香奈花の『大人の女』大作戦 
 
 動物園から帰ってきた香奈花は、すぐに自分の部屋に行き、プレイディメン  
ションUを取り出した。  
 
「みんな、香奈花のこと子供扱いして・・・、香奈花は大人の女なんだぞ」  
 
 動物園での「二人でぐっすり眠ると・・・」発言で、みんなにお子様扱いさ  
れた香奈花は、ネットでその方面の知識を学ぼうと考えていた。  
 自分では気付いていなかったが、どうやら香奈花はそちら方面の知識が極端  
に少なかった。父は外交官、母は軍の士官という少しお固い感じのする家庭に  
育ち、私立の小学校に通っていた香奈花。やはり、クラスメートに「お嬢」と  
からかわれるだけのことはある。 香奈花はエンジンを掛けるようにPDUの  
ケーブル勢いよく引き、ケーブルの先端を口にくわえ、携帯電話経由でネット  
ワークへ接続した。目指すは18才未満お断りの禁断の地。  
 接続を知らせるアナウンスが終わるのを待たずに、香奈花は検索エンジンを  
開いた。そして、乏しい知識を総動員し、それらしいキーワードを指定する。  
その結果、ヒットしたサイトのあまりの多さに少し怯む香奈花だが、気を取り  
直してその中の一つを選択すると、  
 
       あなたは18才以上ですか?  
          はい いいえ  
 
 空中に浮かび上がる警告文に、香奈花は迷わず「はい」の部分を指でふれる。  
 そして、香奈花はゴクリと唾を飲み込み、未知の世界へと一歩踏み出した。  
 
 「ダメですよぉ〜、香奈花ちゃん。18才未満の方は、これより先に入れま  
せん」  
 
 扉を開けると、そこはアダルトな世界ではなく、転送/通信管理艦「シラセ」  
のデータ空間であった。  
 
 「シラセ!?、どうして?」  
 
 「地球外のネットワークの接続には、必ず私を中継しますので。それに七瀬  
家は特に厳重に管理されてますよ。  
 それにしても、ダメですよ香奈花ちゃん。お子様がこんな所に入っては。」  
 
 エッチなのはいけません!と某メイドさんの用に指を立てるシラセ。  
 
 「香奈花は26才だ」  
 
 「戸籍上は26才ですが、実年齢は中学一年生じゃないですか。  
お赤飯もまだなのに。(ボソリ)」  
 
 「お赤飯なら食べたことあるもん。」  
 
 「そういう答えが返ってくる時点でお子様です。」  
 
 「香奈花、子供じゃないもん」  
 
 ダダっ子の様な香奈花との会話に軽くため息をついたシラセは、香奈花がア  
ダルトサイトを見ようとしていた理由を尋ねてみることにした。  
 
 「それより、どうしてあのようなサイトを見ようとしていたのですか?」  
 
 法律上は違反しているわけではない。理由を説明すればシラセも解ってくれ  
ると考えた香奈花は、動物園でのことを話すことにした。  
 
 「そうですねぇ、成恵さんに教えてもらうのが一番良いと思いますよ。」  
 
 「成恵にそんなこと聞けるわけないじゃないか」  
 
 「う〜ん、バチスカーフさんは厳しすぎるし、お父様はアレですしねぇ〜。  
では、和人さんに教えてもらうというのはどうでしょうか。  
もしかして、和人さんに『大人の女』にしてもらったりして。  
ってキャーーー、なに言ってるんだろう私。冗談ですけど。」  
 
 両手で顔を押さえながら飛び跳ねていたシラセは、突然真顔に戻ってフォロー  
を入れたが、『大人の女』と言う単語に反応した香奈花には届いていなかった。  
 
 「あ、あの、香奈花ちゃん? 冗談なんですけど・・・」  
 
大人の女・・・  
実年齢は中学一年生なのだが、香奈花の頭のには26才の大人の女性の姿が浮  
かび上がっていた。そして、妄想ビジョンを右へパンさせると、そこにはピエ  
ロのような奇抜な衣装をまとった和人が、マジックワンドを片手に「それが香  
奈花ちゃんの本来の姿だよぉ〜」と、にこやかな怪しすぎる笑みを浮かべてい  
た。  
 
 「おっさんにそんなことが出来るのか?」  
 
 「え!? ええ、和人さんも男の子ですから、香奈花ちゃんに迫られれば、  
思わず『やっちゃう』ということも、あったりして、なかったりして、どうな  
んでしょうか・・って、私、何を言ってるんだろう? それより香奈花ちゃん、  
意味解って言ってるんですか? って、もういないし・・・  
 
