朧月夜。城下はほぼ漆黒に沈んでいる。遠く虫の音が断続に聞こえるほかは  
どんよりとした静寂が漂う市中。日々見回るは常人より遥かに夜目が利く  
女忍たちである。が、しかし。いま彼女たちをも凌ぐ手練れの出現、  
察知できぬはやはり下忍の限界か。屋根上にて巧みに身をかがめ、  
気取られぬよう細心の注意をもって眼下を見据える影ひとつ…それが  
飛鳥忍びのキヌである。今回、彼女の任務は町娘の救出…幾多の長屋が並ぶ中、  
そのどこかに監禁されている町娘を探し出し、無事に連れ帰るというもの。  
無論、多少の骨が折れるは承知の上。喪巣女たちとの闘いも避けられまい、と  
思う。が、それでもなおキヌには決然とした意志があった。およそ得物を  
持たぬ「くノ一」同士、その闘いとて命のやりとり一切無きを旨とするが、  
此度「匠」の指し示すところとなれば。為すべきこと決まったようなもの。  
忍びの当て技にて相手を気絶させる、この一点のみ。  
腹でも首筋でもよい、それら急所に素早い拳や手刀を突きあて、暫らくの  
眠りに落とすだけなのである…  
 
とはいえ、仕掛けは慎重。ひとりづつ、背後から忍び寄り、確実に倒す方策を考える。  
キヌほどの忍びにして、いや、だからこそ磐石を期すが常。  
先ずひとり、やや遠くの路上をゆく後ろ姿に的を絞る。屋根から飛び降りた飛鳥女忍は  
風のような足運び、気配断ちも見事な忍び走りといえ。程なく標的の真後ろへ音もなく  
張り付くと、やにわに相手の肩をつかむ。「!!」驚く顔が半ば後ろを向く前に  
回り込んだ電光の拳が帯のやや下を直撃する。−−−ドスッ!「うッ!」  
女の柔らかな肉質をかきわけ、奥深く、深く沈むキヌの右腕。  
突きこまれた忍服には何条もの皺が走り、如実に効果を物語る。  
上体「く」の字に折れ曲がり、喪巣女忍苦悶の顔とて空しく宙を仰ぐばかり。  
覆面の口元あたりじんわり濡れるは一筋の涎がこぼれたせいだろう。  
更なる呻き声発することもなく既に意識はないとみえる。  
かっと見開かれた目がすぐ閉じられるも、気絶失神が織り成す必然の道行きと。  
きりきりくねらせながらも最後は仰向けに倒れる女。キヌは力なく四肢を  
投げ出している喪巣女忍の傍らに膝をつくと、手のひらをそっと相手の胸に置く。  
豊満な乳房のむこうは今や静かな脈を打っている。このような仕儀、  
相手の美乳に嫉妬しているのでは毛頭なく。女の容態から、どれくらい眠り続けるか  
確かめるも重要な一節なのである。思惑どおり、手ごたえは充分。  
無論その時、画面右端にて「気絶6時間」「あと9人」と表示されることまでは  
この飛鳥忍者にとり知り得ようもないのだが… 
 
忍び衣の裾がはだけ程よい肉付きの太腿が露出している喪巣のくノ一。  
同性のキヌから見ても、ある程度の評価はしよう。この女たちが時折みせる  
美容の仕草を目にしたことが何度もある。ただ、今は任務の途上、  
顔色ひとつ変えずすっくと立ち上がった飛鳥女は再び屋根の上へと舞い上がる。  
ここはまだ見張りも手薄な領域であろう、あのまま放置したとて問題ない、と  
確信するキヌ。そのまま屋根瓦の上をつつと移動し、やや奥へ入ったところで  
ピタリと止まる。周囲四方に目をこらせばこの界隈四〜五人の気配あり。  
大勢が集まっているところは避けねばならぬ、丹念に見回すと小さな路地に  
いる一人が仲間からの死角になっている。そろり屋根伝いに標的の頭上へ  
到達するが、相手は気づく様子なし。ここでも飛鳥忍びは万全の仕掛けである。 
喪巣女がその背中に一陣の風を感じた時、既にがっしりと口は封じられている 
のだから。 
「!!」  
絡みつく腕を振りほどこうと慌てて両腕を持ち上げるが、同時に腹部は  
がら空きのさま。斜め脇から鮮烈な拳が飛び込んでいく。―――ズムッ!!  
「!!!…ぅぅ…」少し呻きは洩れたが、周囲に伝わる程でもない。  
いま首うな垂れぐったりとした全身は、背後のキヌにもたれかかる格好と  
なっている。飛鳥女忍は、そのまま肩に担ぐと人気ない手近の長屋に入り込む。  
素早く後ろ手に戸を閉めれば、もはや中の音など相当に遮断されよう。  
女を畳に寝かせたところで、キヌの目はきらりと輝くのである…  
 
ここへ連れ込んだ理由は二つ。数名が巡回するこの一角、気絶させた女を  
路上に放置すればすぐにも見つかってしまう。そう、騒ぎになれば厄介この上  
ない故に。そしてもうひとつの理由は…町娘の居場所を聞き出すこと。  
さては一度目覚めさせ拷問に及ぶかと思いきや、揺り動かす素振りなどは  
まったく見せない飛鳥くノ一。おもむろに懐から何かを取り出している。  
それは竹筒に入った特製薬液。数種の草に特化キノコ、ヤモリのエキスを  
秘伝の手法で調合したものである。すなわち、目的は自白させることだが、  
目覚めている相手に脅迫や暗示をかけたところで意に沿うとは限らない。  
最も確実なのは浅い眠りに落ちた者の潜在意識から答えを引き出す技である。  
そのためにこの女への当て身は軽めに加減しておいた。  
例によって手を胸におけば、概況はわかる。「気絶3時間」「あと8人」とまで  
知る必要も敢えてない。あとは薬の効力で自由自在に操るばかり。ただし、  
この薬は催淫を伴って効果を発揮するタイプ。しばらくはキヌの手馴れた  
さばきを見てみよう。先ず帯をほどき覆面や蝶柄衣の前をはだく。  
当然ぷるんと豊かな胸があらわになる。次いで局部を覆う細衣をほどき、陰の  
繁みを露出させる。これで喪巣女は顔から下肢まですっかり柔肌を  
晒すことになる。突き入れた丹田には生々しい赤痣が浮かぶが、一人目の女と  
同様、臓腑など傷つけてはいない。そのようなこと飛鳥女にとっては  
織り込み済にて、今の課題は別にある。  
己が右手指を一本づつ口に含み、ねっとりと唾液をつけているが、よくみると  
ただの唾にあらず。これも忍法の一種なのだろう、一本一本の指を薄膜で  
コーティングしているのである。  
ひととおり完了すると、竹筒のふたを開け人指し指と中指を入れる。  
筒から戻した指先にまとわりつくのは、なんとも妖しげな白濁の粘液。そう、  
この薬の威力絶大にして、素手で触れば自分もおかしくなってしまう。  
そのために先ほどのような準備作業が必要になるのである。  
現に、液の付着した指が女の耳の後ろに触れた瞬間―――ビクッ!と全身が  
反応する。首筋をなぞり―――ビクゥ!腋の下に指を置けば―――ブルル!…  
眠っているにもかかわらず喪巣くノ一の身体にはみるみる変化が現れる。  
だが、これはほんの序の口。膝の後ろ、太腿の内側を弄るころには女の口から  
無意識の喘ぎが噴出する。「はぁううぅぅ…あふううううぅぅぅ…」  
喘ぎ呻きだけではない、既にして女の裸身は艶かしく蠢いている。  
触れてもいない乳首は破裂せんばかりに屹立し、女陰の肉壁もたおやかな隆起  
がうっすらと色づく。そろそろ頃合いもよしと、乳房へ向かうキヌの指先。  
そっとつまむだけで―――「ふうううううんんううぅぅぅっ!!」  
長く切ない喘ぎ声がとどろく。  
ここにきてまだ飛鳥女の表情は変わらない。  
が、目の端がちらと光ったようにも見える。通常ならば血祀りのところ、  
此度は乳祀りということか。両の乳輪からたっぷりと粘液を塗りつけていき、  
仕上げに親指人指し中指の三本でぎゅううとつまみあげた瞬間―――  
「ひゃああああうううううううぅぅぅぅぅッ!!!」  
 
