王蟲の群れが去って2週間、風の谷に新たな問題が浮かび上がっていた  
移住して来たペジテの民との住民同士の軋轢である  
当然であった、彼等は蟲を使って谷を滅ぼそうとしたのだから  
森が焼失したことについてさえ、遠因を求めれば彼等にたどり着く  
 
普段は表面的には両民は平静であるが、何らかの些細なトラブルがあると  
谷の住民が彼等を責める状況へと発展してしまう  
事件の興奮が冷めていくにつれ、そういう場面が増えていった  
 
ペジテの人々に返す言葉は無い  
そんな彼等に追い打つように谷の民の罵声が響く  
今日も風の谷の姫の眼下でその光景が繰り広げられていた  
大風車の回る音に負けない男らの大声、声の中身までは確認出来ないが  
相当辛辣な言葉をペジテの数人の男に浴びせ掛けてるのが彼等の様子から  
窺い知れた  
 
「やれやれ・・ しょうがないのぉ・・」  
 
溜息をつく城オジ、ミトの隣で、姫はぐっと手を握り締めていた  
 
((このままじゃいけない・・))  
 
 
 
率先して植林作業に勤しむアスベル  
彼も又、あの日以来鬱々とした日々を送っていた  
王子である彼は、ペジテの他の者以上に谷の者達に迷惑をかけた責任を  
強く感じていた  
 
「アスベル、精が出るわね」  
 
振り向くと青い衣装と短い髪が風になびいていた  
 
「やあ・・ 気が付かなかった」  
「すごい汗、少し休んだほうがいいわ」  
 
ナウシカは何時でも笑顔で振舞ってくれる  
かえってそれが彼の胸を締め付けることになっていた  
彼女の眼をまともに見返すことすらしない  
 
「ナウシカ・・ いや、なんでもない」  
 
何かを言いかけてすぐにやめ、横を向いてしまうアスベル  
あの時以来この調子だ  
自分を高らかに抱え上げ、共に喜び合ったあの笑顔はあれっきりと  
なっていた  
 
「アスベル 実はね・・」  
「え?・・ 僕が? 君と?・・」  
 
横を向いた彼の顔がしっかりと彼女のほうを向き直す  
久しぶりに二人の目があった  
 
ガンシップに数日分の食料諸々が積み込まれた  
ナウシカが腐海の底の調査に赴くのである、アスベルを伴って  
 
「それでは、ユパ様、ババ様、大オジ、行って参ります」  
 
飛び立って行くガンシップ  
前の席で固まったように操縦桿を握るペジテの王子と、  
後部席からにこやかに手を振る風の谷の姫  
城外の人々も作業の手を止めて見上げていた  
勿論、見送る大半の大人達に姫の真意はわかっていた  
 
「ふぅ、姫様のやることは・・ 相変わらず大胆じゃて」  
「・・行ってしもうたのぉ 青き衣の乙女もこれで見納めじゃな」  
「何やら、嬉しそうだな ババ」  
「フッ・・ そう見えるかの? フッフッ・・」  
 
城の屋上からユパ達は小さくなって行くガンシップを見送り続けた  
 
 
 
