ここはとあるラブホテルの浴槽―  
 
 
ぴくり。と信子の身体がわずかばかりの反応を見せた。  
「大丈夫?」  
「へいき…」  
ぽそりと小さく小さく信子が囁く。  
青紫のブラっクライトの光の下では酷く現実感が薄い。  
修二の膝を跨いだ形の信子を見上げるアングルもなかなか新鮮だと思う。  
ただ信子のうっすら上気した頬が見えないのが少し残念だったが  
修二は少しだけ呼吸を乱した信子のうっすらと開かれた唇にキスをした。  
「ん…」  
微かに零れる声にぞくりと背筋に快感が走り抜ける。  
(マズイ…煽られすぎた…こんなはずじゃなかったのに…)  
 
 
 
何故、自分が信子とこんな事になっているかを思い出し修二はふと我に返る  
事の発端は、ほんの数時間前の事だ。  
ここ最近、彰にべったりの信子にめずらしく自分が呼ばれた、相談があるのだと。  
また、バンドー絡みかはたまた…なんて考えていた修二だったが、  
信子から出てきた相談事は予想外なんて可愛いもんじゃなかった。  
 
『きっ桐谷くんは…もう…した…?』  
 
最初何を指しているか、全然分からなかった…いや分かりたくなかったのかもしれない。  
何を言ってるんだ。分かるように話せと促すと信子は顔を真っ赤に躊躇っていたが、  
修二の無言の威圧が聞いたのか、沈黙の中じっと見つめられる事に耐えられなくなったのか、  
意を決したようにこう口にしたのだ  
 
『だっ…だからっ…そっその…せっ…せっく…す…』  
 
最後のほうこそ、いつもよりも小声でどもっていて聞き取り辛かったが  
それでも修二の耳にははっきりとその単語が入ってきた。  
「SEX」信子から聞くとは思いもしなかった単語  
次にうろたえるのは修二だった…自分は今、すごい聞き間違いをしたのではないか?これが空耳アワーか?  
などと、頭は否定するが確かに自分のこの耳で聞いたのだから…修二は自分の頬が引きつっていくのを感じた。  
 
『なっ何言ってんだよ…小谷…ははっ…っていうか何言ってんだお前ーーー?!』  
 
いつもの冷静沈着な桐谷修二はどこにやら、乾いた笑いをかました後うっかり出てきたのは絶叫だった。  
突然の大声に驚いた様子の信子だったが、何度か目をぱちくりさせるとその様子は落ち着きを取り戻したようで、  
目の前で興奮気味の修二におずおずと手を伸ばすと、  
 
『わっ…私…した事ないからっ…でっでも…くっ草野くんはあるみたいで…こっこの間…朝学校の近くに知らない…女の人の車で………』  
 
どうやら信子のたどたどしい説明をまとめると、彰と信子はいつの間にか付き合っていてキスや抱擁はあるが、SEXはしていない。  
マイペースな彰の性格と、もしかしたら自分の性格を配慮しての事だと思っていた信子だったが…  
クラスの男子がそんな話題になった時、彰にそういう経験がある事を知り、しかも男子達の「初めての女は面倒だ」という意見を聞き、  
不安を抱いていたところに…登校途中に知らない女の車から彰が降りてくるところを見てしまったと。  
 
信子は居た堪れなくなり、俺に相談してきたらしい。  
二人が付き合っていた事、キスは当たり前にしていた事…他にもたくさんあるが、立て続けに驚かされっぱなしだった。  
それから、信子を元気付けていたはずだったのにいつの間にか俺が面倒な信子の初めてを貰い、彰が面倒くさくないように  
信子をプロデュースするという流れになったのだが…今も何でそんな流れになったのか謎だ。  
いくら信子をプロデュースしてやると言った俺だけど、それとこれとは違うだろうと思いながらも…  
 
