―――――― 遙か遠くへ凪がれる願い  
 
――――― 凪いだ想いは悠久に消える事はない  
 
―――― でもそれはそこで途絶えてしまった記憶  
 
―――――― 夢が褪めてもそれは確かにそこにあった大切な願い・・・・  
 
――――― 願ったはずの想いは消えてはいない  
 
――――― 思い出せないままそこにあるだけの想い・・・・・・  
 
まだ心残りに肌寒い季節。  
俺と・・・俺の大切な人はそこにいた。  
今日で・・・・今日でこの道を、この思い出の道を歩む事はない。  
 
――――― 今日は・・・いい天気だな・・・  
――――― うん  
 
何気ない会話・・・・でもそれに長い会話や、思い出はほとんどない。  
でも前より確実に・・・確実に繋がりは大きい。  
二人の会話は続く。このなんでもない会話が二人をつなぐモノだったから・・・  
一つの決断。一つの願いが今の自分である証。  
二人の思いは繋がっていた・・・・繋がっていたからこそ今が悲しかった。  
そう・・・一度欠けてしまった想いをもう一度最初から組みなおす様にやり直して・・・・  
 
――――― 俺と付き合ってください  
 
そう言ったのは1年の冬ぐらい・・・あの日も伊勢や周りの人間から唆されたんだった。  
「クリパしようぜ!」  
そんな突拍子も無い伊勢の台詞。いつものように苦労しながらも何とか関係を保てると思ってた自分。  
「いいぞ」  
その台詞が俺の運命を・・・俺の大切な人との関係を変えた・・・・  
ただ・・・・それは俺にとっても嬉しい事だったけど・・・  
 
―――― 『運命の車輪が廻りだした・・・ほんの始まりの記憶・・・』  
 
「柊?柊もパーティー行くのか?」  
柊に話しかける。別に深い意味は無い。  
「うん。久美に誘われちゃった。九澄君も行くの?楽しくなりそうだね」  
柊がやんわりと微笑む。その笑顔に思わず見とれてしまった。  
何やってんだ俺?いつもの事だろうが。別に意識する事ないのに・・・  
柊が顔を近づけて心配そうに「大丈夫?」と聞いてくる。  
俺は慌てながら「へ・平気だ!心配しなくていいぞ!」と叫びながら教室を出た。  
教室の戸に体重をかけて凭れる。「すぅーッ」と息を吸い高鳴る鼓動を静めさせる。  
「九澄?何をしているもう授業だぞ。早く席に着け」  
いつのまにか柊父が目の前にいた。「わかった」と言い席に着く。  
今日は何か特別な事がおきそうな気がした。  
 
「おう、きたか!でも遅刻な。罰としてジュース買って来い!」  
チクショウ・・・そうきたか。まぁ遅れたのは事実か・・・・仕方ない。  
え〜と近くにコンビ二は・・・・  
「あ。私も一緒に行っていいかな?」  
突然の柊の言葉。俺は「え?」と聞き返したが「いいぞ」といった。  
外はまだ明るい。執行部の仕事が長引いたせいで遅刻する羽目になったとはいえ・・・  
時計を見て思った。  
学校が終わったのは早めの1時。クリパの予定は3時。んで、俺が来たのは5時。  
何をしてたかというと、いろいろだ。とはいえ・・・・遅すぎだろう・・・  
「そういえば柊はどうして、ついて来たんだ?」  
「えぇ!?え・・・え〜と・・・・そう!九澄君は執行部で疲れてるでしょ!?だから荷物もちを手伝いに・・・・」  
なぜか柊はかなり動揺してそういった。  
俺は訳がわからなかったがとりあえず「あぁそうか。でも別に手伝わなくていいぞ」  
と、そう言ってコンビニへ着きジュースを買っていく。  
会計を済ますと柊と一緒に戻る。もちろん柊は手ぶらにして。  
柊は不服そうな顔でこっちを見てくるが俺は視線に気づかないふりをしてそのまま、つかつかと歩く。  
「じとーっ」とした視線がいたいが、こればかりはさせるわけにはいかない。  
そのまま戻った頃には皆が「なんかあったの?」って顔で見てきた。  
「別に何でもねーよ。いい加減いたいから止めろって」  
 