触れる前から小刻みな震えが不規則にエスカレートしていた乳首。  
とっくに臨界を超えていた乳首。  
そこを捻じるように思い切りつままれたのである。これはひとたまりもない。  
腰をアーチ型に高く持ち上げ、全身痙攣の様相。当然絶頂に達している。  
ところがキヌは冷静そのもの。これでまだ四度目だわ、と内心つぶやく。  
女の昇天が男と違い劇的な発露ばかりでないということはイロハのイ。  
細やかな息づかいの変化や股間を潤す愛の蜜、ガクガクする四肢や両太腿を  
ぴったり合わせようと力む様子などもイク表現であり、特にキヌは  
そのあたりを正確にカウントしている。  
飛鳥女は心に決めていた。この女が十度の高みに達したら調べを始めよう、と。  
別段根拠はないのだが、どうもこの飛鳥くノ一は十進法が好みらしい。  
イキやすい相手であれば二十回でも三十回でも仕掛けるということである。  
さて、もう少し時間がかかりそうなこの二人をおき、寸時外の状況に  
触れてみよう。というのは、今ひとりの喪巣女忍が長屋沿いの路地を  
通りかかっているからである。  
女はふと横を見た。さては気付いたか…!?つかつかと長屋の際に歩み寄った  
喪巣女はそこで両手を壁につく。…??…傍目にも何事かと思うが更に観察を  
続けると…  
両足を僅かに開き顔は正面向いたまま。胸をせり出し尻をつき出す。  
典型的な立ちバックのポーズである。壁に手をついたまま、腰を左右に  
振りだす喪巣のくノ一。そう、この女は長屋内の気配に気付いていない。  
それほどに板戸の遮音効果は優れていた。喪巣女忍はただいつものように  
美容体操を始めただけなのである。  
「…はっ…ふっ…はっ…」ベリーダンスの腰つきで突き出した尻を何往復か  
振り、節目で太腿をきゅっと締める…「うんッ…」  
ウエストが「軽くヤバイ」と感じていた彼女は一日三度、この運動を  
欠かさない。また太腿を締めるのは女陰の形を整えながら膣圧を高める狙い。  
もし諜報などで男を垂らしこむ必要が生じた時にはいろいろと役立とうとの  
思いから。もっとも、この「匠設定」では女たち全て処女となっている上、  
男が登場しない。「…はっ…ふっ…はっ…うんッ…」果たしてこの成果は  
報われるのか…などと案じているうち、どこからともなくやってくる  
一匹の猫があり。大胆にも喪巣女の両脚の間に割って入り悠然と鎮座する。  
見上げれば最高のローアングルだろう。女の股間は白い褌で覆っているが、  
いつもきつめに締めているため秘貝の筋目がくっきりと浮かび上がっている。  
さぞかし興奮するのでは、と思いきや、猫は退屈そうに欠伸をひとつ。  
つまりこちらは鮭狙い。以前、似たような状況で鮭や寿司を落とし、  
気がつかないまま立ち去った喪巣女忍たちがいたことに味をしめているのである。  
「…はっ…ふっ…はっ…うんッ…」やがて十五分ほどのエクササイズが終わり、  
壁から手を離して上体を起こす。ウエストに両手を置いた喪巣女はちょっぴり  
満足げな表情を浮かべている。「うふふ…」こんな些細な達成感でも笑みが  
こぼれ再び元気に歩き出す女。ところが鮭は落ちてこない。当てが外れた猫は  
女忍の溌剌と正反対。ここはとぼとぼと力なく退場するしかないのである…  
 
ふたたびキヌたちの動きに視点を戻す。屋外の喪巣女忍と猫が去った時、  
キヌの愛撫を受けている女は六度目の頂きに達していた。  
「はうううぅぅぅぅッッ!!!!…」  
何度も腰を浮かし手指足指の先いっぽん一本が悉く反り返っている。  
特筆すべきは乳頭の状況。男との経験皆無、いわんや赤子出産などまるで  
縁のない身体だというのに、ただ今は乳首の先端が濡れ半透明の乳汁が  
こぼれている。いよいよ乳祀りのクライマックスと勢いこむ飛鳥くノ一。  
両手で相手の乳房を鷲づかみにし、荒々しく絞り上げると−−−ピュウゥ!!  
矢のように乳汁がほとばしる。ピュッ…ピュウ!…ピュッ!…絞り続ければ  
際限ないのかと思えるほど豊かな噴出。ゴクッゴクッゴクッ…キヌは宙に  
放出される汁に口を近づけ噴水式水飲み場の要領でそれを味わっていく。  
直接乳房を吸わないのは乳首まわりの薬液を避けるためだが、この段取りとて  
手馴れた様子。やや陶酔の面持ちにあるキヌは相手の乳をふくみながら、  
かつて同様の展開で口にした喪巣女忍の乳汁を思い出していた。  
(前の子の方が、甘かったかしら…)  
(いや、この子も深みのある良いテイストだ…)と、総じて喪巣女の乳汁は  
気に入っている。いつぞやは十人二十個もの乳房を弄んだ記録を持つキヌ。  
あの時は血まみれならぬ乳まみれだった。調子にのってゲップが出るほど  
がぶ飲みし、まるまる膨らんだ腹を抱えて動けなかったほどである。さすがに  
今回は自重する飛鳥女。七度目の絶頂に包まれ恍惚の夢を見続けている女の  
寝顔を見つめながら一旦、乳房に置いた手を離す。当然というべきか、あとは  
秘肉へのあしらいが残るのみ。  
わざと手付かずにおいた花園は、全身をめぐる悦楽の高波に押し寄せられ  
ピクピクとヒクついていた。早く…一刻も早く貫いて欲しい…下の唇は訴える  
ように、それでもなお控えめに口を開ける。いくら性本能に翻弄されたとて  
餌目当て、パクパク大口開ける池の鯉とは一緒にされたくない、との自律が  
働いているせいか。といって開けた双璧の間にのぞく膣口や処女膜は  
てかてかとぬめり、くねくね卑猥極まる動きが続いている。  
(これだけ誘っているのじゃ、いかねば失礼になろうのう…)キヌは  
ゆっくりと手を近付ける。が、ここでも徹底した焦らしにでる飛鳥女。先ずは  
外陰部の肉壁を人差し指と中指でかすめるようになぞる。ぴたり並んで滑る  
二人のスキーヤーが沢の途中で柔らかな弧を描いて離れ、再び合流するように。  
但しスキーと異なるのは上から下への滑降だけでない、ということ。指の腹で  
くすぐるように秘肉を弄び菊花すれすれまで辿り着くと、かえりは指爪の甲で  
つつと上らせていく。これを十往復すれば予定どおり八度目の昇天。とろりと  
した愛液がこんこんと溢れ出、畳の染みもみるみる広がっていく。 
 
