ガチャツ  
「あれ?草野くんは?」  
修二が玄関を開けると、まり子が台所から顔を出した。  
「なんか、野ブタについてるみたい。」  
俺は二人になりたいために嘘をついた。  
「そう・・なんだ・・。」  
思っていたより早めの二人きりにまり子はどぎまぎしているみたいだ。  
そう、なんです、修二は彰が入ってこないように鍵をしっかりかけた。  
「あっ後片付けしなきゃ。」  
戸惑ったのか、素早くまり子は台所に戻っていった。  
「いいじゃん、まり子、そんなのあとで。」  
修二がまり子の横に並ぶ。  
「でもこれだけだから。」  
まり子が動かす手を止めないので、少しでも早く終わるように修二は手伝った。  
「新婚さんみたいだな。」  
「えっ?」  
「結婚ってこんな感じなのかなって思って。」  
別に彰みたいに結婚とかに興味があるわけじゃないが、いつかこんな風に飯食って皿洗って超平凡な毎日が訪れんのも悪くないなってなんとなくまり子の隣にいて思ったんだ。  
「なんか照れちゃうね。」  
そう言うと最後の一枚を洗い終えた。  
「修二、疲れたでしょ?お風呂わかさないと。お風呂入るでしょ?」  
会話が途切れてそういう展開になってしまうのが怖いのか、まり子が急いで風呂場へ行こうとする。  
「さっき海から上がってきて入ったじゃん。」  
風呂入れ?エロモード全開の俺にはその言葉すらやらしいんですけど。  
修二がまり子を体で抱きとめた。  
 
「そうだよね。」  
まり子がぱっと体を離した。まり子は修二と目をあわさずにして、意識されているのが伝わってくる。  
「何かして遊ぶ?」  
(まっいーか、夜は長いんだし。)本来ならまだ彰や信子と盛り上がっている頃だろう、恥ずかしそうなまり子が可愛くて修二は微笑んだ。  
「何かって?」  
「うーん、何かあったっけ?」  
修二が頭をぽりぽり掻きながら、自分の部屋へと向かう。  
(なんもねーな、俺の部屋。)浩二の部屋にならTVゲームとかならあったっけ、修二が悩んでいると後ろでドアが開く音が聞こえた。  
「へぇーここが修二の部屋か〜。」  
まり子がきょろきょろしながら入ってきた。  
「結構片付いてるんだね。」  
まり子との事を考えて、修二は昨日丹念に掃除をした。布団も今朝干したばかりだ。  
「何でも出来ちゃうんだね、修二は。」  
(私の出る幕とかない感じ・・。)まり子の呟き方が少し寂しそうだったので修二は気にとどめた。  
「修二、勉強してんだね・・。」  
机の上に立てかけられた問題集の束をみてまり子が言う。  
「まり子は何処の大学行くとか決まってるの?」  
修二はベッドに腰掛けた。  
「ううん、まだしぼってないんだけど、修二は?」  
「俺もまだ何処って決めてないんだけど・・。」  
なんで大学に行きたいのか、不純すぎてさっきは言わなかったけど。  
「浩二も落ち着いたし、東京の大学受けようと思ってるんだ。できればまり子と同じ大学に行きたいけど、まだわかんねぇし。」  
まり子が寂しそうな顔をするなら、俺がおまえを必要だって事をちゃんと伝えたいって思うんだ。  
「でさ、多分一人暮しになると思うんだ。そしたら、たまにはまり子のめしも食いたいなって思うんだけど。」  
(まり子さえよければ?)修二がまり子を見ると、まり子は目を大きくして、ただ修二を見つめていた。  
別にプロポーズしてるわけでも、一緒に住もうっつってるわけでもないんだけどさ、まり子がさ、会いたいと思う時に会える距離にいたいんだ。  
「・・・一人で住むってそんな事言って修二、草野くんが入り浸ってそう。」  
彰・・・の事は考えてなかった。邪魔されたら困る。まあ、間違いなく入り浸るだろうな。だが、それだけは勘弁して欲しい。  
「それは何とかする・・。」  
なんとかなんないだろうけど。  
「ふふっ、でも大丈夫。草野くんの分もちゃーんと作るから。」  
いや、そういう問題じゃなくて・・・でもまり子が幸せそうに微笑んでいたので、修二は言葉にはしなかった。その代わり、どーしてもまり子を抱きたくて抱きたくて仕方なくなった。  
 