『おっ…お願…い…くっ草野くんに…きっ嫌われたく…ない…』  
 
そう涙目で訴える信子に、俺が勝てる術などなかったんだ…草野には悪いけど、桐谷修二決めました。  
信子を俺が女にしてみせると。…男に二言はない…  
 
『…おっ俺に任せろ』  
 
 
つい、数時間前の自分を思い出しながら思いにふけってしまった修二だったが、  
自分で言った最後の言葉を頭に過ぎらせ目の前の信子に集中することにした。  
 
膝立ちにさせた信子の胸元に唇を寄せ、  
殆ど平面で申し訳程度の脂肪しか備えていないし、あばら骨も浮いている。  
お世辞にも女らしいといえないが、病的なまでの白さが眩しい。  
薄く色づく飾りに吸い付き、舌を使って強く押しつぶすと抵抗するようにぷっくりと立ち上がってきた。  
「…っ」  
信子が息を詰める気配がした。  
視線だけで見上げると、自然、俯いた信子の表情を見ることができる。  
 
(おいおい…なんて顔をしてるんだ…)  
 
信子は眉間に深い皺を刻んで堅く目を閉ざし、今にも血が出そうなほどにきつく唇をかみ締めていた。  
 
本当に何も知らない無垢な身体だ。  
信子が修二のスキンシっプに慣れていない  
ということもこの場合は修二を有利にする。  
 
信子は少しでも他人に触れられるということに本当に慣れていない。  
ただ、修二から与えられる初めての感覚に翻弄されて怯え戸惑っているが  
この場で唯一頼ることの出来る修二に全てを預けることしかできない。  
 
あの自分対して消極的な信子を自分が完全に主導権を握っている。  
という事実が修二に言いようのない充足感を与える。  
 
…何かに耐えるようなこんな表情に劣情を煽られるとは思わなかった。  
先ほどの理性や常識など忘れ…楽しくなりそうだ。と修二はふわりと微笑んだ。  
 
 
 
膝立ちの信子の腕を引いて座らせるとほんの少し、膝を立てる。  
「!?」  
必然的に信子の身体が滑り落ち、修二の身体に密着することになる。  
ぴったりと触れ合った肌の感触が気持ちいい。  
「桐谷く…」  
「修二だ。こんな時くらい名前で呼んで。俺も名前で呼ぶから…」  
信子、耳元に囁くと予想通り信子の身体が大きく震えた。  
「…続けるよ?」  
小さく頷き、縋るように首に回された腕が少しきつかった。  
 
面白い入浴剤だと思い、放り込んだものは白いゼリー状に湯船を変えたのだった。  
白いゼリーに満たされた浴槽の中、修二の手がどんな風に動くのか信子には予想もできない。  
「…っ!…ぁ」  
ゆっくりと追い上げる手に素直に反応する信子の押し殺した声が浴室に響く。  
肌に手を滑らせる度に軽く跳ねる身体。  
指で押し広げたソコはすでにぐちゃぐちゃに濡れて、ひくついている。  
ヌルヌルのゼリーが潤滑油代わりになって信子の体は思ったよりも抵抗なくあっさりと修二の指を受け入れてしまった。  
けれど。  
簡単に指を受け入れるくせに、抜こうとすると拒否するように締め付ける。  
そんな淫らな無意識下の自分の体の反応を理性が受け入れられないのか  
いつの間にか信子の瞳は涙が溢れそうになっていた。  
 
もう一押し。涙ぐんだ信子の瞳に抑えがたい欲望と未知の体験への怯えとがせめぎあっている。  
常と違い。鮮やかに感情を発散させる信子。  
 
快感を得ているはずなのに、まるでそれが耐え難い苦痛のように振舞う。  
 
(…当初の目的忘れそうだ…やばいな…)  
 
快楽と苦痛に歪んだ信子の顔は修二の獣の本能を目覚めさせるらしい。  
すぐにでも喰らい付きたい。湧き上がってくる凶暴な衝動を抑える。  
自分さえ知らなかった新しい一面の発見に修二は楽しげに笑った。  
 
 
 
