賑やかな客人の去った後、就寝前のもろもろの物事を片付けた楓は、  
ベッドに身を預け何をするでもなく天井を見上げていた。  
(なんでだろう……なんで私、急に忍ちゃんのこと誘ったりしたのかな…?  
それに……この変な感覚は一体……。なんか胸の奥が……変な感じ……)  
楓は困惑していた。先ほど忍が現わるまでの寂しさ、現われた時の嬉しさ、  
さらに別れ際の自分の行動、そして今のこの得体の知れない奇妙な感覚。  
どれも今までに感じたことのない、全くの未知のものであった。  
先ほどからずっとこの原因考えているのだが、どうにも答えらしきものは見当たらない。  
虚ろな目で溜め息をついた後、楓は何度目とも知れない寝返りを打った。  
 
元々楓は、実際の年齢以上に人に大人びた印象を与えるらしい。  
そのせいか、同級生、特に同性からは何かと頼りにされることが多かった。  
楓自身、自分はそんなにしっかり者ではないのに、と思うのだが、  
友人の期待を無下にするのも気が引けて、つい無理をして背伸びしてしまう、  
そんなよくない傾向があった。  
 
些細な無理も積み重なれば疲れが溜まってくるものだ。  
しかしどんな疲労も、忍と顔を合わせ、とりとめもない冗談を交わすことで  
忘れることが出来た。  
忍にはある種の不思議な魅力がある。妄想に走りやすく、  
また一般世間と少々ずれているところこそあったが、  
その穏和な物腰と明るい性格、そして柔らかな笑顔は側にいる者を誰しも和ませた。  
それは楓とて例外ではなく、本人はまだ自覚してはいないものの、いつの間にか忍は  
なくてはならない必要不可欠な存在になっていったようである。  
だからこそ、ここ数日間忍の来訪がなかったことは、楓の心境に大きな変化を及ぼした。  
忍の不在は孤独感、喪失感へとつながり、そして今楓の心を大きく惑わせる。  
 
(……やっぱり…眠れないな……)  
くしゃくしゃになったかけ布団をめくり、楓はその身を起こした。  
遠くでバイクが数台、競うようにうなりをあげて走る音が聞こえる。  
普段なら不快に思うところだが今は大して気にもならなかった。  
 
机の上にある充電中の携帯電話に手を伸ばしそれを開いた。  
闇に慣れた目に照明がきつく染みる。時計は午前2時半を回ったところか。  
一瞬ためらったが、以前、遊園地に一緒に出かけた時に携帯で撮った写真を開いてみた。  
やや照れ臭そうに上目使いでこちらを伺う忍の顔がそこにあった。  
(そういえば忍ちゃん、ジェットコースターに乗って目を回しかけてたっけ…)  
思わずクスッと笑う楓。しかし、こんな暗闇で独り笑う自分を思い浮かべると、  
なんだか急に言いようのない虚しさがこみ上げて来る。  
やっぱりやめておけば良かったかな、と思ったが、  
同時にきっとこうせずにはいられなかっただろうな、とも考えた。  
頭のなかでは、明日の晩には念願が叶うことは理解している。  
しかし心の方は、そのほんの一日が待てないとダダをこねるのだった。  
先程よりもより鮮明に頭に浮かんでしまうこととなった忍の笑顔。  
結局楓が寝付けたのは、朝方になってからのことだった。  
 
「でね、そしたら音速丸の奴ったら…ってねえお姉ちゃん、聞いてる?  
なんかさっきからボーっとして…どうしたの?何かあったの?」  
後は寝るだけといった格好になると、雅は忍の部屋に遊びに来るのを日課としていた。  
普段ならこの時間にその日の出来事を教え合ったりして一日の終りを楽しく  
過ごすところだが、今日に限っては忍の様子がいつもと違っている。  
そんな姉はあまり見たことのなかった雅は、少し心配そうに忍の顔を覗き込んだ。  
「えっ!?うん、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけだから……」  
「ホントにー?あっ、またあの黄色いお尻にセクハラされたんでしょー!?」  
「も〜本当にそんなのじゃないから…ホラ、もうおねんねの時間だよ?」  
「なんか怪しいな〜。もし音速丸がまた何か悪さしたら私が懲らしめてあげるから、  
お姉ちゃん安心していいよ!それじゃ、オヤスミ〜!」  
「はい、おやすみなさ〜い。」  
少々世話焼きな妹を見送ると、忍は顔からドサッと自分の布団に倒れこんだ。  
 
(結局…今日もちゃんと言えなかったな……)  
ゴロンと仰向けに向き直ると、忍は大きく溜め息をついた。  
(楓さん……私のことをどう思ってるのかな?やっぱり……ただのお友達…?)  
 
