「柊父が出張なんてなぁ」  
 
多少目の上のタンコブ的な存在ではあったものの、学園で本来魔法の使えない九澄に対して助力してくれる最大最強の頼みの綱でもあった。  
「こーゆー時に限ってワケわかんないヤツに魔法絡みで絡まれたりすんだよなあ…無事乗り切れますよーに!」  
うーんうーんと唸る様に九澄が天に祈っていると背後から声を掛けられた。  
「おはよう!九澄くんっ」  
「お、おう。おはよう柊」  
いつ見ても可愛いな畜生…などと思っていると、ぱっちりした瞳が下から九澄の顔をジッと覗き込んできた。  
(えっ!?な、なに?)  
「九澄くん何だか顔色悪いよ?…あれ?でも少し赤みがさしてきたかな?」  
「ゲッ…ご、ごほん!あー、ちょっと風邪気味でさ…本調子じゃないっつーか?」  
(おお、我ながら中々いい言い訳だな!よし、万一トラブルに巻き込まれたらコレで逃げよう)  
やや後ろ向きなアイデアだったがバックボーンの望めない今は、格好つけてもいられない。  
「そうだったんだ…具合悪いなら保健室行く?熱はない?」  
きゅん、と九澄の胸が甘く痛む。  
好きな女の子の親身な優しい眼差しだけで茹で上がってしまった九澄は、額に伸びてきた愛花の手を慌てて避けた。  
(い…今触られたら赤面して死ぬっ)  
 
「いや!大丈夫だ!熱なんかねーし!ほら、授業始まるから行こうぜ?」  
「あ…九澄くん…」  
逃げるように駆け出した九澄を愛花は少し寂しそうに見つめていた。  
 
 
何とか平穏無事に過ごしていた九澄であったが事件は昼休みに起きた。  
購買で買ったパンを食べながら九澄が階段を歩いていると何やら踊り場に男女が座り込んでいた。  
 
「ん?どうかしたのか?」  
九澄が声を掛けて顔を覗き込むと、男女が顔をあげる。  
クラスメートの伊勢と三国の二人であった。  
「く…九澄!?」  
「?もぐもぐ…何してんの?お前ら……」  
よくよく九澄が二人を見ると、床に胡坐をかいて座り込んだ伊勢の上に三国が腰を抜かしたように座り込んでいた。  
三国の身体に隠れていたが、伊勢はズボンのベルトが外れていてチャックが下りており、三国の足元には彼女の物であるらしいストライプ柄のパンティが丸まっていた。  
 
「ブーーーーッ!!」  
購買一争奪の激しい人気焼きそばパンを九澄は思い切り吹いた。  
「ゲホッ…お、お前ら何やってんだ…!」  
咳き込みながら真っ赤な顔で問い詰める九澄に伊勢が慌てて弁解する。  
「ち、違うんだ…!変なヤツにペイント弾で狙い撃ちされて…俺たちだけじゃねえ!当たったペアは引力でひかれるみたいにこう…パコーンとハメずにいられなくなっちまって…」  
 
少し嬉しそうな伊勢に三国が紅潮した顔で毒づいた。  
「くっ…冗談じゃないわよ!よりにもよって何で私が伊勢なんかと…!九澄!?早く何とかしてよっ!」  
「お、俺にそんな事云われても…。それで犯人は何処行ったんだ?」  
 
「知らないわよっ!色んな人を撃ちまくって今もきっと校内を……あんっ!バカ伊勢、動かないでよ…っ!」  
「だ、だってよ…あの犯人『終わる』まで魔法解けないって云ってなかった?ふ、不可抗力だよな?」  
「ちょ、何勝手に腰振りだして…中に出したら殺すわよ!アンタ!」  
「んな事云われても、動かせるけど終わるまで抜けないんだから中に出すしか……悪い三国っ!」  
ムチムチの大きな尻を両手でがっちりと掴み、伊勢が三国を激しく突き上げ始めた。  
「ひゃうっ、ダメ…い、やぁ…」  
「気持ちい〜…天国かも…」  
ここぞとばかりに伊勢は三国の胸元をはだけてブラを外して乳房を放り出させる。  
「あっ?伊勢っ」  
「おお。Gの旋律も目じゃねえ!」  
ねっとりと両手で揉みしだいて伊勢が突起を口に含むと三国の力が更に抜けた様だった。  
「んんっ…」  
たぷんたぷんと乳房を手の平で弾ませながら伊勢は強引に三国の唇を奪った。  
 