時計を確認する。時刻は7時だが皆ゲームとかしてる。  
どうやら門限とかそういうのはなさそうだ・・・・柊以外。  
「柊は門限とか無いのか?親バカだし・・・」  
「え〜ともうすぎてるけど・・・一応連絡したから大丈夫だよ」  
ならいいけど・・・・俺は素直にそう思ってコップを口に運ぶ。瞬間・・・・  
「ぶフゥーーーッ!!けほっ・・なッ・・・んだこりゃ!?酒じゃねぇか!」  
のどが渇いてたぶん結構な量を体に摂取してしまった。  
めちゃくちゃ体が熱くなり、本当に酔ってしまったようだ。  
「く・・九澄君・・・大丈夫?」  
う・・・・マジでやべぇ・・・柊がたくさんいる・・・・俺こんなに酒弱かったっけ?  
意識が半分ぶっ飛びそうだ・・・柊が心配そうにしてる。  
「すまん柊・・・大丈夫だからちょっと・・・・」  
「ど・・どこ行くの?私も・・・」  
いや・・・・マジでいいって・・・ちょっと『出し』にいくんだから・・・  
ふと三国が気をつかってか柊に説明してくれてる(?)様だった。  
「あ・・・・ごめん九澄君・・・・」  
「いや・・・分かれば・・・・・」  
「でも背中さするぐらいは・・・!」  
分かってねぇ・・・・  
 
「あぁ・・・・だいぶ好くなったかな・・・?」  
時間は9時。途中いろいろあったみたいだけど俺としては気持ち悪かっただけで覚えてない。  
ん・・・?柊がいつの間にか寝てる・・・疲れちまったんだろうな。  
「さて・・・そろそろお開きとすっか!九澄、お前柊を家まで送ってやれよな」  
まぁ・・まだ違和感はあるけど別に嫌って訳じゃないし、それぐらい普通だよな。  
「ま・・・外に出たらよいも醒めるだろ」  
俺は柊をおんぶする形で送る事にした。  
外は涼しかった・・・・いや普通は寒いんだろうが今はちょうど体が熱かった。  
酔いだけじゃ・・・ねぇよな・・・これは。  
背中に感じる柊の感触。別に疚しい事があるわけじゃないが、やはり嬉しい。  
厚着な分感触はうすい。まぁそっちの方がかえって良いのだが・・・熱いし。  
柊は寝息が耳にかかる。やばい・・・たとえ感触がうすくてもこっちは天然兵器だ。  
寝て様が変わりはない。疚しい気持ちを振り払うように空を見上げる。  
ふと、はらりはらりと雪が降ってきた。柊が寒くないかと心配する・・・・て、あ!  
歩きながら気づいた。俺どこに向かってんだ・・・柊の家知らねぇ・・・・・  
 
仕方無しに柊を起こす事にした。  
「柊、柊!起きろ!」  
「ん・・・んぅ〜?」  
柊は起きてくれたが少し「ボーッ」としてる。しばらくして。  
「あぁ〜・・・九澄君〜?夢?」  
「柊。家どこだ?送っていこうと思ったんだけど俺知らないし・・・」  
柊は教えるといってもう一度背中に乗ってきた。  
「ひひひ・・柊!?」  
「あったか〜い・・・」  
まだ寝ぼけているんだろう。俺はされるままに柊をおんぶして帰った。  
帰るといっても柊の家だが・・・柊はなぜか上機嫌に鼻歌を歌っている。しばらくすると・・・  
「あれ・・・?私・・・・え?」  
「目、覚めたか?こっちでいいんだよな?」  
「くくく・・九澄君!?なんで私九澄君に!?」  
さっき自分から乗ってきたろ?と言うと柊はそのまま黙ってしまった。  
はぁ・・はぁ・・喉・・・渇いたな・・・悪いけどコンビニは・・・・・  
「九澄君大丈夫・・・?コンビニならこの先にあるけど・・・」  
柊は俺の心情を察し、そう言ってくれた。  
俺は言われるままコンビニへ、柊はそこの公園で待っている。  
水を買って公園へ、柊はそこにいた・・・・・・  
ベンチに座り街灯の灯りに照らされ白い息を吐きながら空を見上げる柊は綺麗だった・・・・  
一生懸命で皆からも慕われてるいつもの可愛い柊・・・・  
空を見上げ、俺を待ってくれている今の綺麗な柊・・・・  
やっぱ俺って・・・・柊が好きなんだな・・・  
俺は柊の座っている隣に座る。柊は俺をじっと見てきた。  
仄かに赤く染まっている頬・・・潤んだ眼・・・・  
俺もいつの間にか・・・・柊の顔を見つめてしまっていた・・・・  
・・・・・まだ酔いがさめてないんだろうか・・・体が熱い・・・・  
このまま勢いで全てを無くしてしまう気がした・・・・でも・・・  
その時の勇気が・・・・・全ての始まりだった。  
 