いよいよ指を挿しいれる。最初は中指一本。それも第一関節までの軽い  
出し入れに終始する。―――クチュ…「んんっ」チュプッ…「あ…」ピチュ…  
「んぅッ…」チュピッ…「あふぅ」…喘ぎ声は短かめだが性感度の針が全身  
振り切れている現状ではこれだけで充分。  
喪巣女忍の裸身はもう一刻ほど絶え間なくよじれていたが  
キヌが人差し指を加えたあたりからは腰を極限まで持ち上げっぱなしである。  
「はあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」一旦はペースダウンした息遣いが  
一気に復活、再加速。愛の蜜は白糸の滝のように注ぎ落ち、指のぬめりは  
至極快適な潤滑の証といえ。いまや膣内どこをどう刺激しようが勝手であろう。  
けれど同姓の身としては、最も効果的な箇所にこだわりたかった。  
奇妙な表現だが、これも「与える愛」なのか…丹念にGスポットをこねる  
飛鳥女。「あふううッッ!!!…はああぁぁんんんッッッ!!!!…  
ふううううう!!!」  
九度目の頂点に達しているというのに、目だけが平然と閉じられている  
アンバランス。いや、気を失っているからこそ雑念に陥ることなく純粋に  
昇りつめられるのだろう。となれば最後にイってもらうは、やはりこれじゃ…  
ここでキヌが懐から取り出すのは黒光りする双頭の張り型である。  
ひとりで慰める時にも重宝する、飛鳥女忍愛用の一品。コトリと脇に置き、  
自分の褌をほどくキヌの表情僅かに上気してきてはいるだろうか。  
少しの間、茂みの下を眺めてみる。陰唇はいつもの深紅。形の良し悪しなども  
喪巣女たちに引けをとるとは思わない。クリトリスはまだ勃起していないが  
事が起これば十二分の主張をするであろう。準備は万端だ…ゆっくりと  
手に取り片方を薬液に漬ける。くれぐれも逆向きにしないよう気をつけ、  
先ずは自分の秘所へ挿しいれる飛鳥くノ一…  
 
―――ズブブ…「うんんッ…!」多少濡れていたため、すんなり入る。  
相手のイクさまをみるうち、自然こちらの受入態勢もできていたということか。  
さてもお互い、この瞬間をもって処女喪失となるかは解釈のわかれるところ。  
喪巣女の方はともかくキヌは今までの自慰経験によって処女膜の形状僅かに  
影響を受けている。勿論男は知らないというお約束。それはただ今も同じで  
あろう。こんな成り行きとて女同士のまぐわいには違いない、と。  
物理的に激しく貫こうが心は清廉無垢なまま。それでいて至上の快楽は  
得られる。飛鳥女にとってひとつの理想型であり。たっぷり薬液のついた  
先端を相手の股間にもっていくキヌの胸中あくまで表情にて推し量るが  
妥当かも知れない。―――ヌプ…「はううッッ!!!!」張り型の先が  
ほんの少し分け入っただけでこの反応。気絶の眠りにある女がこの先どこまで  
高みに達するか…知らず、輝きを増す飛鳥女の顔。膨らむ期待のまま、  
それでもしずしずと挿しいれる。  
―――ズ…プ…プ…「うぐううううううッッッ!!!!!……」  
ほぼ騎乗位と言ってよい、喪巣くノ一の裸身にかぶさる格好のキヌ。  
喘ぐ女が大きくアーチを描こうともがくため、ふたりの股間は一層深く  
絡み合う。飛鳥女も声を押し殺すのは難しい。「んんううッ!…くふうう!!!」  
どうしても洩れてしまう喘ぎ声。ただ、我を忘れないように、との思いは  
強かった。目的はこの女から情報を聞き出すことなのだから。それに荒らしく  
相手の房中を蹂躙するのは好みでない。辱める意識など毛頭なく。  
時に激しい動きを交えはしても、女ならではの繊細な配慮が第一と心得る。  
ズチュ…「うぐうっ」…ズプ…「くはああ」…腰をグラインドさせながら  
敢えてゆっくりかきまわす…かと思えば…  
―――ズチャッグチュッズブックチュッズブブッ!!  
「ぐふ!あううう!ひぐうッ!!ふうううう!あはあああ!!!くうう…」  
滑らかな連続ピストンにあわせ喪巣女の呻き声は途切れなし。  
そこへ「…んんッ…ひう…あ…くう…」キヌの声がかぶさっていく。  
暫時よがるは恥でもあるまい、この女をより深遠の園へ導けば、それだけ  
多くを語る筈じゃ…包み隠さず吐かせようとする飛鳥女忍入念の仕掛けである。  
緩急とりまぜつ奥まで進入するが、子宮口では意外に細やかで丁寧な挨拶を  
交わす張り型の先端。キヌの意を受けたそれは、まるで男根のように  
生き生きと振舞う。十度目の頂点が映し出す桃源の世界。喪巣くノ一は今  
まさにそこへ踏み入っていた。  
「くはああああああああああああああッッッ!!!!!!!」  
心身ともにとろけるような混濁の渦。もはや何を聞かれ何を答えるも極楽の  
喜びと感じ入る。  
実はキヌも密かにイッていた、長くとどろく相手の喘ぎに包まれながら…。  
正直、奉仕するばかりではつまらぬ、一度くらい自分も楽しまねばとの  
思いあり。何より先程来、彼女の全身は乳まみれである。張り型を入れた  
瞬間から乳頭一段の隆起を見せ、手で絞っているわけでもないのに怒涛の  
噴出が続いていた喪巣女。それを僻むでも羨むでもないが、女の性として  
やはり昇天の随喜共有せんとの衝動があったろうか。もっとも徐々に頂きから  
降りてきた飛鳥女は互いの股間つなげたままぴたり動きを止め、本題に  
進み行く。「…はぁ、はぁ…そなたに尋ねる…町娘の居場所はどこじゃ…?」  
「…川沿いの蔵…」逡巡なく答えが返る。秘薬の効果てきめんといえ。  
「警固の員数はどれほどじゃ?」  
「十人…」ならばあと八人ということか…訳もない…  
用件はこれで済んだ。が、何を思ったかキヌの質問は終わらない。  
「そなた、名を何という…?」  
「茜(あかね)…」  
「年はいくつじゃ?」  
「二十一…」ごく自然に聞き流している飛鳥くノ一。此度「匠」の空間が  
PINKチャンネルの年齢制限に準拠しているとは夢にも思わない。  
「好きな男はおるのか?」  
「おらぬ…」  
「では、口説かれたことはあるか?」  
「一度、恋文をもろうた…」  
「ほう、それは誰からじゃ…?」急に興味が高まる。  
「鴉のゴウ…」一転、こわばるキヌの顔。(あの助平ヤロー…サイテー!)  
 
