「あっ、あっ、ひぁっ、んっ、はっ、あくっ」  
一条家の食堂に少女の嬌声が響く。  
学校帰りの制服は乱れ、非対称な髪型が揺れ、全身に玉のような汗が滲み出ている。  
楽は小咲を畳の上に組み敷き、蹂躙しながら、不思議な感覚に陥っていた。  
意識と肉体が乖離し、宙ぶらりんになっている。  
例えるなら幽体離脱か。しかし、五感はきちんと感じる。  
小咲の体温は感じる。肌の感触も感じる。嬌声、蜜の匂い、締め付けられる性器、迫り来る射精感もだ。  
ただ、肉体から理性が追い出され、首から下が本能に支配されている。  
思う通りに制御出来ず、ひたすら穿つ腰をぼうっと眺め、観察している。  
(あれ…何でこんな事してんだっけ…)  
ふわふわして地に足が着かないまま、楽は記憶の糸を手繰り寄せた。  
 
―小野寺にレシピ教えて、皆も一緒に晩飯食って―  
 
―小野寺が先に食い終わったから、皿洗い頼んで―  
 
―あ、俺途中でトイレ行ったんだ―  
 
―そう言えば、戻ってきたら味が少し変わってたな―  
 
唐突に組員達の顔が浮かんだ。  
(あぁそうか、あいつら…俺に何か盛ったんだな…)  
あの後、体が熱くなり、心配して手を差し伸べてくれた小咲を押し倒したのだった。  
明日はハバネロでも食わせるか。いや、飯抜きでもいいか。  
場違いにおしおきを考え、小咲を見下ろした。視線が絡み合う。  
口をだらしなく開け、目を潤ませ、楽を見上げている。  
肌が桃色に上気し、艶めかしい瞳が語りかけてくる。  
 
――もっと、もっと来て――  
 
心臓が高鳴り、その目に吸い込まれそうになった。  
ここに来て漸く意識と肉体が一致し、ふわふわした感覚が無くなった。  
腰を振ったまま、倒れ込むように顔を近づけ、口づけを交わす。  
そのまま抱きしめ、舌を絡め、本能を加速させる。  
小咲も呼応するように楽の背中に腕を回し、足を絡め、一緒に腰を振った。  
 
やがて楽は限界を迎え、内部にソレを爆発させた。  
オスの本来の仕事を全うするため、全てを流し込むように腰を振り続ける。  
結合部からピンク色のカクテルが流れ出す。  
最後の一滴を押し込むため、入口付近まで腰を引き、一気に子宮を貫いた。  
ずん、という衝撃が小咲の全身を駆け巡り、昇天した―。  
 
脱がされた制服を手繰り寄せ、胸元まで隠して、小咲は楽に寄り添う。  
必然的に、楽は小咲の肩を抱く形になる。  
「あぁ…あの、さぁ…小野寺…」  
「…うん…なぁに?」  
バツが悪そうに口を開く楽に、小咲は気にしない様子で微笑みかける。  
「その…抵抗、しなかった、よな…最初、押し倒した、時…」  
何故、と言いかけて、人差し指で一瞬口を塞がれた。  
「もしかして謝るつもりだった?…じゃあ謝らなくていいよ?それとも…理由?」  
それなら答えは一つだ。  
 
 
――だって、一条君の事…好き、だもん――  
 
 
頬を赤らめ、恥ずかしそうに俯き、楽の胸板に顔を埋めた。  
身体が密着し、ふくよかな膨らみが楽の体に押し付けられる。  
堪らず、小咲を抱きしめる。  
「俺…俺も、好きだ!」  
「え…あ、ほん、とう?」  
「ああ」  
小咲は、返事の代わりに、楽の背中に腕を回した。  
 
〜fin〜  
 

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