その日綾瀬裕人は暇を持て余していた。  
春香は男と秋葉原に遊びに行ってるらしい。  
「あれは何だったのかねー…」  
春香に言われた言葉を思い出した。  
 
“裕人さんは私とだけアキハバラに行くんです!”  
 
でも確かに春香は俺とだけ行くとは言ってないしなぁ。  
なんて事を考えていると携帯が鳴った。  
『ワルキューレの騎行』。って事は…。  
「美夏か」  
電話に出るような気分じゃ無いが出なきゃ出ないでずっとコールし続けそうな気がする。  
仕方なく携帯を取った。  
「はい」  
「やっほー。おに〜さん元気ー?みんなのアイドル、プリティー美夏ちゃんでーす」  
プツっ  
携帯を放り投げる。  
とまたしても携帯が鳴った。再度携帯を手に取る。  
「何でいきなり切るのー?ひどいなー、もー。」  
「電波が悪かったんだ」  
「電波が悪くても電話は切れないよー」  
春香の妹はそう言って受話器の向こうで拗ねてみせた。  
 
「で?何の用だ?」  
「え?ああ、おに〜さん今日暇かな、と思って」  
「超絶的に暇だ」  
「何その日本語」  
「気にするな」  
「ふーん。じゃあ私と遊びに行かない?」  
「…何処にだ?」  
「秋葉原」  
…。  
正直今最も行きたくない場所かもしれない。  
「…一応念の為に聞いておくが何をしに行くんだ?」  
「え?おに〜さんと前に行った時に結構気に入ったお店とか有ったから行きたいなーって」  
予想していた答えとは違った。  
「なんかマズいの?」  
「いや、そうじゃない。信長の奴に付き合わされたりして結構トラウマ気味なんだ」  
とっさにそう言って誤魔化した。  
実際のところ春香に出くわしたく無かったのが一番の理由だった。  
「ふーん、そうだったんだ。ねー、おに〜さんー、行こうよー」  
美夏が甘えた声で誘ってくる。  
どうせ家に居てもやることも無いし良いか。  
「わかった。待ち合わせは何時にする?」  
「えっとねー」  
…この時の選択が後悔の元になるとは思いもしなかった。  
 
待ち合わせ時間。秋葉原の駅で美夏を待つ。  
とすぐに美夏が来た。  
それからメイド喫茶やら電気店、アニメショップなんかを回ってみる。  
そして日も暮れ帰ろうかという時それは起こった。  
「あ。お姉ちゃんだ」  
少し裏路地に入った公園。  
そこに春香が居た。男に抱きついて泣いている。  
一番見たく無かったものを見てしまった。  
二人はそのまま行ってしまう。  
「ふーん。お姉ちゃんも秋葉原に来てたんだ」  
「知らなかったのか?」  
「うん」  
てっきり知ってるものかと思っていた。  
「ねぇ。お姉ちゃん達の後尾けようよ」  
今一番したくない事だった。だが…。  
「…まぁ、もう帰るだけだったしな」  
それにあの二人が気になるのは確かだった。  
 
二人を尾けてきてたどり着いた所は乃木坂邸だった。  
春香たちはもう部屋に行っているらしい。  
俺と美夏は春香の部屋へ向かった。  
「おに〜さん、こっちこっち」  
「ん?」  
「窓の外からならお姉ちゃん達が覗けるの」  
なるほど。  
と窓から中を覗いた美夏が急に慌てだした。  
気になって中を覗いてみる。  
「あ!おに〜さん見ちゃダメ!」  
春香とアイツが服を脱いでいた。  
つまり…。  
「おに〜さん…?」  
美夏の声で我に返る。  
俺は無言でその場から立ち去ろうとした。  
「あ!おにーさん、待って!」  
少し歩いたところで美夏に止められる。  
「おにーさん…。私じゃ…ダメ?」  
一瞬何を言ってるのかわからなかった。  
「私おに〜さんの事好きだよ…。前に秋葉原に行った時から…」  
またからかわれているのかと思った。  
「おに〜さんがお姉ちゃんみたいな人が好きなら、私お姉ちゃんみたいになるから」  
「…」  
言葉が出なかった。  
「だから、私だけのおに〜さんになって…?」  
「俺は…」  
頭の中で色々と考える。  
春香の事。アイツの事。美夏の事…。  
散々考えた結果…俺は美夏を抱きしめていた――。  
 
