春香との即売会参加イベントを無事に終え、その儘夕飯の食材に近所のスーパーに寄って安売りしていたイカを帰港するイカ釣り漁船の如く大量に買って帰ってきた俺は、玄関で見慣れない女物の靴に気が付いた。  
 由香里さんやルコが履く様な靴とは思えんし、ひょっとして、最近あまり会う機会の無い真尋ちゃんだろうか?  
 基本的に、近年の琵琶湖に生息する鮎並みにウチに遊びに来る女子は少ないので、取り敢えず俺は消去法で残った一つ年下の幼馴染み(♀)の顔を思い出しながら居間のドアノブに手を掛け――  
「うむうむ。この瑞々しさ、張り、そして柔らかさ。やはり、揉むなら若い娘に限るな」  
「いや〜ん♪ お肌つるつる〜。肌理も細かくて、羨ましいわ〜。おねいさんにもその若さを分けてちょうだ〜い」  
「た、助けて〜。裕人〜」  
「――って、椎菜なのかっ!?」  
 セクハラダメ人間(×二)に弄ばれているクラスメイトの救難信号に応じて居間に入ると、案の定テーブルの下で両側から変態どもに捕まっているあられも無い椎菜の姿があった。  
「おお、裕人。遅いでは無いか。夕飯の時間はもう過ぎているぞ? 天宮さんが折角遊びに来ているのだから、早く何か持て成しでもしろ」  
「椎菜ちゃんも〜、裕くんのご飯なら大丈夫よね〜? と〜っても、美味しいんだから〜♪」  
「ナニやってんだ、あんたらはっ!?」  
 いつもの調子でそう宣ってくるエロ生物たちの顔面目がけて、俺は両手の買い物袋(マイ・エコバッグ)を投擲したのだった。  
 

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