その日は満月の夜だった。月明かりが深く差し込む宮殿の一室、男が一人黙々と書類の山に目を通していた。  
窓の外からわずかに聞こえる舞踏会の喧騒以外、物音一つしない。自らの鼓動さえ聞こえそうな静寂。やがてその男は、書類の束を執務机の上に放り投げると、その上に足を投げ出し、  
「やれやれ、こちとらは仕事しているってのに、貴族の皆様方はご宴会でお楽しみですかい・・・」  
そう一人つぶやくと、大きく伸びをした。  
月明かりがその男の横顔を照らし出す。  
八の字眉に大きな垂れ目が特徴のその顔立ちは、決して美男子の類とは言えないが、どことなく愛嬌のある憎めなさを醸し出している。  
男はしゃくれたそのあごを撫でながら、子供の頃に聞いた昔話を思い出していた。 
『そういや、満月の夜に狼に変身する男の話だったなぁ』  
あごの無精ひげを撫でながら、その詳細を思い出そうとしていた矢先、誰かがドアをノックした。こんな夜更けに一体誰が、と不審に思いながらも、返事をしようとするが、声を上げるまもなく、ドアがわずかに開き、その隙間を滑り込むかのように、一人の女性が姿を現した。深い紺碧色の夜会服に身を包み、金色の髪を軽くふんわりとまとめあげた、その姿は男を一瞬困惑させる。だが、淡いブルーの瞳に端正な顔立ちをしたその女性の顔をまじまじと見つめた瞬間、彼は文字通り飛び上がった。  
「殿下!」  
そう短く叫ぶと、男は執務机にだらしなく投げ出した足を引っ込め、立ち上がると、直立不動の姿勢を取った。 
「夜遅くまでご苦労だな。何をしていた?」 
その美しい女性は凛とした鋭い声でそう尋ねながら近寄ってくる。  
 
「あ、はい。土鬼との和平条約の第二次草稿案の下読みです。来週には立法学者の審査に上げたいので」  
そう言いながら、机の上の書類を目で差した。彼女は頷きながらその書類の束を軽く指で弾いた。彼女が動く度に、衣擦れの音と甘い香りが漂う。 
胸が高まるのを覚えながら、彼は、「殿下は舞踏会にご出席で?」と尋ねる。 
だが、その質問に彼女は険しい顔つきをした。  
「つまらぬ余興だ。だが、貴族や王族どもにとっては重要なものらしい。たまには飴を与えてやらないとな・・・」  
憮然とした表情で言い捨てる。  
父王の遺言を律儀に守り、粛清なしで政権の舵取りをする彼女の苦労は、男自身もよく知り抜いている。時にはそのやり方がもどかしい。だが、それでも律儀に物事を進めていく彼女は真面目なのだ。そしてその生真面目さですらかわいいと男には思える。  
「復興援助の件はどうしたものですかねぇ?」  
国内政治を立て直すだけでも精一杯のトルメキア本国に土鬼を援助する余裕などない。彼女に反対する勢力の大半はこの件を突いてくる。  
「・・・難しいのはわかっている。だが、ある程度はやらねばなるまい。 
土鬼の安定はわが国の安定にも関わるからな。それに・・・」  
彼女は男を見上げた。瞳が魅惑的に光る。  
「最後の神聖皇帝の元婚約者として、責任というものがある」  
男は無言のままあごを撫でた。不思議な沈黙。彼女が柔らかい笑みを浮かべた。  
「なんだ?言いたいことがあれば遠慮なく申せ。お前らしくない」  
「はぁ・・・じゃぁ、遠慮なく聞きますが、殿下は本気でナムリスの野郎とご結婚するおつもりだったので?」  
 