「怖がらなくていいよ、大丈夫。俺に任せてっ言ったろ?」  
 
宥めるような言葉を吐いて、左腕で優しく信子の背中を抱いた。  
きっと信子は混乱しているだろう。  
優しく宥める言葉と抱き寄せる左腕とは裏腹に修二の右手が信子の秘部を嬲っているのだから。  
抱き寄せ、優しく愛撫するのが修二なら、信子を陥落させようと嬲っているのも修二だ。  
するりと侵入を果たした2本目の指が狭い信子の内壁を擦り上げた。  
途端に2本の指の間から先ほどとは比べ物にならない量のゼリーが入り  
込み信子はその異物感と異様な熱にキツク目を閉じ、とうとう涙を零した。  
「…っ!…ぅあつ…っ」  
殆どうめき声みたいな喘ぎももはや修二を興奮させる材料でしかない。  
ずり落ちそうになる身体を抱えなおしてやると信子は昂ぶった修二の雄が自らの下腹部に触れる感触に気付き  
ガタガタ震えだした。…それでも拒絶の言葉は一切吐かない。  
たいしたもんだ、そんなに草野に嫌われたくないのかと修二は徐々に侵食されてきた理性の下で考える。  
何だか、面白くない。  
そう思って今までわざと微妙にずらしていた性感帯に触れた。  
「…っあぁっ…!」  
短い悲鳴を零して一瞬、信子の身体が強張り内壁が痛いくらいに指を締めつけた。  
あっけなくイかされ脱力して倒れ掛かってきた信子の身体を支える。  
「信子…?」  
少しの間をおいて呼びかけに応じる声があった。  
軽く意識を飛ばしかけただけらしい。気絶はしていなかった。  
ぽろぽろととめどなく零れ落ちる涙を舐めとってやると信子が薄っすらと瞼を持ち上げた。  
ぼんやりと霞の掛かった目が修二の姿を映す。  
 
(いい傾向だ…そのまま俺の事だけ考えてればいい…)  
そんな思いが修二の頭を過ぎる。  
 
「…ベっドに行こうか」  
軽く腰が砕けてしまったらしい信子を抱き上げる。  
ゼリーで滑って落としてしまわないように慎重にだ。  
シャワーで残ったゼリーを洗い流して、バスタオルで身体を包んで丁寧に水気を払ってやる。  
その間人形のように信子はされるがままだった。  
 
修二は信子をバスタオルで包んだまま抱き上げてバスルームを出た。  
煌々と明るい室内はブラっクライトに慣れた目に少し痛い。  
照明の明るさをいくらか落として信子はどうかとベっドに降ろしながら  
視線をやると眠たそうに少し俯いていてその表情は窺えなかった。  
ただ、普通の電灯の下で見る信子は真っ白な肌を薄紅色に染めていて。  
 
こくり。  
 
と思わず生唾を飲んだ。  
「…信子。本当に最後までしていいの?」  
呼ばれた名前に反応して気だるげに顔を上げる信子の頬も肌と同じ薄紅  
に染まり、普段、吸い込まれそうな底知れない闇色の黒が今は熱く潤み、常にない輝きを放っていた。  
その瞳が一瞬伏せられ、やがてはっきりと頷きをもって問いを肯定した。  
ぱさりと用を成さなくなったバスタオルを床へ落とす。  
俯いたままの信子は湿った髪が項に張り付き、髪の間から覗く唇も今は赤みを増していて、妙にいやらしい。  
「きれいだ…」  
自然と囁いて、掬うように両手で信子の頬を包み込んだ。  
そっと上をむかせ顔を近づけるとゆっくりと目を閉じた。  
「ん…」  
「信子、舌出して」  
おずおずと従う信子の舌を絡めとって軽く吸う。  
イかされたばかりで敏感になっている信子の身体が震えた。  
キスの合間に再び信子の秘部に指を這わせると内側から先ほどのゼリーが伝い出てきた。  
白濁のそれが未だ男を知らない信子の内股を汚しているのが妙に卑猥だ。  
それを掻き出す指の動きにすら耐えられないといったように信子が首を振る。  
ばさりとベっドに倒れ込んだ信子が無意識に修二の指から逃れようと身を  
捩じらせるたびにコプコプと中の液体が零れ出る。次第にゼリーとはまた違った液体が修二の指を汚す。  
つう…と修二の指を伝う透明な滴りから目を逸らした信子の黒い髪が白いシーツや肌の上に散らばった。  
 