腐海の底  
 
テントの設営を終えたアスベルは、何やら夢中で拾い集めたり  
調べ回っているナウシカをぼんやりと眺めている  
 
「ほら、だめ!テト 邪魔しないでったら」  
 
周りをウロチョロして、主人の手の中の見慣れない物に好奇心満々の  
キツネリスを上手く身を捩ってかわす彼女もまた、活き活きとした表情を  
浮かべていた  
 
「彼女もキツネリスと変わらないな・・」  
 
そんな彼の脳裏に彼女と歳も同じ、背格好もよく似た一人の少女が  
想い浮かんでいた  
いや、今まで一時も忘れたことはない・・・双子の妹のラステル  
 
「・・ラステル、僕はつくづく駄目な人間だよ」  
 
最愛の妹・・ しかし彼はそれを守り抜くことが出来なかった  
 
 ・・・私が逃げれば、民が皆殺しにされます・・・  
 
トルメキアから彼女を人質に差し出すよう要請され、  
アスベルが二人で逃亡しようと持ちかけた、その時の答えであった  
 
 ・・・大丈夫、私は大丈夫だから、アスベルは母さん達を守って・・・  
 
王族としての決心を兄に促す彼女にアスベルはそれ以上何も言うことが  
出来なかった  
 
「ラステルが! ラステルの乗った船が!・・・ 墜落炎上だと!!」  
 
街を占拠しているトルメキア兵どもの会話を耳にしたアスベル  
 
 ・・・大丈夫・・生きてさえいれば、必ず会える・・必ず・・・  
 
妹の別れ際の言葉が、その顔とともにゆらゆらと頭の中で燃え落ちた  
堪えきれない怒りが体の奥底から噴出する  
外部の無関係な人間までも焼き尽くさんほどに・・  
 
蟲の群れを使ってでも遮る者を踏み潰し、どれほど犠牲が出ようが  
巨神兵を必ず取り戻す  
こんな案を容易に受け入れてしまうに充分な心境に陥っていた  
この時の彼の感情は怒りに我を忘れた王蟲と何ら変わらなかったのだ  
 
「・・・結局、僕は何だったんだ」  
 
あれからこれまでの一連の出来事を振り返る  
手が空くと、いつも考え始めてしまうことだ  
人一倍仕事に精を出していたのは、これが嫌だからというのも理由の  
一つであり、さらに自己嫌悪を助長させることにもなっていた  
 
何も守れず、無意味な消耗ばかり引き起こし、挙句現実から目を反らす  
アスベルはいつしか頭を抱え込んでいた  
 
 
・・どれだけ時間が経ったであろう  
はっ!と我に返るアスベル、辺りを見回す  
ナウシカの姿も声も見当らない  
 
「ナウシカ・・ ナウシカ! ナウシカーーー!!」  
 
慌てて立ち上がるアスベル  
ざー・・・ 腐海の根の天井から砂が零れ落ちる  
 
「ナウシカ・・ ここにいたのかい・・」  
 
砂の上に仰向けに寝転ぶ彼女、初めてここで出逢った時の様  
ナウシカはうっすらと閉じていた目を開けた  
 
「・・ちょっとウトウトしちゃった」  
 
アスベルはその傍らに腰掛ける  
 
「確かにここは、妙に眠気を誘うよね」  
「あなたも居眠りしてるみたいだったから」  
「え? はは・・、居眠りなんかじゃなかったけどね」  
「アスベル、私はただペジテの人も谷の人も仲良くしてほしいだけなの」  
「・・ナウシカ」  
「立場が逆なら私達も同じことをしたかもしれない  
 それなのに、結果だけ見て相手を一方的に責めるなんて」  
「仕方が無いよ、人間だから・・  
 特に今は大変で、どうしてもぎくしゃくしてしまう  
 心配しなくとも僕等さえ我慢すれば・・・」  
「だめ!」  
 
ナウシカが大きく目を開けた  
 
「それじゃ駄目なの、アスベル 時間が無いのよ」  
「はは・・ 何だか、意味がわからないな」  
 
再び目を細めるナウシカ  
 
「私にもよくわからない でも予感がするの  
 今はほんの序章で、これからもっと大変なことが起こる」  
「・・・それで、僕等が諍ってる場合じゃないってことかい  
 で今回、君は僕をここへ誘って・・・」  
「そう、 ぺジテと谷の男女は手を携えないといけない  
 私達がその最初の見本になるの」  
 
ざーー・・ 天井からまた砂が零れ落ちる  
 
「ナウシカ、君は相変わらず不思議な人だな  
 でも、君が言うならあながち的外れとも思えないかな」  
「あなたが初めてよアスベル、そんなふうに言うのは  
 ユパ様にさえ苦笑されたから」  
 
ナウシカがふふ・・と微笑んだ、アスベルはドキリと肩を竦めた  
同時に彼女のサインを読み取った  
だらりと脱力して体を完全に投げ出していた、あの日の妹のように・・  
 
「ナウシカ のこのこ誘われるまま来てしまって何だけど  
 僕には君には手を出せない」  
「君自身自覚があるかどうかはわからないけど、風の谷のナウシカは  
 もはやあそこにいる人達にとって単なる姫じゃないんだよ  
 僕みたいな中途半端な男が手を出すべきじゃない」  
 