――――――― 柊・・・俺は・・・・柊の事が好きだ・・・・  
――――― 俺と付き合ってください  
 
言えた・・・気持ちを打明けた時・・・・柊は俺の胸の中にいた。  
俺が抱き寄せたのか・・・柊からなのか・・・・覚えてはいない・・・・でも。  
それでも・・・・今・・・俺は幸せだった・・・・・・・・・  
 
「柊・・・・・・もうすぐ・・・だな」  
「九澄君は・・・九澄君の願いって何?」  
決まってる。俺の願いはそれしかない・・・・・でも  
「もうすぐ分かるさ」  
俺は最後の確認に・・・・・行く所があった。  
そう・・・・最後に聞くべき場所が・・・・・  
 
「おや?どうかされたのですか?」  
「最後に校長先生に聞きたいことがあるんです」  
「いいでしょう。なんですか?」  
 
それは―――――――――  
 
「・・・・・・です。分かりましたか?」  
俺は首を縦に振った。全てを理解して、いや・・・『つもり』でも理解した。  
「ありがとうございました」  
校長室を出ようとしたとき・・・・・最後に校長は言葉を付け足した・・・・  
「最後までよく考えてください。・・・・・それだけです」  
校長に礼をして俺はその場を立ち去った・・・・・  
 
 
―――― 『運命の車輪は廻り続ける・・・ それは一つの終わり・・・』  
 
 
―― 柊!  
 
四散と舞う塵・・・・・・・・閃光は一陣のように速く  
俺の目の前に現れた。次の光景は覚えていない。  
ただ・・・・・部長の声と・・・柊の声が聞こえた・・・・そんな気がした・・・・・・  
 
気づいたときには俺は保健室で横になっていた。  
何があった?俺は記憶を思い返す。  
 
そう・・・・・あれはどこの誰かが魔法の入力ミスで危険なものが・・・とんで来た様な・・  
いや・・・・なんか生き物だったか・・・?とにかく俺は・・・・柊を・・・  
「そういや・・・柊・・・」  
声が聞こえた・・・・そう・・・柊の・・・悲鳴に近い声・・・  
走った。傷は完治していた。でもそれは表面上のこと。  
体は軋みを上げ自分で自分の体を疑うくらい思うように動かない・・・・  
「やべぇな・・・・おい」  
「九澄?お前もう大丈夫なのか?」  
伊勢・・・・?渡りに舟だ。こいつなら・・・・・!  
俺はグッと伊勢の胸倉を掴む。少々手荒だ・・・・でも形振り構ってられない・・・  
「伊勢・・・・柊はどこだ?」  
「いや・・・・でも・・・・」  
「どこだ!!!」  
グッと力をこめる。伊勢は怯え気味に言う。  
 
――――― 校長室だ・・・  
 
俺は力を緩め校長室へ向かう。その前に言わないと・・・・  
「悪ぃな・・・・ありがとう」  
校長室へ着く。中では声が聞こえる。多分柊父だ。  
「失礼します」  
俺はそれを無視して校長室へ入る。目の前には校長と柊と柊父がいた。  
柊は見た目大丈夫そうだった。それを確認すると力が抜ける。  
「九澄?何故・・・?」  
「まぁ・・・別にいいだろ?死んだわけじゃねえ。それより・・・・柊が無事でよかったぜ」  
俺は柊の肩に手を置く。次の場面では・・・・耳に残る信じがたい言葉が来た・・・  
 
――――― えと・・・だれですか?  
 