もっと反応を見ていたかったがそろそろ限界だ。  
 
修二は反射的に閉じようとする信子の膝を大きく開かせてその間に身体を割り込ませた。  
再びキスをして呼吸を整える間も与えず、信子の細い腰を持ち上げた。  
 
「あ…待っ「ごめん」  
 
修二の手で散々慣らされ、従順に開かれたそこに、すでに痛いほど張り詰め  
ていた自身を押し当て、体重をかけて一気に刺し貫いた。  
 
「…―――――――――――っ!!」  
 
突然の衝撃に信子は声にならない悲鳴を上げた。  
一方修二も信子の内部のキツイ締め付けによる急激な射精感をやり過ごす。  
信子は呼吸の仕方も忘れたように口をパクパクさせている。  
力の限りシーツを握り締めた指先はすでに色を無くしていた。  
散々慣らしたにも関わらず信子の狭い内壁は修二を拒んだ。…無理に引き抜けば修二も信子も無事にはすまない。  
「息吸って…っ」  
修二の言葉に信子は無理だと首を振った。歯を食いしばって苦痛に耐える顔は真っ青だ。  
「信子…っ」  
修二は苦し紛れに信子に噛み付くように口付けて息苦しさから開いた口に  
無理やり舌を侵入させると舌を掴まえた。そのまま舌を絡め、滅茶苦茶に蹂躙する。  
貪るようなキスに意識を飛ばしかけた信子から力が抜けた。  
急な開放にしまったと思う間もなく修二も自身を解放していた。  
最奥に精を放たれた感覚に信子の身体が大きく震えた。  
「は…ぁ…」  
一度射精したおかげで動けるようになった修二が半分ほど自身を引き抜くと、濃厚な血の匂いが鼻を突いた。  
頭の中が急に冴えていく。もう少し腰を引いてまたすぐに根元まで納めた。  
繋がったまま呼吸が整うまで、しばらくじっとする。  
その間に、信子の未だ堅く握り締めたままのシーツを掴んだ指を一本一本  
丁寧に引き剥がしてやると、その指先に軽く口付けた。  
信子は目を閉じてぴくりとも動かない。気絶してしまったのか?  
「信子…?」  
「いたい…」  
呼びかけに応じて目を開いた信子の黒い瞳が恨めしげに修二を見据えた。  
「乱暴…気持ち…悪い…はっ…早く抜いて…」  
真っ青になっている癖に横を向いて呟く、いつもとは違う信子の尊大な態度が生意気なので  
わざとゆっくり時間をかけて少しずつ抜いてみる。  
「う…」  
中に出したものと、破瓜の血でぐちゅり。と淫猥な音がした。  
ぞわ。と悪寒が走ったような感じに信子がまた眉間に皺を寄せた。  
 
「ごめんね信子」  
 
少しばかりすまなさそうな修二の声音に何かを感じた信子が身を引こうと  
したが修二はそれを許さず、もう一度ぐっと信子の中へ押し入った。  
「っあ…!」  
修二の暴挙に悲鳴を上げる信子。  
「まだ痛い?」  
「いえ…ひぁっ?」  
修二が緩く自身を出し入れすると信子の身体が跳ねた。  
その度にいやらしい水音が響いて信子はますます眉間に皺を寄せた。  
「うぅ…っ」  
獣のように低く唸ったがやはり信子はそれ以上の拒絶を見せない。  
修二は繋がったままの体勢で無理やり身体を折り曲げキスをした。  
中で修二の角度が変わったらしく信子が苦しげに身を捩る。  
「…っ!」  
「本当に面白いな。そんなにあいつが好き?」  
修二は次第に腰の動きを早めながら、繋がったまま器用に信子の足を掴んで  
身体を反転させると腰を持ち上げてお尻を突き出す姿勢を取らせた。  
背後から覆いかぶさって簡単にへし折れそうな細い項にキスをする。  
「これが『SEX』どう?何かわかった?つうか、俺とこんな事したってあいつが知ったらどうなるかな…」  
ベっドの上での会話にしては色気がないな。と修二が呟く。  
シーツに半分くらい顔を埋めた信子が薄く目を開けて修二を見上げた。  
「…っぅ…ぁ」  
何か言葉を紡ごうとする信子だったが唇から洩れ出るのは堪えきれない喘ぎだけだ。  
修二は信子が話せるように少しだけ動きを緩めてやった。  
「なぁ信子…お前はあいつに嫌われたくない一心で僕に抱かれようと思ったんだよな…俺はさ、信子。  
お前が好きなんだよ?だからそんなお前に腹が立ってる。」  
修二の掛け値なしの本音だ。  
「…ぁ…厭だ…っ」  
好き。という言葉に反応して信子の内壁が修二を締め上げた。一方信子の初めての拒絶の言葉に修二はうっとりと微笑んだ。  
「嘘。…離さないじゃん俺のこと。そんなに気持ちいい?」  
「違…あぁっ!」  
強く突き上げて反論を封じるとすべらかな背中にキスを落としてつう…と舌を這わせた。  
「さっきの入浴剤のせい?凄くスベスベ…」  
聞きたくない。と耳を塞ごうとする手を掴まえてしっかりと握ってやる。  
「お前は痛みでは泣かないのに、俺に抱きしめられると泣くね。怖い?」  
苦しそうに息を吐きながらぼろぼろと涙を零す信子が愛おしかった。  
(それでも従順に俺を受け入れるから、まるで愛されているみたいだ。そんなことあるはずないのにな)  
本気で愛しているようなふりをしてやろう。俺だってさっきの好きは演じただけだ…  
その境界はひどく曖昧で、俺でさえどこまでが演技かわからないけれど。  
「怖く…なんかない…っ」  
頑なに否定して、修二を拒もうとする信子。  
(いいよ。そうやって抵抗して…)  
「最初からだよ?俺は本当は信子が欲しいと思ってた。あいつよりも前から。身体だけじゃなく、心も」  
「う…そ…好きなんかじゃない…欲しいなんて…思って…ない…」  
「信じてよ」  
「い…いや…っいや…」  
「もう黙って。信子の口は嘘つきだから、身体に聞いてあげる」  
 
