「くそ〜。だから嫌だったんだよな〜〜。胸は邪魔臭いしよ、足はスースーするし・・・。」
「さっきからブツブツと煩い奴だな。犯っちまうぞ。」
「りゅ、りゅうぢくん・・目がマジなんですけど・・・(焦)」
「俺は別に冗談なんて言ってないぞ」
「ひぃぃぃ〜〜〜。あっ!着いたぞ!ここだろ?!パーティー会場!」
狂犬竜二が、俺に圧し掛かろうとしたその時、車は停まった。
「ちっ」
竜二が小さく舌打ちして、体勢を正す。
結局俺は、昨日急に竜二のアホから言われた(俺は激プリヤンヤンは見てたが、絶対聞いてねぇ)
同業者の集まるパーティーとやらに同伴していた。
くそ〜〜アキラさんのことさえ無かったら・・・。
今日は、ヅラは着けていない。命子先生は、
「司君、最近髪伸ばすようにしてから、そのままでも、このドレス似合うと思うわ」
って言ってたけど。
命子先生お見立てのタイトなワンピースに、メイクも命子先生にしてもらった。
ドレスは、ちょっとスリット入りすぎじゃないかと思ったけど、まあ、イザという時、蹴りとか入れやすくていいか。
「うん♪バッチリ」
って言って送り出されたけど・・・。変じゃないかなぁ?やっぱヅラ着けてくれば良かったかなぁ?
ここに来るまでだって、組員達の俺を見る目もなんかいつもと違うしよ・・。あれはきっと珍獣を見る心境なんだっ!
竜二だって、俺のカッコ見た時、一旦フリーズしたあげく、笑いを押し隠すように、手を口にやってたし。
やっぱり女装して来ようと身を翻そうとしたが、無言の竜二に引きずられ、現在に至る。だ。
くそ〜〜〜。こうなったら、パーティーとやらには付き物の、ごちそうというやつらを、食いまくってやる!
あ!託兄達にも、お土産詰めて帰ってやろう!喜ぶぞ〜きっと。くぅぅ〜なんて俺って兄弟思いなんだ。
「おい、行くぞ」
せっかく家族愛に浸っていた俺を、竜二の愛想の無い言葉が現実へと引き戻す。
まあ、こいつに愛想を求めても気持ち悪いだけだが。
「へいへい」
「わかってるんだろうな?」
会場へと歩きながら、竜二が言う。
「なんのことだよ?」
「今日お前は俺の『女除け』の為に連れて来たんだからな。勝手に一人でうろちょろすんじゃねーぞ」
「はいはい。まあ、所詮今日のボクじゃ、竜二君のハエ取り紙に成れるかどうかもわからないケドネ〜♪」
フフフ〜ンとガイジン風のジェスチャーも交えて返す俺。
「うををををーーー!こ、これ全部好きに食していいのか?いいんだよね、竜二クン。す、すごいぜ。あ!あれ美味しそ!」
パーティー会場に待ち構えていた御馳走の数々は、俺の想像をはるかに超えていた。
「うろちょろするなと言ったろうが。こっちだ。」
「キャイン、キャイン。あ〜〜〜〜俺の御馳走達が遠ざかって行く〜〜〜(涙)」
くそ〜〜、なんだよ〜〜、俺のせっかくのゴージャスタイムを。結局俺は、竜二に捕まり、客賑わう中へと連れられていく。
会場内の多くは、今となっては見知った顔がほとんどだ。流石九竜組組長、白神竜二、会場に入った途端に、皆の空気を変える。
しかし・・・。やっぱり俺のカッコ、変なのかな?おっちゃん達の俺を見る表情が、九竜組を出てくる前の組員達のそれに似ている気がする。
「りゅ、竜二、俺やっぱりさあ・・」
「こっちだ」
竜二が、俺の腰を抱くような形で、会場の奥へと進んで行く。なんか今日の竜二もいつもと違うっていうか・・。
そして、流石に主賓扱いなのか、目立つ位置に落ち着いたところで始まったパーティーは、俺と竜二の婚約を祝う乾杯で始まった・・。
「なんだよそれ!聞いてねーーーーーっ!」
