もう何回、この人の中で果てただろうか。アキトは己の眼下で蠢く、イズミの白い背中を見つめた。
イズミはいつも、後ろからの体位を求める。アキトはそれに逆らわない。お互い向き合いながら、
というのはなんだか気恥ずかしい。ユリカを抱く時、アキト常にはそう感じていたからだ。
「そ、それにしても、なんでこんな…」
アキトは横を気にする。そこにはスケッチブックを構えたヒカルの、満面の笑みがあった。
「ハイハイ、アキトくん! コッチは気にしないでいいから集中、集中!」
「いやでもヒカルちゃん、やっぱり見られてると…」
「いいからいいから! ヤッパこういうのはナマで見ないとねー! イイの描けそう〜!」
凄まじいスピードでペンを走らせる。やっぱり変だよなこの人、とアキトは溜息をつかずにいられない。
ユリカとの婚約後、毎日のようにこんな事を続けている。もしこんな事が周囲に知られたらどうなるか、
考えたくも無い。しかし、やっぱり気持ちイイ、いやしかし……。
ユリカ。ユリカは怒るだろうか。ルリちゃんはどうだ? やっぱり軽蔑するのかなあ…?
「アキトくん、スピード落ちてるよ! ペースアップ、ペースアップ!」
ヒカルの無責任な檄が飛ぶ。しかしアキトは既に限界だ。イズミの膣内に、白濁液をたっぷりと放った。
イズミの身体をきつく抱きしめる。声を押し殺したまま絶頂を迎えたイズミの痙攣が伝わってくる。
満足げに息を吐き出したアキトだが、出る言葉は泣き言だ。
「ああ〜、こんな事がユリカにバレたら…」
「だ〜いじょうぶ! 浮気の一つや二つ、男の甲斐性って言うでしょ?」
「そんなの通じないよヒカルちゃん…」
と、イズミがゆっくりと振り向いた。北の海の果てに棲むという魔女にも似た微笑。
「男の甲斐性、婚約解消〜」