しばしの沈黙、ふっ・・とナウシカの上体が起き上がる  
ゆっくりと顔をアスベルのほうに向ける  
うっすらと微笑を浮かべながら意思の固い眼の表情  
 
「時間が無いのよアスベル・・」  
 
にじり寄るナウシカ、後ずさるアスベル  
 
「だめだ よせよナウシカ・・ 今日の君はどうかしてるぞ・・」  
「ババ様に約束したの 必ず次の姫か王子を連れ帰るって・・」  
 
その時・・  
ザザァーーー!! 大量の砂が天井から二人の頭目掛けて崩れ落ちて来た  
 
「うわ!」  
 
揃って砂塗れになる二人  
 
ぷぅ! 二人して口に入った砂を吹き出す  
 
「ふふ・・アスベル おもしろい顔」  
「君こそ・・ 美人が台無しだ」  
 
お互いの顔を見合わせようやく同時に笑顔が浮かぶ  
 
「ごめん・・ アスベル、無理やりはいけないよね」  
「はは・・ まだドキドキしてるよ 君は何にでも大胆過ぎる」  
「うん、ババ様に教わって・・  
 男性は少し押せばすぐにその気になるって  
 興奮させるのは蟲より簡単だって聞いてたから・・  
 全然、そうじゃないのね」  
「・・・蟲より・・・  
 まあ、時によりけりかな」  
「服の中まで砂だらけ 川へ水を浴びにいかない?」  
「う・・ うん、そうだな  
 それじゃ、ナウシカ先に・・・」  
「アスベルが先に浴びて来て、私は服を洗っておくから」  
 
 
川にのんびりと浸かるアスベル  
さらさらとせせらぎを聞きながら、先ほどの冷や汗と張り付いた砂を  
流し落とす  
 
「・・・ナウシカ・・  
 もし君が谷の人の言う”青き衣”とやらの姫なんかじゃ  
 なかったら・・」  
「いや、あの時・・ ここで初めて会ったあの日  
 さっきみたいな真似されてたら・・」  
「馬鹿だな  
 有り得ないことを考えたって仕方ないじゃないか」  
 
アスベルは苦笑した  
 
「何とか彼女を説得して明日は谷に帰ろう  
 谷の人々に潔白を証明する為の言い訳を  
 今夜中に考えておかないと」  
 
その時、ぱしゃ・・という音が背後からせせらぎを遮った  
アスベルは恐る恐る後ろを振り向く  
そして彼の周囲の時間が一瞬にして停止したのだった  
 
ざーー・・ 天井から零れ落ちた砂が川の水に溶けていく  
腐海の根の隙間から差し込む光が水面に乱反射して増幅した輝きによって  
作り出された幻影かと一瞬錯覚に陥る  
 
こぼれんばかりのたわわな胸を右の腕で、  
頼りなげな腰と青さを残す伸びやかな脚の接する所を左の手で  
其々覆った白い裸身が彼の良く知る笑顔を湛えていた  
 
「ナウ・・シカ」  
 
幻などではない、一糸纏わぬナウシカが確かにそこに立っていた  
 
瞬きするのも忘れて凝視するアスベル  
すると突然、彼女はぴょん!と水の中に頭まで飛び込んだ  
ぶくぶく・・と水面に泡が立つ  
 
「ふ!は!・・」  
 
ばしゃ!と顔を上げ、ぶるぶる!と短い髪を振った  
 
「ふぅ! いい気持ち」  
 
面食らうアスベルに、髪から水滴を滴らせながら無邪気に  
微笑んで見せるナウシカ  
水面の下では彼女の手は、もはやどこも覆っていなかった  
 
「ナウシカ・・ 君は・・」  
 
アスベルもこうなるとただの若い男であった  
何時の間にか、その下半身に熱い芯が通り始めていた  
 
「アスベル、隠さなくともいいわ  
 私だってもう隠していない」  
 
慌てて手で股間を覆おうとするアスベルに対し  
真面目な表情を作るナウシカ  
 
「アスベル・・ 私は姫として、いずれ何処かの誰かと伴侶に  
 ならなければならない  
 次代の谷を・・ 人々を見守る者を生み育むために」  
「ナウシカ・・」  
「私はまだ見ぬその人と、この身を預けあう  
 そして、その人の子を産む  
 それは、どんな人だと思う?」  
 
アスベルの脳裏にむらむらとした感情が芽生えていた  
そして、過去に強烈にフラッシュバックを引き起こしていた  
 
 ・・・兄さん、私はトルメキアヘ赴き、そこの誰かの  
    伴侶とさせられましょう・・・  
 ・・・そして、その人の子を産む  
    それは、どんな人だと思う?・・・  
 
あの時、アスベルの中で堪えきれない想いが噴出した  
 
((ラステル・・ 僕は、僕はおまえが・・))  
 