ひとしきり呆けた後、思わず竜二の胸倉を掴んで俺は叫んだ。なんだよ、婚約って。聞いてねーぞ。
「大体いつ俺達婚約したんだよ、順番が逆だろーが?」
「何を今更。お前の兄弟達や、組員達も納得させただろうが。」
「そ、それはっ」
「それに、『生涯俺の傍にいる』ってのは、そういう意味だろ?それとも、お前は俺に他の女と婚約した方がいいのか?」
「えっ?」
俺の胸の奥でチクッと何かが刺した。あの朝来との一件で感じたのと同じ痛みだ。そんなの・・嫌かもしれない。
「もう俺はお前以外の奴を聖妻に迎える気はないからな」
竜二の言葉に俺は何も言えなくて、今度は胸の奥がドキンと跳ねたが、それは全然嫌ではなかった。
ふと、気のせいか、鴨さんの笑顔が見えたような気がした。俺が竜二を幸せにする。これも、そのひとつなのかな?鴨さん・・。
俺にとっては唐突な始まり方なパーティーだったが、出席している面々には似つかわしくないくらい和やかな内に宴も終わりを迎え、
気が付くと周りはやけに静かだった。
「あれ〜〜〜?りゅうじくん、皆はぁ〜〜?」
「とっくに帰ったぞ。たく、お前は弱いくせに。たった一口だぞ」
そういえば、な〜んかすごくキレーな色の飲み物を一口飲んだら、カクテルだったってのは覚えてるけど。それからは、あんまし記憶が・・。
ここは・・?さっきの会場の別の部屋だろうか?さっきの会場よりはもちろん狭いが、かなり豪華な造りで広い部屋だ。
窓の外には、きれいな夜景が見える。俺は、その部屋の中央にある、どでかいベッドに寝かされていたらしい。
「そっか、お前が介抱してくれたんだ。サンキューな」
「・・・ああ」
なんだよ、せっかく素直にお礼言ってるのに急にそっぽ向きやがって。・・あれ?気のせいか竜二の顔も赤いような?
「なんだよ、人のこと弱い弱いとか、からかう癖に、お前だって飲みすぎたんじゃねーか?」
「お前と一緒にするな。大体お前は無防備すぎるんだよ」
「な、なにおうっ?この運動神経バツグンの司様を捕まえて無防備すぎるとは聞き捨てならないな。
どこをどう見てそういうことを言うんだい?君は。・・って、へっ?・・んんっ・・」
ふいに竜二によって座っていたベッドに押し倒されて、唇を塞がれる。あの時の衝撃が蘇る。
「こういうとこがだよ」
一度唇を離して言うと、また唇が重なる。今度は深く、何度も。
心臓が壊れそうで、上手く息が継げないまま、何度も貪るように求められる。
竜二の入ってきた舌が、追いかけてきて捕まる。あの時みたいにぶちのめすことも出来ずに、身体の力か抜けていくのだけがわかった。
やっと唇を解放された時には、俺の身体はすっかりシーツの海に沈んでしまっていて、竜二が、首筋に唇を移しながら、
ドレスを剥ぎにかかっているのにも抵抗するのを忘れていた。
「ん・・ふぅ・・はぁ・・」
首筋が、鎖骨が、竜二の唇が触れていく場所が熱を帯びる。服を脱がされて胸の先を吸われる。
「ひゃんっ!あっ・・・」
気持ち良くて身体が勝手に跳ねる。俺、なんかヘンかも・・。
竜二の手が、指が、舌が、胸の膨らみを、その先を弄ぶように動き回る。その度に、不思議な気持ち良さが体中を流れていく。
「んっ・・んっ・・はぁ・・りゅう・・じ・・」
やっぱり、なんかヘンかも・・。特にお腹のあたりが、さっきから妙に落ち着かないカンジだ。
いつしか、竜二の片方の手が降りて行き、わき腹を擽ってお腹へと動いていく。あ、、さっきからなんかヘンなところだ。
なんで俺、されるがままになってるんだろう?あんまり竜二の指や唇が気持ちいいから・・?
