「あっ、はぁ…。だめです…、感じちゃいます…」  
苦しげに、しかし熱っぽくそう呟く少女の瞳は、言葉とは裏腹に更なる快感を期待している。  
「あぁ…っ、き、気持ち良い…っ」  
「ふふ、春香ちゃん。もっと感じていいのよ。もっと気持ち良くしてあげるから…」  
私はそう言って目の前で快感に溺れる少女を快楽の虜にしていく。  
乃木坂春香。それが彼女の名前。  
世界に名だたる乃木坂家の令嬢にして学園のアイドル。  
学園の中で彼女を知らない者は無く、誰もが例外なく彼女に憧れを抱く。  
そんな彼女が今私と蜜月にその身を委ねている。  
その背徳的な事実に私の胸は更に高鳴った。  
「あ、んん、はぁっ、んあぁっ!気持ち良いです…っ、お姉さまぁっ…!」  
“お姉さま”と呼ばれた私――住友美弥は愛しい目の前のコイビトに夢中になっていった――。  
 
事の始まりは私が卒業を間近に控えた1月。  
今日の授業も終わり、もう帰ろうかという時だった。  
視界の端に映ったその姿に目を奪われた。  
コソコソと周囲を警戒するように校内を移動する一人の女子生徒。  
この学園の制服を着ていなければ、すぐに不審者として通報もしただろう。  
その人物を認識した私は、目の錯覚かと思った。  
「乃木坂…さん?」  
間違う筈もない。この学園では誰もが一瞬見ただけでも彼女を彼女と認識できる。それほどに彼女の存在感は強かった。  
「でも…どうしたのかしら…?」  
彼女の挙動は明らかに不審だった。普段の彼女からは想像できないほど浮いている行動。  
あの白銀の星屑の奇行、気にならないわけが無い。  
「少し…ついて行ってみようかしら」  
私は彼女の後について行ってみる事にした。  
 
やがて彼女がたどり着いたのは図書室だった。  
私はその部屋の扉の前に立ち尽くしていた。  
「図書室に行くだけであんなに周りを警戒するなんて…」  
(ま、まさか、あの乃木坂さんがここで誰かと密会を…。それでもって○$×#¢§な事を!?)  
そう考えると私の中で異様な腹立たしさと悔しさが込み上げきた。後になって冷静に考えてみれば、これは架空の誰かに対する嫉妬だったのだろう。  
私は意を決してそっと図書室に入った。  
図書室の中は珍しく閑散としていた。  
見たところ乃木坂さん以外の人は見当たらない。  
(男じゃ無かったのね…)  
自分でも理解できない安堵がの溜め息が漏れた。  
乃木坂さんはなおも警戒しつつ貸し出しカウンターで何かの作業をしているようだった。  
(何か借りているのかしら…?)  
音を立てないようにゆっくりと静かに近づいていく。  
そしてだいぶ近づいたところでそっと乃木坂さんの方を見てみる。  
乃木坂さんが借りようとしているのは一冊の本だった。  
が、そのタイトルを見た瞬間、警戒を怠ってつい口に出してしまった。  
「イノセント、スマイル…?」  
「っ!?」  
乃木坂さんがビクッと震えてこちらに気付く。  
――しまった。  
そう思ったのも束の間、乃木坂さんはその顔を真っ青にしてその場に倒れこんだ。  
「乃木坂さん!」  
持っていた鞄も放り投げ、慌てて彼女を抱き止めた。  
「ふぅ…危なかったわ」  
そこで突然の物音。  
乃木坂さんの鞄の中身が全部ぶちまけられていた。どうやら不安定な所に置いてあった鞄が落ちたらしい。  
 
それらを拾っておこうとした瞬間に1冊の小冊子が目に入った。  
先ほどのイノセントスマイルという本と同じようなアニメっぽい本。だが先ほどよりだいぶ薄っぺらい本だった。  
その本を捲ったところで私は硬直した。  
彼女が起きたのはそれから約10分後の事だった。  
 