 
美夏に連れられ、美夏の部屋に移動する。  
美夏が服を脱ぎ始める。  
「お、おい…」  
「おに〜さん、私の事…抱いてくれるよね…?」  
一糸纏わぬ格好になった美夏は顔を真っ赤にしながら近づいてきた。  
そしてトンと俺の胸に頭を預ける。  
「でも…お前まだ中学せ…」  
「関係ないよ…」  
回避の言葉を遮られる。  
「私の事愛してるなら…抱いて?」  
美夏が裸で迫ってきている。  
据え膳…ってもまだ中学生だしなぁ。  
色々と問題も有るだろう。  
確かに俺は美夏を好きだって事には気付いた。  
だからさっき抱きしめたわけだが…。  
ここで抱いたら問題有るんじゃないか?そもそも犯罪だし…。  
でも…もしアイツなら…。  
今春香と一緒にいるアイツなら…。  
ここで美夏を抱かなければ俺の事を「ツマラナい奴」って言うだろうな…。  
しばらく考え、意を決する。  
俺は美夏を引き寄せそっとキスをした――。  
 
「ねぇ、おに〜さん」  
「ん?」  
「今こんな事聞くのは野暮だけど…お姉ちゃんの事…まだ好き?」  
「…。わからん」  
俺は少し考えてそう答えた。そして  
「でも春香は俺じゃなくてアイツを選んだ。そして俺が今一番好きなのは…美夏だ」  
「うん…。私もおに〜さんの事大好きだよ…」  
俺はその言葉に恥ずかしくなって、それを紛らわすかのように美夏の胸に触れた。  
「あっ…」  
美夏の胸は春香ほどでは無いものの、年不相応に豊かに実っていた。  
触れるといつもの美夏からは想像もつかない程しおらしい声を上げる。  
「ん…おに〜さっ…気持ち良…」  
その声が俺の脳を刺激する。  
俺は美夏の胸に口を近づけた。そのまま先端を口に含み吸う。  
「ぅんっ、あっ、…おに〜さん…赤ちゃんみたい…」  
そんな言葉に恥ずかしくなり、その行為の激しさを増す。  
「んっ、おに〜さ…っ、痛っ…」  
「あっ、ごめん…」  
「もう…。女の子をえすこーとする時はもっと優しくしなきゃダメだよー?」  
「あ、ああ。スマン」  
 
「おに〜さんばっかりじゃズルいからっ」  
言って美夏がズボンのチャックに手を伸ばす。  
「お、おい!美夏!?」  
「私が気持ち良くしてあげる」  
そう言って俺のモノにを舐め始めた。  
「んっ、ちょっと…しょっぱいね…」  
美夏の舌がモノを這う度に俺のモノがビクッと跳ねる。  
正直ゾクゾクした。  
美夏も最初はその反応に驚いていたが、そういうものなのだとわかると更に激しく責めてきた。  
「あ…、み、美夏っ…!」  
「おに〜さん、気持ち良ぃ…?」  
「あ、ああ。すごい…気持ち良いぞ…」  
「良かった…」  
そう言うと今度は大きく口に含みしゃぶりついてきた。  
口の中で美夏の舌や頬が絡み付いてくる。  
「み、美夏…っ!」  
「おに〜さん?イキそうなの?」  
俺のモノはもう限界に近づいてきていた。  
「ヤバい…っ。美夏っ…出ちまう…っ」  
「…良いよ…っ。このまま…出して…っ」  
次の瞬間。美夏の口の中で俺のモノが爆ぜた――。  
 
「けほっ、けほっ」  
美夏が口内で出された精液にむせかえる。  
「美夏…、大丈夫か…?」  
「うん…。苦くてネバネバして…何だか良くわかんなかった」  
少し微笑んでそう告げた。  
「ね…。続き…しよ?」  
この続きと言うからにはそういう事なんだろう。  
「…本当に…、俺で良いのか…?」  
人生で一度きりの初めてだ。やはり慎重になってしまう。  
「私は…おに〜さんじゃなきゃイヤ…」  
それでもなお、美夏は俺を選んでくれた。  
俺でなければ駄目だと。  
素直にそれは嬉しかった。  
「わかった」  
下準備に美夏の秘裂を愛撫する。  
「あ、ん…」  
美夏から呻きが漏れる。  
俺は美夏の緊張をほぐすようにゆっくりと愛撫を続けた。  
「おに…さ…、私…なんか…ヘン…」  
「変?」  
「…おに〜さんの…触ってるとこ…熱くて…ジンジン痺れて…」  
美夏が感じてきていた。  
「大丈夫だ。それが普通らしい」  
聞いた話だがそうなんだろう。  
「そう…なの…?でも…気持ち良すぎて…」  
気が付けば美夏の秘所は指がふやけそうになるくらい濡れそぼっていた。  
 