兄の手は妹を床に磔にし、そして服のボタンを外しにかかっていた  
そして、兄としての威厳も説得力も全て失った  
その三日後、妹はトルメキアヘ旅立って行った・・・  
 
 
「ナウシカ・・・」  
 
アスベルはナウシカに惹き寄せられていく  
瞬く間に二人の距離は縮まり、彼の手が水面から辛うじて覗く  
細い肩に触れた  
 
「ナウシカ・・ 僕は、僕は君が・・  
 誰かにそんなことをされるのを想像したくない」  
 
先ほど迫られた時も、あそこで砂が降って来なかったら  
彼はもはや理性を保つことは出来なかったであろう  
彼女が一歩引いたことにより、安堵と共に後悔の念をも生じさせていた  
そして今、彼の中でギリギリ保たれていたものはぷっつりと切れようと  
していた  
 
ナウシカの表情が再び崩れ、笑顔となった  
アスベルにとって、真剣な顔より手強い彼女の笑顔  
まるで心の中を何もかも見透かされるような・・・ いや、それでも構わない  
もう自分に嘘をつくのは限界が来ていた  
 
「先ほど言った、私とババ様との約束  
 果たしてくれる気になった?アスベル」  
「ナウシカ・・・」  
「あなたは卑下しすぎ 私は神様でも何でもない  
 今回は偶々私のしたことが皆の役に立っただけ  
 誰だって過ちも起こせば、人の役に立てることだってある」  
 
ナウシカの肩に触れてるアスベルの手にそっと白い指がかかる  
 
「アスベル、あなたはどう?  
 ぺジテと風の谷の絆を固める為の役には立てない?」  
「ナウシカ」  
「抱き上げて、アスベル  
 ・・王蟲達を森に帰らせて、喜びあったあの時みたいに」  
 
アスベルはごくりと唾を呑むと、ナウシカの背と膝の裏に手を潜り込ませ  
そのまま、ゆっくりと立ち上がる  
流れ落ちる水の中から、いよいよ眩しいほど白く輝く産まれたままの  
ナウシカの姿が彼の網膜に広がった  
 
「この体が・・ あれだけのことを・・」  
((ナウシカ・・ いい匂いがする・・ これが君の香り))  
 
彼女の数々の行ないが思い浮かび、記憶の中のナウシカが次々目の前の  
芳香を放つ裸身と置き換わって行く  
アスベルはナウシカを腕にしっかりと抱えたまま川から上がり  
そのままテントに入り、大きな布でずぶ濡れの彼女を包み込んだ  
 
「フフ、アスベル・・ 子供に戻った感じ」  
 
拭うのに使ってる柔らかい布より、さらに柔らかいナウシカの素肌  
彼女は弾けるように流れ落ちる水滴を布先が掬うのを見つめながら、  
くすぐったげに笑う  
 
「・・・こんな子供は、どこにもいないよ」  
 
彼女の胸を眺めながらこぼすアスベル  
少女らしい危うげな体の線の中で何故かその部分だけは  
アンバランスなほど豊かに実りをつけていた  
 
布を纏った手が二つの膨らみをやんわりと覆う  
掌に布越しに彼女の温もりと心臓の音が伝わる  
 
「・・なんて・・温かさ・・」  
 
撫ぜるように拭うアスベルの指は、しだいにナウシカの豊かさの中へ  
のめり込んで行った  
 
「ん・・ アスベル・・」  
 
篭った息がナウシカの口から漏れる  
何時の間にかアスベルの手は布の中でナウシカの乳房を色々の形に  
揉みくちゃにしていた  
 
「あ、ごめん」  
 
慌てて布を持った手を退けるアスベルの眼下に彼女の髪と同じ色の  
仄かな茂みに囲まれた、穢れを知らぬ畔がひっそりと佇んでいた  
 
アスベルはそっと布を丸めた指で撫ぜてみる、チラリと彼女の顔を確認する  
秘所を男性に触れさせているというのに、のんびりと目を瞑って  
気持ち良さげにリラックスしている  
 
「ナウシカ・・ 君は、その・・ 初めてなんだよね?」  
 
アスベルは思わず尋ねてしまった  
ナウシカは安らかな顔をしたまま答える  
 
「心配しないで、 ババ様に色々教わってきたから・・」  
 
どこかずれてる姫君に、今度はアスベルがくく・・と笑った  
 
「お尻、拭くよ」  
 
ナウシカは躊躇することなくごろりと横を向く  
きゅっと締まった十六娘の丸い尻をアスベルは拭い捲くった、  
その割目までも手を這わせて  
 
((ふふ・・ ナウシカのお尻・・ かわいいな))  
 