「ん…」  
(あれ…私…?)  
預けた頭に柔らかい感触。人の膝枕だと理解するのに時間はかからなかった。  
チラッと上に視線を向けてみれば『イノセントスマイル』の文字、そして特徴的な絵が有った。  
(膝枕をしてくれている人が読んでるんでしょうか…)  
その時私の動きに気付いたその人が、読んでいたその本を閉じ、私に優しく微笑みかけた。  
「気が付いた?」  
「住友先輩…?」  
目の前の女性に見覚えが有った。  
住友美弥先輩。私が1年生の時にミスコンで準グランプリだった人。  
大人っぽくて綺麗な人だったからよく覚えてる。  
私もいつかあんな綺麗な女の人になれたらいいな、なんて思った事もあった。  
でもその住友先輩がどうして私に膝枕を…。  
そこで全部思い出した。  
私がイノセントスマイルを借りに図書室に来て、その現場を住友先輩に…。  
慌てて飛び起きる。「あ、あのっ!えと、そそそその本は…」  
「え?ああ、この本?」  
住友先輩がその手に持ったイノセントスマイルを指して言った。  
「貸し出しの処理がまだ終わってなかったから終わらしておいたわよ」  
その言葉に更に絶望に落とされる。まさか借りてるところを人に見られるなんて…。  
「乃木坂さんってこういうのが好きなのね」  
図らずもビクッと反応してしまう。他の人に知られてしまうかもしれない。  
「あっ、あのっ!」  
「かわいいのね、乃木坂さんって」  
「えっ?」  
「こういうのが好きな乃木坂さんもまた可愛らしいわ」  
そう言って目の前の女性は優しく微笑んだ。  
「あの…軽蔑したりしないんですか…?」  
恐る恐る問い掛けてみる。  
「軽蔑?どうして?」  
先輩はわからないといった風に首を傾げる。  
私は中学生の頃に起こった出来事を先輩に話した。  
「…それで私にも軽蔑されたりしちゃうかもしれないって思ったのね?」  
その言葉に私はこくっ、と頷く。  
「私…そんなことになったらもう学園に居られません…ぐすっ」  
何が悲しいのか自分でもわからないけど、涙が込み上げてきた。  
「だから…この事は誰にも言わないで下さい…」  
 
住友先輩はくすっと苦笑してから、  
「言わないわ」と答えた。  
「乃木坂さんのこんな可愛らしいところを人に言ってしまうなんて勿体無いもの」  
“可愛らしい”という言葉に恥ずかしくなり、顔が熱くなってしまう。  
「あ、あの…その…住友先輩もすごく綺麗だと思いますっ…!」  
その言葉に先輩が目を丸くして驚く。  
「先輩って大人っぽいですし、美人ですし…オトナの女性っぽくて…憧れちゃいます…」  
先輩は少し照れて、「ありがとう」と言ったのでした――。  
 
内心かなり浮き足立っていた。  
あの白銀の星屑に憧れてると言われたのだ。女性として嬉しくない訳がない。  
それと同時に自分に憧れてると言ってくれた少女に愛おしさを覚えた。  
この子を、私のモノにしたい――。  
そんな欲望が自分の中に込み上げてくる。  
私は意を決して話を振った。  
「そういえば――あの鞄の中に入っている冊子――」  
「えっ?」  
「同人誌、っていうのよね?」  
「あ、あの…み、見たんですか…?」  
「さっき乃木坂さんの鞄が落ちたときに出ちゃってたから…ごめんなさい」  
「あ…、そうだったんですか…。それじゃあ先輩が拾ってくれたんですね。ありがとうございます」「あ、気にしなくてもいいのよ。…でも、乃木坂さんがあんなに…その…エッチなのを読んでるなんて…ちょっと意外だったわ」  
乃木坂さんが真っ赤になる。  
そう。さっきの冊子に描かれていたのは、二人の女の子が激しく愛し合っているマンガだった。  
乃木坂さんの事だからそれが目当てで買ったのではないだろう。だが――。  
「乃木坂さんも…ああいう事に興味は有る?」  
「えっ!?」  
「…イヤだったら拒んでくれていいから…」  
そう言ってから彼女の唇へ自分の唇を近づけていく。  
「あ、あの…、先輩…んっ!?」  
その瞬間、私の唇と彼女の唇が深く重なった――。  
 
「んっ…ふ…ぁ…んむ…ちゅ…あん…」  
深く。濃密に。息をする間も惜しんで彼女の唇を貪る。  
卑猥なまでのディープキス。  
まさか人生で初めてのキスを同性とするなんて思っても見なかった。  
満足のいくまで彼女の唇を貪った私はゆっくりと唇を離した。  
そこで冷静になって考えて、とんでもない事をしたと思った。  
「あの…、ごめんなさい…乃木坂さん」  
だが。彼女からは一向に返事がない。  
とろんとした虚ろな目つきでぼーっとしている。  
 
「あ、あの…乃木坂さん…?」  
そう言って肩を二度三度叩くと、彼女も正気に戻った。  
「…先輩…?」  
だが頭はまだぼーっとしているようだ。  
「…ったです…」  
「えっ?」  
「気持ち…良かったです…。先輩のキス…」  
彼女は唇に指をあてそう呟いた。  
先ほどのキスの感触が未だに残っているらしい。  
…さらに先まで踏み込むか否か。  
いや、こんな疑問が浮かんできた時点で、もう私の心は決まっていたのだろう。  
「もっと…気持ち良い事…する…?」  
彼女は迷う間もなく、こくっと可愛らしく頷いた――。  
 