「で、そなたはどう答えた…?」  
「心なびかぬ、と断った…」聞く飛鳥女とりあえず安堵の表情かと思いきや  
引き続き複雑な面持ちである。キヌから見てゴウは好きになれない、  
それは確か。だが、喪巣の女にまでフラレたというのは同郷の立場として  
プライドにかかわる。  
一応、男の面子を考えフォローの問いを投げたつもりだった。  
「それで終わりか?」  
「急に抱きしめられた…」  
「ええッ!?」思わず大声をあげる。  
「耳に息を吹きかけられた…」  
「な、な!」  
「乳を揉まれた…」  
「な、なにィィ!!?」驚愕。しかしこの時点最低限の威厳は保っているか…  
「局所を舐められた…」  
「!!!」更なる驚愕の加速。  
「陰唇に指を入れられた…」  
「なんじゃとおおお!!」ゴウがここまで強引なアプローチをするとは…  
飛鳥女の感情千々に乱れずといえば嘘になる。  
「左様なこと、為されるがままにしておったのか!?」  
「抵抗した…」  
「さもあろう。そなたとていきなりの戯れは受け入れられまいて…」  
「じゃが、首に刃をあてられ逆らうと血祀りすると脅された…」  
「それは難儀なこと…」束の間、同情はする。この女は犯された、ということ  
になるのであろう。普通ならこれ以上の質問は酷だが、無意識の相手だから、  
とあけすけに聞く。「で、どうなった?」  
 
「感じてしもうた…」  
「な!…」ストレートな答えに絶句。一方ここから一気に記憶の扉が開いたか、  
喪巣女忍は問わず語り。  
「指使いは最高じゃった…」「…」  
「三度、イッた…」「…」  
「そのあと、あやつは勃っているモノを近づけてきた…」「…」  
「入れようとするところで急に軟らかくなった…」「ん…?」雲行きが怪しい。  
「ふにゃふにゃ折れ曲がって、結局入らなんだ…」  
「まことか…!?」つい口を挟む。  
「そのまま細く小さくなった…」「…」  
「未練たらしい顔をしておった…」「…」  
「もう一度指を入れてこようとしたので、その手を叩いてやった…」「…」  
「くやしかったら勃ててみよ、と言ってやった…」「…」  
「そしたら、すごすごと帰っていった…」「…」  
「後姿を思い切り笑ってやった…」「…」  
「二度と姿現さなんだ…」「…」  
「皆に触れ回ってやった…」女の口元が綻んでいる。  
よほど愉快だったのだろう。片やキヌの方は苦りきっている。実際ゴウは  
情けない。みっともない。しかしこの女のやり方も気に入らぬ。  
なにも触れ回ることはないだろう。  
いや、一旦は哀れんでやろうと思った分、反動が出た。  
 
「まったく、ゴウの奴…」ただ今のやりきれぬ思い、ぶちまけたかったか――  
ズブウ!!股間に力が入った瞬間  
「あふぅ!…あ…はぁ…はあ…ぃ…ィ…イィッ…イ、イク!…イクゥ!!…」  
十一度目の絶頂、明瞭な言葉で紡ぎだすは意識戻りかけの証左といえ。  
もともと軽めの当身だったが、ここまで丹念に時間をかけたせいもあり、  
いつの間にやら女の目覚めが近づいている。  
喪巣女忍は恍惚の中うっすらと目を開けようとしていた。眼前にキヌの  
厳しい表情が迫っているとも知らず…  
よくも笑いとばしてくれたわ、この喪巣女!ゴウもゴウじゃが、こやつとて  
気配りのひとつもすべきであろう…茜とやら、戒めてくれるわ!  
きりきりと腕を引きしぼり右手を硬い拳へ変える。  
そのまま剥き出しの生腹にむけ、突き込む飛鳥くノ一。  
ドボゥッ!!「ふぐうッ!!」ドプッ、ピュゥ!  
下腹への衝撃により頭が一瞬持ち上がり、涙が涎が愛液が、そして乳汁までが  
同時に噴き出す喪巣女。が、キヌは真顔のまま。  
自身が汁まみれになろうが一向に構わぬ。  
再び6時間の眠りに落としたことなど、確認するまでもない様子。  
すっ、と自分の秘所から張り型を抜き凛と立ち上がった飛鳥女。  
もう片方、相手に挿しいれた部分は当分放置が適当じゃ、と決め付ける。  
(目覚めた時、己が痴態をせいぜい恥じるがよいわ…この上は、残りの  
喪巣女ども、容赦なく気絶させてくれる…!)  
冷静に考えれば、喪巣女を強引にモノにしようとしたゴウに問題の発端がある。  
インサート未遂だったとはいえ、刃を突きつけるあたり殆ど強姦と紙一重。  
いざという時萎えたのも本人の不覚であり、それを笑う茜を責めるは  
板違いならぬ筋違い。となれば二度目の当身でこぼれだした女の涙…  
それ夢見心地の悦楽から一気に激苦へ突き落とされたためか…いや、  
仮に十一度の昇天による随喜の副産物だったとしても、である。そっと拭って  
やるくらいの心配り本来は持ち合わせていた筈のキヌ。だが、今はほとばしる  
激情が理性を上回っていた。殺しはしない。傷つけもしない。ただ気絶させる  
だけなのだ。ならば己が拳に思いのたけを込め、喪巣女どもの急所に  
叩き込んでやるのみ…  
飛鳥女忍の気分はエスカレートしっぱなしなのである。  
 
