ノーチラスさんは日本海溝を進行中、深度は1500を超えています。  
 いつもちょっかいを出してくるガーフィッシュの索敵能力でも発見されない深海です。  
 現在でも攻撃型潜水艦は魚雷発射管や機動の為の機関部の大型化や、  
バラストタンクの大容量等で未だに深度1000前後がやっとですが、  
古代アトランティス帝国の超技術の劣化コピーであるガーフィッシュでも、  
その超技術の結晶たるノーチラスさんには遠く及ばないのです。  
 それでも船体は水圧に揉みし抱かれ、ギシギシと可愛い声で悲鳴を挙げています。  
 船穀は超合金技術で作られていても、中身は生まれた頃の庇護から外れ、  
か弱く病弱で、親代わりの乗員の皆からいつも心配ばかりされているのです。  
 1500、少し寂しくなって何とは無しに探信音を打ってみます。  
 ピコーン!  
 深度1500には生き物の姿見えません、まして探信音に引っかかるような  
大きな物体は一部の鯨くらいのものですが、大海原の一角で鯨さんに出会える  
よう事は極々稀なことなのです。  
 ピコーン!  
 ・・・・・・なんと、レーダーの端に影が映っています!   
 海溝の壁だと思っていた大きな岩が、重力に逆らって浮き上がってくるではありませんか。  
 驚いたノーチラスさんは全速で逃げ出そうとしますが、ガーフィッシュの探索に引っかからない  
為の深々度航行では船体に大きなストレスがかかっていて、迂闊に全速を出したりすることは  
とっても危険なのでできません。  
 彼我の距離は非常に近く、ノーチラスさんに謎の影の鼻息が、何もしなくとも  
ゴボゴボ聞こえるくらいです。  
 ノーチラスさんは攻撃型潜水艦なので、魚雷を発射して影に「来ないで!」ときつく言おうとしました。  
 ・・・・・・魚雷も発射できません。  
 そう、この深度では全速航行の他に、魚雷発射管を開く事も出来なかったのです。  
 手足を縛られて深海に放置されたような心細さに襲われたノーチラスさんは  
出来るだけ急いで浮上しようと、バラストタンクから水を沢山漏らしてしまいました。  
 影はこちらに近づきながら大きな声でノーチラスさんを求めます。  
 そしてそのまま、身動きの取れないノーチラスさんに荒々しく圧し掛かると、  
身体から生えた沢山の触手をスベスベした白い肌にいやらしく這わせて行きます。  
 ノーチラスさんも激しく抵抗して大きく身体を動かしますが、文字通り手も足も出ない状況です。  
 このまま手篭めにされて、みすみす大輪を散らされてしまうのかと思うと、バラストタンクから  
更に沢山の涙が出てしまいます。  
 影はノーチラスさんの身体の穴という穴を触手で探り当てては、激しいインサートを繰り返します。  
 この頃には音響探査から、影は巨大なノーチラス(オウムガイ♂)だと判明しています。  
 処女航海から早幾年、遂にノーチラスさんも年貢の納め時かと思われましたが、  
ネモお父さんの声が頭の中に響きます。  
「使える魚雷発射管から通常魚雷射出、時限信管で艦より500の位置で爆破。  
艦体を回して張り付いているノーチラス♂で衝撃を緩和しろ!」  
 そうなのです。  
 ずっとバラストタンクから排水を続け遂に魚雷発射可能深度ギリギリまで  
艦体を浮上させることが出来たのでした。  
 ノーチラスさんは必死で最後まで守り通した魚雷発射孔に触手が伸びる前に  
魚雷を発射したのでした。  
 ズーン!  
 ノーチラスさんの抵抗で体制を崩したノーチラス♂は、衝撃をまともに受けてノックアウト寸前、  
名残惜しそうに身体を撫で回していた触手がハラハラと解けていきます。  
 気丈にもノーチラスさんはノーチラス♂を正面から睨み付けると、  
魚雷を今度は直撃させようと振りかざしますが、ノーチラス♂はそれ以上手出しをせず  
残念そうに深海へ沈降していくのでした。  
 こうしてノーチラスさんは貞操を守り通したのでしたが、いつも直情なガーフィッシュより、  
ノーチラス♂のような荒々しいのもたまには良いかなぁなど思うものの、  
決して態度には出さず、今日も静かに大海原に美しい裸体を晒すのでありました。  
 
   
 
 
 

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