――淫乱教育――  
 
深夜。  
「ジャン、あたしなんか変なの…」  
「変って…どこが?」  
いつものサーカス服だが、胸元を強調させながらジャンに近づくナディア。  
ジャンは眼のやり場に困りながらナディアに訊き返す。  
「グランディスさんから香水貸して貰ったんだけど、それ掛けたら、体中が熱くて  
胸がドキドキするのが止まらないの…」  
「え?そんな事いわれても…」  
困惑するジャン。ブラに目をやると突起が二つ浮き出ている。  
「ど、どうしよう…」  
そしてナディアは更にジャンを混沌へと誘う。  
「もう熱くて…我慢できない…服…脱いじゃうよ」  
勝手に脱ぎ始め、ジャンの前で一糸纏わぬ姿を曝け出した。  
「ねぇ、どう?」  
褐色の裸体が眼前に迫る。耐え切れずジャンはナディアの成熟しきっていない果実に手を伸ばす。  
ところが…。  
突然視界が真っ暗闇になり、ナディアは消えた。  
状況が掴めず暫く見渡すと、夢であった事に気づき、落胆する。  
「ふぅ、ル・アーブルを出るときまでは性格も今みたいに怒りっぽくなかったのになぁ」  
――なんで、あんなに変わったんだろう?  
呟きながら寝返りをうつと下腹部が冷たく感じた。  
「え?」  
訳が分からず手をトランクスの中に忍ばせる。  
「何これ?…オネショかな?」  
それがオネショだろうと、はたまたマリーの悪戯であろうとも、着替えねばならなかった。  
 
ナディアはトイレを済ませ、部屋に戻ろうと暗い通路を歩いていた。  
いつもならそのまま自室へ向かうのだが、今日は違った。  
医務室の隣部屋から明かりが漏れていた。  
「何かしら?」  
首を傾げ、近づくとドアが数ミリ開いていた。  
ただ開いているだけだったらナディアはそのまま無視して通り過ぎていたはずだった。  
怪しい息遣いと短く発せられる女の声に気づくまでは…。  
 
――また航海長が変な儀式(ヨガ)でもしてるのかしら?  
気づかれないようにそっとドアに近づき、中を覗く。  
――な、何よこれ!?  
開いた口が塞がらなくなる。まだあどけなさを残す小娘には刺激が強すぎた。  
中では…。  
「ふぁッ…ぁあっああぁっ…はああっ」  
このノーチラス号で人気の看護婦と測的長が睦みあっていたのだ。  
測的長は看護婦の股間に顔を埋めて水音をたて、看護婦は豊かに実った双丘を震わせ  
声をあげている。  
「す、すごい…」  
昼間とは違う美人看護婦の姿にナディアは生唾を飲む。  
性の知識を全くもたないナディアだが、身体は僅かながら反応する。  
――アソコが冷たい。さっきトイレで済ましたんだから漏らすはずが無いのに。  
指をショーツに這わせる。ヌルッとした感触に驚く。  
「な、何よこれ?」  
透明な液体が指に粘りついていた。  
 
「何か変な気分」  
漏らしたことの恥ずかしさと妙な疲れを感じながら、ジャンは自身の  
新しいトランクスに履き替え、濡れたトランクスを洗いに部屋を出る。  
 寝てる者を起こさないように通路を音を立てないようにトイレへ向かう。  
トイレの電気をつけ、洗面台の静かに蛇口を捻る。石鹸を泡立て、汚れた部分を  
よく揉み、水で濯ぎ、きつく絞って水気を切ると、隣の洗濯場の洗濯籠に入れ、  
部屋へ戻ろうとした。  
「あれ?」  
部屋に帰る途中、ジャンは通路奥の光筋に気づく。そこへ近づいていくにつれ、  
微かだが人の声が聞こえてきた。  
「ぁんっは…あ…はっぁん…んぁあああっ」  
女だと思われる息を切らした声が静かに狭い通路に響きわたる。  
――な、何だ?  
立ち止まり、注意深く耳を澄ませる。どうやら光が出ている場所にこの声の主が  
いるようだ。  
「誰か起きてるのかな?」  
確かめようと奥のほうへ進む。更に近づくにつれ女の声が大きく聞こえてくる。  
「キャッ!!」  
「ぅわっ」  
問題の部屋の入り口に差し掛かった時、ジャンは躓き、前へ倒れてしまう。  
「イテテ、何か置いてあったのかな?…て」  
ジャンの目の前には見覚えのある娘が左脇腹を抑えて痛みを堪えている。  
「〜〜っ…何すんのよ!――はっ!?」  
娘はしまったとばかりに両手で口元を抑える。彼女は声を出して誰かに  
見つかったら拙いことをしてたらしく、慌ててジャンに人差し指を口元で  
立てて静かにさせようとしたが遅かった。  
「あれ?こんな所で何してるのナディア?」  
光の筋が太くなり二人を照らす。目の前には男女二人が腕を組んでナディア達を睨んでいた。  
 