尻をしつこく撫ぜられて、さすがにナウシカは身を捩るようにして腰が逃げる  
しかしアスベルの手は追いかける  
 
「アスベル・・ そこはもういいから」  
「ごめん、もう少し・・・ じっとしててくれる」  
 
仕方なく大人しくなった尻は尚もアスベルの手の中で揺れる  
そして布の先は次第に太ももの間をくぐって前へ回り込んで行くのであった  
 
普段タイツで隠れたかもしかのような活発な足がアスベルの手の中で  
拭き摩られていた  
きっと谷の多くの男たちがメーヴェで軽快に飛ぶ、タイツの下を想像してたに  
違いない  
今、アスベルはそれを鼻息のかかるほどの近さで拝んでいた  
すべすべとした生足の触り心地に思わず涎が垂れ落ちそうになるのを堪える  
 
「アスベル・・くすぐったい」  
 
荒くなる一方の彼の鼻息に白いおみ脚が逃げ出す  
 
「それから・・ そこ・・ 何時まで・・ 触り続けてるの・・」  
 
ナウシカの生脚を撫で回しているのはアスベルの片方の手だけであった  
もう一方の手は、彼女の股の間にあった  
アスベルが耳元で囁く  
 
「大ババさんに教わらなかったかい?  
 ここは大切だから、もっと解さなきゃ」  
 
アスベルの指の動きがより積極的になる  
 
「あ・・ そんな・・ むずむずしてくる・・」  
 
ナウシカの顔に生涯で初めての表情が浮かんで来ていた  
 
「ふぅ・・ん そこを摘まれると・・おかしな・・気分」  
 
短い髪が小刻みに震えながら、微かに艶のかかった息を吐く  
湿度を観察する為、アスベルの頭がナウシカの股の間を潜った  
 
「え・・・」  
 
股間に異様な感触を受け、瞼を開けゆっくり顔を向けるナウシカ  
そこには自分の股に咥え付くアスベルの頭があった  
 
「!!・・ いや!」  
 
それまでの大人しくしていたのが嘘のように  
反射的に飛び跳ねるナウシカ  
 
「ナウシカ・・」  
「ごめんなさい・・ びっくりしちゃって・・ でも、そこを・・・  
 舐めるのは・・やめて・・ 汚いから・・」  
 
アスベルは黙ってナウシカの体に取り付く  
 
「まだ湿度が足りないんだ・・ナウシカ  
 それに全然汚くない 僕は君のどんな場所も汚いなんて思わない」  
 
アスベルは再びナウシカの柔らかい丘にとりついた  
 
「う! うぅ!・・ アス・・ベル・・」  
((んぐ・・ んちゃ・・ ナウシカ・・  
  僕はもう・・どうにも・・ならない))  
 
アスベルは滲み始めたナウシカを存分に啜った  
 
「ふ! あぁ!ぅ・・」  
 
ナウシカは甲高い声を上げて頭を振った  
そうしてる間にも、徐々に風の谷の姫の未開の畔は潤んでいくのであった  
 
興奮に包まれたアスベルの翳が、ナウシカの白い肌を覆った  
白い足が大きく広げられ、握り締めたものが宛がわれる  
自身の股の様子を眺めるナウシカ  
 
「アスベル ・・まるで怒った王蟲そっくり」  
「ナウシカ・・ あんまり冷静なんで驚くよ・・  
 あいつの時は・・」  
 
言いかけて、慌てて口を噤むアスベル  
風の谷の姫は、ふふ・・と微笑んだだけで、すぅ・・と目を瞑った  
ぺジテの王子はかえってどきりとした  
 
ドサー!・・ 腐海の天井から零れ落ちた砂がテントの屋根を揺らす  
身を預けあうように向かいあう二つの若い肉体  
どくん・・どくん・・という熱い戦慄きが処女の口から伝わる  
 
((・・アスベル、すごい鼓動・・))  
((・・ナウシカ、 もう我慢できない・・))  
 
一瞬呼吸が止まる  
次の瞬間、熱した固い鼓動は畔を割って内側に踏み入ってきた  
 
「は!ぁう!!」  
 
身を裂かれるような衝撃が脳天まで駆け  
上に乗った侵入者を吹き飛ばさんばかりに身を反らすナウシカ  
しかしアスベルも負けてはいない  
爪先まで反った彼女の脚を掴んで折り曲げ、  
更に腰を沈めて純潔の砦を突き破った  
 
