微笑んだ彼女を、彼は折れそうなほど抱きしめた。  
ゆっくりと腕を緩めて、自分に体重を預ける彼女を覗き込む。  
「信ちゃんはー、危ないからー、俺がぁー、守ってあげます♪」  
なんとかいつもの調子を取り戻して、おちゃらけキャラにきっちりとスイッチを戻す。  
傷ついたであろう彼女を、よけい傷つけたくはなかったから。  
敢えてふざけて見せた彰を、信子はすがるように見つめた。  
自分しか頼るものがない、とはっきりと読み取れるその瞳に、彰は優しく触れる。  
「ダーイジョーブ、俺っちこんなこと誰にも言わないしぃ〜、王子様だしぃ〜」  
特に修二に知られたら、信子は死にたくなるような気持ちになるだろうと思った。  
修二は優しいが、こういったことに免疫があるとは思えない。  
安心させるように、抱きかかえた彼女の髪を梳くと、彼女は猫のように瞳を細めた。  
「それにぃ〜、信ちゃんも、彰君が来てくれると思ったからぁ〜、呼んでくれたんでショ?」  
駆けつけて、角を曲がる瞬間、確かに彼女の切れ切れの声が聞こえたのだ。  
『草……野、君!』  
切羽詰った声はそう呼んでいて、もしかしたらその直前に修二のことも呼んでいたのかもしれないが、  
それでも彰には充分過ぎる想いだった。  
彼女を好きで、だから守りたいのだと気づいて、それでも守れなかった後悔に、  
あの声は一点だけ光を差してくれたから。  
 
質問しながら、頬に軽くキスを落とすと、彼女は頬を染めて頷いた。  
「ウレシィなぁ〜、俺っちを信じてくれて♪でもねっ♪」  
歌うように答えて、またひとつキスを落とす。  
「あーゆー時はねぇ、『アキラ!』って呼ぶんだよ〜ぉ、信ちゃん♪」  
戸惑う瞳ににっこり微笑んで見せる。  
「言ってごらん♪」  
不意に彼女は、彰から顔を逸らした。  
その細い肩が震えていることに気づいて、彰はそっと信子の後頭部に手を回す。  
優しく抱き寄せると、胸に顔をうずめさせた。  
腕の中で彼女はむせび泣いていた。  
相手が男でなかったのは、幸いだったかもしれない。が。  
「うんうん、怖かったよね〜、怖いよね〜、大丈夫、だぁいじょうぶだ〜っちゃ☆」  
やわらかく絡みつく髪を撫でて、背中をさする。  
信子が泣き疲れるまで、彰はずっとそうしていた。  
 
涙がやっと止まった頃、信子は恥ずかしそうに腕の中でうつむいた。  
彰は壊れ物に触れるように頬に手を当てると、ゆっくりと唇を重ねる。  
そっとその柔らかい唇を吸って、下唇を舌でなぞる。  
「んぁ……」  
ため息をひとつこぼした彼女に、彼は深く舌を差し入れた。  
躊躇う舌を舌で抱き取って、絡めて歯列を辿る。  
「ん……ふぁ、ううん、…………あふ……」  
甘い口内を蹂躙して、信子の瞳がとろんとなるのを見届けた。  
「あ〜れ?のーぶちゃん、止ぉめなくて良〜いのぉ〜?  
 彰君、野獣化しちゃう……かもよ☆☆キャー!」  
彼女の意思を確かめたくて、もう一度キャラの仮面をかぶる。  
彼女は拒絶しなかった。紅い頬をそっと彰の胸に寄せる。  
「……俺っち、信ちゃんをなぐさめる方法、思いついちゃった☆」  
口調とは裏腹に、いつもの彰とは違う真剣な低い声に、信子の心臓が跳ね上がる。  
その勢いで彰を振り仰いで、端正な顔立ちの熱い眼とぶつかった。  
それにYesと答えれば、何が起きるのか、信子にもわかっていた。  
それでも彼女は、肯定の返事を返していた……無言のままで。  
 