クラスメートのセックスを目の当たりにした九澄は呆然と見守っていたが、弾かれたように我に返る。  
 
「ハッ?ちょっと待て…犯人まだ野放しなんだよな…?ひ…柊っ!!」  
「あんっ、やっ、伊勢ェ…もっと…!」  
「三国…はぁはぁ」  
乱れる二人をほったらかして九澄は猛然と走りだした。  
 
「柊ぃぃぃーーー!!」  
いつも愛花が昼食時にいるはずの九澄と愛花専用の執行部の分室に飛び込んでいく。扉が壊れそうな勢いだった。  
「きゃっ?ど…どーしたの?九澄くん」  
愛花は一人で弁当を食べていたようだ。  
 
「ぶ…無事か!?一人か!?誰も来てないな…!?」  
「う、うん?」  
「よ…よかった〜…」  
止まっていた息を九澄が深く深く吐き出した時。  
背後で開きっぱなしだった扉の外に不穏な人影を感じた。  
 
パンッ。パンッ。  
(え?)  
撃った者の顔は見えなかった。が、自分と愛花の肩に同じ色のペイントが付着している事に九澄は気付く。  
伊勢と三国は赤。今走ってきた道で青、黄、水色、その他の色を撃たれた者が同じ色のペイントを撃たれた相手と魔法にかかっているのを見てきた。  
そして自分と愛花も…。  
 
「い…今のヤツが犯人か!?」  
急いで追い掛けようとした筈だったが、九澄は何故かドサリと椅子に座り、その上に愛花の身体が文字通りふわりと浮いて飛んできた。  
「くっ…魔法かっ」  
すとん、と九澄の膝に座った愛花はキョトンとした後みるみる赤面した。  
「きゃああっ!ご、ごめん!私、一体何して…あれ?あれ?」  
「ひ…柊のせいじゃないよ。今のヤツが変な魔法をかけたんだ。他の奴らも犠牲になってた…」  
そこまでは、冷静に九澄は状況を愛花に伝えた。  
「魔法なの…?磁石みたいのなのかな…何のつもりだろうね?…ごめんね?九澄くんに乗っかっちゃって…」  
 
愛花の頬を赤らめた顔が可愛くて九澄まで赤くなる。が、赤くなったのはそれだけの理由からではなかった。  
九澄にとって夏の装いで密着した愛花の上半身は、神に感謝したい程素晴らしい感触だった。  
(む、胸が…)  
巨乳といえる大きさではないが、気を失いそうな程に柔らかく思ったより存在感もある。  
(やばい…絶対やばい…)  
九澄の手が愛花の背中に回る。  
「えっ?」  
九澄は愛花をきつく抱き締めていた。  
 
それが魔法のせいだったのかは分からない。  
だが、次に九澄が起こしたアクションは完全に魔法のせいだった。  
 
勝手に自分の手がズボンのベルトをカチャカチャとゆるめてジッパーを下ろしていく。  
(お…おい…ウソだろ…?)  
これも魔法のせいかは分からないが九澄の一物は既に激しく膨張しトランクスはテントを張っていた。  
九澄の異変に気付いた愛花だが、彼女はといえば自分のミニスカートに手を入れ静かにパンティを下ろしていた。  
 
「ひ、柊…」  
「く、九澄くん…」  
九澄の上に座ったまま上手にパンティから片足を抜いて、片足の太ももに捻れたパンティを残す。  
自分のしている行為が信じられず呆然としている愛花に九澄は努めて冷静に説明した。  
「柊!こ、これ…は、悪い魔法だから…!お、落ち着こう…絶対必ず解けるから…落ち着いて」  
自分に対して九澄は云っていた。  
(じょ…冗談じゃねぇ。こんな形で柊と…なんて)  
だが、吸引するように二人の腰が近付き、九澄の手が愛花の脚の間に滑り込む。  
「やっ…!九澄く…」  
「わあ!バ…やめろっ!!」  
意志に反して九澄の手は愛花の恥丘を撫で回し、中指を割れ目へと忍ばせる。  
「あ…いやん」  
「ごご、ごめん…柊…!」  
 
九澄の指は勝手に秘裂を滑り膣口を指の腹で丸く円を描くように撫でてくる。  
(俺…柊の、に触ってる…?…柔らかい…)  
恋する相手の性器に触れて惚ける九澄と異なり、彼の指は勝手に蠢き愛花の蜜をクリトリスに塗って捏ねていた。  
「んッ、九澄くんッ、ダメ…!」  
九澄のもう片方の手が愛花を抱き締めると彼女はそっと顔をあげた。  
「九澄く…」  
「ごめんな…やめてやれなくて」  
唇が近付いてきて愛花は静かに目を閉じた。  
 
