ると、鳴介の広い背中に抱きついて「はぁん…」と桃色の溜息を吐く。
胸を這っていた手は徐々に下がっていき、やがてスカートの中に消える。
二度の交わりですでに中から溶けてしまったのではないかと思うほど潤んでいた秘部は、喜んで鳴介の指を迎え入れた。
大きく膨らんだ芽を揉み解したり、入り口辺りを爪の先で軽く撫でると、その度にビクンとゆきめの身体が大きく跳ねる。
「はっ、あはっ……せんせ、焦らさないで…」
ゆきめは溜息と一緒に吐き出すようにそう呟くと、ズボンの中できつそうにしている鳴介自身を布越しに撫で回す。
「っ…ゆきめ…」
快感に身を捩りながら、鳴介はファスナーをおろして再び大きくなっている肉棒を取り出した。
「おいで……」
そう言いながら自分の身体に凭れ掛かるようにしていたゆきめの細い身体を軽く持ち上げる。
ゆきめは聳え立つ雄の上に恐る恐る身体を沈めた。
じゅぷ、ぬぷっ、と擦れる音がする。思わず声が洩れた。
ゆっくりと身体を上下に揺すってみる。鳴介が気持ち良さそうに低く呻くのが嬉しかった。
柔らかくて良い匂いのする胸の間に顔を埋めながら、鳴介は薄く笑う。
「ゆきめはこの体位が本当に好きだよな…」
顔を這って彼の黒く短い髪を撫でながら、ゆきめもふふっと笑った。
「だって…先生と密着していられるから……それに抱っこされてるみたいですごく安心する…」
そう言葉を交わす間も、繋がった腰の動きは早まるばかりだ。
鳴介の先端がゆきめの一番感じる部分を擦るたびに棹全体がキュンと締め付けられ何とも言えない快感に襲われる。
動く度に混合液がゴポゴポと音を立てた。
ゆきめの中から抜ける度にたらたらと淫らな蜜が垂れて二人の太ももを濡らす。
「先生…もう……我慢できないですぅ……んあぁぁぁぁはぁっ……!!」
ゆきめの意識が途切れた瞬間、生温かい胎内に熱くねっとりとした液体が広がる。
「先生大好き…愛してます…」
夢見心地でそう囁くゆきめに口付けをしながら、鳴介は考える。
(しかし、まったくあいつらに気づかれるとはな…今度からここは使えないな)
眠鬼が居る家で愛し合うのは気が咎めた。だかといってホテルに行く余裕もない。
ゆえのに放課後の童守小で隠れるようにしていたのだが…。
今や鳴介は少女の魂だけでなく、柔らかくて淫らなこの身体も愛していた。
少年たちの目に晒さて乱れた先ほどの彼女の姿を思い出すだけで、また欲望が疼きだす。
(今度はもっと人目につかないところ……体育館倉庫なんかもいいかもな)
太ももを軽く撫で上げた後、細い腰に腕をまわして鳴介も囁く。
「愛してるよ、ゆきめ」