楓は忍の顔を見てちょっぴり申し訳なさそうに微笑むと、仰向けになったまま腕を伸ばして、  
かたわらで横座りしている下着姿の忍の手に軽く触れた。  
「は……はいっ、それでは……」  
 忍はやや緊張した面持ちで楓のパジャマのズボンに手を掛けた。ゆっくりとずり下げようと  
したが、横たわる楓の体は人形のように完全に脱力していて、おしりのところで引っ掛かって  
うまく脱がせられなかった。  
「楓さん、ちょっとおしりを……」  
 しかし、どうしたことか、楓はぽーっとした表情をしたまま一言答えただけだった。  
「うまく脱がしてね……」   
 忍に肉体を委ねて、受け身になりきる気持ちよさに陶酔している楓には、身を反らせて自ら  
おしりを浮かせるだけという簡単な所作も面倒に感じられたのだ。それは、楓の積極的だった  
当初とはうってかわって、もう、忍のなすがままにしてほしいという意思の表れでもあった。  
「はい、ちょっと待ってくださいね……。んっ、よっ、しょっと……」   
 楓の意思を理解した忍は、パンティーをずらさずに、なんとかパジャマのズボンだけを脱がす  
ことに成功した。  
(ふう、やっと脱がせられた……。うわぁ……楓さん、キレイな脚……。でも、あとにとっと  
こうっと♥ うん、次は、上着のほうを脱がさなきゃ……)  
 楓のみずみずしい白いフトモモがむきだしになった。忍には激しい修行で陽に焼け、すっかり  
筋肉のついた自分のフトモモと比べると楓のやわらかそうなフトモモがなんともまぶしく、また、  
美味しそうに見えてならなかった。しかし、むしゃぶりつくにはまだ早い。今は、おっぱいの  
賞味が先だ。楓の肉体を楽しむ順序を冷静に組み立て、忍は敢えてパンティーもパジャマと一緒に  
脱げてしまわないように気を使ったのだ。  
「忍ちゃぁん、早くぅ……」   
 
 しばし楓のフトモモに見とれて動きの止まった忍を急かす楓。  
 しかし、そう言いつつも楓はやはりパジャマの上着の袖から腕を抜こうともせず、ボタンは  
外しているとはいえ、忍にとってはパジャマの上着をこのまま取り除くのは難しかった。  
「え…っと、楓さん、ちょっと起っきしてくださいねー♥」  
 忍は楓の両肩を抱きかかえて楓の上半身を起こした。しかし、脱力しっぱなしの楓はその首が  
力なくくにゃりと垂れていて、肩から手を離せばころんとまた寝っ転がってしまいそうだ。  
忍は楓の上半身を倒さないよう、肩に手を添えたまま楓の背後に回った。  
「はーい、じゃア、脱ぎ脱ぎしましょうねー」  
 まるでお人形遊びでもしているかのような口ぶりで、忍は楓のパジャマの上着を脱がせて  
いった。  
 やっと楓の姿も忍と同じように下着姿となった。  
 楓はそのまま、背後の忍に上半身をもたれさせている格好だ。忍にしてみれば、熟れた  
果実の皮を剥いてこれからかぶりつかんとする心境だ。  
「あは、楓さん……。とってもおいしそう……。果物みたい。……甘そうで、白くって、  
みずみずしくって、やわらかそうで……。でもって、皮が剥きにくくって……くすっ。なんだか  
……うん、果物で言うと、桃みたいです♥」  
 まさに白桃のような楓の裸身を掌中にした忍はその嬉しさに少し饒舌になってきた。  
「忍ちゃん……」  
 忍の言葉に楓が照れて反応した。脱力して垂れていた首をもたげて、後ろの忍の方に振り  
向いた。  
 楓と目を合わせた忍は、軽くうなずくと、ぴとっとその胸を楓の背中に押し付けて体を密着  
させ、さらに両脚を開いて楓の腰を両側から挟んだ。  
 
