俺は、野ブタが好きなんだろうか。
断じてそんなはずはない、とぼんやり考えながら、側にいる野ブタの顔を見つめてみる。
「・・・・何」
不躾な視線に、居心地の悪さを感じたのだろうか。
形の良い唇がもごもごと動いて、きまりの悪そうな声で呟いた。
・・・・・あ。
「んーん、なんでもなーいっちゃ」
「・・・そう」
ちらり、と、不審なものでも見るような視線を向けられる。
「じゃ、・・行くから・・・・私」
それだけ告げて、野ブタは早足でどこかへ行ってしまった。
あーあ、と呟く。
なんか、今気付いたかも。
俺、野ブタが好きかもしんない。
だって、さっき野ブタの顔見たとき、
なんかすごいキスしたい、って思ったし。
「・・そっか、俺、野ブタが好きなんかー・・・」
気付いた途端、なんだか楽しくなってきた。
わくわくする、とでも言えば良いのか。
「・・・どーやって落っとそっかなー」
修二にでも、相談してみるべきか。
僅かに漂う、野ブタの残り香を胸いっぱいに吸い込みながら、愛しい少女の顔を思い浮べた。
「フォーリン・ラーブ」
あいつにまで、この声が届けば良い。
そう願いながら、ひたすらに青い空を見上げた。
endだっちゃ☆