(あれ?何でこんな事に…あ、そうか、さっき…)  
小咲は楽に抱きしめられながら、ついさっきのハプニングを思い出した―。  
 
今日、勇気を出して彼を誘った。実家の和菓子屋を手伝ってもらうためだ。  
自分の母親に認められると悪い気はしない。  
母が出かけた後、一緒に和菓子を作っていると、外の雲行きが怪しくなってきた。  
「あれ?…一条君、台風だって」  
「え…マジかよ」  
外出した母に連絡すると、止むまで戻って来れないらしい。  
(あ!…ふ、二人っきり…)  
気づいた途端、心臓がバクバクして来た。顔も、多分真っ赤だろう。  
楽に知られないだろうか。  
 
「これじゃあ客来ないしな…一旦店閉めるか?」  
「あ、う、うん…」  
慌てて取り繕う。気づかれてないだろうか。  
「小野寺?…どうかしたか?」  
「や、な、何でも…無い、よ」  
楽は少し不思議そうな顔をしたが、相槌を打って、そのまま店先に向かった。  
(よ、良かった…気づかれて無いみたい)  
ホッと胸を撫で下ろすと、暖簾を降ろし、戸を閉めてもらう。  
「取り敢えず、こんなんでいいかな」  
パンパンと手を払う楽を見ていると、将来こうなったら…という想像が頭を過る。  
(だったら…いいな…)  
 
「…でら…小野寺…?」  
ハッと我に返る。楽の顔が目の前に有った。  
(くぁwせdrftgyふじこ!!)  
「だ、大丈夫か?顔赤いぞ」  
「い、いやあの、だ、だいj」  
小咲の言葉を遮るように、楽が額と額を合わせる。  
「う〜ん、熱はあんま無いみたいだな」  
顔を離しながら呟く。彼女の動揺には気づいてないようである。  
(あ、危なかった…)  
「一応ムリすんなよ」  
「う、うん…」  
心臓の高鳴りを知られないように気を付けつつ、店の方を片付けた。  
 
調理場に戻ると、楽が調味料を眺めていた。  
「お、料理酒だって」  
棚の隅に置いてある一升瓶を手に取る。母の秘蔵の逸品だった。  
最近開けたばかりのようだ。あまり減ってない。  
「あっ、それは」  
小咲が制止する間もなく、楽は蓋を開け、匂いを嗅ぐ。  
「あれ?なんか他のと違うような…」  
「あ、あの、それちがっ」  
駆け寄った瞬間、窓の外が光った。  
 
ピカッ!ドーン!!  
 
「きゃあっ!」  
近くに雷が落ちたらしい。  
弾みで楽にぶつかり、床に倒れた。  
彼がクッションになったお蔭で、怪我は無いらしい。  
「…あ、ご、ごめん、だいじょう…え…?」  
何かが楽の口に刺さっている。  
料理酒と書かれたラベルが、逆さまに見え、蓋は近くに転がっていた。  
「ん、んぐ…んぷ、んぐ…」  
「ああああ!の、飲んじゃだめぇ!」  
慌てて引き抜くと、半分ぐらい無くなっている。  
「い、一条君、大丈夫!?」  
取り敢えず蓋をして、楽を抱き起す。  
 
「う〜…おの…れ…らぁ…」  
「へっ?」  
呂律が回ってない。  
「よ、酔って、る?」  
「らいりょーぶぅ、よっれらいよ〜」  
(え〜と、酔ってる…よね)  
心中突っ込みつつ、そのまま壁にもたれさせる。  
「ちょっと待ってて、お水もっt」  
言い終わらぬ内に、手首を掴まれた。  
勢い良く引き寄せられ、抱きしめられた。  
 
そして現在に至る―。  
 
「おのれら〜♪らいすきぃ…えへへへへ」  
(すっ!?すすすすきって、えっ!?)  
楽は小咲を抱きしめ、頬をすりすりしてくる。  
(あ…だめ…力入らない…)  
心臓が飛び出しそうだ。顔が熱いのが自分でも分かる。  
「ねぇ〜…おれのころ、すきぃ?」  
「あっ…えと…う、うん…す、好き、です…」  
一層強く抱きしめられ、理性が少し麻痺する。  
少しぼーっとしたが、気を取り直して楽を見る。  
「あ、あの、い、一条君、とりあえずリビンgむぅ…!?」  
小咲は目を白黒させた。  
キスで唇を塞がれ、背中と後頭部に腕を回され、身動きが取れない。  
初キスがこんな状況なのはどうなんだろうか。  
しかし、るりには話せないだろう。  
 