 今はまだふたりとも下着までは脱いでいない。忍は「脱がせて」と言った楓の下着までは  
あえてまだ脱がさなかった。忍としては、下着姿でも楽しみたいとの思惑があり、いきなり  
全ての着衣を脱ぎさってしまうのはもったいない気がしたのだ。また、今は自分に体を任せて  
いる楓を少しじらしてみたいといういたずらっぽい気持ちも少し混じっていた。  
「楓さん……。かわいい声で鳴いてくださいね……」  
 忍は楓の耳元でささやいた。忍の両腕が楓の背後から伸び、手のひらが楓の胸を覆うブラの  
カップにまとわりついた。  
 さわ、さわ、と、なまめかしい動きで忍のふたつの手のひらがブラ越しに楓のおっぱいを  
もてあそぶ。   
「んあんっ……」  
 ピクンと楓の頭が動いた。下着越しとはいえ、初めて自分以外の者の手が自分の乳房という  
女の体の中で最も秘すべき大事な部分のひとつを愛撫した瞬間だった。  
「あぁ……。楓さんのおっぱい……」  
 忍の感激もひとしおだ。これまで、おフロや海で戯れに楓の胸を「ついうっかり」なフリを  
して触ったことはあったが、こうやって楓の同意を得て遠慮なく堪能できる日が来ようとは……。  
「うぅんん、はぁ……あん……。おっぱい、きもちいいよ、忍ちゃぁん……。あん、もっと強く  
してもいいよ……。あっ! あんっ! ねぇぇ、もっと強くして……」  
 忍の言ったとおり、甘ったるい声で喘ぐ楓。普段の凛とした楓からは想像もつかない、子猫の  
ようなか弱さが忍をそそらせる。乳房がデリケートな部位であることを同性であるがゆえに  
よく理解している忍は獣欲に駆られながらもソフトな愛撫を心がけていたが、楓におねだりを  
されては話は別だ。  
 忍は楓のブラのカップを撫でさする手のひらや指の腹にやや力を込め、揉みしだくような  
動きに切りかえた。  
 
「うふ……。楓さんのおっぱい、すてき……」  
 手のひら全体で揉むと大きさや形ややわらかさがよく伝わってくる。たとえ、背後から  
ブラ越しで揉んでいてもだ。これで、しかるのちブラも取って正面から見据えて楓のおっぱいを  
味わったときの感動たるやいかばかりか、そう思うと忍の胸は否応なくときめいた。  
「ねぇ…忍ちゃん、じかにさわって……」  
「う〜ん、どうしましょう? もう? それってなんだかもったいないような気もしません?」  
 珍しく忍が楓の哀願を意地悪くはぐらかした。  
「こういうのもけっこうきもちいいと思うんですよね♥ ですから、ね、もっとゆっくり  
楽しみましょ……」  
 忍はブラの上からの愛撫を続ける。忍の手のひらの感触を直接味わいたい楓にとっては  
ムズムズとじらされている気分になっていたが、そのかゆいようなくすぐったいような感覚が  
妙な快感に変わりつつあった。  
「んっ、はぁ……ぁあん」  
 人形のように脱力していた楓の背骨が意思を取り戻し、感じるままにうねりだした。その  
反応を忍はもちろん見逃さない。  
 ……かぷ……  
 背後から忍は楓の右肩を甘噛みした。  
「あん…あんっ!」  
 2箇所を攻められるのは初めてだったが、楓は全身のすべての箇所が性感帯になってしまって  
いるような自分の肉体に慄然とした。   
「どこに触れても感じてくれるんですね……。忍、うれしいです……」  
 
 敏感に自分の愛撫に感じてくれる楓が愛しくて、楓を抱きしめたい気持ちに駆られた忍の  
両腕がきゅうっとより深く楓の胸に巻きついた。楓のみぞおちの辺りで忍の両手首が交差して、  
楓の左の胸が忍の右の手のひらに、同様に右の胸が左の手のひらにそれぞれ収まった。忍の  
大きな胸もその分強く楓の背中に押し付けられる形となり、ふたりの体はより深く密着した。  
「うふ、とってもいいきもちです、楓さん。こうやってぴったりくっついてるだけでゾクゾク  
しちゃいません?」  
「ああ……♥ きもちいいよ、こうしてるだけできもちいいよ、忍ちゃん……」  
 天井を仰いでまつげと唇を震わせる楓の恍惚とした表情を背後にいるため斜め後ろからしか  
見ることができないのがやや残念な忍だった。  
(楓さんのきもちよさそうにしてる顔はあとでまたゆっくり見させていただきますね♥)  
 もぞもぞと、忍の五体が妖しく楓の全身に絡まり始めた。  
 先程、楓の胸にぴっちり巻きついていた両手が再び楓のおっぱいをもにゅもにゅともてあそび  
始めた。さっきよりも体が密着している分、楓が感じる快感もより大きい。  
「やん……おっぱい、さっきより……いいっ……」  
「でしょう? うふふっ、もっと夢のような気分にさせてあげますね」  
 楓の肩を甘噛みしていた忍の口が、楓の急所のひとつである耳を再び襲った。背後から伸びる  
舌がチロチロと右側の耳の穴の周りをくすぐる。  
「んはぁっ! くぅっ…ん! そこ……ダメぇ……。シノ…ブ…ちゃ…ぁん……」  
「『ダメ』じゃァないでしょお? 楓さぁん。耳は大好きじゃなかったんでしたっけ? う〜ん、  
ホントにくすぐったいならやめますけどぉ……」  
 楓の本音を知りつつも、楓のノドから可愛いあえぎ声をもっと引き出したくて、忍は自分でも  
信じられないほどイジワルな小悪魔になっていた。  
(ごめんなさい、楓さん……いじわるなコト言って……。でも、楓さんがかわいすぎるから……)  
 