「まり子、こっち来て。」  
「んっ。」  
まり子が小さく頷くと修二の前に立つ。  
修二がまり子の腕を引いて体を近づけるとまり子の唇に吸い付いた。その先の舌にチュッと吸い付くと激しく舌を絡めた。  
着ているTシャツとスカートをぬがすと修二は耳元や首筋を激しく唇でなぞりながら、まり子を横たわらせた。下着姿のまり子は、昼のビキニと一味違い夜の顔をしていて、ふとまり子の過去が気になった。  
今までどんなやつが触れてきたんだろう。  
恋愛や他人に対してクールなはずの俺が取り乱してしまいそうだから、知りたくなんて全然ないんだが。  
本音言うと、この唇もこの肌も俺以外のやつが触ったって思うだけですげー嫉妬なんです。  
でもそんなの忘れさせて、今日から俺とのことしか思い出せないようにしてやる。  
そう決意したとき、実は俺は負けず嫌いの熱い男なんだなーと感じた。  
「修二、電気消して。」  
まり子の顔を見ていたいんだけど、でも女の子の要望には応えなくっちゃ。  
修二が手を伸ばして、引っ越しても愛用の野ブタホルダーを引っ張って電気を消す。  
鎖骨から肩にかけてほっそりとしたラインを唇でなぞると、緊張でか少しまり子は体を強張らせた。  
修二がブラジャーのホックを外すとカップが浮く。  
「んンッ・・・。」  
浮いたカップの隙間から手を差し込み、ぎゅっと握ると、修二の手の中でフルフルと弾んで、まり子が声を上げた。  
「まり子・・。」  
バストを保護する役割をなくしたブラジャーを剥ぎ取る。まり子の胸はすでに敏感に反応して、修二に触れられる事を待つかのようにつんと硬く尖っていた。  
「ぁあんっ。」  
まり子のその抜けるような白い肌は暗闇の中で光り、修二を誘導する。片方の胸を揉みしだきながら、もう片方の胸の先端を口に含むと、まり子のしなやかな体がぴくんとはねた。  
その反応を楽しむかのように、修二が舌先でつつき転がす。そのまわりをくるくると舌でなぞったり、優しく吸い上げたりする。  
「ぅうん。」  
もんでいた手を外し、ショーツの中に修二が手を入れる。充分過ぎるほど潤っていて、ぴちゃっといやらしい音を立てた。修二がすぅっとショーツを外す。  
 
「まり子、大変じゃん。」  
修二が指ですくってまり子に見せる。  
「いやっ・・。」  
恥ずかしそうに潤んだ目で口をすぼめる。  
まり子の恥ずかしがるその笑顔が、とてもエロかわいいことに気付いた修二は、まり子をいじめたくてたまらなくなった。  
「まり子ってえろいよな。」  
修二が耳元で囁くと、耳に届く熱い吐息が、まり子の体を熱くたぎらせる。  
「ちがっ・・・。」  
涙目で否定する姿も艶っぽい。  
「違う?こんななのに?」」  
陰部の奥の穴に、中指と薬指を突き刺した。  
「あぁっ。」  
その刺激でまり子が体をくねらせる。  
中指と薬指を出し入れしながら、時折親指で柔らかい膨らみを刺激すると、(あっ、あっ。)と小さく呻いた。  
中で指が動く度、まり子は少し腰を浮かせ、修二の顔の前に胸を突き出し、表情をゆがめた。  
修二は動かす手を止めず、先程とは反対の胸の頂点のまわりを唇で一周すると、突起を口に含んだ。  
「はっ・・ぁああん・・・あっ・・しゅ・・う・・じぃ・・。」  
熱い瞳でまり子が訴える。(まだだよ、まり子。)まり子の両足を押し開くと、それほど男を知らない美しい秘部が露になり、修二は口付けた。  
「あーんっ、いやぁっ。」  
(嫌じゃないじゃんか。)修二の舌が激しい快楽を施し、さらに蜜が溢れだす。修二が舌を這わせるたびに淫らに音を立て、まり子はものも言えぬ人形のように目を閉じて体をひくつかせた。  
「ごめっ・・許して・・。」  
途絶える事のない快感にまり子の意識は朦朧とし、最後まで昇りつめられるよう修二にお願いする。  
許すって・・許しません。修二が満足げに微笑む。  
「何を許すの?」  
「いじわる・・。」  
吐息混じりにそう言うと、まり子が唇をかみしめる。  
「んっ、もぅ・・。」  
だ、め、まり子の口がそう動いた気がした。  
(だめ?OKですっ!)そういう修二も我慢の限界で、素早く自分の服を脱ぎ捨てる。  
 