そっと触れた九澄の唇が愛花の唇を吸ってくる。  
「好きだ…柊」  
驚いた瞳が見開かれ、続くキスによってトロンと閉じていく。  
九澄が舌を入れると愛花は戸惑いながらも応えてきた。  
キスの経験などないガチガチだった二人のキスは、ねっとりと舌を絡めあい濃厚なものになっていた。  
その間も九澄の指は愛花の秘密を探り、1本だけ指を入れて優しく回したり抜き挿しして蕾をほぐしていく。  
(柊の中…熱い…吸い付いてくる)  
「あっ、九澄くん…!私…また身体が勝手に…!」  
九澄が指を抜くと愛花が彼の肩に掴まり二人の局部の位置を合わせてきた。  
 
九澄も勃起したペニスの根元を持って動かないようにしている。  
お互いに魔法がさせている事であった。  
 
愛花は未だ戸惑う心に反して大胆に九澄に身体を開き、彼を受け入れ始めた。  
濡れた粘膜同士が触れて、愛花の膣口を押し広げて九澄の先走りに光る亀頭が嬉々と彼女を訪れる。  
「いっ…」  
痛いと云おうとしたのを愛花が飲み込んだのを九澄は知っていた。  
だが先端が入っただけで脂汗を浮かべる愛花に、九澄は完全な交合を望むのを止められなかった。  
「全部…挿れるぞ…柊!」  
愛花の大切な膜を突いて破り、九澄は性急に彼女に男の象徴を収めていった。  
 
「うう…九…澄く…っ」  
凹凸を嵌めたまま愛花の白い尻が自分の太ももに下りてきて触れるのを九澄は感じた。  
愛花の方は自分の性器に男の草むらが擦り付けられるのを感じていた。  
根元まで愛花に受け入れられた悦びに九澄は打ち震えた。  
 
犯人の事は許せなかったが、愛花を自分のものにした事実に浮き足たたずにいられない。  
うねるように絡み付く愛花の膣に九澄の理性は吹っ飛んでしまった。  
 
「柊…好きだ…!」  
イスの上で愛花をゆさゆさと揺する様に抽送する。  
「く、九澄くんっ…あんっ…」  
すると、くねる様に愛花の腰も動き、せっせと二人の結合部を擦ってくる。  
「や、痛い…のに…勝手に…!」  
「魔法のせいだから…ホントごめん…柊!」  
「九澄くぅん…んぁ!」  
 
愛花の膣内を堪能しながら九澄は感激に涙すら出そうだった。  
(も、もう死んでもいい…ていうか、確実に柊父に殺されるな…)  
もちろん後悔などなかったが愛花を傷つけた事だけが辛かった。  
だが愛花は自分から九澄にキスしてきて、彼の首にしがみついてくる。  
「九澄くん…九澄くん…」  
「柊…!」  
何度も愛花にキスしながら九澄は彼女を出来るだけ優しく突き上げた。  
結合部は見えなかったが動くたびにいやらしい音がして至上の感触が男根を愛してくれる。  
先っぽが愛花の奥に触れるたび彼女を手に入れた実感が溢れてきた。  
「あっ…九澄くん、あたる…あたってる…よ」  
「柊の中…すごく気持ちいいな…めちゃくちゃきつい」  
今すぐ中にぶっ放したらどんなに気持ちがいいだろう、と思いながらも射精を堪えるのは男の性だろう。  
九澄は必死に持ち堪えながら愛花のブラウスを開きブラをたくし上げて乳房をあらわにする。  
小ぶりと思っていた膨らみは想像以上に揉みごたえがあり、突起の色も可憐でいて男の好色を満足させた。  
 
「あん、九澄くん…」  
突起を吸われても愛花は拒まない。  
「可愛いよ柊…」  
たっぷりと両方の乳首を差別なく舐めあげてから九澄は愛花の首筋や鎖骨の辺りも強く吸った。  
愛花に了承を貰わず九澄は彼女を独占するように自分の跡を刻んだ。  
 
「く、九澄く…」  
切なげに開く唇にもう一度キスをしてから横に滑って耳を甘く噛んでやる。  
「はんっ…」  
「好きだ、柊…初めて会った時から…」  
「わ…私も…私も九澄くんが…初めて会った時から…好き」  
「!!」  
愛花も九澄も顔から火をふいていた。  
「ひ、柊…!お、俺と…!」  
「は…はい」  
 