「ん、ふはっ、んん!?」  
息継ぎをした拍子に、楽の舌が口内に侵入して来た。少し酒臭いか。  
逃げ場が無く、舌が器用に絡め捕られる。  
時に唾液が流し込まれ、時に舌を吸われ、思考が蕩けてきた。  
目を瞑り、両手を楽の首に回す。  
ここが何処かを忘れかけ…ハッとして目を開けた。  
「んん…ん〜…ふ、はっ」  
両手を胸板に当て、少し強引に顔を離すと、ちゅぱっと音がした。  
二人の舌の間で、混ざり合った唾液が糸を引く。  
中断するのは名残惜しいが…ここは調理場だ。  
 
「あう…おのれらぁ?…さんにんいrヒック」  
どうやら、焦点が合っていない。  
(それ、三重に見えてるだけだよね)  
敢えて声には出さず、ハグを解除させる。  
「と、とりあえずさ、リビング、2階、行こう、ね?」  
「う〜…ぉぅ…ウィック」  
壁にもたれさせながら立ち上がらせる。  
肩を貸し、ゆっくりと歩いてもらう。  
また抱きつかれる格好になるが、この際仕方ない。  
 
割烹着を脱がし、調理場を出た所で、楽が囁いた。  
「なぁ、おのれらぁ」  
「な、なぁnひゃっ!?」  
楽は小咲の耳に息を吹きかけ、首筋にキスを落とした。  
背筋がゾクッとして一瞬腰が抜ける。  
廊下で良かった。二人で壁にもたれ、何とか支えた。  
ふと楽の顔を見ると、酒で顔は真っ赤だが、いたずらっ子のような笑みを浮かべていた。  
どくん、と心臓が脈打つ。抗議しようにも、こんな顔を見せられたら無理だ。  
「はれぇ…ろうしたぁ?」  
「な、なな、何でも、ない…」  
思わず目を逸らす。  
もう一度肩を貸し、階段に向かった。  
因みにこの後、階段で十数回、同じいたずらをされた。  
 
やっと2階に着いた。階段を上り始めて20分以上経過している。  
感情を掻き乱され、這う這うの体で楽をリビングに入れる。  
ソファに倒れこむように、二人で座った。  
「はぁ〜…つ、着いた…」  
一息吐いて顔を上げると、楽の顔がすぐそこに有った。  
数秒見とれてしまい、のぼせ上がる。  
「う〜…うぁ…おのれらぁ」  
「え?きゃっ!?」  
その隙にガバッと体重を掛けられ、押し倒された。  
「んっ!?むぅ、んく…ふっ…」  
また唇を奪われ、舌を入れられる。  
互いの舌を絡め合わせ、唾液を混ぜ合わせていく。  
 
楽と両手を繋ぎ合わせ、目を瞑った。  
官能的な刺激が心を支配していく。  
脳の奥から痺れてくるような感覚を味わう。  
指を絡ませ、互いの体温を感じる。  
一旦顔が離れる。  
「はぁっ…ふっ…」  
開いた口から、熱い吐息が漏れる。  
目を開けると、何度もこねくり回した唾液が糸を引くのが視界の端に映った。  
淫卑な印象を感じ、顔がまた熱くなる。  
糸が切れる前に、また唇を重ねた。  
絡ませていた手が離れる。  
両手を楽の首に回し、また目を瞑る。  
のし掛かってくる楽の体重も、感じる体温も、全て幸せに思えた。  
 
おもむろに、楽が手を動かす。  
彼女の服をたくし上げ、中に手を入れた。  
「ふぁっ!?」  
びっくりして顔を離す。  
楽が耳元に顔を近づけ、囁いた。  
「おのれらぁ…しゅ、きぃ」  
呂律が回らず、舌足らずな言葉で口説き、ブラのホックを外す。  
「あやややや、ああああの、いいいち、じょぉ、くん、やん!」  
楽の両手が胸を揉みしだいた。小咲の喉がぴくんとのけ反る。  
「あぅ〜…やぁらかい…」  
「ふゃ…ん、だ、だめ…ま、まっt」  
小咲の言葉を待つ事無く、楽の指が双丘の頂に有る突起を摘んだ。  
「!はゃっ、あんっ!」  
体ごとのけ反った。全身を経験した事の無い感覚が駆け巡る。  
 