戸口を僅かに開け、慎重に外を窺う。多少感情高ぶっていようと、忍びの勘に  
いささかも差し障りないが上忍たる所以。付近に気配がないこと確認すると、  
音もなく路地へ出、そのままひらりと屋根へ舞い上がる。隙のない、いつもの  
勇姿だが衣裳には二つほどの変化あり。ひとつは喪巣くノ一の分泌した体液が  
べったりと付着していること。乳汁にせよ愛液にせよ、乾いてくると紋様の  
如くこびりつく。そのため衣の柄が以前と違って見えるばかりか、  
なんともいえぬ芳香が身辺を覆うもの。  
もうひとつは、忘れたのか面倒くさくなったのか…股間の細衣を纏っていない。  
或いは屋根上を吹き抜ける爽やかな空気を下半身から満喫したかったのか。  
何れにせよ遠く見据える目はあくまでも澄んでいる…目的地がわかった今、  
あとは仕掛け方への専念と。さきほど、この近辺には四、五名の気配があった。  
ひとりは気絶させた茜であるから、残りは三、四名の筈。  
ぐるり見渡し、遠くの路地に一人を発見する。長屋の壁でエクササイズに  
余念がなかったあの女忍である。屋根伝い、静かに接近すれば又もストレッチ  
体操中。両爪先で立ち、伸びをするように上げた両手は頭上で結び大きく息を  
吸い込んでいる。それ体型良くする効果はあろう。が、防御の構えとはまるで  
正反対、鳩尾・臍まわり・脇腹・丹田どこでも好きなように突いてください、  
と言わんばかりである。その眼前に飛び降りたキヌが、正面から一閃の拳を  
くれるなどあまりに容易。―――ズンンッ!「うぐッ!」飛鳥女は臍を選んだ。  
例によって深くめり込む右腕を支点とし、喪巣女忍の身体は「く」の字の体。  
逆に前へ突き出した格好の頭部はやや上を向き苦悶の表情を晒す。眉間に皺、  
ぎゅっとつぶる目など、瞬時とはいえ激しい苦痛を物語り。目を閉じたまま  
眉が「八」の字にかわる過程は意識失われる道筋そのものである。前のめりに  
倒れこんでくるところを要領よく受け止め肩に担ぐと少し離れた辻まで走り、  
角むこうの様子を探る。ひとり、ゆっくり歩きながら遠ざかっていく人影を  
捉えると、担いできた女を道の真ん中へ放り出す。―――ドサッ…「な、何!?」  
物音にビクッと振り返った喪巣くノ一の目に飛び込んできたのは捻れた姿勢で  
倒れる仲間の姿。「如何したッ!?」慌てて駆け寄ってくる女はしかし、  
もう少し周囲の状況に目を配るべきだった。地に横たわる女ばかりに視線を  
送り、横合いの物陰から矢のように飛び出す影などまるで  
気がつかないのだから。ドズッ!「う!」己の未熟を知るのはこの瞬間。  
といって後悔する間も与えられず、意識みるみる漆黒の中へ取り込まれていく。  
ズポ…キヌが鳩尾に突き入れた拳を引き抜くと、きりきり身体を捻らせ  
倒れゆくスローモーション。仲間の上へ、交差するように折り重なれば、  
仰向けに倒れた腰の部分が持ち上がる。乳房の隆起は衣ごしに強調され股間の  
奥、白い細衣も完全露出。だが、気絶したふたりの傍らに飛鳥女は既に無し。  
はや、遥か向こうの屋根瓦を走りゆく後姿のみ認められる。  
最初のふたりのように、どれくらい眠り続けるか一々推し量るまでもない。  
ここから先は一人残らず深い気絶につき落とす!…飛鳥くノ一の  
気迫十分といえ。先ほどの路地から二筋入ったところで更にひとりを  
見出している。路上にたたずむ女めがけ、此度屋根上からの仕掛けは足技と。  
ひらり飛び降りざま相手の頭部を両太腿ではさみ、ぎゅうぎゅうに圧迫する。  
「むぅッ!?うううう…」時として荒業にでることもあるが、もともと色白で  
柔らかいキヌの太腿。喪巣女の首筋を左右から締め上げるその目的とて  
別にあり。無論、息もつまり苦しむ女は両腕を太腿にかけ外そうと  
もがくばかり、飛鳥女の股間に残る、あの営みの香りまでもが鼻をつき朦朧の  
一歩手前と言ってよい。そこで勢いよく膝曲げるキヌ。無防備に曝される  
女の腹部を今度は鋭い右足かかとが襲う。ドボッ!!「げうっッ!」  
 
ある意味、足技は正拳より強烈である。鳩尾にめり込んだ踵(かかと)は  
すぐにも外れるが、ふらつく喪巣女忍の目は既に虚ろ。肩車状態だったキヌが  
軽やかに着地すると、女はゆっくり目を閉じ昏倒していく。ドサ…倒れた音を  
背後にし再び駆け出す飛鳥くノ一。何度か角を曲がれば、またひとり、  
橋の方へ向かって歩く人影あり。躊躇なく後ろから走り寄り、がっしりと口を  
塞ぐ。「!!」驚き慌てる喪巣女が両腕で振り払おうともがく、その脇腹を  
左拳が一撃―――ズム!「うっ!…」力を失った全身、手をだらんと垂らし  
仰向けに倒れこむは茜と同じ。が、間をおかず横たわる女へ馬乗りになる  
あたりが今回違う。厳しい表情のまま正面からの構えを為し…満を持した拳  
丹田に叩き込む―――ズボッ!「ぐう!!!」衝撃の瞬間、閉じていた目が  
ぎゅっと歪む。否応なく気絶の最下層に落とされた喪巣女。但し股間の衣が  
少し濡れるは愛液のようでもあり。腹部表層の苦悶とうらはらに子宮への刺激  
心地よく受け取る性の本能あったやも。  
一方、立ち上がったキヌは、ここでようやく一呼吸。(あと四人か…)  
このあたりの喪巣女たちは全て倒した。残りは町娘が囚われている蔵の守り  
だけなのか…と考えを整理しつつ、ふと、あらぬ方向を見やる。そこは  
武家屋敷のあるあたり。川沿いの蔵とは随分離れているが、何か気になるのか、  
飛鳥女は弾かれるように駆け出してゆく。屋根を走り、いくつもの路地をぬけ  
やってきた屋敷の門前。さだめし一条か赤目の武士たち大勢詰めているかと  
思いきや、がらんどうの無人状態である。それでもずんずん奥へ潜入していく  
キヌ。中庭から廊下へ入り込み、大広間や控えの間ひとつひとつを丹念に  
検める。そのどれにも武士たちはいない。一体どこへ行ったのか。傍目には  
疑問にうつるがただ今の彼女にとっては好都合。いや、そもそも何故  
こんなところまでやってきたかそっちの方が疑問というものである。答えは  
程なく出た。部屋から部屋へてきぱき移動していたキヌの足がぴたりと止まる。  
障子の向こうに誰かいるのか…脇に張り付き屈むように身構えていると、  
するする障子が開きひとりの喪巣女が出てくる。警戒なく前へ足踏み出した  
ところでふっと風を感じたろうか―――ドスッ!  
「うッ!!」臍まわり、忍衣は放射状の皺を刻んでいる。大きく陥没する  
腹部には毅然と突き込まれたキヌの右腕。もはや声も出ない喪巣くノ一は  
そのままうつ伏せに倒れ動かなくなる。ここで改めて周囲に目をやる飛鳥女。  
広い屋敷ゆえにまだ何人かいておかしくない。が、気配探るもそこそこに。  
やはりこのひとりだけであったと、あっさり見切るは早すぎる。そんな指摘も  
聞く耳持たぬか、さっさと屋敷の外へ出、目的の蔵へと再びの疾駆を開始する  
女忍。先ほど四人を倒した場所から真直ぐ赴けば任務完了時間も短く済んだで  
あろうに、このひとりだけのため寄り道するとは酔狂な。いや、喪巣女たち  
「一人残らず」というキヌの意気込みそれ程に強かったということだろう。  
確かに此度の匠は不殺の掟。全滅任務の表現は正確でないが、気分は  
間違いなく「全滅」と。あと三人…胸躍るくノ一はしかし、武家屋敷に寄った  
ツケの全容を把握していない。実は単なるタイムロスにあらず。匠が密かに  
仕掛けた罠だったなどと…ぎりぎりにならねばわからぬ定め。幾多の町屋を  
ぬけ蔵に隣接する長屋へ到達した時点ですら、その片鱗感じさせないはまさに  
匠の妙である。であれば、ここしばらくは飛鳥女の目線にて進めるしか致し方  
なし。セオリーどおり屋根の陰からそっと蔵の様子を窺えば、戸口に立つ  
三人が見える。今まで一人づつ眠らせてきたのはステルス・アクションの王道  
だったが、ここにきて闘い勃発は避けられまい。しかし逆に言えば、  
あの三人を倒すことにより任務は達成される。手練れのキヌにとって殆ど勝利  
収めたも同然と。一応磐石を期し状況分析は怠りない。  
戸の正面にふたり並び、ひとり角の近くにいるは路地への警戒も兼ねているか。  
となれば注意散漫になりがちなこの女が狙い目であり。敢えて迂回し蔵の  
屋根へ飛び移った飛鳥くノ一。ふわり飛び降り相手の背後をとる技は  
いつもながら見事というしかない。 
 