女は無言のまま窓枠に身をもたれかける。月明かりにその美しい横顔が照らされる。大きく開いた胸元からこぼれる肌が透き通るように白く、目に眩しい。  
「あの状況下では選択の余地がない。それで部下の命が救えるのなら、あの男の妻になることぐらいたいしたことではない」  
手に触れるほど近くにいるのに、手を触れることすら許されない。  
だが夜会服の下に隠された白い肌に触れてみたい。  
どんな肌触りなのか?  
「身分だけで言えば、奴は釣り合いの相手だな。男として似合いの相手かどうかはわからないが・・・」  
「なぜおわかりにならないのですか?」  
その予期せぬ質問に女は狼狽した。そして、男の顔をまじまじとみつめると、  
「お互いのことをわかりあう前に・・・死んでしまったから・・・」  
この女性はあのヒドラ野郎になんらかの想いがあったのだろうか?  
情の深い人だから、ありえないわけではない。  
あの男はこの女の体のどこに触れたのだろうか?それは・・・  
「全く役得だよ……あの野郎」  
小さく呟いたその声を女は聞き逃さなかった。彼女は唇の端を少し歪め、笑った。 
「何が”得”なのだ?」  
「それはその・・・」彼は苦笑した。そんなこと答えられるわけがない。  
「申してみよ」ええい、ままよ。  
「殿下とその・・・いわゆる男と女の関係になるというのは、その・・・あの野郎にとっては大きな役得かと」  
その答えに女は一瞬、目を細くした。そして俯きながら、くすくすと小さな声で笑った。  
「お前は・・・」彼女は男に向かって手を伸ばす。その白い指が男の首に触れる。男は全身が総毛立つような感覚にとらわれた。  
 
「ナムリスに嫉妬しているの?」  
かわいい声。彼は自らの首に手を触れるその女の手をつかんだ。  
そしてその手の甲に唇を押し当てた。柔らかい肌。  
多少戸惑った表情を見せながら、彼女は一人呟く。  
「結局、あの男は・・・」最後まで言わせる間もなく、男の右腕が女の腰を引き寄せ、唇が唇を塞いだ。舌が女の唇を割り、その舌をまさぐる。「・・・あっ」小さな吐息を漏らす。  
男が貪るかのように激しく舌を絡ませるにつれ、女が逃げ腰になる。  
彼は女が逃れないように、その腰から背中を強く抱き寄せ、さらに彼女の体を壁に押し付ける。  
しばらくのち、ふと唇を離し、彼女を顔を覗き込んだ。  
戸惑ったような表情にわずかに潤んだ瞳。力なく彼を見つめる。  
男は唇を左の耳元から首筋へと這わせた。彼女の深い吐息が漏れる。  
さらに鎖骨の窪みから胸元へと小刻みに口付けを繰り返す。  
女の吐息が深く、大きくなる。胸元で唇を止め、男が指を絹のレースにつつまれた胸元に手を掛けた瞬間、彼女が我に返ったかのように、男のその手を止めた。 
「・・・私をどうするつもりだ?」  
彼はその手をゆっくりと抜くと、彼女の髪に触れた。  
金色の柔らかな髪。  
「そりゃ、抱きたいんですが。不敬罪か反逆罪で死刑にされますかねぇ?」  
「ああ。間違いなく」女はそう言って、小さな笑みを浮かべる。  
「ま、どうせ生きてたところでたいした年金がもらえるわけでなし。  
殿下を抱いて死刑になるなら、男の本懐っつうことで」  
男は肩をすくめると、女に笑いかける。と、女は苦笑を漏らした。  
こういうところがこの男の憎めないところだ。  
 
「・・・お前の好きにするといい」  
と、少し呆れ気味に答える。男はにやりと笑うと、  
「男に対して、それを言っちゃ・・・」  
そう言いながら彼女のドレスの肩をはだける。  
白い双肩が剥き出しになる。  
「本当に好きにされてしまいますぜ・・・」  
えっ?と彼を見つめる女の表情があまりにもかわいい。やはり無防備なお姫様育ちだ。紺碧の夜会服が衣擦れの音を立てながら、床に滑り落ちる。白絹のビスチェにペチコート姿が月明かりの中浮かび上がる。ビスチェを脱がしにかかるその手を彼女の白い指が絡む。その指の先がわずかに震えている。  
「好きにするって?」  
少し戸惑ったような表情。不安なのだろうか? 男は目の前に立つ妙齢の女性にふと疑問を持った。  
ナムリスはこの女を果たして抱いたのだろうか?  
ビスチェがはずれ、床に滑り落ちると、豊かな乳房が白く浮かび上がる。すかさす男の手が伸びる。筋肉質の体にしては柔らかい胸。  
乳首に触れぬよう優しくその周囲を回し撫でる。女の吐息が深く漏れる。右手で彼女の腰を抱き寄せながら、ペチコートの紐をほどく。  
「・・・どうするのだ?」  
鼻にかかった吐息交じりの声でなおもそう問う。  
「・・・やってのお楽しみでさ・・・」  
と、簡潔に答えると、さっさと彼女の唇を塞ぎ、舌をまわし入れる。  
女の舌がためらいがちに応じる。男の左手がゆっくりとその敏感な乳首に触れる。  
あっ、と声にもならないうめきが一瞬女の唇から漏れる。人差し指と中指でゆっくりとその部分をこねるようにいじる。  
瞬く間にその敏感な部位は硬くそそり立つ。さらに手のひらでこねるように乳房全体を撫で回す。  
唾液でべたべたになった唇を離すと、今度は女の耳元に唇を重ねる。女の体から力が抜けていき、腰を支える右手にその重みがかかった。  
「立っているのは辛いでしょう。ソファにお連れします」  
 