「あぁっ、やめないで! ね、もっと……して、耳……あうんっ! あっ、あっ!」  
 ……ぴちゅっ!……れぴゅ……るる……ぺちゃ……  
 忍は返事のかわりに、楓の耳を派手な音を立ててなめ回す。  
 そのさなか、楓の腰から下を挟んでいる格好の忍の両脚も動き出した。  
 ぴっちり閉じている楓の両脚のその両足首の下に忍の両足首がするすると潜り込み、楓の  
両足首の間に割り込んだ。その途端、忍はかぱっと両脚をVの字状に開いた。すると、楓の  
両脚も、その両足首に忍の両足首が引っ掛けられているため、楓の意を無視して半ば強制的に  
開かされた。  
「……やっ、は、はずか…し…こんな…かっこ……」  
「え? 恥ずかしいです? 楓さぁん、ちょっぴり恥ずかしいくらいのほうがきもちよく  
なってくるものなんですよ……。ね、これからどうするかは……わかりますよね?」  
 そう言うと楓の返事を確かめるまでもなく、忍の右手がおっぱいの愛撫を左手のみに任せて、  
無防備な楓の下腹部に這っていった。そっと、忍の指先がパンティー越しにではあるが、楓の  
最も大事なところに触れた。  
「きゃ……うっ! あ……はぁ……」  
 あきらめにも取れるため息が楓の口から漏れる。一瞬、恥ずかしさゆえ抵抗するそぶりも  
見せた楓だったが、それは本当に一瞬だった。楓に両脚を閉じようとする力みが全く感じられ  
ないことからも忍は楓が完全に屈服したと理解し、ざわつくような支配欲が自分の体の中に  
湧き上がってくるのを感じて総毛だった。  
「うふ……楓さん……。楓さんのいちばん大事なトコロ……。さわってるんですよ……。ほら……  
わかります……?」  
 
 ……すり…すり……くにゅ…にゅっ……  
 楓の耳をなめる舌の動きを休ませることなく、忍は耳元でささやきながら中指の腹で楓の  
フトモモの付け根の間にある秘所を覆う白い布地を優しく撫でる。  
「くっ、あっ、こんなのって……。すご……い……。あんっ! はぁぁ……ふぅっ……んん……」  
 舌で楓にとってひときわ感じる性感帯である耳だけでなく、両手でおっぱいも、そして  
アソコまでも同時に攻められているのだ。背後からねっとりと絡みつく忍の五体。まるでエサを  
求めて群がってうごめく蟲に全身をむさぼられるような被虐的な快美感に耽溺していく楓。  
「……っ…ていい?…………」  
 蚊が鳴くような声が楓の口から漏れた。  
「……ん? なぁに? 楓さん……」  
「イッていい? 忍ちゃ…ん……。ね、先に…1回……イッて……いい?……」  
 忍の腕の中で、切ない声色で哀願する楓。できることなら、最初に絶頂を迎えるのは忍と  
一緒に……と考えていたのであろうが、思いもよらぬ忍のテクニックの凄さに楓の精神も肉体も  
陥落寸前だった。  
(か、楓さん、かわいい〜〜!)  
 この体位で、楓にそこまで言わせた……。一度は拒絶されたあの夜から8日。忍は、楓が  
完全に文字通り自分の手中に落ちたのだと思い知った。   
「お願いぃ……イキたい……のぉ……」  
「……はい。いいですよ、楓さん。女の子どうしだと、何回でもやれちゃいますからね♪」  
 忍はこれまで、楓のブラとパンティーの上からじらすように愛撫を続けていたが、楓の  
要望にこたえるべく、その両手の指をいよいよ下着の中に差し入れ、じかに淫らな刺激を  
与え始めた。  
 