「心に拳、当身に情け…これが私の忍道」匠の意に沿い不殺を貫く情けは  
あるが、突き出す拳には厳しさもあり…これが今回キヌの極意。蔵の角に立つ  
女の背後に降り立ちざま片手で口を塞ぎにかかる。次いで脇からの一突きに  
入ろうとするところで…「むううぅぅッ!」指の隙間から洩れる呻き声が  
思わぬ音量。「なッ!?」戸口の二人、振り向くのが早すぎるは誤算だが  
ここまでくれば一気の勝負。先ずは予定どおりの脇腹突きを敢行と―――  
ドムッ「うッ!」よろめき倒れる女に構わず二人目へ向かう。といって  
こちらに気づき拳振りかざす相手となれば今までとは勝手も違おう。  
「このぉッ!」拳と蹴りを組み合わせた攻撃を仕掛けてくる喪巣くノ一。  
下忍とはいえ動きは俊敏、侮りは禁物である。  
ヒュン!ヒシュゥ!相手の拳が膝が自分の腹部すれすれを通過する。だが  
かわしているばかりではない、相手を上回る軽妙な足運びにて反撃の機会を  
狙う。無論時間は余分にかかり、もうひとりの女忍が大音声あげるは  
看過せざるを得ない。「曲者じゃああ!出会えええッ!!」熾烈な闘いの  
最中だが、喪巣女の叫び声にも余裕のキヌ。仲間など呼んでも無駄じゃ。  
皆しばらくは眠っておろう。そなたらも早々に気絶させてくれるわ!  
…そうこうするうち、眼前の相手も呼吸が乱れてくる。  
もともと実力目一杯の女ゆえ、連続の攻めはきつい筈。知らず無理な体勢に  
追い込まれた喪巣女忍はそこかしこに隙が見え。次の瞬間、懐に飛び込んだ  
飛鳥女の華麗な当て技炸裂するは当然の結果といえよう―――ズボォッッ!!  
「うぐうッ!」鳩尾深くめり込ませた拳を素早く引き抜くと、いよいよ最後の  
ひとりに向かう。  
 
さぞかし相手の顔引きつっているかと思いきや、口元に微かな笑みがこぼれて  
いるよう。ふん、強がりも大概にせい。或いは観念して開き直ったか。まあ  
何れでもよいわ、と、ひといきに飛び込んでいく飛鳥くノ一の目の端に人影が  
映る。走りながらまさか、と思いちらと横を見れば「!!」蔵の角を曲がって  
ばらばらと登場する女忍たち。その数、十数名、いや三十名はいるやも知れぬ。  
声に出ぬ驚きのまま反対の方角を向くと川沿いの道を駆けてくる者やはり  
三十余名は下らない。更に後ろ振り返れば怒涛の勢いで橋を渡ってくる者  
三十数名。瞬く間に囲まれる格好となった飛鳥女忍はもはや屋根に飛び移る  
タイミングすら失していることに気づく。というより屋根上まで多数配される  
事この時点で直感せざるをえない、至近だけでも百余名もの相手によって  
十重二十重に包囲される絶体の危機。なぜこんな展開になったかなどの疑問は  
この際後回しであり。少しでも手薄なところ見つけて脱出するしかない、と  
腹をくくるキヌ。いや、考える暇もない、既に八方から飛び掛ってくる  
喪巣女忍たちと闘わねばならないのだから。  
 
―――ヒュッ!シャッ!最初に向かい合った女が繰り出す拳を皮一枚  
かわしながら、相手の臍上に左拳の一発―――ドスッ!「う!」と同時に  
背中へ迫っていた女の鳩尾めがけ鋭角の肘鉄をお見舞いする―――ズム!!  
「あぐッ!」一瞬で気絶しもたれかかる背後の女を左側への盾とし自分は  
右足回し蹴り―――ボグゥッ!「うげッ!」右側から突入した女の丹田を踵で  
したたかに打ち据えている。その右足を地につけるや今度は左足の爪先が長く  
伸び―――ズボォ!「うう!!」左斜め前から飛び込んできた女の腹部、  
柔らかな肉質をかきわけ足指がずっぽり埋まる。当然それとて長居は無用、  
崩折れる女を踏み台にひらり上へ跳び、後続の突きを回避する。殺到する  
喪巣女忍たちとて追撃継続、即座に三名宙に飛ぶ。ところが空中戦でも  
上忍の技冴え渡り。飛鳥女の腹めがけ突き上げてくる三本の腕を見極め  
カウンターの美脚を突き出す。腕より脚長いは当たり前だが、下方から迫る  
相手となれば腹までは届かない。その実狙いはそこでなく。手刀がわり、  
足の甲をふたりの首筋にうち当てていくのである  
―――バシ!「んう!」ビシッ!「あ!」呻き声は短いが気絶は確実、  
6時間は眠らずとも十二分な時間は稼げよう。残ったひとりの拳は身体を  
回転させて避け、相手の伸びきった上体ちょうど眼前にきたところで当身を  
決めればよい―――ドズゥッ!「ふぐッ!」気を失った三名落下するに紛れ、  
軽やかに着地した飛鳥くノ一は休む間もなく身を屈め腕を左右に突き出す  
―――ドフ!「うぅ!」ズブッ!「んぐ!」地面で待ち構えていた二人が  
繰り出した拳は標的の残像捉えたのみ。キヌが瞬間低く構えた背中の上で  
クロスするように空を切り、一方自分たちの腹へは相手の拳が完璧に  
決まっている。ここまで十秒もかかるまい、九人を一気に倒す飛鳥女の腕は  
確かに相当のものである。さすがに勢いを削がれたか、喪巣女たちは少し  
遠巻きになる。が、残り依然九十名余。局面打開には程遠い。この僅かな間隙  
とて当事者のキヌよりむしろ傍観者への説明のため用意されたものなのだろう。  
そう、何故こんな窮地に陥ったのか?  
 