忍はかなり幼い頃からこの忍者学園に単身で住み込み修行をしていた。  
彼女の所属する“い組”は一風変わった学級で、大半は男子生徒ばかり、  
しかもその長は音速丸と名乗る黄色い軟体生物である。  
彼等の少しばかり極端すぎる趣味に戸惑うことはあったが、基本的に  
彼等は明るい(と言うか脳天気な)人柄であったためか寂しさを感じることはなかった。  
しかしこの特殊な環境は、忍を同性の友人というものに  
強い期待を抱かせることへと繋がってしまったらしく、結果、  
忍は初めての女友達楓に対して異性への憧れに類した感情を持つに至った。  
最初こそ、ただ一緒にいるだけで例えようのない満足感を得られたが、  
慣れとは恐ろしいもので、間もなく忍はそれ以上の何かを期待するようになってしまった。  
 
しばらく放心したように虚空を見つめていた忍だが、  
おもむろにその両腕を着物の隙間から胸元へと差し入れた。  
(楓さん……やっぱり忍はいけない娘です……でも…どうしても我慢出来ないんです…)  
片手では収まり切らないほどの乳房を何度かこねた後、その頂点へと指を這わす。  
堅くしこり勃った先端に触れた瞬間、かすかな嘆声が漏れた。  
最初は優しく指の腹でで転がすように、次に指先で軽く弾くように  
二つの緊張した乳首を苛めていく。勿論、愛しい人に  
愛撫されているところを想像しながら、である。  
(んあ…ダメです楓さん……そんなに強くしちゃ…あぁっ…!)  
今度は少し爪を立てながら、ぐりぐりと強く引っ張るように刺激を与える。  
かすかな痛みとそれを遥かにしのぐ快感に身震いする忍。  
(きゃん、噛む…のは……反則ですよぉ……)  
しばしの間むずがゆい快楽に浸ったのち、左手はそのままにして、  
今度は右手を股間へと伸ばしていった。  
 
秘部は既に、下着越しであっても明らかなほどにじっとりと湿り気を帯びていた。  
本当ならすぐにでも直に触りたい誘惑にかられていたが、  
敢えてわざわざじらすようにもどかしい愛撫を続ける。  
早く脱がなくては下着を汚してしまうと僅かな理性は必死に訴えていたが、  
今日はいつになく陶酔していたせいか、ここで行為をやめるのは結構な難儀だったようだ。  
間もなくそんなことを気にする余裕もなくなったのだろう、ショーツの中に  
手を入れたまま、忍は無我夢中で自身のもっとも敏感な部位を擦りつけ始めた。  
(はあぁ……そんなにされたら…私……んっ、くうぅん……)  
激しい指の往復に合わせ、にちゃっにちゃっと淫らな水音がこだまする。  
忍は堅く目をつぶり、何かに取り付かれたかのように自慰にふけった。  
時間が経つにつれて、呼吸はどんどんペースを速めていく。  
息も絶えだえになりながらも、なおも自分への攻めは終わらない。  
右手は陰部への、左手は乳首への刺激を続けたままうつ伏せに体勢を入れ替えた。  
この腰を後ろに付き出すようなポーズは、すなわち限界の近いことを示していた。  
 
股間をまさぐる手を締め上げるようにももを硬直させながら、  
最後の追い込みをかける。  
(んっ、あぁっ、はぁっ、も、だめっ、かっ、楓さんーーーーっっっ!!)  
ビクビクっと痙攣したかと思うと、忍はドサッと力なくへたりこんだ。  
 
(はぁ…はぁ……また…やっちゃった……よぉ……)  
しばらく脱力していた忍だが、ようやく落ち着いたのか股から右手を引き抜いた。  
糸を引く中指と薬指を眺めていると、途端に自分がどうしようもなく  
汚らわしい存在のような気がして嫌気が差して来る。  
いつもこうだ。後で絶対に後悔すると分かり切っていながら、毎回同じ過ちを繰り返す。  
もう限界かな、と忍は呟いた。これ以上こんな心境で居続ければ、  
気が狂ってしまいそうな気がする。もはや一刻の猶予もならないことを悟った。  
(明日は…明日こそは絶対に言おう……こんなこと繰り返していてもしょうがないもの…  
例え……結果が駄目だったとしても、そっちの方がずっと……)  
密かな、しかし確固たる決意を胸に、忍は人生最大の大勝負に備え眠りについた。  
 

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