「こえ…もっろ、ききらい…」  
胸の膨らみと乳首を執拗に弄ぶ。  
「あっ、やぁ!…んはっ、ん!あっ」  
時折ぴくんと体を震わせる反応を楽しむように、楽は手を動かす。  
小咲の息が荒くなり、声が大きくなる。  
少しずつ、楽の顔が移動していく。移動しながら、キスマークを付ける。  
耳、首筋、鎖骨と、段々下がって行き、胸の谷間に辿り着いた。  
一旦手を止め、おっぱいをじっと見つめる。  
「あ、あの…そ、そんなに見ないで…」  
「ん〜……きれいらなぁ」  
「へっ?」  
基準が良く分からない。  
 
一通り眺めると、また胸に顔近づけ、今度は乳首を口に含んだ。  
「はぁぅ!?」  
ざらざらとした感触が、硬くなった突起をいじくり回す。  
舐め回し、押し返し、時々吸う。  
「はあ、は、うん!…んふっ、やっ、はっ」  
小咲は小刻みに反応し、体を震わせる。  
楽の後頭部に置いた手から力が抜ける。  
快感が意識を支配し、全ての感覚を包み込んでいく。  
やがて楽は、左手をするすると下半身の方へ移動させて行った。  
「あっ、そ、そっちは…」  
慌てる小咲を無視し、手を下着の中に直接突っ込む。  
「あっ、や、ちょっ、んっ!」  
乳首を甘噛みし、小咲を喘がせると、秘所を探り当て、中指を―  
 
―クチュリ。  
 
「ふぁあやあ!」  
思わず叫んでしまった。  
「あ〜…あっらかいなぁ…へへへ」  
小咲の顔を見て、ふにゃりと楽が笑う。  
(!そ、そんな顔…は、はんそ、く…)  
一瞬見惚れた小咲をしり目に、楽は再び乳首にしゃぶりつき、蜜壺に入れた指を動かした。  
膣の方から水音がする。  
「あっ、はん、ゃふ、んはぁっ」  
指の動きに合わせて顎が反り、開いた口から声と艶めかしい吐息が漏れる。  
体温が上昇し、肌がピンク色に上気して来る。  
 
ぴちゃぴちゃと音が激しくなってきた。  
指と内壁の隙間から愛液が漏れ、下着を濡らしていく。  
「い、いち、じょ、おく、…はぁ、ん…」  
悩ましげな口調で楽に話しかける。  
「ん〜?」  
楽が相槌を打つ。が、指の動きはそのままだ。  
「し、した、ぎ、よごr」  
彼女の言葉は、新しい刺激で遮られた。  
陰核を親指で擦りあげる。  
「ひやああ!」  
背中が反り返った。ドプッ、と割れ目から音がした。  
 
最早、下着が意味を成していない。  
「ぁ〜…ひらぎぃ?」  
楽が顔と右手を胸から離し、下腹部に移動させる。  
「ぁ〜…いらねぇ」  
「ふぇっ?」  
右手を着ていた服に掛け、下着と共に一気に剥ぎ取った。  
「きゃっ!」  
恥部が露わになり、外気に触れる。  
「あやっ、まっ、あんっ」  
悲鳴を上げて楽の顔をどけようとしたが、核を摘まれ、阻止された。  
 
溢れた蜜が、ぽたぽたとソファに滴り落ちる。  
意識が混濁していく。五感の境界線が曖昧だ。  
力が入らない。抵抗も出来ずに開脚させられた。  
指を引き抜き、顔を近づける。  
「えっ?…んっ!」  
楽の舌が入り口をペロリと舐めた。  
そのまま口を付け、液を吸い出す。  
 
ジュッ、ジュルッ―  
 
「あっ!あくっ!ひあっ、あっ!」  
小咲の体が、ピクピクと痙攣をくり返す。  
「ん〜…おいひぃ」  
「へぁっ…ゃ…の、のま、なあふっ!」  
わざとか、聞いてないだけか。小咲の言葉を遮り、割れ目に舌を這わせ、液を吸う。  
鼻を押し付け、ぷっくりと膨れた突起を擦る。  
「はんっ!はぁっ、あぅっ!んっ!」  
息つく暇が無い。次々と押し寄せる快楽の波に、彼女の意識が押し流されていく。  
楽の舌がジュクジュクと掻き出し、飲み下す。  
 
