「もう、そろそろ慣れてもいいんじゃないのかい?」  
「・・・・・・・・・・・くっ!」  
「ほぅら、本当はキミだって分かってるんだろう? こうやって扱われる事に、だんだん抵抗が無くなっていってるって事にさ」  
「・・・・・・・・誰が・・・・・・・・・はぁっ!」  
「頑固だねぇ・・・・・・・そういうところ、嫌いじゃないよ『ルーネット』ちゃん」  
「・・・・・・・・・・・お前に・・・・・・・・誉められたって・・・・・・あああっ・・・・・・・・・・嬉しくなんか・・・・・・・・!」  
「そうかい?でも、そうやって嫌がってる割には、呼び出されたら毎回キッチリ現れるよねぇ?何をされるかも判ってるのにねえ?」  
「なっ・・・・・・・・・・?」  
「―――――――キミ、本当にここに来るのを嫌がってるのかい?」  
 
 そう言いながら『慈愛の聖母』ことシスター・レイン、いやレアンドラは、それまで愛撫していた人物の乳首を無造作に捻り上げた。  
 
「はがああああああっ!!」  
「相変わらずのいい反応だ・・・・・・・・・・つくづく、あの赤毛の仔猫ちゃんには勿体無いね、キミは」  
 
 ゆったりとした修道女の衣装。そのトーラス女学院の制服の下にあるのは、ほっそりとはしていても、確かに男の――――まだ少年と呼ぶべき未成熟なものではあったが―――――肉体であった。  
 
「そうだ『ルーネット』ちゃん。その調子だ。そうやって、いま起こっている感情に素直に身を任せる事が大切なんだ。気持ちいいだろう?とてもとても気持ちいいだろう?それでいいのさ」  
 
「・・・・・・・・気持よくなんて・・・・・・・・くううう・・・・・・・・ない・・・・・・・!!」  
「――――――嘘だね」  
「違う!違う違う!嘘じゃない!気持よくなんて・・・・・・・・ああああああああっ!!」  
 
 何か特別な事をしたわけじゃない。レアンドラは、未だ何かを言おうとする少年の股間に指を這わせただけだ。  
 しかし、そのうごめく指先は、制服の分厚い布地の上からでも彼の性感に充分なダメージを与えたらしかった。  
 
「くすくす・・・・・・・・どうしたの?顔が蕩けそうになってるよ?気持よくないんじゃなかったのかい?」  
「はひいいいっ!!ひはっ!ひはっ!」  
「・・・・・・・・・・・まずはここまでだね」  
 
 レアンドラは呟くと、少年の股間をまさぐっていた左手の動きを止め、服の下から乳首を直接愛撫していた右腕を抜いた。足腰が利かなくなっているのか、彼はその場にくたくたと崩れ落ち、荒い息を吐いた。  
 
「ルーン。・・・・・・いや、やっぱり『ルーネット』で通そう。ここはあくまでトーラス女学院の生徒会室の中なんだから。そうだろ諸君?」  
 
 彼女はそう言いながら周りを見回す。そこには、熱っぽい眼差しでそれまでの二人のやりとりを見つめる数名の少女たちの姿があった。  
 生徒会長のラヴェンナ、副会長のリティシアとヘイラ、さらに生徒会に籍を置く女生徒たち。  
 
「はいシスター。この神聖なるトーラスに、男の子の居場所など、もともとあろうはずがありません」  
 
 みなの意見を代弁する形でラヴェンナが口を開く。しかし、その眼は潤み、頬は紅潮し、この後に行われる行為を、彼女たちがどれほど期待しているかが窺えた。  
 
「ではラヴェンナ、キミはこの子をどうすべきだと思う?」  
 
 今まで何度となく、この少年の眼前で交わされてきた会話。  
 決して逆らえないと知りつつも、その屈辱に慣れる事の出来ない彼。  
 その彼のあらゆる矜持、人権、そして存在そのものすらも否定するかのように、彼女たちは少年を完全に無視する形で会話を進める。  
 
「この者は女の身でありながら、あたかも自分が男であるような振る舞いをし、我がトーラスの風紀を著しく乱しました。その罪は決して軽いものではないと・・・・・・・・」  
「―――――そうだね。今日の罪状はそんなところにしとこうか」  
「『お仕置き』ですわね、シスター!?」  
「シスター!」  
「シスター!」  
 周囲の少女たちが口々にそう叫ぶのを、レアンドラは楽しそうに眺め、最後に肩を震わせうずくまるルーンにちらりと視線を送る。  
 
 そこにいるのは哀れな子羊。  
 本来、女しか存在し得ないこの秘密の花園に、何の因果か飛び込んできた格好の実験動物。  
 この少年が今ここにいるという結果をかんがみれば、レアンドラはあの赤毛の少女・・・・・・・フィリエルに感謝すらしたくなる。  
 
「さあ『ルーネット』、ここにいる彼女たちはこう言っているが・・・・・・・キミの意見を聞かせてもらおうか?」  
 
 少年は燃えるような殺意を込めた視線を、その返答とする。  
 ・・・・・・・・・・しかし、それも長くは続かない。やがては目を逸らし、力なく立ち上がる。彼女はこの瞬間が大好きだった。  
 世間には、このレアンドラの魅力に逆らえるほどの男すら、そうザラにはいない。そして、そんな数少ない男たちを屈服させる瞬間。その快感ときたら―――――!  
 
「・・・・・・・・お姉さま方・・・・・・・・いけない『ルーネット』を、お仕置きしてください・・・・」  
 
「仕方の無い子だね・・・・・・・・・・」  
 
 レアンドラの許可が下りた瞬間、その部屋にいた全ての少女たちが彼に群がりついた。  
 
「くぅっ、やめろぉ・・・・・・・!!!」  
 
 思わず彼女たちを振りほどこうとするルーン。しかし・・・・・・・・。  
 
「何よ!この子ったら抵抗する気!?」  
「あたしたちに逆らったら、あの赤毛の仔猫がどうなるか分かってるの!?」  
 その瞬間にルーンはもう何も言えなくなった。  
 
 ―――――そうなのだ。伯爵家の計らいで俗世から身を離すため単身、トーラスに入学した幼馴染みのフィリエル。  
 しかし陰湿なイジメどころか、場合によっては暗殺すらもまかり通るこの女学校で、彼女を守り通す。そのためにこそ彼はここにいるのだ。そのためには・・・・・・・・!  
 
「なぁによ、さんざか抵抗しておいて結局ココはビンビンじゃない?」  
「はふうっ・・・・・・・・・・・!!」  
「恥ずかしいと思わないの?『ルーネット』ちゃん?」  
「訊かれたら答えなさいっ!」  
「・・・・・・・・・はっ・・・・・・・はひっ・・・・・・・・はづかしい・・・・・・・・・・れふうっ・・・・・・・!!」  
「きゃはははははっ!! ばっかみた〜い」  
「ねえねえ、昨日の授業で習ったアレ、ちょっと試してみない?」  
「ふぇらちお、だったっけ?」  
 
 二人の少女が、何のためらいも無く彼のペニスにむしゃぶりつく。  
「あああああああっ!!」  
 
 ・・・・・・・・この女学校は、この国における宮廷婦人の養成所の役割もかねている。  
 つまりここには、彼女たちの『女体』と言う武器を『政略結婚』という実戦の場に於いて有効に活用するための、あらゆる性技を教える授業が存在するのだ。  
   
 そしてルーンは、今や、それらのテクニックに対する格好の実験材料となっていた。  
 
 

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