「は?」  
ふざけてる?違う。柊はそんな奴じゃない。  
じゃあど忘れ?そんなわけ・・・・・無いだろ。  
「どうなってんだ?」  
「見てのとおりだ」  
全てを大まかにした説明。でもそれで全て分かってしまった事が嫌だった。  
目の前で血まみれになった俺を見てしまったショック。  
目の前で自分をかばって傷ついた人間を見てのショック。  
その全てが『柊愛花』の重荷になった・・・・・・  
「つまり・・・柊は記憶喪失だと?」  
「まぁ・・・大きく言えばそうだ」  
柊父は冷静だった。いや・・・冷静に見せているだけ。  
ムカつくけどこいつと俺は似てるんだ。たとえ大切なものに危険が迫っても・・・必ず助ける方向で決して取り乱さない。  
俺は取り乱すだろう。でも・・・こいつはそれを少なくとも誰にも見せない。  
それだけの事・・・・・  
「柊・・・俺のことも覚えてないんだな・・・」  
「ごめん・・・なさい」  
「いや・・・いいんだ。また覚えてもらえれば」  
本当はかなりショックだ。ただ見て時々支える事しかできない関係から恋人になれたのに・・・  
それでも・・・・俺は・・・・柊といたい。  
「柊・・・・・一緒に学校まわるか?」  
「あ・・・・うん」  
 
柊と学校を歩く。  
周りには誰もいない。一応俺と柊は早退扱いだから授業を受けなくていい。  
「ひょっとして今授業中?」  
「えと・・・・そうなのかな?」  
柊はなんでもない話に頑張ってついてこようとする。  
本当は違う・・・・初対面ではない。でも初対面と同じ・・・・  
そんな相手にも柊は優しかった・・・・  
 
季節は流れた・・・・・・・・誰の願いも聞こうとはせず・・・・  
ただ無情に過ぎ行く日々。  
皆が帰って・・・教室は誰もいない・・・  
今日・・・俺は柊と二人きりだった・・・・・・・・  
外は暗くなって・・・・どんどん人気がなくなっていた。  
「柊・・・・時間・・いいのか?」  
「うん。今日はお父さん帰ってこないから・・・」  
そうか・・・・俺はそんな会話で今まで済ませてた・・・でも・・・・時がすぎれば過ぎるほど。  
その思いはそれだけじゃ済まなくなってた!なんども!何度も柊を求めたかった!  
俺は柊と・・・前みたいに向き合いたかった!話したかった!  
柊はそんな俺をじっと見つめる。どこか懐かしい眼で・・・・俺を・・・・・・  
 
「柊・・・・・覚えている・・・わけないか。でも昔話がしたい」  
――― うん。  
「前はさぁ・・・柊は俺のことめっちゃ避けてた時期があったよな・・・」  
――― ごめん・・・・でも・・・なんで?  
「・・・・俺が・・・・幻と間違えて柊を抱きしめたから・・・・・」  
――― ・・・・ぷっ・・・あはは!九澄君ってドジなんだね。  
「悪いかよ・・・・でも俺だって・・・誰でも良いて訳じゃないんだからな」  
――― え・・・・?あ・・・・ぁぅ・・  
「・・・・・は・話変えよう!え〜と・・・・あぁ・・俺がプレートなくしたとき・・柊、手伝ってくれたよな」  
――― そうなんだ?えと・・・役に立ってたかな?  
「ああ・・・・すごく嬉しかった」  
――― 答えになってないね・・・でもよかったよ・・・・あ・・・・  
「どうした?」  
――― えと・・・洞窟とかに行ったよね?  
「柊!?思い出したのか?」  
――― あ!ううん・・・なんかそんなことがあった気がしたの。  
「・・・・・そうか。うん、でも行ったよ。洞窟に」  
――― えと・・・もう一人いたような・・・?  
「観月だな・・・アレがきっかけでアイツとも仲良くなったんだよな」  
――― 九澄君が私を追いてっちゃった気がするよ  
「・・・・嫌な事覚えてるな・・・ごめん」  
――― でも・・・なんかこう前のこと・・・思い出すのも悪い気しないよ?  
「そうか・・・・じゃあさ。クラスマッチ覚えてるか?」  
――― え〜と・・・・九澄君が頑張ってた・・・かな?  
「覚えてないならいいよ。そうだな…優勝できたのは柊のおかげだった」  
――― えぇ!?わ・・私が?  
「ああ。グッジョブだったぞ」  
――― そ・・・そうなんだ・・・なんか照れるな・・・・  
「はは・・・柊は柊が思ってる以上に強くて頼りになるんだぞ」  
――― あ・・ありがとう・・・あ!そういえば・・・・九澄君て・・・前は・・・私とどんなだった?  
「・・・・・どんなって?」  
――― 私の部屋・・・いろんな所に思い出がたくさんあった・・・写真とか・・日記とか・・・  
「・・・・・・・」  
――― く・・九澄君の名前がたくさんあって・・九澄君のこと考えると・・・なんか落ち着くの・・・  
「柊・・・・・・?」  
――― 私・・・私・・・何も覚えてない・・・思い出せないのに!でも・・・九澄君と一緒にいられるだけで幸せなの・・・  
「ッ・・・・・・」  
――― く・・・・九澄君・・・・私・・・私・・・・  
 