「・・ぐ!・・ぅぅ!」  
 
ナウシカの破瓜の悲痛も省みず、アスベルの攻撃色を帯びた王蟲は  
前人未踏の隘路をその太さに穿ち、根元まで埋め尽くした  
ナウシカの無垢の内側にアスベルが己の棲処を切り拓いたのだ  
風の谷とペジテの結合がここに為された  
 
「ふぅ・・ うぅ・・」  
 
噛み合う熱脈を互いに感じながら、同時に溜息を着くナウシカとアスベル  
二人のつがい目より、確かにペジテの王子が  
風の谷の姫の乙女を散らした証が砂の上に鮮やかな紅い染みを作っていた  
 
「ナウシカ・・ ごめん・・痛かった・・かい?」  
「ふふ・・ 少・・・し・・」  
 
ナウシカは涙を滲ませながらも、しっかりとアスベルにしがみつき  
辛うじて笑顔を作ってみせる  
 
「アス・・ベル  
 今の・・心地は 如何な・・もの?」  
 
震える唇が尋ねる  
 
「最高だ・・ 言葉が・・見つからないほど・・」  
((・・・なんて、いじらしんだ・・  
  僕は・・ 僕は・・ このナウシカと・・ ナウシカと・・ 遂に!))  
 
アスベルは動き出さずにおれなかった  
 
「う! いた! あ!・・」  
 
ずり上がる風の谷の姫をぺジテの王子の腰はかつてない力を帯びて  
追いかけテントの端まで追い詰めた  
 
「つかまえた・・ つかまえたぞ・・ それ! そら!」  
「ひ! いたぃ! あう! あぐ!・・」  
 
がっしりとアスベルに占拠され、想いを施されるナウシカ  
 
「はぁ! ははぁ! ナウ! ナウシカ!  
 始めて! 見たときから! 気に!・・なってた!  
 もう! 離れない! もお! 離さない!」  
「う! うぅ! 耐えなきゃ・・ 谷の・・ため! ぺジ・・テのため!  
 耐え・・なきゃ! あぁ! ああぁ・・・」  
 
始めての異性との抱擁に歯を食い縛って耐えるナウシカの初々しい身に  
アスベルは益々いきり立ち、熱い想いを主張する  
 
「う! く! ナウシ!・・カ! ・・こしが!・・とまら! ・・ないよ!」  
「うあ! あわ! 父さま! ユパさま! ババさま! ミトぉ!・・」  
 
愛欲を直にぶつけるだけの未熟な性の営み  
互いにしがみつき、噴出す汗でぐしょぐしょになりながら  
無我夢中で肉体を鬩ぎ合わせる  
そんな中、重なり合う本能が無意識に呼びかけあった  
 
 ・・・ナウシカ  注ぎたい 全て  君に 注ぎたい・・・  
 ・・・注いで  構わず  全て  注いで  アスベル・・・  
 
アスベルはナウシカを猛然と突き上げた  
喘ぎ疲れ、眼をかっと見開いたまま一撃ごとに歯を鳴らす彼女の中で  
彼はぐんぐん欲情を膨らませていく  
 
「う!!ぐぅ・・・」  
 
低い唸り声とともに、ナウシカの中で絶頂を迎えるアスベル  
 
「あ・・・」  
 
白熱した動きが止まり、安堵したナウシカの涙で歪んだ瞳に、  
恍惚として緩んだアスベルの顔が映る  
深々と嵌り込んだ太い戦慄きが、彼女の胎の奥底をとても熱いもので  
充たしていく  
 
「ふぁ・・ あす・・ べる・・」  
 
ナウシカは、彼の達成感に綻んだ表情を見つめながら、  
穢れなかったその身を染めた感触だけが残っていくのを感じ取っていた  
 
「・・・まだ零れてくる」  
 
変わり果てた自分の股を、目を白黒させて眺めるナウシカ  
体の奥から垂れ零れる、白く濁った粘液を指で掬った  
 
「・・まるで腐海の粘糸そっくり」  
 
ひとしきり指で弄んだあと、ちろりと舐めてみた  
 
「・・・不思議な味」  
「よく平気で舐めれるね・・」  
「あら、アスベルだって、私のここをさんざん舐めていたじゃない」  
「ああ・・ まあ、確かに・・・」  
 
ナウシカは自分の腹に手を当てて目を瞑った  
 
「・・ここに、アスベルがいっぱい・・  
 今ぺジテと風の谷の血が混ざり合ってる  
 やがてそれが生命になる・・・」  
「ナウシカ・・」  
 
ナウシカの目から行為中に滲ませたのと違う種類の温かい涙が  
一筋頬を伝った  
 
「アスベル」  
「何? ナウシカ」  
「ババ様がいってたの 伴侶となったものは証の接吻というものを  
 かわすのだって」  
「・・・そういえば、まだだったね」  
 