耳元でそう囁くと、ひざに手をまわしいれ、女を抱き上げた。  
彼女はやや戸惑いながらも手持ち無沙汰の手を男の首に廻した。  
「そうそう。動かないでください。でなきゃ、落っことしますぜ」  
裸体の彼女をそっと優しくソファに沈み込むように座らせると、男はその正面に立ち、女の唇に軽い口付けを加えながら、自らの服を手際よく脱いでいく。瞬く間に痩せ気味だが筋肉質の男の体が月の光に照らし出される。男の一物はすでにそそり立っている。  
女は視線を逸らせるように俯いた。  
ゆっくりと男は女の上体に自らの体を重ねた。左手で彼女の髪を撫でながら、ゆっくりとこねあげるように右の手のひらで彼女の乳房を愛撫する。  
たちまち、その敏感な乳首が硬くこりこりとした手触りに変わる。  
唇をゆっくりと胸元に這わせ、左の乳首を舌でころがす。  
たちまちその部位も硬くそそりたつ。  
「・・・あぁ・・・」小さな吐息が漏れる。甘く鼻にかかった声。  
執務中の彼女が絶対発さない声。ましてや戦場に立っていたあの頃には。  
髪を撫でていた左手を離すと、その手を太ももに這わす。男の手がどこに向かうか察したのか、その美しい人はやや体をずらし、手を逃れようとする。  
だが、男の手は容赦なく、その部分を探知する。柔らかい金髪の毛並み。割れ目の筋に沿って指を何度も往復する。とろっとした液体が指に絡む。  
それでも男の指を逃れようと体をよじらせるその姿は男にとってあまりにもかわいい姿だった。  
「どこに逃げるんですか?」  
男は意地悪く笑いかける。  
 
「・・・っあ、だめ・・・そこは」  
上ずった甘い声で答えるのが精一杯の様子。  
「こんなに濡れているのにだめじゃないですよ・・・」  
そう笑いかけると、人差し指を中に掻き分けた。一番感じやすい肉芽の周囲をゆっくりと撫でる。我慢できないかのように、女が深い吐息を漏らす。  
そして、ふっとその感じやすい部分に指を触れる。「あっ!」  
さすがに女は声をあげる。指でそのこりこりとした突起に触れると、たちまち液体が蜜のようにあふれる。  
人差し指で突起をいじりながら、中指で蜜壷の周囲を撫で、ゆっくりとその中に入れる。くちゃくちゃといやらしい音をたてる。  
熱い液体にあふれたそこは、指一本を入れるのがやっとである。男は胸元から唇を離すと顔を上げた。そして、まじまじと女の顔を見つめた。  
指はすでにひきぬいた。  
「・・・ナムリスとは何も?」  
彼女は小さく首を振った。  
「初めてですか?」  
彼女は何も答えず、小さくうなずいた。  
さすがの男も一瞬躊躇した。皇女の処女を頂いてよいものなのだろうか? 
平民出の男にとってまさしく死刑にふさわしいような大罪に思えた。  
その男の躊躇した雰囲気を感じ取った女がぽつりと呟いた。  
「どの男も意気地がない・・・私を抱けないなんて・・・」  
そう言って、腕を両目の上に当てた。かみ締めた唇の色が白い。  
 