苛立ったように…いや、実際苛立っていたから少し乱暴に信子の身体を起こして、代わりに修二が身体を倒した。  
「!」  
「子供みたいに泣く信子があんまり可愛いからもっと見たくてイジワルしたくなる。  
これって好きな子いじめて気を引く小学生と同レベルだな…信子が好きだよ。こんな自分ははじめてで俺も驚いてる」  
「…そっ…そんなの…うっ嘘…  
修二の上で何とか呼吸を整えようとする信子が切れ切れに言葉を紡ぐ。  
「信子はいつも俺を警戒して、近づけないようにしてる。怖いんだろ?あいつには最初から近づいていったのにさ」  
背中を向けた信子の顔が見えない。  
自分でそう仕向けたくせにそのことを不満に思った修二は下から軽く突き上げてやった。  
「は…っ」  
「お前は俺が自分を乱すから怖いんだ。欲しがって拒まれるのが怖い。  
自分を守ろうとして、俺を拒絶するくせに、俺の傍から離れない。  
これじゃ俺ばかりが信子を好きみたいだ。…信子も俺を欲しがって。本当に信子が好きなのは俺でしょ?」  
「あ、…あっ…やっ」  
既に身体を仰け反らせて身悶えている信子に聞こえているとは思えない。  
繰り返し、繰り返しの言葉は徐々に、確実に信子の脳を侵食していく。  
下半身はドロドロに蕩けきっていて自力で抜くことも出来ない。  
修二が少し腰を持ち上げてやれば、抵抗さえできずに腰を落とし、その刺激にまた身悶える。  
「あっ…ふ…っこれいや…」  
「ど…して…?」  
修二の呼吸も上がり始めていた。  
「桐…谷く…顔みえな…っ」  
「!」  
修二は衝動的に腹筋だけで身体ごと起き上がると自分の上の信子の両脇に手を差し込んで信子の身体を持ち上げた。  
「…っ」  
途端にずるりと信子の中から修二自身が抜き出され、続いて血と修二の精液と  
信子の愛液が混ざったものが溢れ出してきた。内股を濡らす気持ちの悪い感触に信子が嫌悪感に顔を歪ませた。  
「目を開けて、信子」  
仰向けにベっドに寝かされた信子はその声で自分が目を瞑っていたことに気付いた。  
信子が目を開けると驚くほど近くに修二の端正な顔があった。  
「目、瞑ってたら見えない。俺はここにいる。しっかり見てて、今お前が欲しがった俺がここにいるから。」  
とても演技に見えない、妙に嬉しそうな、見たこともない無邪気な笑顔で笑いかけた。  
信子がその顔に見とれている隙に修二は信子の膝裏を持ち上げ胸に付く位まで曲げさせた。  
腰が浮いた。…お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんみたいな…  
「入れるよ」  
信子が身構える間もなくつぷ…という音と共に修二が中へと入ってきた。  
慣れたのか、修二の雄は信子のソコへ抵抗なく収まったただ圧迫感だけはどうしようもなく、  
信子の呼吸を妨げるのだが。修二が腰を使い出しても、痛みはない。  
「あぁ…あ…あっ…」  
修二自身を押し込まれる度に空気と一緒に苦しげだけれども、艶の混じった声が洩れる。  
それがいやで声を殺そうと唇を噛もうとすれば修二がキスで阻む。  
先ほどまでの修二とは明らかに違う。修二も信子が急に様子の変わった自分に戸惑う気配を感じ取っていた。  
「…好きだ」  
「あ!」  
「…好きだ」  
「んぁ…っ」  
修二が好きだと囁く度に過敏に反応する。修二が触れた場所から火がついたように熱くなる。  
「言わないで…っ変になりそっ…」  
ガクガクと揺すぶられながら訴えてくる信子が可愛くてしょうがない。  
言葉にしなくても修二を好きで、好きでどうしようもない。と全身で訴えているのだから。  
「いいよ…おかしくなっても。俺が面倒みるよ、受け止めてみせる。」  
 