「…もう、大丈夫かな…?」  
美夏に問いかけるでもなく言葉が漏れる。  
美夏はそれを自分に対する問いかけと受け取ったのだろう。  
「ん…、大丈夫だと思うよ…」  
と言ってその意志を表した。  
美夏も愛液で塗れているし、さっきのフェラチオで俺のモノも塗れている。  
大丈夫かな?と思いつつ美夏のソコに俺のモノをあてがう。  
「ん…っ」  
触れた瞬間美夏が呻きを漏らす。  
「え…と…」  
「…ここ…」  
美夏がその場所を教えてくれた。  
「おに〜さん…、きて…」  
俺はゆっくり美夏の中へ進入を始めた。  
「ぅっ…くぅ…っ、痛…」  
亀頭が侵入し始めた辺りで美夏が苦しそうに呟いた。  
「本当に大丈夫か?」  
改めて聞く。我ながら野暮なことだ。  
「ぅん…我慢するから…だから…奥までちょうだい…」  
…その要求には理性が崩れるというか…。  
「ん?」  
進入した途中で壁のようなモノに当たる。  
 
「処女…膜…」  
美夏が苦しそうに呟いた。  
こ、これが…。  
女の子の純潔の証。それに今まさに当たっていたのだ。  
「…おに〜さん…っ、お願い…っ」  
俺は意を決して美夏の腰に添える手に一層力を込める。  
「ひぐ…っ…あ…い…った…っ」  
とうとうその膜を突き破った。  
「あああああっ!!!」  
部屋中に美夏の悲鳴にも似た声が響きわたる。  
「ひっく…っ」  
相当な痛みだったのだろう。涙を零す美夏が痛々しかった。  
が、美夏は痛みをこらえ、更に告げた。  
「動いて…」  
「え…。でも…」  
「…ぉ願ぃ…。おに〜さんと私の…初めてだもん…。最後までしたいの…」  
女の子にここまで言われちゃ男としてやらない訳にはいかない。  
俺はゆっくりと美夏の中で動き始めた。  
「ひっ、ぐ…っ、う…っ」  
痛みを必死に堪える美夏。  
そんな美夏を早く楽にさせてやろうという俺の思いに応えるかのように俺の絶頂が近づいていた。  
 
実際美夏の中は凄い気持ち良かった。  
我慢をしようとも無駄な抵抗だという事が否応無しにわかった。  
そろそろ絶頂が来そうだ。  
俺は一気に腰のピストン運動を早めた。  
「あっ!あっ!!あああっ!!!お、にぃ、さ…っ!裕人さ…っ!!!」  
美夏の締め付けが強くなる。  
「く…っ、出る…っ!」  
絶頂の瞬間。俺はモノを引き抜き美夏の胸に精を放出した――。  
 
「もー。何で中で出してくれなかったのー?」  
顔を風船みたいに膨らまして美夏が不満を垂れる。  
「だってお前まだ中学生じゃんか」  
「だからそれは関係ないって…」  
「お前の事大事だから…そういうのは大切にしたいんだ」  
言うと美夏は不満気な顔のまま真っ赤になった。  
「せめてお前が結婚できる歳になってから、と思ってな」  
美夏はそれを聞くと、  
「…それまで大切にしてよね、裕人さん」  
と意味深なセリフを口にしつつキスを求めてきた――。  
 
 
【エピローグ】  
後日。俺はアイツを呼び出していた。  
あの日春香と結ばれた男。  
もともと春香のつながりで知り合いではあったから連絡先なんかは知っていた。  
「お前、春香と…したんだろ?」  
「ああ」  
一言だけそう答える。  
「…大切にしてやれよ」  
俺がまだ春香の事を好きかどうかはわからない。  
だが春香を心配する気持ちはまだ残っていた。  
「言われるまでも無いな。お前こそ、美夏を大事にしてやれ」  
予想外のセリフが出てくる。  
「お前…、知ってたのか?」  
「いや、さっき気づいた。美夏もお前と居るときの雰囲気が違っていたしな」  
まったく、察しの良いことで。  
「は、こっちこそ言われるまでも無いな。  
大体「俺には春香だけだ」とか言ってるクセに美夏の心配か?」  
とイヤミの一つも返す。すると、  
「違う」  
と返してきた。  
「美夏が傷つくと春香が悲しむ。春香が悲しまないようにするのは、全人類に定められた義務だ」  
呆れたアホだ…。  
「…バカか。勝手に言ってろ」  
そう言って踵を返した所で後ろから声をかけられた。  
「お前も美夏の事だけを考えられるようになればわかるだろうさ」  
一瞬立ち止まって。そしてまた歩き出した。  
自分でもわからないが、何故か嬉しくなり自然と口元が緩んだ――。  
 
 
ちなみにあの夜の事は、みんな春香の方に気を取られていたためにバレなかったたらしい。  
春香たちはこっぴどく怒られたらしいからな。  
バレなくて良かった。  
 
 
END  
 

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