一通り飲み干した所で、楽が起き上がった。  
小咲の両手がソファに投げ出される。  
「はぁっ、はぁっ……い、ちじょぅ、くん…?」  
クタッと脱力しながら楽を見る。  
「う〜…あちぃ…」  
「え?…!」  
おもむろに服を脱ぎ出した。  
上半身、裸になる。次いで、ベルトを外す音が聞こえる。  
ズボンを脱ぎ、放り投げる。トランクスも投げ捨てた。  
自己主張の激しい状態のモノが目の前に晒された。  
結構大きいように、小咲には見える。  
「いいいい一条君、ななな、何しt」  
ガバッと覆いかぶさり、また遮るようにキスをした。今度は軽く。  
「らにってぇ…ひまってんらろ」  
へらっと笑うと、膝立ちになり、小咲の腰を支え、自分の腰を近づける。  
「ああああの、は、初めて、だか、らその」  
「ぁ〜、らいじょーぶらぉ、おれもはじめれらから〜、あははは〜」  
何が大丈夫なのか。そう言いつつ、先っちょを割れ目に当てた。  
「あっ!んっ、はぁっ」  
くちゅくちゅとカリの部分を擦りつけ、蜜とペニスを馴染ませる。  
そして―  
 
つぷり、と音がした―。  
 
「はぁっ…んっ…あっ」  
ゆっくりと蹂躙されてくる感覚が、小咲に恍惚の表情を出させる。  
肌がしっとりと汗を掻いて来た。  
少し入った所で、楽がぶるっと震えた。ドクッと熱い物が流れ出す。  
「!……い…今の…」  
「ぉぅ、わりぃ、ちょっろ、れたぁ、えへへへ」  
全く悪びれる事も無く笑い、そのまま腰を埋めて行く。  
「んっ…ふぁっ…はんっ……ひぐっ!」  
或る所で抵抗感を感じ、侵入が止まった。  
小咲の顔が少し苦しそうだ。  
「あ…わ、たし、だい、じょう、ぶだか、ら…」  
うっすら涙が見える。  
 
「うぁ…おの、れらぁ」  
「な、なぁ、に…んぅっ」  
また口で口を塞ぎ、舌をねじ込む。  
同時に小咲の両手を探し、指を絡ませた。  
「んっ…はむっ…んふぅ…」  
小咲の舌を優しく絡め取り、唾液をこねる。  
楽は舌を今までよりゆっくり動かし、小咲の強張りを解いていく。  
絡ませた指を曲げ、手を握る。  
小咲も、シンクロするように手を握った。  
体を密着させ、互いの体温を感じる。  
二人ともリラックスしてきた。  
小咲の内部も弛緩して来る。楽が腰を少しずつ進める。  
「はぁっ…んんっ、ふぅ…んむ」  
じんじんと鈍い痛みは感じるが、強張る程では無くなってきた。  
 
楽が口を離す。  
「あっ、はぁあっ、ん」  
溜まっていた物を吐き出すように声を上げる。  
艶めく溜息は、既に女だ。  
それは熱を帯び、目は潤み、うっとりと楽を見つめ、誘惑する。  
楽が耳元に顔を寄せて囁いた。  
「ん〜……こしゃ、きぃ」  
「!えっ…いま、あんっ!」  
言葉の途中で、楽が最後の一押しを突き上げた。  
ビクッと体が震える。痛みでは無く、別の感覚だ。  
「へへへ〜、れんぶはいっらぁ」  
「はぅ…さ、先に言ってぇ」  
せめてもの抗議だ。楽は意に介さず、笑った。  
「うぁ〜…うごくぅよぅ」  
「うん…」  
今度は返事を聞き、ゆっくりと腰を動かし始めた。  
 