「てめぇら人のプライベートを覗きやがって…。いい度胸じゃねえか」  
 二人とも気圧されて声が出ず、腰が抜けてしまう。  
「の、…覗き?…ぼ、僕は…た、だ…通、り…かかった…だけ」  
 怖くてはっきりと喋れない。ジャンは今目の前で起きてることが夢のようにも感じた。  
「ご、ごめんなさい…、もう…もう二度と見ないから許して測的長さん」  
――見ないから…だと?  
 許しを請おうとするナディアの発言は測的長の怒りの火に油を注ぐことになった。  
ナディアははっきりと罪を認めたのだ。  
「ふざけんじゃねぇぞ!!このガキ!!」  
 胸元の白布を掴まれナディアと測的長との間が狭まる。双丘が垂れ下がり、ジャンは不覚にも  
それに釘付けになる。普段は高飛車なナディアは今にも泣きそうな表情を見せる。  
 ジャンもいくらナディアが悪いとはいえ、この状況で黙っているわけにもいかなかった。  
――助けなきゃ!!  
 二人の間に入ろうと立ち上がった瞬間、ジャンは体が急に重く感じた。周りが暗くなっていくの  
を感じると、ジャンは意識を失った。  
「ジャン!!」  
 返事をしないジャンの姿がナディアを絶望へ追い込んだ。  
「大丈夫よ只の麻酔だけど、目が覚めるのは5時間くらい後かしらね」  
看護婦は笑顔を見せつつジャンをその場に放置する。部屋の中へ突き飛ばされるナディア。  
彼女の運命はこの二人の掌中となる。  
――これからあたしは何をされるんだろう…。  
測的長は自動ドアの鍵を掛け(指紋認証式)ナディアが部屋から出られないよう  
にする。だが、ナディアはサーカスで鍛えられ、並外れの怪力を持つとエレクトラ  
から聞いていたため、無理に裸にしようとすれば、暴れて怪我をする恐れがあった。  
――ま、あれを使えば問題ないがな…。  
壁を背にしてこちらを睨むナディアを軽く笑う。  
「あ、あたしをどうする気よ!?」  
「決まってるだろ?ちょっとした性教育さ」  
褐色の生娘の顔は朱に染まっていた。  
 
部屋は仕切りでベッドと小スペースのワードローフと棚に二分されていた。  
イコリーナが棚で薬品を取り出し、調合している。  
「しかし、お前も結構いい体してるなぁ。…ま、乳が小さいのが残念だがな」  
「ぅっ…よ、余計なお世話よ!!あんたみたいな女っ垂らしに言われたくないよ!!」  
癪に障ったか、測的長の表情が険しくなる。  
「言葉には気をつけろよ…。後で後悔しても遅いからな…」  
「出来たわよ」  
タイミングよくイコリーナが三角フラスコを持って出てきた。フラスコ内には  
赤紫の液体が容器の半分程入っている。  
イコリーナはフラスコの口をナディアに向ける。  
「な、何をする気?ぅ…ぁあくっ!!」  
甘い香に思わず鼻を抑えるナディア。直後、身体中が火照って息遣いが荒くなり、  
双丘の先端が下着と擦れて擽ったい。  
「ふふ、これであなたは快楽から逃れられないわ」  
フラスコを床に置き、ナディアを更に快楽へ溺らせようとイコリーナはポケット  
からアンプルを出し、封を切る。  
「な、バカ言わないでよ!!――んっんんんん!!」  
アンプルの液を含んだまま、イコリーナはいきなりナディアとキスを交わす。  
舌で娘の唇を開け、液体を流し込みつつナディアの舌を絡めるように貪る。  
――あたしのファースト・キスが…。  
  よりによってこんな女に…。  
滴を零し、恥じらいながらもナディアは液体を飲み、女の舌を拒まなかった。  
互いの吐息がかかり鼻面が熱くなる。奇麗な空気を吸おうと女から離れよう  
とするが、女は両手をナディアに添え、そのままベッドに押し倒してナディア  
の口内を嘗め回す。  
暫くして女の舌が透明の糸を引いて離れる。  
「ふぅ…ん…?…んんっ」  
終わったと思ったが、女は物足りなかったのか、再度互いの唾液で濡れた唇を  
密着させる。ナディアにお前は私の所有物であることを分からせるように。  
 
