楽と小咲の結婚記念日。  
小咲の提案で久々に二人で風呂に入ることになり、  
今は小咲が楽の胸に背中を預ける形で湯舟に浸かっていた。  
少し窮屈ではあるが、二人ともに満ち足りた幸せそうな表情を浮かべている。  
と、楽が少し改まって小咲に語りかけた。  
 
「今日言うべきことじゃないかもしれないんだけどさ…  
ずっと…小咲に秘密にしてたコトがあるんだ…」  
「え…?な、何…?」  
 
いつになく真剣な表情の楽に、小咲の胸に不安が募る。  
 
「俺…実は…」  
「は…はい…」  
 
軽く深呼吸をした後、意を決した楽は小咲に打ち明けた。  
 
「俺、高校生のときに小咲の裸見ちまったんだ!  
ずっと言えなくて悪かった!本当にすまん!」  
「へ?」  
 
 
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  
 
 
楽が『秘密』を打ち明けてから、しばらく呆然としていた小咲が静かに口を開いた。  
 
「…へえ…私だけじゃなく千棘ちゃん達の裸も見ちゃったんだ…?  
さらに腰にキスまでされた…?へえ…?」  
「は…はい…申し訳ありません…」  
 
晴れ晴れとした笑顔の小咲の背後にどす黒いオーラがジワジワと浮かびあがる。  
萎縮しきった楽の背筋に寒気が走る。  
学生時代からの小咲の大親友、宮本るりの『旦那にナメられるなよ特訓』により、  
入籍直後の時期に小咲は『威圧感』のスキルを習得していた。  
その威力は集英組に『黒姐御』と畏怖されるほどである(恐ろし過ぎるので実際に呼ぶことはない)。  
 
「ねえあなた…ちょっと立って後ろを向いてくれる…?」  
「えっ…?あっ、は…はい…!」  
 
楽は言われるがまま立ち上がり、壁に向かう形になる。  
そして直後、腰に小さく暖かく柔らかいものが当たり、力強くその皮膚を吸われ始めたのがわかった。  
 
「え!?ちょっ、小咲!?」  
「ん…ぷはっ…!これでよし…っと」  
「あ…あの…」  
「他の女の子の思い出なんて私で上書きしてあげるから…!次は…こうかな?」  
「く…!うわっ!?」  
 
楽の腹に両腕を回した小咲は、自分の身体を楽の背面にゆっくりと密着させた。  
柔らかさ、瑞々しさ、弾力、微かに感じる突起物の硬さに楽の心臓の鼓動は一気に加速する。  
 
「千棘ちゃんの肌に触れたのはここ?それとも…こんなに熱くて硬いここ…かな?」  
「ばっ…!?そ、そんなわけ…ねぇ…だろ…!」  
「ふふっ…分かってるよそんなの…冗談冗談…」  
「なっ…なら…!手ェ止め…くっ…!」  
 
身体を密着させたまま滑らせるように立ち上がった小咲は手の動きを早めて楽の耳元で囁く。  
 
「いっぱい出して…一条君…」  
「っっ…!?うぁっ…!」  
 
 
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  
 
 
「ご…!ごめんなさい…私ったらまた…」  
「い、いや…大丈夫大丈夫…うん…」  
 
小咲の豹変から数分後、取り敢えず身体を洗い直した二人は再度湯に浸かり寄り添っていた。  
随分と落ち着きを取り戻してはいるが、  
普段ならば絶対にしないような行動をとってしまった小咲の赤面は未だ収まる気配はない。  
 
「スイッチが入っちゃうと止まらなくて…るりちゃんの特訓が効き過ぎてるのかな…あはは…」  
「宮本はなぁ…昔からなんかオーラが凄かったよな…」  
「本当にごめんなさい…どこかケガしてない?」  
「おう、全然平気だって!むしろかなり気持ち良かっ…た…」  
「あぅ…」  
「あっ…ああ!そ、そろそろ出るか!のぼせちまうし!」  
「あ…は、はい…!」  
 
少し慌てながら浴室を出る準備をする二人。  
動きがぎこちない小咲に目をやりながら、  
楽は恥ずかしげに頬を掻きつつ語りかける。  
 
「な、なぁ…小咲…?」  
「ん…?」  
「と…とっくの昔に俺の思い出は小咲で一杯になってるからさ…ふ、不安にさせて…ごめんな…」  
「あ…う…うん…」  
 
その、まるで学生の頃のような初々しい表情のまま、二人は長いキスを交わした。  
 
 
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  
 
 
長かったバスタイムを終え、二人寝室に入ろうとドアを開いた瞬間、  
一条家の愛犬とげちーが獲物を発見した獣のような素早さで廊下を駆け抜け、楽に飛びかかった。  
 
「バウワウッ!」  
「ぎゃあっ!?」  
 
何故かとげちーに懐かれず噛まれてばかりの楽は反射的に体を強張らせる。  
が、意外なことにとげちーはペロペロと楽の顔中を舐め回し始めた。  
 
「おおっ!?なんだよとげちーお前急に!」  
「あらあら…ふふっ…多分、私の匂いがあなたの顔にたくさんついてるからかな?」  
「…てことは別に俺に懐いてくれたわけじゃないのか…こいつめ…」  
 
それはどうやら正解だったようで、とげちーは楽の顔を一通り舐め回すと、  
楽の足を必要以上に踏みつけたのちに寝室の隅の自分のスペースに寝そべり、  
満足した様子で睡眠モードに入っていった。  
 
 
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  
 
 
「……………………………………………………」  
 
朝、小鳥たちの鳴き声をBGMにとあるギャングの一人娘が目を覚ました。  
寝ボケている様子はなく意識ははっきりしているが、呆然と天井を眺め続けている。  
 
「…なんかスゴイ夢を見ちゃった気がするけど、  
カケラも思い出せないわね…あれ?…ん〜?  
…まあいいか!……ってヤバッ!遅刻する!」  
 
 
end…?  
 

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