 香奈花の突然の問いかけに狼狽していたシラセが正気に戻ると、香奈花はす  
でにログアウトしていた。  
 
 
 次の日。  
 
 「おっさんに、ちと頼みたいことがある。」  
 
 学校からの帰り道、和人は香奈花に銃を突きつけられて脅迫されていた。  
 
 「おっさんに、ちと頼みたいことがある」  
 
 「な、なに香奈花ちゃん。そんな物騒なモノを構えて。」  
 
 「香奈花を大人の女にして欲しい」  
 
 香奈花が得意げに銃を突きつけるので、和人は思わず一歩後ずさった。しか  
し、和人にとっては、銃よりも『大人の女にして欲しい』という意味ありげな  
台詞に大いに動揺していた。  
 
 「ええっ!? ど、どういう意味なの」  
 
 「おっさんに迫れば、大人の女にしてもらえると、シラセが言ってた」  
 
 シラセって誰?それよりも、香奈花ちゃんとエッチをしちゃうってことなの?  
けど僕には成恵ちゃんがいるし、女の子からこんなストレートな言い方なんて、  
やっぱりもう少し、恥じらいというか、迫られる方をその気にさせる雰囲気と  
いうか、銃を突きつけるなんて、これって迫ってるっていえるの・・・  
 気が動転している和人の思考は、カラカラと空回りを始めた。  
 
 「これって迫ってるんじゃなくて、脅迫じゃないのかな。  
 (って、何を言ってるんだ、僕は。落ち着けぇ〜。)  
 
 それに、僕は香奈花ちゃんにそんな事出来ないよ。」  
 
 「うっさい。シラセはおっさんなら出来るって言ってた。」  
 
 香奈花はトリガーに指をかけ、一歩近づく。つられて、和人も一歩後ずさろ  
うとしたが、すでに壁際まで追いつめられていた。  
 だからシラセって誰?それよりも僕って他の人からそんな目で見られてるの?  
どちらかというと、どこにでもいるちょっと情けない純情な男子中学生って感  
じだと思っていたけど。エッチなもの見るとすぐ鼻血出すし。あと、4号ちゃん  
が好きなアニメヲタって、自分で言ってどうする。  
 
 「うぅっ、 僕って、そのシラセさんにそんな目で見られてるの?」  
 
 「うん、おっさんならやってくれると言ってた。」  
 
 「やる」って、そんなににこやかに言われても困るんですけど。まさか香奈  
花ちゃん、『大人の女』にするって、呪文か何かを唱えて、変身する事だと勘  
違いしてるんじゃないかな。  
 和人は考えた。中学一年生とはいえ、香奈花は見た目は小学3年生。そうい  
う勘違いもあり得るかも。  
 と、馬鹿なことを考えている間に、和人は香奈花に一気に間合いを詰められ  
てしまった。  
 
 「さぁ、早く大人の女にしてくれ。場所はここでいいのか? それ  
とも特別な場所に行かなければダメなのか?」  
 
 天然なのか、計算なのか、腕にすがりついて上目使いに見上げるなんて・・・。  
それに、「さぁ、さぁ、」と腕を引っ張るたびに、胸が腕にあたってるんです  
けど・・・。性少年の敏感なセンサーには、その僅かなふくらみも捉えてしま  
うんですぅ・・・  
 
 うぅ、香奈花ちゃん知っててやってるのかなぁ? 純粋な瞳でこんなきわど  
いことを言われると、男として、ヲタとして、こう理性がふらふら〜と、だめ  
だ、だめだ、僕には成恵ちゃんがいるんだから。  
 あぁ、関係ないけど、これが迫るということだよぉ〜  
 和人の思考の空回りは、理性のレールを脱線し、健全な男子中学生ならば誰  
もがもっている、青い衝動に突き動かされようとしていたが、和人は  
グッと気を引き締めて、  
 
 「あっ、あのね香奈花ちゃん・・・」  
 
 僕には成恵ちゃんがいるから・・・という台詞を遮るように、  
 
 「まずは、胸を大きくしてくれ。どうすればいいんだ?」  
 
 いきなり成長したら、やっぱりまずいもんな。ここは、姉として、まずは成  
恵より豊かな胸になるべきだな。  
 と、心の中でうなずいている香奈花に対して、和人は「胸」という言葉に過  
剰に反応し、思いっきり動揺してしまった。  
 
 「えっ、胸? それなら、男の人に触ってもらえば大きくなるって  
言われているよ。」  
 
 って何を言ってるんだ僕は。まだ、頭の中がグルグル回ってるよ。  
 と、心の中でつっこみを入れている和人の手をとり、香奈花は、  
 
 「そっか。なら、とりあえずおっさんの部屋へ行こう。テレポート!」  
 
                         つづく  
 

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