九澄が大切な事を云おうとした刹那、一人の少女が部屋に駆け込んできた。  
 
「く…九澄ー!た…大変よ!皆がっ………え?」  
「えっ?あ、きゃあっ!」  
愛花が顔を伏せる。  
「うおっ?み、観月…!?お前何でここに…」  
固まっていた観月尚美が憤怒に近い悲鳴をあげた。  
 
「ギャーーーッ!!何してんのよ、この変態ッッ!」  
「バッ、でけー声だすなよ!人が来たらどーすんだ!」  
 
「ひ…人が来たら困るよーなコト、扉開けっ放しでやってたのはアンタでしょ…!?し、信じらんないっ…!」  
 
観月の動揺は尋常ではない。  
「仕方ないんだよ…お前も校内の惨状見ただろ?ていうか、お前よく無事だったな…」  
「あ…当たり前でしょ!?誰が九澄以外の男となんか…」  
「へ?」  
「何でもないわよ!!そ…そんな事どうでもいいから、柊さん離してあげなさいよ!」  
「だ、だから魔法かけられてて無理なんだって…伊勢が云うには終わらないと離れられないらしいし…だから悪い観月!席外してくんね?」  
九澄の照れ笑いに観月が噴火した。  
 
「ウソ云いなさいよっ!アンタ程のヤツががそんなチンケな魔法解除できないワケないでしょ!?か…解除できないフリして柊さんと…最低最低最低〜!!!」  
 
「え…九澄…くん」  
愛花の赤らんだ顔にぶつかり九澄が慌てた声をあげた。  
 
「ひ、人聞き悪いこと云うんじゃねーよ観月!!違うからなっ柊?」  
「う…うん」  
「あと…観月の前だけど…ごめん…俺もう…」  
「えっ?あ…ダメ九澄くんっ。人前じゃ…」  
愛花をしっかり抱いて九澄はラストスパートをかける。  
 
「い、いやっ、恥ずかしい…」  
「好きだ柊…俺に集中して」  
座位の深い挿入のまま九澄は猛烈に愛花を突き上げた。  
「九澄くん…あんっ、あんっ、あんっ」  
「はぁ、はぁ、はぁ、ひい、らぎっ」  
ぐちゅっ、ぶちゅっと結合部が卑猥な音をたてるたび、同じリズムで二人の口から声が漏れた。  
九澄の肉棒が愛花の膣内の特に感じる場所を擦って彼女はたまらず破廉恥な嬌声をあげる。  
「九澄くん、いいっ…!恥ずかしいのに…私初めてなのに…気持ちいいよ、九澄くんっ!」  
「俺もイイよ…!柊…柊!」  
 
九澄は荒い息で愛花と執拗に粘膜を擦り合い、何度もキスを交わした。  
「柊……柊……」  
「九澄、くんっ…」  
 
観月が絶句して見つめる中二人の身体が同時に突っ張って震える。  
「柊、出る……ぐうっ!」  
「私の中に出していいよ…九澄くん…!」  
 
どくんどくん、と一番奥まで突き立てた九澄の男根が愛花の子宮に大量の精液を注ぎ込む。  
ポンプと化した肉棒は何度も膣内に精子を送り込み、愛花の体内を熱い奔流で満たしていく。  
初めて男の欲望を受けとめた愛花も絶頂の痙攣がやまず、きゅうきゅうと九澄を締め付けて残り汁を搾り出していった。  
 
「あ…あ…柊…」  
「く…ず…み…く…ん」  
(最高だ…柊…一生忘れられない…な)  
 
ぐったりと二人は互いのぬくもりに身を委ねた。  
愛花が気を失う瞬間、九澄は彼女の耳元で生まれて初めての愛の言葉を口にした。  
 
 
愛花の着衣を整えて寝かせた後九澄は身悶え転げ回っていた。  
「立ち直れねえ……柊と…柊と……うあ〜!恥ずかしすぎて立ち直れん!!」  
頭を抱えて呻く九澄をギロリと睨み付けた観月の目は赤く腫れていた。  
(うっうっ……あたしの方が立ち直れないわよ…!バカァ〜)  
 
なお、犯人は逃走して捕まる事はなかったが、この事件は生徒間だけで解決された後箝口令が敷かれた為、教師たちがその事実を知る事はなかった。  
 

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