大方の想像に合致はしよう。鍵はあの武家屋敷にあり。  
とはいえキヌが立ち寄ったからこうなった?と問われれば答えはノー。  
喪巣女ひとりを倒したから?と聞かれてはじめて半分イエスとなる。  
厳密に言えば倒し方まで注文がついていた。要はあの場で気絶玉を使わねば  
ならなかったということ。そうすれば蔵の三人で打ち止めになる筈だった。  
ところが当身で失神させたことによって隠しプログラムが発動。蔵近辺の  
シナリオが大きく様変わりしてしまったのである。  
いくら自由度が高いといってもメーカー設定を逸脱したここまでの進行で  
潜在プロセスの芽は密かに成長していたということか。  
それでも屋敷内のひとりを見逃せば任務達成時の獲得ポイントが低くなるため  
結果的にトラブルは避けられた。それを満点評価は得た上ですべからく  
設定無視とあってはメーカー側も黙っていない。これ起こるべくして起きた  
現象。本来の忍道ポリシーとも言えよう。勿論そのような背景やお約束、当の  
飛鳥女が知る由もない。匠の意向こそ絶対と信じている律儀な女に対し実は  
それに優先する枠組みがあるなど、思いつけと言う方が酷。こうなった以上  
もはや成り行きに身を任せるしか選択肢は無く。再び局面に目を戻す。  
一歩は引いたもののキヌを取り囲む結界は極めて厚い。再び押し包むように  
攻撃仕掛ける喪巣女忍群。個々の技は大したこともないが集団でこられると  
どうにも面倒である。「このぉッ!」「練習どおりいくわよ!」「わかってるッ」  
威勢よい言葉が飛び交う中、飛鳥上忍とて押されているのか。気迫劣らずとも、  
やはりこの数相手に苦戦は避けられない様子。次々繰り出される突きや蹴りを  
かわすだけではジリ貧と思ったか積極的にうって出る。瞬発の足運びで  
ひとりの腹を打ち当てるとすかさず斜め上へ飛び。前方から突進してきた  
ひとりの首に己が太腿を絡ませる。今回向きは逆の肩車。大胆にも喪巣女の  
目の数ミリ先に剥き出しの股間を密着させる。その秘所少し口を開け、  
鮮やかな深紅の内陰唇すら手に取るように。先ほど茜とのやりとりで  
興奮冷めやらぬ膣口からは悩ましくも刺激的な香りが女の頭部を直撃する。  
本来なら同性として自らも疼くものだが今はそれどころでない。  
両股の物理的圧迫に加え究極の隠微に五感を翻弄された女。「ううう…」手を  
持ち上げ、ロックされた足を外そうとするはどう見ても無駄なあがき、苦悶の  
呻きばかりが空しく洩れる。 
 
もうすぐ倒されることになるがこの女、名を桔梗という。実は彼女、  
別の場でも不覚をとった苦い経験あり。うっかり畳の上に置かれた気絶寿司を  
食べてしまったのである。その時仕掛けたザジが泥棒任務だったため命拾いは  
したがやはり褒められたことではない。そういえば共に鍛錬に励んだ  
仲間内でも彼女は決して優れた方ではなかった。気立てはいいのだが脇が甘い。  
今回も、首周りの足を外そうとの必死さは伝わるが、例えば自ら倒れこんで  
仲間の攻撃に期待するなりの手立ては考え付かなかったか?いや、一途では  
あり而して愚直ともいえる桔梗になり代わり眼前の状況もう少し仔細に  
レポートをしてみよう。  
喪巣くノ一の鼻先触れるかと思えるほど間近に見える局部。茜ほどでは  
ないにしろいささかの愛液を迸らせていた飛鳥女である。ただ今にあっても、  
その潤いは十分なまま。とろりとした白濁の露が残る花園では、てかてか輝く  
肉襞がまるで意志を持つかのようにくねくねと蠢く。まさに下の唇そのもの、  
卑猥な言葉が連発されているようにも見え。そのうえ肉壁をかきわけ隆起する  
陰核の膨らみときたら…ぷるぷる小刻みに震えるそれ殆どはちきれんばかり。  
或いは桔梗のおでこを掠めたか。自慰とも蹂躙ともとれる妖艶な動きが脈々続く。  
 
もっとも、これだけ濃厚な時過ぎる間とてキヌの所作は目まぐるしい。  
先ず、肩車に乗る自分の上体めがけ飛び上がってきた二人への対処。  
タイミングよく突き出した両脚が相手の拳より先に標的の鳩尾をとらえる  
―――ズボッ「ぐう!」ドズゥ!「あうッ」自らの勢いにキッチリ比例した  
衝撃被る皮肉な結果。帯のやや上が深く陥没し飛鳥女の足指すっぽり埋もれる  
ほどに。忍衣ごしといえ、かきわける腹部の肉質ははっきり分かる。(こ奴らも  
腹筋鍛えておらぬようじゃ、斯様に脆い腹ではひとたまりもあるまいの…)  
無論臓腑まで傷つけることはない。ただ、拳にしろ足先にしろ女の柔らかな  
腹部を抉るは一種の快感。これだけの多勢を相手にしながら尚、自らの技に  
酔う瞬間ありと言えようか。次に乗っかかっている女の頭に両手を載せると  
ふわり身体を浮かす。さながら跳び箱の体勢だが、前方にて二人に  
脚突き入れた反動で後方へ。身体を丸めながらバック転に移る。それ即ち  
腹部から引き抜いた足先を鋭く後ろへ突き出すことであり。後方から突進して  
きた二人の臍に突き刺さるのは偶然でも何でもない、狙いすました一撃と。  
―――ズブ!「ふぐッ」ボズッ!「うぅッ!」突いたとて臍自体を貫通する  
訳でもないが、なにぶんデリケートな部位である。生まれ落ちた時の痕跡と  
して以外、特段の意味を持たず平穏な日々を送ってきたこの部分には驚天動地  
のインパクト。他の急所同様、深い気絶に導かれるも止むを得ない。しかも  
飛鳥くノ一の連続技は未だ止まらず。足先突き入れたまま今度は両腕を  
勢いよく左右に開く。その先に作る拳も万全、回り込んできた二人を倒すに  
十分な威力あり。但しこの瞬間キヌの四肢は四人の身体へ沈んでおり、そこを  
狙われれば如何な上忍とて厳しいと思えるところ。それは当人こそ熟知の体勢、  
崩折れながら既に意識失っている四人の隙間から突入せんとする新手四人に  
向け、きちんと手をうっている。それ即ち突き入れた拳や足先の捻りであり。  
相手の身体へ押し込んだまま絶妙に回転させれば、夫々が斜めに揺らぎ  
新手の侵入を妨げる。その僅かな秒さえ稼げればこっちのものと、再度  
四肢への力を込める飛鳥女。  
 
グググ…  
「んぐぅぅ!」「ぐうぅ」「ううッ」「ぅぅぐ…」ある種とどめにも等しい  
押し込みに失神状態の四人からは更なる呻きが吐き出され。そろって一層の  
深みに落ちていく女忍たちだが、キヌの目的はそこにない。これまた反動で  
四人の身体から手足を離し上へ飛ぶ。上空で巧みに身体をひねりながら一旦は  
身を丸め。これ意外に隙のない構えとなれば眼下の新手にとっても攻めにくい。  
小さく丸まった身体のどこへ拳入れようかと一瞬逡巡する四人。と、そこで  
突然!大きく放たれる四肢、さながら四筋の光条。或いは飛散する矢の如き。  
超速の拳が爪先が一切の視認不能なまま四人の腹部に突き刺さる―――ドスッ  
「う!」ズボォッ!「げうッ」ズム!「ぐふぅッ!!」ドボ!!「ふぐ!」  
その目うつろに宙を仰ぎ、半開きの口元からは涎も垂れる。当身のシャワーを  
浴びた女忍たちが倒れゆく間にひらり地に降り立った飛鳥女。向かう先は  
さっき肩車に仕掛けた喪巣女忍である。太股で首絞められた影響はしっかり  
残り、桔梗は今尚ふらふらと立ち尽くすのみ。およそ構えもおろそかな  
相手などすぐにも倒せるが、連続十一人当て落としたことで暫時の余裕が  
生じたか、ほんの僅かその顔を覗き込んでみる。無論素性は知らぬ。  
関心もない。ただ、覆面の上にのぞく目鼻だちに人の良さが隙間見えた、  
それだけのこと。容赦はせぬが、せめてそなたへは甘美な一撃をくれてやるわ…  
臍と丹田の間にある秘孔に狙いをつけると、鮮烈な拳がひといきに  
飛び込んでいく―――ドボウッ!!!「うぐううぅぅぅッッ…ぅうあううぅ…」  
長く引き摺る呻き声はその途中から恍惚の喘ぎにも似て。厳しくも的確に  
子宮を押され膣粘膜を刺激されたのだろう、股間から太股をつうと伝う一筋の  
煌めきとて、それ間違いなく愛の雫によるもの。激苦ないまぜでありながら  
薄幸の女はいま確実に桃源の夢界へと落ちる計らいを受けたのである。  
 