「・・・あなたの覚悟さえできているのなら・・・」  
男はそう囁きながら、女の腕をとった。美しい碧眼のふちが濡れている。かわいいひとだ。男は心からそう思った。  
「俺はいつでもあなたを抱きたい。身分なんてくそくらえだ」  
彼女の答えを聞くまでもなく、男の指は再び彼女の秘所に向かう。  
敏感な肉芽をゆっくりとこねるように攻める。あふれる液体が彼女の太ももまで垂れる。  
ふいに男は女の足首をつかみ、足を屈伸させながら大きく開いた。  
「いや!何をする!」女が鋭い声を上げ、手でその恥ずかしい部分を隠そうとする。男はゆっくりとその手を振り払った。  
「だめでさぁ。だから言ったでしょう。好きにするって・・・」  
女のピンク色をした秘所が男の前に晒された。肉芽も密壷を取り囲むひだひだも全て月の光に白くぬめぬめと光る。女は顔を手で覆った。  
男はその部分に顔を近づける。男の荒い吐息が女の部分にも感じられる。  
「・・・そんなに見るな・・・」乾いた声でそう呟く。  
見られている恥ずかしさからあつい液体が溢れる。  
「でも、感じているんでしょ?」  
男は意地悪くそう囁く。そして、舌をその感じやすい突起に這わせた。女は我慢できず、声を上げそうになる。が、口を手のひらで押さえ、必死で声を上げまいとする。戦場で兵士たちとともに血まみれで駆けずり回った女性とはいえ、やはり育ちのよさからか、感じている自分をはしたないと感じ、隠そうとしているのだろう。  
 
「声をあげてもいいんですよ」男は優しく声を掛けた。  
だが女は首を振るばかり。舌で突起の先をつつきながら、唇で突起全体を吸い込むように刺激する。両手の指は硬くなった乳首をいじり続ける。女の足が小刻みに震え、甘い吐息が断続的に漏れる。  
男はさらに強く肉芽を舌で刺激する。さらさらとした液体があふれ、女が、「もう・・・だめ・・・やめて」 
といった瞬間、激しく体を痙攣させて、その体が弓なりにしなり、崩れ落ちた。  
女が体をしなだれさせ、一息をつくの待って、男は再び、女の足を開いた。今度は抵抗もせず、彼女は男のなすがままだ。  
唇は乳房を這わせ、指は、肉芽からひだひだの奥へと移る。指を中でゆっくり動かすと、ぴちゃぴちゃという音が興奮を倍増させる。  
「この音聞こえますか?いやらしい音が・・・」  
男がそう囁くと、彼女は声を震わせながら、  
「そんなこと・・・言うな・・・お前なんかあとで死刑にしてやる」  
こんな状況でもこんな受け答えができる女はさすがにこの女だけだ。  
 
女の部分はすでに濡れそぼり、男の一物を受け入れるのに十分だろう。男はゆっくりと自分のものを彼女のひだの部分に浅く這わせた。  
彼女の瞳が男の顔を見つめた。不安そうな表情を隠そうともしない。  
「・・・今からそれを入れるのか?」  
男は彼女の頭を優しく撫でた。 
「大丈夫ですよ。ゆっくりしますから」  
と、ゆっくり自分の一物を狭いひだの中に挿入する。  
ゆっくりとねじこむように差し込んでいく。  
女は苦痛で顔を歪める。「痛いですか?」男が声を掛ける。  
顔を歪めながらも、女は頷いた。その苦悶の表情が男には尚更かわいく映る。 
男はゆっくりと怒涛したブツをなんとか根元まで挿入した。 
さすがにこの中で動かすのは初めての彼女の痛みを増すため、断念する。  
処女の締め付の快感に身をゆだね、ゆっくりと発射をした。  
 
 
 
ソファの上に力尽きたかのように横たわる裸体の女の横に男は斜めに腰を下ろした。  
「大丈夫ですか?お飲みになりますか?」  
男はそう言って、ワインの入ったグラスを差し出した。  
女は何も言わずただ首を振った。  
「今夜はグラスを叩き落とされずに済みました」  
その言葉に女は首を少し傾げた。女の頬を撫でながら、男はその赤い液体を口に含むと、唇を重ね、ゆっくりと口移しに飲ませた。  
唇を離すと、彼女の髪に手を触れながら、  
「酸の湖で殿下をお救いした時のことですよ・・・あの時、  
今度はよろいなしで抱きたいねぇと思ったんです・・・」  
その美しい人は上体を起こすと、ただ微笑んだ。そして優しい声で囁いた。 
「銃殺刑は当分延期してやる・・・」  
男は、ゆっくりとそして強く再びその柔らかな女の体を抱きしめた。  
月の光のみが再び絡み合う二人を青白く照らしている。  
 
 

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