楽の腰が動く度に、襞がペニスに絡みつく。  
周りの筋肉も伸縮を始め、楽を急かす。  
少しずつ、往復が早くなる。  
「はぁっ…んんぁっ…あっ、はぁ」  
「う…うぁ、ぐぅ…こ、しゃき、ぃ…」  
「あっ、な、まえ」  
小咲は幸せを感じ、手をギュッと握った。  
その瞬間、子宮もキュッと縮まり、二人を快楽へと誘う。  
「あんっ!…あっ、あふっ、んゃっ、んっ」  
「うっ!…うぁっ、あぅっ、ぐあっ」  
腰の動きが激しくなり、ソファが軋み出した。  
「こ、こしゃ、きぃ、うあ、はぅ」  
「あっ、あっ、ら、らく、くん、んはっ」  
お互いを名前で呼び、体温を感じ合い、性器を擦り合わせる。  
 
指が離れ、楽が両手をソファに落とす。  
小咲の両手が楽の首に巻きついた。  
射精感が競り上がってくる。  
陰茎が膨れ上がり…ドクッと爆ぜた。  
酔って理性が麻痺しているため、我慢出来ないらしい。  
楽はそのまま腰を振り続け、白い欲望を流し込む。  
「うっ、うぁっ、あぅ…」  
「あっ!あんっ!あっ!あつ、いぃ…はああっ、あっ」  
子宮がドロリとした液体で満たされていく。  
溢れた混合液が、結合部の隙間から零れてきた。  
最初は赤色が濃かったが、やがて白に近いピンク色に変わる。  
子宮の襞と筋肉が蠢き、楽の精を搾り取る。  
やがて、楽は高みに登って行き、最後に腰を一際大きく打ち付けた。  
「あんっ!はあああっ!」  
子宮の奥まで貫かれた衝撃が、一気に体を駆け抜け、小咲の脳髄に響く。  
二人ともそこで果て、力尽きた―。  
 
―20分後―  
 
服をたくし上げ、胸と下腹部を隠してソファにもたれる小咲と、トランクスを履いて床に正座する楽が居た。  
「楽…くん?」  
いきなり正座をして神妙な面持ちの楽に、小咲は首を傾げた。  
「あ…えっと…名前で、呼んでも…いいか?」  
酔いは醒めているらしい。  
「う、うん…」  
無論、願っても無い事だ。  
「あの、小咲……ご、ごめんなさい!」  
突然、床に頭を擦りつけて土下座した。  
「えっ!?ああ、あの、どうしたの!?」  
小咲には、謝られる理由が分からない。  
 
「おおお俺、酔った勢いで、お前の事無理やり…たた確かに両想いは嬉しいけどおおおおお」  
顔を真っ赤にしながら理由を話す楽に、小咲はくすっと笑った。  
「なぁんだ、そんな事か」  
「へっ!?」  
楽の目が点になる。  
ふふっと笑って、小咲は言った。  
「私ね、嬉しかったんだ…楽君に抱き締めてもらって、愛してくれて…そ、そりゃぁ…最初は…びっくり、した、けどぉ…」  
今までの事を思い出して、小咲も顔を真っ赤にしている。  
「え…じゃあ…小咲は、気にしてない…の?」  
「うん…楽、くんなら…別、に…」  
拍子抜けした。深刻に考えていたのは自分だけか。  
小咲が許してくれた事で、楽は安堵した。  
 
「あ、でもやっぱり…ケジメは、ちゃんと付けたいんだ」  
頭をポリポリ掻いて楽が言う。  
「ケジメ?」  
きょとんとした顔で小咲が訊く。  
「あぁ…まぁ、なんつーか、その、俺に出来る事が有ったら、何でも言ってくれ」  
勉強とか店の手伝いとか…色々挙げていく。  
「え、えっとぉ〜…じゃ、じゃあ、一つ、だけ」  
「え、一つ?で、いいのか?」  
「う、うん」  
 
胸の奥に仕舞っていた願いを打ち明ける。  
「あの、あのね、大人になってからだから、どうなるか分かんない、けど…」  
耳まで真っ赤になって俯く。それでも、自分の想いを言葉に乗せる。  
「しょ、将来の、話だけど、楽君にね、え、えっと…」  
もじもじしながら話していたが、意を決して楽を真っ直ぐに見据えた。  
 
―うちを、継いで欲しいなって、思ってたんだ―  
 
えへへ、と照れた。  
(あ、ちくしょう…可愛いじゃんか)  
自分の気持ちを再確認すると、楽も照れながら言った。  
「まあ…うん、どうなるか、わかんねぇけど、もし大人になっても好き同士だったら、さ…」  
今度は、ふっと穏やかな笑みを浮かべた。  
 