「あっ。」  
修二のその先で、まり子の秘部をじらすように撫でると、まり子の小さな悲鳴と共に、修二は深く腰を沈めた。  
やっぱりまり子の顔を近くで見たくて、修二は体を抱き起こし、膝の上に座らせた。熱気と快楽で紅潮させたまり子の頬を包むと、長い髪を掻きすくって、顔を近づけ、軽く唇を重ねると、激しく突きたてた。  
まり子の綺麗な長い髪が天使の輪を描きながら、荒々しい波のようにうねる。  
「しゅーじっ・・。」  
悲鳴交じりの声で修二の名を呼ぶと首に手を回してしがみつく。触れて欲しそうに修二の目の前に突き出された少し色素の薄いピンク色の先端を、修二は腰を揺らしながら強く吸った。  
「はぅぅ・・・。」  
修二が起こす振動に、まり子が体をがくがく震わせながら、大きく仰け反らせる。  
まり子が声を上げ感じるたびに、まり子の中はプルプルと痙攣し、修二をきつく締め付ける。  
(きっ気持ちいい・・。)休む事なくヒクヒクと収縮し、修二を逃すまいとする。修二の動きが激しくなり、息遣いと二人がつながっている証拠の音だけが鳴り響く。  
「しゅうじぃ。」  
まり子の瞳はもうおぼつかない。頭に血が回らないような感覚に修二もそろそろ限界なのに気付いていた。  
「好きだよ、まり子。」  
そう耳元で囁くとまり子を寝かせ、激しく打ち付ける。まり子の体が弓なりにそう。  
「はぁあんっ!!」  
修二が力を振り絞って思う存分下から突き上げると、仲良く二人で絶頂を迎えた。  
「まり子、最高。」  
息をはずませながら修二はまり子の体を抱きしめた。  
「んもう、バカっ。」  
まり子が嬉しそうに修二の腕の中で甘ったるい声を出した。  
「修二、大好き。」  
まり子が体をすり寄せたので、修二の復活もそう遠くはなさそうだ。  
・・・・・。  
・・・・・・・・。  
・・・・・・・・・・・もういっかいっ・・・・・・・・・・。  
さすがに二回目を終えると、修二の体もまり子の体も、その激しさからか汗がじわっと噴出し、肌の上で飛び跳ねていた。  
「まり子風呂入ろう。」  
そばにあったバスタオルでまり子の体を包んで風呂場へと連れ出した。  
別に裸の移動でもよかったが、なんとなく無造作にまいた。ちらちら見える足がいい。  
「恥ずかしいよ、修二。」  
二人ではいるお風呂はまり子にはちょっと抵抗あるみたいだ。でも、やめられません、とめられません。  
「恥ずかしくないよ、まり子。」  
俺はまいたバスタオルの下に手を突っ込んで首筋にすいついた。  
・・・・・ここから先の出来事はもったいなくて教えませんっ  
 