「うふ……楓さんのおっぱい、やわらかぁい♥ あ、でも、ここはコリコリしてますよ?  
ほら、おっぱいのさきっちょ……こぉんなに……」  
「はぁ……ぁあん! あんあん!」  
 ブラの下に潜り込んだ忍の左手は手探りではあるが初めて楓のおっぱいのシルクのように  
滑らかな肌触りを楽しみつつ、人差し指と中指の先で、ぷっくりとしこった乳首をコロコロと  
転がしてもてあそぶ。  
「おっぱいだけじゃないですよぉ……。楓さんのココ……じかにさわってるんですよ……。  
わたし、すっごいドキドキしてます……」  
 忍の神経が今、最も集中しているのは、耳を味わっている舌でも、おっぱいをこね回して  
いる左手でもなく、パンティーの中をまさぐっている右手だった。  
 何度も楓といっしょにおフロに入ったことがある忍は、楓のアソコに萌えるまばゆい茂みを  
見たことがないではなかったが、いざそこにじかに手を触れるとなると、その興奮の度合いは  
楓の体の他の部分に触れた際の比ではなかった。  
「あ……。やさしく……して……」  
 胸を触られたときにはさらなる激しい愛撫を求めたくらいなのに、さすがに最もデリケートな  
器官を初めて愛してもらうとなると、同性が相手とはいえ、楓も臆病にならざるを得なかった  
ようだ。  
「だいじょうぶ……だいじょうぶですよ。こわがらないで……。わたし…その…自分でもしたコト  
ありますから……。愛し方はわかってるつもりですから……」  
 オナニーをしたことがあるということを打ち明けてでも、忍は楓の不安を取り除こうとした。  
 ……さわ……さわ……  
 忍の人差し指、中指、薬指の3本の指がパンティーの中で楓の愛らしいアソコをまだ遠慮がちに  
撫でてはいるが、その指先は三つ首の魔物のように、楓の媚肉の奥を襲う機をうかがっていた。  
 
 そっと忍の中指の先が楓の秘裂に触れた。やはりと言うべきか、そこは楓の愛液がすでに  
にじんでぬるついていた。忍は楓の肉体がちゃんと感じていてくれたことがわかって嬉し  
かったが、もうひとつ、自分の指先愛撫を受け入れる準備ができていることも忍を色めき  
たたせた。  
「あはぁ♥ 今初めてさわったばかりなのに、とっくに楓さんのココ、うふっ……もう  
こんなにぬるぬるになっちゃってる……。これなら、もうくにゅくにゅしちゃってもだいじょうぶ  
ですよね」  
 忍の人差し指と薬指がそれぞれ、縦割れしている楓の肉丘を軽く押さえながら左右に開いた。  
すると楓の閉ざされていた秘裂がぱっくりと開かれ、その奥に隠されていた楓の大事なちっちゃな  
媚肉の芽がまだほとんど包皮につつまれたままではあるがその姿を現した。  
 人差し指と薬指によってむき出された、すでに愛液に潤っている楓のクリトリスを忍の中指が  
待ってましたとばかりに襲いかかる。指先が小刻みな動きでそこをぬるぬると攻め始めた。  
「あっ!! そこ……あ! 忍ちゃ…ん……」  
 ガクンと楓の体が大きく反応した。  
「きもちいいですぅ? 楓さぁん……」  
 目を細め、妖艶な笑みを浮かべ、先程から絶え間なく楓の右の耳を舌先でチロチロと撫で  
回しながら忍は楓を徐々に追いつめていく。  
「きもちいいっ! きもちいいのっ! あんっ、痛くないから、ねぇっ、忍ちゃん、もっと  
……もっとしてぇっ!」  
「もちろんですよ♪ だって、ちょっといじっただけでどんどんあふれてきちゃってるんです  
もの……。楓さんのアソコが『もっとして』って言ってるのがわたしの指先に伝わってきてます  
よぉ……」  
 