抱きしめた。本当はいけない・・・・・・・でも・・もう駄目だった。  
柊の体温は温かく・・・・このままずっと・・・いたいと思った・・瞬間。  
「ん!?・・・んぅむ!?」  
突然の柊からのキス。俺は動揺しながらも徐々にその感触にのまれていく。  
俺は・・・・このまましていいのか?このまま本能で柊を・・・・  
「九澄君・・・・私・・・いいよ?」  
柊の言葉が・・・・俺の抑えていた気持ちを溢れ出させた。  
俺は柊にキスをしながら腰のほうへ手をのばす。  
「んちゅ・・・ふぁ・・・あ・・・・ッ」  
柊の腰回りから下へと手をのばし、持ち上げるようになで上げる。  
徐々に柊の口から荒がる息と共にリズムのいい吐息がもれる。  
「くぅ・・・ずみぃ・・・くん!あったぁ・・・かいよぉ・・・!」  
俺が今できることは九澄大賀として柊愛花を支える事・・・・  
最初から・・・最初から何も変わっていなかったんだ・・・・柊は柊で・・・何も変わっていなかった!  
逃げていたのは・・・俺だ!だったら・・・遅くても・・・・それでも・・・・  
「柊・・・・・俺は柊が好きだ・・・・」  
2度目の告白。柊は涙を浮べ腕に力をこめる。  
それがただ嬉しくて・・・・  
「ひゃ・・・あぁん・・・あぅ・・・・」  
柊の耳に口付け甘く噛んだ。その際手は柊の形のいい膨らみに添える。  
柊はそれなりに敏感らしい。手の動きに合わせ可愛い喘ぎをもらしている。  
そのまま・・・・柊の首まで舌を這わせ制服の上をはだけさせる。  
「あ・・・・・あぅ・・・・・恥ずか・・・・しぃ」  
あたりは暗い。でも月明かりに照らされ柊の姿ははっきり見える。  
それはとても綺麗だった。柊は顔だけでなく体まで赤く染まり行為に身を預ける。  
胸の感触を手で直接味わう。吸い付くような心地よさ、やわらかいのに弾力があり、それでいて柊の声が聞こえる。  
横からキュッと押し上げるように掴むと柊の声が大きくなる。  
強弱のステップをつけ優しく揉むと柊の声はまたテンポのよいあえぎになり柊はどこか切なげな声をあげる。  
「んん・・・・んはぁああ・・・・あ!・・・・あぅ・・・・ひゃん!」  
先端で反る柊の蕾を口にふくむ。コリコリした感触を口の中で味わい徐々に大きくなる感覚を感じていた。  
味は無いけど柊はどんどん高ぶっている気がした。呼吸のテンポが速くなり、そのたびに胸が揺れる  
柊の体温が、声が、鼓動が俺を同時に高ぶらせた。  
柊の乳首を味わいながら軽く噛んでみる。  
「きゃん!あ・・・あぁ!・・・ん・・・・んあぁぁ・・・・!ひゃん!あぅ・・・ひぃう!ひゃめ・・・てぇ・・・・りゃめ・・・やぁぁあ・・・・・」  
柊はうなされるように呟く。  
軽い絶頂が近いのだろうか?柊の声に焦りと戸惑いの色が見え隠れする。  
 