「それじゃあ、忘れさせてア・ゲ・ル」  
ムードをぶち壊すような発言で信子の頬をつつくと、まるでスイッチが切り替わったように  
彰は熱っぽい眼を伏せた。  
黙っていれば女子に騒がれるはずの甘さを含んだ唇で、信子の小さい唇を包む。  
あくまでも優しい、甘いキスに、信子の全部が溶けていく。彰の腕の中で。  
これから起こることに震えるその身体を抱きしめて、首筋に紅い痕をつける。  
顔中に何度もキスを落として、耳元で囁いた。  
「……好き。大好き……好きだよ、信子」  
 
その言葉に反応して顔を染める彼女がとても可愛かった。  
「可愛い」  
正直に彰が言葉にすると、恥ずかしそうに眼を伏せる。  
首筋に落としたキスをだんだん下げていって、素肌に羽織らせたジャケットのボタンをひとつずつ外す。  
白い素肌に少女達が残した痕に、癒してやりたいと思いながら口付ける。  
「う……あッ」  
吐息が変化したのを見逃さず、桜色の乳首を口に含んだ。  
上気した頬にさらに朱が差す。  
「あ、ん、……あぁん、うぅ……」  
快感から逃げるように、身体を捻らせようとする信子をやんわり抱きとめる。  
手で反対の胸をやわやわと揉みしだいて、頂点をそっと触る。  
「ああ、……ン……ぁ、ふぁ……はぁ……ッ」  
一気に体温を上昇させる華奢な身体の表面、硬く尖った乳首を彰は吸いながら舐める。  
「んんんん……ッ!う、あぁ、やぁんッ」  
とろんとした瞳を確認して、胸を攻めていた手を下半身に移動させた。  
下着をつけられなかった信子の大事なところに触れる。  
とろとろに溶けたそこに触った瞬間、電気ショックを受けたみたいに、信子がのけぞった。  
「ひゃう……んあ……ッ!」  
細く長い、やや女性的な指を、彰は彼女の蜜の中に沈ませて行く。  
「信子……可愛い。大好き」  
言いながら乳首をしゃぶり、溢れる蜜を優しくかき混ぜる。  
聞こえているのかいないのか、信子は素直に快楽を訴えた。  
「やぁ…………んッ、あ、あ……の……わた、わたし……あぁんッ、ヘ、ンなのぉ……」  
すっかりハスキィになった声で、下半身に血が集まるのを自覚しながら、  
彰は彼女に笑ってみせる。  
「なんか溢れてきちゃう?熱くなってきちゃった?」  
淫らに濡れた瞳でかすかに頷く信子に、彰は舌を絡める。  
「それはねぇ信ちゃん、気持ちが良い証拠だよ、良いことなんだよ〜」  
言って、痛くないように気をつけながら信子を床に下ろす。  
熱い彰の腕の中から、ひんやりした床の上に下ろされた信子が戸惑った隙に、  
彼女の細い脚を開いて顔をうずめた。  
 
「ひゃああう!ダメ、ダメ彰……くん、そんなとこダメ……!ああああン、きたな……」  
彼女は思わず彼の名を呼んでいたことに、気づいていただろうか。  
そんなことを頭の片隅に浮かべながら、彼は彼女の蜜を啜った。  
「ダメじゃないでしょぉ。可愛い信ちゃん、俺っちに全部見せて」  
じたばたと抵抗していた身体が、中心から伝わる熱で制される。  
「あ、あああああ、ダめぇ……そんなの、そ、あ、やぁあああああっ!」  
敏感な蕾を舌でざらりと舐め回され、蜜壺に差し込まれて、信子の頭の中がまっしろになった。  
 
彰は咄嗟に口を離して指に切り替え、びくびくと跳ねるその身体を抱きとめる。  
このままでは床に頭を打ってしまいそうだった。  
震える睫毛にキスを落として、ぎゅうっと抱きしめる。  
「のーぶちゃん、カーワイイー」  
彰は床に座って、膝の上に息の荒い彼女を乗せた。  
額をくっつけて何度もキスをして、今日はここまででも良いか、と考え始めるが。  
血の集まりすぎた下半身を意識した信子が、びくん、と震える。  
「あぁ〜、ごめんねぇ〜、怖いよね?」  
意外にも、信子は俯いたままふるふると首を振った。  
「もしかして……ぇ、この先もいいとか言っちゃうのぉ?」  
しばしの躊躇い。そして、彼女ははっきりと頷いた。  
「本当にぃ〜?怖いんデショ?むーりはダーメダーメ!」  
茶化した彰を、意を決したように顔を上げた信子の瞳が射抜いた。  
「……大丈夫」  
繰り返して、言い聞かせるように言葉をつむぐ。  
「……大丈夫。彰君なら、大丈夫」  
 