 ……くにゅっ…にゅくっ…ぷにゅっ……  
 楓の増幅された悦びはそのまま愛液のあふれ出る量の多さとなって現れた。忍はさらに  
ぬるやかさを増したためにいじりやすくなった楓のクリトリスを一層情熱的にこね回し始めた。  
指のさきっちょで円を描くように、または縦方向にしゃくりあげるように。そして時には  
爪で優しくコリッと引っ掻く硬質的な刺激をアクセントにして。無論、忍も自身のオナニーの  
経験から、刺激の強さはどの程度までなら痛みにならないのかは熟知していた。  
「いいでしょ? 楓さん……」  
「うんっ……いいっ……。 はぁっ、んぁっ……。 あん、イ……イキそう……。忍ちゃん……わたし  
……イッちゃう……かも…」  
 楓の息づかいが荒くなるにつれ、逆に声は弱々しくなっていった。  
「イキます? はい……楓さん、いいですよ、イっていいですよ……」  
 忍は舌も左手も右手もその愛撫の動きにより深く愛情を込めた。それが愛撫を受ける楓の  
性感帯に電撃のように伝わっていく。  
 楓は高まっていく気持ちの中で、念願がかなう喜びに浸った。このような形でおっぱいも  
アソコも忍に愛してもらうことを想像しながらオナニーをしてしまった1週間前の夜を思い  
出したのだ。  
「あっ! はぁぁぅんっ! だ……め……。もう……。あっ、あっあっ!!」  
 楓の細くしなやかな胴体が水揚げされたばかりの鮮魚のようにビクンビクンとのたうち  
始めた。忍の両腕はそんな楓の体をしっかりと抱きしめる。  
「イって……楓さん、忍の腕の中で……」  
「イッちゃう! イク…イクイク……はぁぁああぁっ!! イッ……くぅぅっ!!」  
 この夜、まず初めて気をやったのは楓の方だった。背後から忍の五体に絡みつかれる格好で  
果てた。  
 
 しかし、女同士の情交は簡単には終わらない。精魂果てるまでと言っても元から「精」が  
ない。お互いが満足するには長く濃密な交わりが必要なのだ。体も、心も。  
 忍の腕の中で楓がぐったりとなって忍の胸に背中をもたれさせた。  
「はぁ……はぁ……」  
「すてき……楓さん……」  
 忍はゆっくり、ころんと楓の体ごと後ろに倒れ、互いが向かい合うような形で横になった。  
 楓はまだ肩で息をしている。  
「忍ちゃん……わたし、まだ……カラダが……イキたがってる……。どうしよう……」  
「うふっ。よっぽどよかったんですね。うれしい……。女の子のカラダはそうなってるんですよ」  
 忍が楓の肩から腕を撫でただけで、猫のように背中を丸めている楓はぴくんと反応した。  
「あっ……。ね、ねぇ、忍ちゃん、先に……」  
「先に? なんです?」  
「わたしのカラダ……もっと味わって……。先に…わたしをもっときもちよくさせて……。わたしが  
忍ちゃんを…抱くのはそのあとでいい?」  
 楓のおねだりは忍にとって渡りに船だった。  
「あはぁ♥ ホント言うと、わたしもそうしたかったんですっ。なんだか、さっきからわたし  
ばっかりがっついちゃって申し訳ないなぁって思ってて言いにくかったんですけど……。はい、  
それじゃあ遠慮なく、お先にいただいちゃいますね。まだ楓さんのこと、半分も食べてない  
ですし」  
 忍の瞳が嬉しさでうるうると光り、チラリとその唇の隙間からぬめやかな舌先が覗き見えた。  
その微かな舌なめずりは忍のさらなる肉欲の湧きあがりを表していた。  
「楓さん、さ、今度はそのままうつ伏せになって……」  
「うん……」  
 
