こんばんは、すずなです。
この前夜中にゴソゴソ音がするので目を覚ましたら、おとっつぁんがあたしに背を向けて座っています。
「おとっつぁん…?」
「!!…ううっ、すずな…?」
おとっつぁんは変な声を出しながら振り返りました。
手に何かを持っているようでした。
「おとっつぁん…?何持ってるの?」
「すっすっすずな!これはな、 松 茸 だ!大工仲間からもらったんだ(´Д`;)」
「わぁい、あたし松茸食べたかったんだ!おとっつぁん、ありがとう!!」
松茸はすごく芳しい香りがすると聞きます。あたしは匂いをかごうと松茸に手を伸ばしました。
「お゛うっ!」
何故かおとっつぁんが変な事を出します。
そして、松茸からはイカの匂いがしました。
「おとっつぁん、この松茸、大きいからたくさん食べれるね!」
「ハァハァ…すずな…松茸のさきっぽから汁が出てるだろ…
それを吸うようにしてすするのが松茸のうめぇ食べ方なんだぜ……へ…へへ…」
「おとっつぁん、食べて良いの!?」
「あぁ、すずなに全部やるぜ…良いか、汁をすするんだぜ」
「おとっつぁん、ありがとう!」
あたしは夢中になってすすりました。
汁がどんどん溢れてくるので、よほど身が詰まった良い松茸なんだと思います。
ですが、松茸って案外苦いんですね。お金持ちはこの苦さが好きなのかな?
「おお…べらぼう…べらぼう……!」
おとっつぁんはあたしを見て喜んでいるみたい。優しいな。
松茸は最後に白い汁を出したらなくなってしまいました。
「すずな、松茸はうまかったか?」
「うんっ!すごくおいしかったよ!」
おとっつぁんはあれ以来、自分は食べないのに毎晩のように松茸を食べさせてくれます。
あたしはそんなおとっつぁんが大好きです。