二人の鼻の頭が接し合う、ナウシカの頬が紅く染まった  
 
「変だな君は、  
 営みでは平然としてたのに、今ごろ紅くなるなんてさ」  
「だって、こんなに至近距離で見詰め合うなんて・・・  
 ・・あ・・・」  
 
性急にアスベルに唇を重ねられるナウシカ  
こうして、ナウシカの朗らかな声を発する可憐な口もアスベルの  
ものとなった  
 
((ラステル・・ すまない・・ 僕は・・別の女性を・・  
  風の谷のナウシカを愛してしまった・・ 許せ!))  
 
アスベルの舌がナウシカの舌を絡め取った  
 
「ん・・ アス・・ベル・・」  
 
甘い息をアスベルの口の中に吹き込むナウシカ  
アスベルはひたすらナウシカの頬と髪を撫でていた  
 
「アスベル・・・ また大きく・・ また、営みをしたい?」  
 
こっくりと頷くアスベル  
ナウシカは抱き上げられ川へ連れて行かれた  
抱き合ったまま水の中へ身を沈めていく二人、  
そのまま性愛の淀みに溺れ、彼等の周りの水温だけ沸き立つのであった  
 
数日が経過した  
場所を点々と移動しながら、見慣れない植物の実や種を集めて回る  
次来た時観察し易いよう、一箇所に纏めて植え付ける  
 
「どんな実が綯るか楽しみ♪」  
 
作業が一段落すると川で肌についた砂を落とす  
 
「それじゃ、今度は私がアスベルを拭いてあげる」  
「え? いいよ、自分で拭くから・・」  
「いいから、任せて」  
 
初めて身を交わしたあの時から、あたかも神話上の原初の男女のように  
ずっと二人は裸で過ごしていた  
さんざん水浴びして川から上がって来た二人  
結局、横に寝かせられナウシカに体を拭われるアスベル  
 
「・・君には敵わないな」  
「ウフフ・・  あなたの王蟲・・かわいい子」  
「ん? あ! そこは自分で!・・」  
「いいの 私にやらせて・・  
 あなただって、さんざん私のここを拭っていたじゃない」  
「うう!・・ くぅ・・」  
 
ナウシカに扱かれるアスベル  
 
「ホラ・・ だんだん怒り蟲になってきた」  
「はは・・ そりゃ、そんなふうにされたら誰だって・・・」  
 
あくまでやめようとしないナウシカの腰にアスベルの手が伸びる  
 
「すごい・・ もうぐっしょりじゃないか」  
「・・自分でも、触ってたから・・」  
「君は、回を重ねるごとに淫らになっていくな」  
「嫌だ、そんな言い方・・  
 体は嘘をつかないもの ただそれだけ・・・」  
   
ぽっ、と頬を染めながらも、自分から腰を悩ましげに捻って挑発するナウシカに  
いよいよアスベルの心と芯が攻撃色に染まる  
 
少年の浅黒い肌は誘われるままに少女の白い肌に重ねられる  
少女はしなやかな脚を開いて、少年の腰を迎え入れる  
アスベルはナウシカを勢いよく侵した  
 
腐海の奥で一対の雌雄と化した十六歳の肉体  
一人前に交わりの悦びを知ったその物足りない部分に生温かい質感を得て、  
ほぅ・・と同時に深い溜息を漏らす  
それも束の間、繋がった腰は躍動を始め、性急に愛欲を貪り出すのであった  
 
ギイィィ!!!  
 