元々、竜二のぬくもりや香りを肌で直に感じるのは、好きだけど、今のはもっと濃密な感覚でくらくらするほどだ。
「ああっ!ぅんっ・・」
そんなことを考えていたら、竜二の手が、最後に残っていた下着の中に入ってきた。思わず阻止しようと手を伸ばすけれど、
薄い布の内で動き出した指のせいで、手に力が入らない。背筋がぞくぞくして、お腹の奥の切ないような感じが増していく。
「はぁ、はぁ、はぁ、ん・・はぁん・・はぁ・・ん・・」
なんだか自分の声じゃないみたいだ。でも、抑え切れない。そして、触られている脚の間が、自分の中から溢れてくるもので
竜二の指を濡らしていくのも感じる。指の動きに合わせてどんどん溢れてくるみたいだ。
「はぁ、すごく・・竜二・・なんか俺・・ヘンに・・なっちゃ・・う・・はぁ・・」
「いいぞ、なっちまっても」
「はうっ!・・ん・・」
外を蠢いていた指を急に内部へと突き入れられて、身体が跳ねた。俺のアソコが竜二の指を勝手に締付ける。
更に、竜二は中で指を動かしながら、外側も弄っていき、前の方にある突起を探り当てると、そこもいじくりだす。
「あっ・・ああんっ・・ダメ・・そこ・・なんかっ・・はぁ・・」
「ここ、キモチいいだろ?」
「あぅんっ!!」
突起を強く刺激されて、電気が疾ったような痺れが身体を突き抜ける。
竜二の指はそのまま動き続け、左手は、変わらず胸を弄び、舌が首筋を這うと、俺はただ、溢れ出る声を絞り出すしかなかった。
「ああっ・・ん・・はぁ・・んっ・・りゅう・・じ・・っ・・はあ・なんか・・きちゃう・・よぉ・・」
そして、そのまま、何かがはじけたような感覚に包まれた。
まどろみの淵から浮かび上がった時感じたのは、圧迫感だった。
さっきまで指で掻き回されていた所に、覆い被さった竜二のモノがすでに侵入を始めている。
一気に意識が覚醒し、怖さに身体が強張る。
「力抜かないと、余計痛いぞ」
「う・・だって・・」
そんなこと言われても自由が利かない。
「しょうがないな・・」
竜二は動きを止めると、唇を重ねてくる。やさしく、でも深いキスだ。
なんだかほっとして力が抜けたところに、再び身体を沈められる。圧迫感は変わらないけど、思ったより痛くない。
「はくうっ!!ぅ・・く・・ん・・」
と思っていたら、いきなり激痛が来た。シーツを握り締めて堪える。
「痛かったか?もう少し我慢しろ」
一度奥まで沈めて、竜二が言うと、静かに腰を動かしだす。それと一緒に引きつれたような痛みが襲ってくる。
「はぁっ・・ん・・くぅ・・ん・・く・・はっ・・はぁ・・ん」
どれくらい経った頃だろうか?その痛みの中に、異質の感覚が混じるのを感じる。さっき指でされていた時と同質の。
「ん・・っく・ん・・はぁ・・ん・・ぁ・・ん・・はぁ・・んん」
気持ち良さが、痛みよりも勝ってきた頃、竜二の腰の動きも、速さを増していき、さっき押し上げられた感覚がまたやってくる。
「んっんっんっ、あんっ、はぁ、はぁ、ああ、また、きちゃうっ・・竜二ぃ・・」
何度も押し上げられ、突き放される。いつの間にか竜二の首に腕を回し、声をあげていた。
そして、何度目かに訪れた真っ白な感覚と同時に、引き寄せられた腰の奥で、熱い迸りを感じて、更に自分の身体がうち震えるのを感じていた。
=おわり=