「き…きりた…に…く…」  
「はは…おかしい…な。」  
信子にはもう正常に物事を判断する理性なんか残っちゃいない。  
だから。今話している内容もきっと明日になれば忘れてしまうだろう。  
…そんな風に思い込むのは危険なことだったが。  
対する修二も信子とのSEXに夢中になりすぎてどこか頭の回路のネジがふっ飛んでいた。  
それもいい。と熱くなる頭の隅で修二は思った。  
「毎日抱きしめて…愛してるって言う…安心して…」  
 
俺だけを好きでいればいい。草野の事なんか忘れちまえばいい。  
 
「は…っ」  
一際強い快感の波が来た。  
頭が真っ白になりそうなそれを感じて修二はぐっと信子の腰を抱き寄せて子宮口近く。  
一番深い所に叩きつけるようにして勢いよく精を放った。  
瞬間。信子も短い悲鳴を上げて修二に縋りついた。  
「くぅ…っ」  
収縮する内壁に搾り取られるようにして全てを吐き出す。  
修二は一気に脱力して信子を押しつぶすようにして上に倒れ込んだ。短い沈黙。  
収縮が収まり、修二は少し身体を起こすと名残惜しげに自身を引き抜いた。  
ビクンっと震えて信子がうっすら目を開けた。  
「…」  
涙腺が壊れてしまったように、無表情でぽろぽろ涙を零している。  
「信子…」  
名前を呼んで、額や頬に何度もキスをして、きゅうっと抱きしめると背中に回されたままの腕にわずかに力が入った。  
「好きだよ…」  
囁きながらあやすように髪を撫でたり指先にキスをしたりした。  
…信子は修二のすることを黙って受け入れ、ただ触れ合うだけの接触に安心したのかすぐに目を閉ざしてしまった。  
 
「おやすみ」  
 
修二は落ちるように意識を失ってしまった信子を起こさないようにそっと抱きよせた。  
後始末をしなければ、と思うのに自分の傍に寄り添うようにして眠る信子を離したくない。  
とにかくこんなに夢中になったSEXは初めてだった。  
淡白な方だった筈なのに、まだ物足りない。と思うなんて信じられない。  
とにかく腕を動かすのも億劫で、結局修二は睡魔の誘惑に負けてしまった。  
泥のように眠って、目が覚めたら一緒に風呂に入るのもいいかもしれない。  
もう一回しようか?と誘ったら信子はどんな顔をするだろう…?  
…避妊をしなかった…子供ができるかもしれない…がそれもいい。信子と子供と…暮すのも…  
 
眠りに落ちる瞬間の幸せな、幸せなとびきり甘い夢だ。  
本当の夢の淵に沈みながら修二は想う。  
 
目が覚めたら、一番最初に「おはよう」…それから順序が違うけど  
 
「俺を付き合おう信子…」  
 
もし、断られたって構うものか。あいつから、信子を奪ってみせる。  
俺は思いの外追いかけるのが好きみたいだから―  
 
 
 
 

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