目は苦悶のうちに閉じられながら、その口元微かに綻ぶは茜と同じ。すっと  
拳を引けば「く」の字に折れ曲がった女の身体がゆっくりと前のめりになって  
いく。拳に多少の情けを込めたといえ、さすがに優しく抱きとめるまでの  
サービスは省略する飛鳥女。それはそうだろう。いま蔵まわりだけで都合  
二十三名もの多数気絶させたは鬼神の働きと言いたいところで、まだまだ  
取り囲む者八十名余。苦境脱出に程遠いばかりか自身の肉体消耗が先にくる。  
裂帛の気合維持されようが、息遣い荒くなるも避けられない。片や  
「追い詰めるのよ!」と気勢をあげる喪巣くノ一たちによってじわじわ狭まる  
包囲網。もはや起死回生の勝負とばかり、キヌが選んだ方策の鍵は懐にあった。  
即ち何度目かの飛翔を敢行すると、胸元から取り出した気絶玉を四発地上の  
喪巣女たちに向け投げ込んだのである―――ボン!ボンッボン!ボシュゥ!  
もうもうと立ち込める白煙の中ばたばた倒れる人影が確認できるが、次の瞬間  
には自分もそこへ降りねばならぬ。それ当然想定の範囲内にて息を止め。  
狙った方向へ脱兎の勢いで駆け出している。そう、今だけはこちらに有利、  
相手は少なからず混乱していると思うもの。実際、不用意に煙を吸い込んだ者  
三十名などと数えはしないが、やや疎らになった感は確かにある。  
勿論喪巣の側とて手をこまねく訳でなく。同じく息を止め身構える者多くおり。  
このような白煙、数十秒もすれば晴れるであろうと体勢立て直しに努めている。  
とはいえ濃霧のような視界不良につき、根本的なハンディは致し方なし。即ち、  
同士打ちを避けるため、どうしても至近に相手を確認してからの判断となる。  
片や飛鳥女忍の方はその必要が全くない。前方にぼんやり人影浮かび上がれば  
即座に拳突き出すだけで済む。ただでさえ技量の格が違うところでこの差は大。  
伸び伸び繰り出す左右の拳が面白いように相手の腹へと決まっていく―――  
ドスッ!「う!」ズム!「あぐッ」ボグゥッ「ふう!」ズボ!!「ぐふッ!」  
―――突き、引き抜き、そして突き―――ドボゥッ「うぐッ」ズドッ!「ぐ!」  
ドフッ!「あう!」―――当人が気づいた時はもう遅い、身体の中心から  
激烈な衝撃が走り、意識みるみる漆黒の闇に取り込まれていく…  
ボズゥッ!「ふぐう!」ドム!「うぅ!」ドブッ「あぐ!」…  
(ふふ、そなたらの呻き声も色々よのう…)気絶に落ちていく相手の顔  
見据えるはもう一息と頑張る高揚の気概ゆえか。まだ余裕というには早かろう、  
或いは一見同じに見える喪巣女たちに個性見出すが闘いの礼儀とわきまえたか。  
何れにせよ惑星直列よろしく一直線に十人倒し、薬の霧が晴れる外輪まで  
駆け抜けてきたキヌ。ここにきて行く手を遮る者ようやく十名程度に減じたと  
感じ、脱出の期待が胸中占めるようになっている。もっとも、傍観の者には  
素朴な疑問も置き去りに。つまり不殺貫く飛鳥女の方はともかく、何故喪巣の  
女たちまで素手なのか、という問い掛けである。  
現状もはやステルス・アクションの域でない、これは乱闘だ。であれば  
喪巣くノ一得意の武器で対抗するのが自然ではないか…?これ充分予見される  
課題。至極まっとうである。ここでありきたりな答えをすれば、それを含め  
匠の設定なのだ、との強弁がひとつ。そしてもうひとつは…彼女たちの  
体術にも着目したいがため、ということで。  
 
それどのような技か大概の想像がつくとして…先ずは現状のおさらいから  
進めてみよう。ついさっき百名余で取り囲んでいたもの忽ちにして半分以下へ。  
白い霧晴れるにつれ蔵の前は大勢の喪巣くノ一たち折り重なって  
倒れ臥すさまが浮かび上がる。さながらおびただしい数の蝶一面地を  
埋め尽くす光景に似て。まさに衣裳柄の織り成す壮観でもあり。その半数  
キヌの当て身により、また残り半数は気絶薬の効能で。薬を吸い込んだ瞬間  
身悶えしたか、或いは闘いの激しい動きゆえか、多くの忍び衣に乱れが見える。  
裾がはだけ、胸元開き。中でも顕著は飛鳥女の強烈な当て技によるものと。  
打撃陥没と同時に腹部の衣強く引き寄せられるは仕方なく、裾は大きく  
めくれあがり局部を覆う細衣とてモロ見えである。股間にぎゅっと食い込む  
纏いの艶。その白い薄衣どれもじっとり濡れており余すところなく透ける  
ばかりか、本来隠すべき秘所の隆起形状極めてリアルに訴える。  
中央に一本の縦筋走り、その谷見下ろす小高い盛り上がりが左右に侍り。  
うっすら紅色に染まった肉壁はただ眩しい。更に、下腹部を当てられた者の  
多くは不覚の愛液垂れ流し、地面に芳香の泉を形成している。一方胸の方は  
どうかと言えば衝撃のせいだろう、腹部の凹みと相反するように、はだけた  
衣から片乳や両乳を露出させる者多数。つやつや張りのある乳房。ふっくらと  
豊かな乳房。少し小ぶりだが屹立した乳首を備え元気に上を向く乳房。気を  
失った仲間の身体に上からのしかかられ心持ひしゃげた乳房…図らずも注目  
浴びる格好となった夫々の房は半ば恥じらいながら、それでもしたたかな個性  
主張に余念がない。個性ついでに各人閉じられた目鼻だちも再評価は  
可能なるか。全体に均質でクール・ビューティな印象を与える喪巣女たちだが、  
こうして力なく眠りに落ちた表情を覗き込むと、目の大きさ・形・彫りの深さ・  
バランスなどなど中々バラエティに富んでいる。冷徹なイメージは影潜め。  
今や弱弱しい八の字眉と相俟った愛くるしい寝顔がそこには並ぶ。そして  
最後に忘れてならないのが脚線美。特に太腿の肉感は程よい弾力性を  
確信させる。色白だが貧弱でもなく。日頃のシェイプアップによってスラリと  
伸びた精悍の華。適度なムチムチ感が堪らない、という見方も勿論ある。だが  
魅惑的に見えるこの太腿、ひとたび体術に応用すればキヌに限らず大きな  
役割果たすもの。そう、それは早くも次の局面に見出せるのである。  
 

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