動揺したのはむしろ、彰の方だった。  
 
「本当の本当に、良いの?」  
しつこいと思いながら、思わず訊ねてしまう。  
とろり、と快楽が溶けた瞳でそんなことを言われて、止められる筈もないのに。  
 
信子が頷いた、と思った瞬間、彰の中で何かがはじけていた。  
膝の上で抱いていた彼女の華奢な身体を抱きしめて、  
彼女の腕を自分の首に回した。  
先程絶頂に達した蜜壺に、再度指を沈める。  
「んああああッ!」  
素直に快楽を訴える身体に、制服のパンツのジッパーを下げた。  
中から、これ以上ないほどはちきれた肉棒を取り出す。  
信子のどろどろに溶けた蜜壺を、肉棒でなぞる。  
「……ふぁ、あぁ、ンぅ……あ、あ、はぁ……ンッ」  
動き出しそうな信子の腰に手を添えて、耳元で囁く。  
「信子、そのまま、力抜いて」  
腕の中の信子が、力を抜いた瞬間、その体重で肉棒が信子にめり込んだ。  
 
「痛……ッ!」  
あまりの痛みに抜こうとしても、自らの体重で身動きが取れない。  
狭すぎる膣の中、彰のモノも苦しいほど締め付けられる。  
そんな彼女の痛みを少しでも軽減させようと、彰は目の前の乳房にしゃぶりついた。  
「あッ!…………ふぁ、……あふ……」  
甘い快感と鈍い痺れに、信子の頭が混乱する。  
その表情を見て、彰はそろそろと腰を動かした。  
片腕を彼女の背中に回し、優しくさすりながら、もう片方の手でクリトリスを弄る。  
「ああああああッ!……あ、くぁ、ああああん」  
刺し貫かれた痛みを上回るほどの快楽を与えられて、信子の身体からすっかり力が抜ける。  
その重みですっかり奥まで埋まった肉棒に、彰は顔をしかめた。  
気持ち良さに引きずられて乱暴にしそうになる。  
 
熱に浮かされたように快楽側に傾いた彼女を感じて、背中の手を後頭部に回して  
ゆっくりとキスをした。  
「動いても、良い……?」  
わずかにうなずいた彼女の腰に両手を添える。  
ぞろり、と肉棒を抜いて、また差し込むと、彼女は苦痛と快楽がない交ぜになった喘ぎを上げた。  
二人の体温で、繋がっている部分は溶けてしまいそうだ。  
その火傷しそうな熱さに、彰は無理矢理引き剥がすように腰を回した。  
「あ、ふぁああああんッ!」  
乳首を口に含んで、上下、左右に揺らす。  
「あ、あ、あン……ッ、ふぁ、あ、あ、彰……くぅん」  
掠れる声で男を呼ぶ声に、ぐっと抱き寄せて耳元で応える。  
「……信子」  
びくっと彼女の身体が震えた。  
何度も名前を呼ぶ。こんな時に相応しい言葉がある。そんな気がした。  
「……大好きだよ」  
信子の内側が彰をぎゅっと締め付けた。  
それじゃ足りない。そんな言葉じゃ足りない、そう思った。  
少しだけ乱暴に腰を打ち付けると、信子は嬌声を上げてのけぞった。  
「あ、あああああああああ、うう、ああああんんッ」  
熱いマグマみたいな蜜がとろとろと零れ落ちる。  
首に回させた腕に力がこもり、彰を抱きしめた。  
二人ともに絶頂に達する瞬間、彰の脳裏に言葉が浮かぶ。  
「信子、…………愛してるよ……ッ」  
抜こうとした動きを、抱きしめた信子の腕が阻む。  
意識を手放しそうなほどの快感の中、信子は頭の中に光が満ちるのを見て―――呟く。  
「……………………わたしも………………」  
その囁きは彰の耳に届いて、彼は愛しい少女を力の限り抱きしめた。  
 
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