大きな船がドルクの聖都シュワを後にしトルメキアの王都トラスに向かっている。  
微かにエンジン音が響きわたっている元土鬼皇兄の重コルベットの小さな寝室にトルメキアの代王クシャナは寝ていた。青白い月明かりがコルベットの窓から差し込んでいる。エンジン音のほかに音はなく部屋は静寂に満ちていた。  
 
数刻が過ぎ、静か過ぎるほどの闇の中、クシャナは気配を感じ眠りから覚めた。  
そして、その瞬間、虚空の上から彼女の躯に黒い混沌とした何かがのしかかった。  
身体が動かない。重くもないのに、のしかかってきた者を投げることも手の届く場所に置いたはずの愛刀に触ることも出来ない。  
「無礼者、何をする!!」  
人を魅了する凛とした声が部屋に木霊する。  
しかし、その黒い異形は言葉をも無視した。いやむしろ嬉しそうにぐにゃぐにゃと形を変えながら彼女の体の上を調べまわすように縦横無尽に這い回っている。  
いつもなら彼女の一声を聞くや馳せ参じる愛する部下達も何故か今宵に限って来る気配もない。  
 
黒い幽体はクシャナを包みビリビリと手早く服を破き、彼女の四肢を押さえつけながら、  
たわわに実る白い果実のような二つの胸をわしづかみにした。  
敏感に反応したピンク色の乳首を撫で回し、吸う。  
更に黒い幽体は、うなじ、つま先、背中、尻を軽く移動しながら、  
大人の女の良く熟れた太ももと太ももの間を撫ぜまわし、秘部へとむかってゆく。  
「……あ……な、何を、やめ、ろ……」  
クシャナの白い豊満な肉体は、本人の意思とは関係なく小刻みに震え反応する。  
彼女の身体を陵辱しようとするその影は幻のようでありながら、感覚はまさに現実のものであった。  
黒い影に身体を弄られることでクシャナの肉体は快楽を感じていたが、精神はどんどんと冷えてくる。  
クシャナは恥辱を受ける不安と芽生えたばかりの癒えた気持ちが奪い去られ心が汚されそうだと  
今まで持ったことのない怖れを抱いた。  
 
ぐちゅ、ぐちゅくちゅぐちゅくちゅ  
「ァっ!…」  
美しい顔が歪み、月明かりに光る金髪が上下に揺れた。  
黒い穢れた幽体は、まだ誰も受け入れたことのないクシャナの堅いヴァギナに、無理やり己をねじ込んでくる。  
クシャナは抵抗をやめ、身体の力を抜き其の幽なる物体に体をゆだねた。  
抵抗することが無駄だと覚ったのではなく、その黒い影の正体を覚ったからであった。  
「…………ナ、ナム、リス……」  
荒い呼吸に混じってクシャナは小さく美しい呟き声をあげた。  
秘所から彼女の体液が分泌されだす。  
ズル…  
ナムリスの黒い混沌とした体は面白そうに彼女の外陰部を弄びながら更に奥へ奥へと……入り込む。  
 
高度を保つコルベットの部屋には絡み合う蛇の紋章のように  
白い肉体と黒い幽体が絡み合っていた。  
淫らな甘い吐息が部屋に充満する。  
「はァ……あっん……あっ……、あっ……あ……ぁ……ん、んぅ……」  
ナムリスが彼女の体の最奥に達し、クシャナが最高潮に上り詰め、  
ナムリスの意識は今までの行為で虚ろになったクシャナの身体の中に発射された。  
様々な憎悪の念と虚無の哀しみがクシャナの体と心に激しい濁流となって深く流れ込んでくる。  
それは、彼女の心の影とよく似ていた。クシャナの頬には涙が伝っていた。  
 
東の空が白み始めている。  
逢瀬の終わりが近いことをクシャナは察した。  
「婿殿。何時まで顔を見せないつもりか?  
そんな体になってまでここまで来るとは考えもしなかったぞ。」  
広い寝台の上の裸のままの美しいクシャナは、片頬を上げて微笑し言った。  
黒い影が薄らぎ始め、その影の中から土鬼の若い青年がぼんやりと浮かび上がった。  
「意外と、ハンサムではないか」  
その言葉を言い終わるか終らないうちに、陽の光が一条部屋に射し込み皇兄の幻影は消えた。  
「私の責務が終ったら、そのうち私もそこに行く」  
クシャナは誰も居ない部屋に一人叫んだ。  
窓の外には、赤く美しい朝焼けが空に映えていた。  
 

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