――体が火照ってる…。何だか物足りない。  
充足感を求めて高鳴る胸の鼓動はナディアから理性をかき消していく。  
自ら舌を出し、イコリーナの唇を舌先でなぞる。だがイコリーナはナディアの  
舌を拒み、続けるどころか、ベッドから離れてしまう。  
物欲しそうに見つめる娘。恥ずかしそうに顔を赤く染めて女を求めている。  
「ふふ、もっとして欲しいのかしら?」  
素直に言えないナディアは視線を女からそらし、小さく頷いた。  
「いいわ」  
娘の強請りを聞き入れ、女はベッドに上がりナディアの下腹部を跨ぐ。  
「さ、目を閉じて…」  
言われるまま瞳を閉じる。イコリーナは娘の唇ではなく、双丘を覆う白布に小さく  
浮き出た突起に口付する。娘は眉を顰め、敏感な所から来る刺激を耐えながら女の  
言い付けを守っている。娘が抵抗しないことを良いことにイコリーナは唾液を出し、  
薄布の上から突起を嘗め回し、左の中指と親指で片方の房の先を優しく摘み、  
指の間に挟まれた果実の蔕を人差し指の腹で転がす。  
「ン…ふぅ、ぅん…ん、んん!!…」  
――まだなの?もう我慢できないよぉ。  
女の愛撫に耐え切れず、目を開こうとしたとき、女は唇を重ね合わせる。  
ナディアは待っていた感触に満たされつつ、両手をイコリーナの顔に添える。  
自ら女の唇を擦り合わせて充足感を満たそうとするナディア。  
――だめ、まだ何か足りない…。ドキドキが収まらないよ…。  
そんなナディアの気持ちを知ってか知らずか、イコリーナは露出している  
褐色の腹を指でなぞる。  
「ン…んん…」  
眉を顰めてはいるが、女の指を止めようとしない。  
「ひ…ひぁっ!!」  
中央の窪みに指を入れられ、擽られる。  
むず痒さに似た刺激に我慢できず、腰を激しくくねらせる。  
「ひっふっふぁぁああっ!!…ひゃぁ・ああん!!」  
ナディアは女の唇から離れ、今まで発した事がない悲鳴に近い奇声をあげ、  
ベッドのシーツを強く掴み精一杯耐える。  
 
窪みから指を出し、イコリーナはその指先を嗅ぐ。  
臭みと香ばしさが混ざったナディアの香。  
さらにその香を楽しもうと窪みに鼻を寄せる。  
「かわいいおへそ」  
イコリーナは指で窪みを刺激しながら熱い吐息を吹きかける。  
「ぅ…ふぁぁ…ぁふ・ぅ……くぁっ…ふ…ふぁぁああっ!!」  
舌が這い、ざらついた感触が核を刺激し、寒気が腕と背中に  
小刻みに伝わりナディアは跳ねる。  
窪みの周りが女の生暖かい粘液で湿め、ナディアの腹はべた付いて行く。  
――まだ…まだ…。さっきよりドキドキしてくる。  
ピク…ピク…。  
足の甲を丸め、意思とは無関係に硬直したり無造作に動く。  
イコリーナは胸が冷たく感じ、身を起こして胸元に目をやる。小さな染みが浮き出ていた。  
ナディアの股間に目をやると、スカートに円状の同じ染みがついていた。  
「あらあら、そんなに気持ちよかったのかしら?」  
「え?…」  
意味がわからずキョトンとするナディア。  
「ひゃっ!!」  
イコリーナの手がスカートに潜り、急に全身に電流が流されたように  
ビクッとさせる。ショーツについた染みの原因である粘液を人差し指で絡め、  
ナディアの目の前で親指をつけて粘液の糸を引かせて見せる。  
「これが何かわかる?」  
「何…これ?…あたしからそんなのが?」  
どうやらナディアは性の知識を全く持っていないようだ。  
――ふふ、何だか面白くなってきたわ…。  
イコリーナは奇妙な微笑を浮かべる。  
「心配しなくていいのよナディア。これはあなたが気持ちいいと感じているから分泌されるのよ。  
今はよく分からないと思うけど、すぐに分かるわ…」  
「そうなの?…なんだかあたしさっきからずっとドキドキが止まらないの…あなたとキスしても  
身体中を触られても、収まらなくて・・・このままだとどうかしちゃいそう…」  
――――  
「じゃ、俺が収まらせてやろうか?」  
 
暇を持て余していた測的長がナディアに近づく。が、イコリーナは手をまっすぐ伸ばして  
彼を制止する。  
「なんだよ?そろそろ俺にヤラせろよ!?」  
「まだ駄目よ」  
イコリーナは部屋の隅に彼を連れて行き、耳元で囁くように言う。  
「まだ薬で自分の意思がはっきりしてないのよ」  
「そんなもんどうでもいい、見ろよこれ。もう我慢できねえよ」  
股間を指差し、ズボン越しでも分かるくらいにそそり立つ所を見せる。  
――あたしの時よりも随分大きくしてるじゃない…。  
「なんだよ?」  
「なんでもないわ。あたしはね、あの子が達して意識がはっきりした所を、あなたに  
してもらおうと考えてるの」  
「何言ってんだ?こいつにお仕置するのに何でこっちがこいつに合わせなきゃ  
なんないんだよ」  
早い所自身の息子をスッキリさせたい測的長は苛立ち始める。  
「あの薬はね、後の方が効果があるのよ。自分はエッチがイヤなのに身体は  
男を求めて、刺激に敏感になるの」  
「…なるほど、確かにその方がいいな。じゃ、お前に任せる」  
測的長は納得したらしく、イコリーナにナディアを託した。  
「待たせたわね。それじゃまず…」  
ナディアの下着に手をかけた。  
「服を脱ぎましょう。さ、を伸ばして」  
「う…うん」  
ナディアは女の言う通りに両腕を平行に伸ばす。  
赤のベストがナディアから離れ、白布も剥される。  
褐色の小さな果実がイコリーナの眼前で揺れ、上半身には胸元で輝く  
青の秘石と首のリングのみが残った。  
 
 

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