「コンコンっ桐谷さーん、起きて下さい、桐谷さーん。」  
なにやら廊下が騒がしい。(近所迷惑でしょ!?)修二が飛び起きる。  
「うーん、修二、おはよ。」  
まり子が悩ましげに伸びをする。修二もまり子もパンツしか身につけずに寝てしまっていた。  
風呂から出た後、若気の至りかもう1ラウンド突入しようと少しいちゃいちゃしていたが、しばらくするとまり子が腕の中であまりに幸せそうに眠ってしまったので、起こすに起こせなかった。  
(はぁ〜このまま突入してぇ〜。)したい、超したいが、家の外では彰たちが待っている。修二が急いで服を着る。  
「桐谷修二、おまえは完全に包囲されている。神妙に出てきたまえ。」  
「はっはずかしいよ、彰。」  
家の外では彰と信子のくだらないやり取りが繰り広げられている。  
「うそっ!!」  
まり子もその声に気付いて慌てて飛び起きると、自分が裸な事に顔を赤くして、傍にあった洋服を急いで身につけた。  
「朝からうるさいです。」  
修二が玄関のドアを開けると、信子と彰はしっかりと手をつないで立っていた。(やったな、これ。)その様子を見て修二がにやついた。  
「おなかがすいたのぉ〜。もう8時なのよ〜ん。ハイッ、新聞!」  
新聞受けから抜いたのか、彰が修二に新聞を渡すとずかずか入って行く。(まだ8時です。)修二が新聞を無造作に置いて不満そうな顔で彰を見る。  
「おっおはよう、ごめんね。」  
(寝てたんだよね・・。)修二の寝癖を確認し、信子が頭を下げる。  
「いやちょうど俺も起きようかな〜って思ってたとこだから。野ブタが気にする事じゃないよ。」  
なんで彰でなく野ブタが謝るんだ、なんかむかつく。修二はなんとなく釈然としないまま椅子に腰掛けた。  
 
「あんまり眠れなかったの?」  
まり子が小さくあくびをしたので、信子が二人の顔を見ながら心配する。  
「いやいやいや・・・。」  
信子の純粋さに修二とまり子が大きく首を振って否定する。  
「小谷さんこそよく眠れた?」  
(おい、まり子、それ聞くか?それはちょっと刺激的・・。)が、心配する必要はなかった。  
「うん、皆と話してたのは覚えてるんだけど、その後は・・。」  
「朝までぐっすりなのよ〜ん。」  
信子の言葉を遮って、彰が修二を不服そうに見た。  
「ごっごめん。」  
信子が彰に謝る。  
「野ブタは悪くないのよ〜ん。」  
彰が信子に微笑むとまた修二を真顔で見る。(やってないのか・・・。)彰のさすような視線も頷ける。  
「で、今日はどぅーすんの?」  
「まあ観光とか?まっこれといって見るもんもそんなないんだけどさ。あっでも夜から俺らは旅行行くし、ちょうどいーかなーって、なぁ?」  
修二がまり子に同意を求めると、まり子は恥ずかしそうに頷いた。それを見た彰と信子がぽかんと口を開ける。  
「ぬぁにそれ?聞いてない!!」  
いってねえから当たり前だよ。前もって言っとくとついてくるだろ。  
「言ってなかったっけ?」  
「言ってないでしょーが!!」  
おまえ、GWも休日も返上で、東京ではありえねえ時給に泣きながらバイトして金をためた庶民の気持ちが分かるか??  
「んっ、まっ、そういう事だから!」  
これ以上は言っても無駄です、俺は冷たく断ち切った。  
「しゅーじもまり子も、ひどいっ!!スケベっ!エッチ、スケッチ、ワンタッチっ!」  
彰が駄々っ子のように地団駄を踏んだ。(いつの時代の言葉だよ、意味わかんねーから。)修二の口元がほころぶ。  
まっせいぜい頑張れよ、さくらんぼ組。せっかくのチャンスを棒にふるんじゃねーぞ。  
そんな彰に発破をかけてやる意味で、修二は彰の顔を見てにんまりと笑った。  
 
 

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