 撫でていた楓の腕を引き寄せるようにして忍がうながすと、楓は言われるがまま、枕に  
顔をうずめて突っ伏した。  
 楓の息も整えられつつあった。またすぐにその息は荒くならざるを得なくなるのだが。  
 忍は楓の傍らに横座りして、まじまじと楓の白い背中をなめるように観賞する。まだ取り  
払われてはいない下着が邪魔に見えるほどに楓の背中は美しかった。  
(もしかして、楓さんのカラダの中でいちばん素敵なところなのかも……)  
 おしりや上腕部には程よく脂がのっていて、まろやかな線を描いているのに、それらから  
ウエストや背中に伸びるボディラインは余分な肉の堆積を拒み、きゅっと見事にくびれている。  
(あ……忍ちゃんに見られてる……。見られてるのがわかる……)  
 楓は両手で枕の両端を握りしめる。背中に浴びせられている忍の熱い視線を感じて。  
 ……つつ……  
 楓の背中が確かな感触を感じた。忍の指先が楓の背中をうなじから背骨をなぞるように撫で  
下ろしたのだ。  
「あん……」  
「これだけでもきもちいいんですか? 楓さん」  
 枕に顔をうずめて黙って頷く楓。見えないがその顔は受け身の快感に赤く染まっていた。  
「ほんと、キレイな背中……。わたし、おフロで楓さんのお背中流すとき、いつもキレイな  
肌だなぁって見とれてたんですヨ」  
「……それは、わたしだって同じだよ。わたしもおフロで忍ちゃんの背中見てうっとりしちゃって  
たんだよ」  
「楓さん……」  
 今度は忍が恥ずかしさに言葉に窮して顔を赤くした。  
「で、ではでは、こういうのはどうです? 楓さん」  
 話の腰を折って、忍はいったん楓の背中から指を引っこめた。  
 
 ……さわさわ……  
 楓は背中に何かが触れたのを感じた。それが予想していなかった物の感触だったので少し  
驚いた。  
「あぁっ……こんなのって……」  
「『こんなの』って……イヤですか?」  
 忍は、1本の三つ編みに編まれた、腰まで伸びている長い後ろ髪の先っちょを手に取って、  
楓の背中をくすぐっていたのだ。  
「ううん。……でもどうして……? 髪の毛でくすぐられてるだけなのに……くすぐったいけど……  
きもちいいっ……」  
「それって……わたしの髪だから……?」  
「……そうだと思う……。忍ちゃんのだから……。それに、わたし、自分でできないトコロをされるのが  
好きみたい……耳とか、背中とか……」  
 まだ途中ではあるが、忍に肉体のいろいろな箇所を愛撫され続けているさなか、楓は自分の  
性感帯の特徴に気づき始めたようだ。  
「うふっ、それじゃ、大好きな背中をもっとよくさせてあげますね♥」  
 忍としては小手調べにすぎない髪での愛撫を終えると、忍はおもむろに楓の両脚にまたがった。  
脚の両脇に忍のヒザが触れたのを感じた楓は、忍がこれから何をしようとしているのか予想  
できた。  
 次に忍の手が楓の背中のブラのホックへと伸びた。  
(あ……外される……)  
 下着に手をかけられるときの胸の高鳴りはパジャマを脱がされたときのよりも格段に大きかった。  
しかし、うつむけになっているので、胸があらわになっていないことにほんのわずかだが  
ホッしている気持ちもまだ残っていた。   
 
 ホックを外されたブラのベルトやストラップが取り払われ、楓の背中が何もまとわない姿と  
なった。  
 そのせつな、忍の体が楓の背中に覆いかぶさってきた。  
「あぁっ! し、忍ちゃぁんっ!」  
 楓の予想と期待を裏切らず、忍の胸が…いつのまにかブラを取り外した忍のおっぱいが…じかに  
楓の背中にむにゅうと押しつけられているのだ。  
「んふぅ……んん……。楓さんだけ脱がせるわけにはいかないでしょお? わたしもブラ、取っちゃい  
ました♪ さっきと違って、おっぱいのさきっちょ、じかに感じるでしょ?」  
 先程、楓が座ったまま後ろからイカされたときはまだ互いにブラをつけていたが、今度は、  
楓の背中と忍の胸を隔てるブラのベルトやカップがないので、楓は背中で忍のおっぱいのやわらかさと  
乳首のポッチリ感を、忍はおっぱい全体で楓の背中の肌のなめらかさをじかに感じ合うことが  
できるようになったのだ。  
「は…ぁ……。感じるよ……忍ちゃんのおっぱい……。おっきくて……いいきもち……」  
「きもちいいです? うれしい……」  
 実は忍は胸が人並みより大きいことを密かに気にしていたのだが、それが楓に悦んでもらえると  
あっては、逆に誇りたい気持ちにすらなった。  
「楓さん、動かしますねー……」  
 ……むにゅ…もにゅ……にゅくっ……  
 忍の体が楓に密着したまま上下にこすりつけるように動き出した。マシュマロのように  
すべすべとしてやわらかく、それでいてパンと張りのある忍の巨乳がぐいぐいと楓の背中を  
攻めたてる。  
「あん、やわ…らかぁい……♥」  
「忍のおっぱい、いっぱい感じてくださいね……」  
 
 
 

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