―俺に任せろ―  
 
ニカッと邪気の無い笑顔を浮かべた。  
(あ、ずるい…また好きになっちゃった)  
小咲の心臓を鷲掴みにしたらしい。  
二人で数秒見つめ合った後、くすっと笑いだした―。  
 
 
エピローグ1  
 
その頃、ドアの隙間から、二人のやり取りを除く人物が一人居た。  
(ほほ〜う、男をたらし込むとは…初心だと思っていたが、うちの娘も中々やるではないか♪)  
小咲の母は、にやついた笑みを浮かべながら、その場を離れた。  
器用に、スキップや小躍りしながらも、気配を完璧に消している。  
階段を下りる時も、不思議と音を立てずに下りる。  
やがて彼女は調理場に赴き、ノートパソコンで防犯カメラの映像をチェックし始めた。  
 
(や〜、これで跡継ぎも安泰かなぁ♪)  
にやにやと上機嫌で映像をチェックする。  
(へぇ〜、雷を利用したのか…いつそんなテクニック覚えたんだ)  
単なるハプニングだが、脳内変換が激しいようだ。  
(あ、取って置きの大吟醸を飲まれた!)  
床に置かれた一升瓶を手に取る。  
(ちっ!半分以上持っていきやがったなあいつ…)  
いつものコップに残りを注ぐ。  
 
(ほほう、酔うと積極的になるのか)  
一瞬感心した後、ニタ〜ッと悪魔のような笑みを浮かべる。  
(何回か来てもらって…何飲ませようかな♪)  
自分のコレクションを何種類か思い浮かべ、あれこれ思案する。  
娘が幸せになるなら、その貞操は関係ないらしい。  
(早く孫の顔見たいしなぁ♪)  
うきうきしながら映像を止める。  
(こいつの弁償もしてもらいたいし…まあ、半分以上飲まれたから、こいつの人生も半分貰っていいよな)  
何とも理不尽な交換法則を打ち立て、悪魔のような目で画面の楽を射抜いた。  
 
 
エピローグ2  
 
数分後、二人が調理場に下りてきた。  
手を繋いで、いい雰囲気だ。  
「あ、お母さん」  
「おう、ただいま」  
「おかえり」  
何やらノートパソコンを開いている。  
「仕事っすか?」  
「あぁ、まあね…在庫のチェックとか有るからさ」  
それもそうか、と楽は納得した。  
 
「あ!そうだ、すいません、料理酒っての、半分以上俺が飲んじゃって…」  
ぺこりと頭を下げる。  
(あら、今どきの子にしては珍しいわね)  
「あ、お母さん、色々有って…私がこけちゃって…その…」  
あわあわと小咲が説明を始める。  
「あぁ、まぁ、いいわよ…それより君、大丈夫だった?これ、料理用だけど、度が結構強いのよ」  
素知らぬ振りをして訊く。  
「あ、えっとぉ…ちょ、ちょっと危なくて…」  
「あ、あの、2階で寝てもらってたの」  
二人で赤面する。  
「ふぅん、もういいんだ?」  
「あ、はい、もう大丈夫です」  
楽は恐縮して答えた。  
 
既に夕方だ。  
楽は帰り支度を整えて玄関先に立った。  
「じゃあ、また明日な」  
「うん…あ、ちょっと待って」  
小咲は、そう言うと店の奥から紙袋を引っ張り出してきた。  
「えっと、あれとこれと…」  
お土産を幾つか見繕って紙袋に入れる。  
「はい」  
「え、いいのか?」  
「うん、今日手伝ってくれたお礼」  
そう言って、母親に同意を求める。  
「おう、持ってけ」  
母親の方を向いて楽が頭を下げた。  
 
「へへ、ありがとな」  
「うん…じゃあ…また明日、ね」  
「おう!」  
また満面の笑みで小咲の頭を撫でる。  
楽はそのまま帰って行った。  
(むぅ…やっぱりずるい)  
小咲は、ほんのり頬を染め、家に入って行った…。  
 
〜fin〜  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
るり「せんせー(棒読み)  
   一条君の酒癖がわるくてー(棒読み)  
   4人とも妊娠しましたー(棒読み)」  
集「ついでにるりちゃんも俺のせいでにn(もぎゅっ)」  
るり「次に変な嘘吐いたら、性転換させるわよ(金属バット・メガネキラーン)」  
集「こ、股間は、や、やめ・・・(プルプル)」  
 

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