図書室から移動し、空き教室へと移った私たちはすぐに行為に及んだ。  
春香ちゃんの汚れを知らない秘部に指を這わせ、その敏感な部分に刺激を与えてゆく。  
「あぁ…、ふぁ、お姉さま…。お姉さまにそこをいじられると…気持ちいいです…」  
「そう。オマンコが気持ちいいのね?」  
「は、はい…。オマンコ…気持ちいいです…。お姉さまの指がオマンコ掻き回して…気持ちいいんですぅ…」  
とろけた声で彼女が答える。  
あまりの快感のせいか、軽い催眠状態に陥っているらしい。  
「もっとして欲しい?」「は、はい…もっと気持ち良くして下さい…。お姉さまの指でもっと気持ち良くして下さい…!」  
「じゃあちゃんとお願いして?」  
私は彼女に言わせる言葉を彼女の耳元で囁く。  
その内容に彼女は一瞬の躊躇いを見せたが、すぐに口を開いた。  
「お、お姉さま…お願いします…。スケベで変態な私のオマンコを滅茶苦茶に掻き回して下さい…。  
お姉さまの指で私の淫乱なオマンコをグチャグチャにして下さい…」  
「…驚いた」  
あの白銀の星屑がこんなに簡単にあんな卑猥な言葉を口にするなんて…。  
「…お姉、さま…?」  
不思議そうに彼女が聞いてくる。  
その仕草さえも私の心を掴んで離さない。  
「春香ちゃん…本当に可愛いわ…」  
私は目の前の愛しい少女に再びキスをしていた。  
机の上に座らせた彼女の脚を開き、秘部がよく見えるようにする。  
「あ…。お姉さま…恥ずかしいです…」  
「恥ずかしがる事なんて無いのよ。春香ちゃんのココ、すごく綺麗だもの」  
そう言って今まで指で掻き回していた部分にそっと口づけを交わす。  
「ひゃうっ、お、お姉さま…そんなところ汚いですっ…!」  
「汚くなんて無いわ。春香ちゃんのオマンコとっても可愛い…」  
 
彼女の秘部からとめどなく溢れる蜜を啜り、舐めとっていく。  
「んっあっ…、お、お姉さまばっかりズルイです…。  
私にもお姉さまのを舐めさせて下さい…」  
言って今度は私を机に座らせる。  
「いっぱい…気持ちよくしてあげますね…」  
彼女の繊細で美しい口が私の秘部に口づけられた。  
彼女の舌使いにたまらない快感が押し寄せてくる。  
彼女は初めてとは思えないほどの巧さで私を攻め立ててきた。  
「あっ、待って…」  
イキそうになり、慌てて彼女を止める。「…?どうかしましたか…?もしかして…私上手くできなかったですか…?」  
彼女が不安そうな顔で上目遣いに聞いてくる。  
「…ううん。とっても上手だったわ。  
でもね、春香ちゃんと二人で気持ちよくなりたくって」  
「あっ。それって…」  
「春香ちゃんさえ良ければだけど…どうかしら?」  
彼女は少し考えた後、遠慮がちに答えた。  
「不束者ですが…お姉さまが私で良ければ…」  
その言葉が引き金となって。私たちは更に深い関係を結んだ。  
「春香ちゃん…いらっしゃい」  
私も裸になり彼女をこちらに呼び寄せる。  
「一緒に、気持ちよくなりましょう」  
「はい…」  
答えた彼女は嬉しそうに私と脚を絡ませた。  
 
お互いにお互いの性器をこすりつけ合う。  
彼女の繊細な肌が自分の肌と触れ合うのが気持ち良かった。  
「あっ、…春香ちゃん…、気持ちいいわ…」  
「あんっ、お姉様…私も気持ちいいです…っ!」  
段々と腰の動きが激しさを増す。  
どちらからともなく、快感を得ようと秘部を押し付け合う。  
その行為に限界が近づいてきていた。  
「あ…っお姉さまっ、私…イっちゃいそうです…っ!」  
「春香ちゃん…!私もイク…っ、一緒に…!」  
「ああぁぁぁぁあっ!!」  
彼女の一際大きな声とともに私たちは果てたのだった。  
 
 
エピローグ  
次の日。昨日の蜜月など無かったかのように、私は普通に登校していた。  
と、進む先に乃木坂さんを見つけた。  
彼女は私を認めると足早に駆け寄ってきて、  
「お早うございますっ、お姉さまっ」  
と挨拶をした。  
もちろん周りには通勤途中の人や他の登校途中の生徒がたくさん居たのだが…。  
「お早う、春香ちゃん」  
そう言うと彼女は優しい微笑みを浮かべ私の腕に自分の腕を絡めてきた。  
その光景に周りの人々にどよめきが走る。  
「お姉さま。今日も私のこと、いっぱい愛して下さいね」  
「ええ。春香ちゃんの為なら」  
色々な意味を含んだ周りの目を余所に。  
そう言って私たちは、衆人環視の中でどちらからともなくキスを求めたのだった――。  
 
 
END  
 
 

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