柊は悲願するように話してくる。  
「くず・・・みぃ・・・・くんん・・・!苦しい・・・よぉ!・・・ヤメ・・ひゃぁめ・・・・てぇぇ!・・・お願い・・・・許して・・・・く・・・ずぅぁあああ!!」  
柊の痙攣が大きくなる。軽くだが達したのだろう。  
柊は虚ろな眼でどこかを見つめている。  
口からは唾液が垂れだらしない顔ともいえる。だがそれ以上に可愛く、自虐心をかき立てられる。  
俺は本能のまま柊を壊してしまいそうな自分を抑え、そのまま優しく続きを行う。  
柊を抱きかかえ体勢を横にさせる。  
そして柊の腰を持ち上げ下着が目と鼻の先にある状態にする。  
「やぁ・・・・・やぁぁあ・・・・恥ずかしい・・・・九澄くぅん・・・・」  
柊は口では抵抗するが体は抵抗しない。それともさっきの感覚で出来ない・・・・のだろうか?  
そのまま柊の下着越しに舌を這わせる。  
柊の声が艶かしい、悲願の声になる。  
「んやぁぁああ・・・・!あ!・・・・あぁぁあ!んあ!くず・・・・みぃ・・・・くんぁ!」  
下着を脱がし柊のそこに直接口をつける。  
柊はもはや声にならない声で喘ぐ。  
「〜〜〜!〜〜〜!!」  
そのまま達してしまいそうな柊への責めをやめる。  
「〜〜っはぁ!・・・・え・・・?ん・・・・んん・・・・あぅ・・・・九澄・・・君・・・・?」  
柊は腰をもじもじと動かし「どうして?」といいたげな顔で見上げる。  
俺はあまりすると柊の苦になるのではないかと思って次をしようと思ったのだが・・・  
柊には意外と好評だったらしい。俺はもう少し次を後にし、耳元で囁く。  
「よかった?して欲しい?だったら・・・・言ってくれないと分からない」  
自分でも意地が悪いと思った。でも今の何をしても感じてそれに必死で耐える柊を見ているとどうしてもそう言ってしまう。  
柊は顔を真っ赤にし涙を浮べ不安げな顔でじっと俺の眼を見て・・・  
「あ・・・して・・・・欲しい・・・・よ・・・もっと・・・して・・・・・」  
「何を?」  
「!・・・・く・・・九澄君のお口で・・・・わた・・・しの・・・・お・・・お・・・・ッぅ・・・・」  
さすがに可愛そうになってきた。俺は謝罪の意味を含め柊を愛でる。  
「冗談だよ・・・・ごめんな」  
俺は柊の秘所に思いっきり口をつけ舌を中へ押し入れるようにのばす。  
するとあふれ出る蜜が必然的に俺の口を汚した。  
無論。俺は全て舐めるように口で受け止める。  
「んぁぁぁ!!!・・・・・やぁぁ・・・・・ひゃあ!・・・・んあ!・・・・きも・・・・ち・・・いぃい!おかしく・・・なっちゃう・・・・」  
俺の責めをそのまま受け止める柊が愛おしくて、俺は目の前で膨れ上がる敏感な豆を吸い上げた。  
「〜〜〜〜〜〜!!?!!!??」  
そのまま柊は達しビクンと体が跳ね上がる。  
俺はそれでもしばらく柊を離さなかったが、柊の声が消え入りそうになって慌ててやめる。  
「柊・・・・いれるぞ?」  
柊はこくんと頷き、俺は確認すると息を吸って服を脱ぐ。  
グッと柊のモノに俺は先端をつける。  
なかなか入らない・・・・でも焦っちゃ駄目だ・・・・そのまま・・・・  
グッ!ズチュ!!  
ようやく入ったそこはあまりにも気持ちよく我慢しなければ一気に果ててしまいそうだった。  
一方の柊は苦しそうに声を必死でこらえている。その姿を見た瞬間俺にブレーキがかかる。  
「ごめんな・・・もうしばらく・・・・ゆっくりいこう」  
柊は苦しそうに耐えていく。どのくらい・・・経っただろう?  
少しずつ・・・・少しずつだが潤いが戻り、柊の声に湿っぽさが戻ってきた。  
「ッ!ッ!あ・・・・ぐぅ・・・・ッは!」  
柊は泣きじゃくった顔で唾液をたらし『自分ではなのも出来ない』という顔だった。  
ズチュ!ニチュ!!ズッッ!!!」  
「!・・・・・〜〜!〜〜〜!!!」  
限界・・・・・か・・・もう我慢するのも限界だった。  
お互い限界を向かえ柊は声をあげずに痙攣が激しくなる。  
一気に締め付けられ俺も対応しきれない。そのまま柊の中へ俺を注いでしまった。  
 