テトが歯軋りしてアスベルを威嚇する  
 
「あ・・ あ・・ テト、大・・丈夫・・  
 私・・ 苛められてる・・ ワケジャ・・ 無い・・から」  
「ふぅ・・ ふぅ・・ すっかり・・ 嫌われたな 僕は・・」  
 
砂の上で互いの肌を波打たせる二人  
アスベルはナウシカの身体を味わいつつ、その揺れる胸の中央までも  
口で啄ばんだ  
 
「あ! アスベル・・・」  
「くふ・・ テトにもっと・・嫉妬させてやろうと思って・・  
 ここは今まで、彼の占有席だったからね・・・」  
 
アスベルの悪戯な口はナウシカの薄桃色の頂上をその周囲毎含み込み  
舐めずる音を立て始めた  
 
ギギギイイイイイ!!!  
「う! あ!・・ 感・・じる・・」  
 
猛烈な歯軋りを立てるテトの傍らでナウシカは胸を漁られる甘美な  
感触に思わず乳首に吸い付いたアスベルの頭を自ら腕を回して  
むっちりとそのたわわな母性の海に埋め込んでしまった  
 
「ウ! プゥ!・・」  
 
ナウシカの胸の谷間に囚われたアスベル、  
弾性に富んだ二つの巨大な柔肉の海嘯に外気を遮断され  
彼女の芳香と温もりの渦に包まれて溺れて行く  
 
((・・ムフゥ・・ナウ・・ヒ・・ファ・・))  
 
アスベルの頭に響くナウシカの心臓の音が次第に遠のいていく  
一方、繋がった腰はナウシカの尻がもう一つの海嘯となって猛然と振り立て  
入り込んでいるアスベル自身を奮い立たせる  
 
「あ!  アス!・・ベル! あぅ! あ!・・」  
 
ナウシカはアスベルを抱き締めていた  
母性と儚さを併せ持つ優美な肉体が彼の全てを抱き、烈しく慈しむ  
 
「あ! あ! 私の・・胸の中! 私の・・お腹! アスベルがいる!  
 こんなにも! 私の中で・・ 一つになってる!」   
 
感極まるナウシカの髪と耳飾が舞い飛び、汗の雫を輝かせる  
瑞々しい身体に促されるままに、アスベルの脈打ちは絶頂へと導かれる  
やがて胸の谷間からくぐもった声が流れた  
 
「ン! ムム・・ぅ・・」  
 
ナウシカの温床にアスベルの精が放出された  
 
「ふぅ・・」  
 
身を震わせながら受け止めるナウシカ 天を仰ぐように虚ろな目を向けた  
 
「ごめん! ごめんなさい! アスベル!・・  
 ふー・・ はー・・」  
 
息の根が止まったアスベルに人工呼吸を行うナウシカ  
彼女の胸の中で落ちてしまっていたのだ  
 
「目を・・ 覚まして! お願い!・・だから・・  
 ふー・・ はふー・・ 」  
 
ナウシカの口からアスベルの口へ、無我夢中で息吹が吹き込まれる  
 
「ぷ!・・はぁ・・」  
「やった! 生き返った・・」  
 
「・・・はぁ テト・・ごめん・・ ぼくが・・まちがって・・た・・」  
「よかった! 興奮しすぎちゃって、気が付かなかったの!  
 ほんとにごめん!」  
 
うわ言を並べるアスベルにナウシカは抱きついて頬擦りし捲くった  
その様子をテトが呆れたように見守っていた  
 
 
 
 
「おお! 姫様達が戻ってこられたぞ!」  
 
ガンシップから元気に降り立つナウシカを城の面々が取り囲む  
 
「皆さん! ただいま戻りました!」  
「ナウシカ、おかえり で、首尾はどうじゃったかの?」  
「はい、ババ様 彼より・・アスベルより、たくさん想いを頂きました」  
 
そう言いながら自分のお腹を摩ってみせた  
おおっ!とどよめく一同  
 
「しかし、全然以前と変わっとりませんな」  
「いやいや きちんと変わっておるぞ ふっふ 姫が母親になられる  
 また一年死ぬわけにいかんようになったわい」  
「アスベル、責任重大だな」  
「はい」  
 
ナウシカの後ろから付いて来たアスベルにユパが話し掛ける  
まっすぐ見据えるアスベルであった  
 
 
数日後  
 
二匹のトリウマに跨り旅立って行くユパとアスベルを  
メーヴェで見送るナウシカの姿があった  
ここに残ることを志望する彼の背を強く押したのは他ならぬ彼女であった  
 
「ナウシカ・・ 傍にいてやれなくて御免・・  
 必ず、生まれ来る子の父親として、ふさわしい男になってくる」  
 
互いに手を振り合う二人  
次第に遠ざかっていく青い衣を纏った朗らかな笑顔が  
髪をなびかせながら何時までも見送り続けていた  
 

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