・・・・・・・・・長い静寂。その中で俺たちは二人だった。  
「まさか・・・・・教室でやっちまうとは・・・・」  
「九澄君・・・・」  
「ん・・・?」  
「九澄君は・・・・・ずっと・・・ずっと一緒にいてくれる?」  
「・・・・・ああ」  
「ホント?」  
「・・・・・ああ」  
「ッ・・・・・嬉しい・・・!」  
柊はギュッと俺にしがみつく。でも・・・・俺の決断は決まっていた。  
長い年月の中で・・・本物のゴールドプレートになった俺の願いは・・・・  
今の柊が嫌いって訳じゃない。でも・・・・俺の願いはそれしかなかったんだ。  
もう一度・・・・柊に・・・・・  
 
 
『運命の車輪は廻る・・・それは・・・決断の時』  
 
――――― それでは・・・・・願いを言ってもらいましょうか九澄大賀君。  
「はい・・・・俺の願いは・・・・」  
そんなこと決まってる。俺は柊に・・・・  
「願いは・・・・・柊の・・・・」  
静寂の中で柊が俺を見つめてくる。  
「柊の・・・・母親が見たい」  
ザワッ・・・・と周りが話し出す。  
「柊に・・・・・柊の母親を見せてやってくれないか?」  
「それで・・・・いいんですね?」  
何を迷っていた?「柊の記憶を戻してくれ」?そんな願いが無くても俺と柊は結ばれた。  
なら願わなくてもいい。俺はたとえどうであろうと柊が・・・・大好きだったから!  
「ああ!頼むよ!」  
周りが光る・・・・・その中で俺はどこか懐かしく・・・どこかに見覚えのある人影を見た・・・・  
でも・・・・顔を確認することなく俺はそこを去った・・・・・  
 
「柊先生」  
「わかってます」  
プレートを取り出しそれを投げる。あたりではまだ蕾でしかなかった桜が花を開き始めた。  
「すげぇ・・・・」  
生徒の誰もがそんなことを呟く。  
 
「お母さん・・・・?ッ・・・お母さん!」  
光の中で母の影と娘の影は一つになった。  
―――― いい人・・・・見つけたね  
そういった気がした・・・・私は・・・・そうだった・・・・九澄君は・・・私の・・・!  
「お母さんにあえて良かったよ!」  
お母さんは言った。全て理解したように・・・優しく。  
――――― いってらっしゃい  
私は全て含めて・・・・大きく言う。  
「うん!」  
 
たく・・・・なんだよこの桜は・・・・別れの花ってか?  
「はぁ・・・・これでよかったんだよな・・・・?俺の存在は柊にとって過去の重荷にしかならないんだよな」  
タッタッと音が聞こえた気がした。  
振り向けば柊でもいるのかな?なんて・・・・まさかな。  
「九澄君!」  
え・・・?マジかよ・・・・?  
「九澄君!大好きだよ!昔も・・・・今も・・・これからも・・・・!」  
「柊・・・・?まさか・・・・」  
柊は俺に抱きつき泣いている。  
俺は・・・・嬉しかった・・・・でも・・・・な。柊。  
「柊・・・・よかったな。でもさ・・・・・ッ・・・・ちょっと・・・後ろ向いてくれ」  
柊は不思議そうにするが後ろを向いてくれる。  
俺はそんな柊を後ろから抱きしめた。  
「く・・九澄君!?」  
俺は・・・・しばらくそのままでいた。柊もそんな俺を受け入れてくれた。  
だから・・・・・俺は柊から離れて言う。  
 
――――― ごめんな。  
 
風が吹き抜ける。消え入る声は届いただろうか?  
「え・・・・・?」  
約束・・・・守れなくて。  
 
『運命の車輪は音を立て廻る・・・・それは・・・・これからを継げる一つの終わり』  
 
「え・・・・・?」  
九澄君が変なことを言った気がした。  
後ろを振り向くとそこには九澄君は倒れていた。  
「九澄君!!」  
何があったのだろう。九澄君は倒れたまま動かない・・・まさか・・・  
九澄君を確認する。呼吸はしている・・・・よかった。  
「でも・・・・なんか変・・・嫌な気がする・・・・九澄君」  
――――― ごめんな。  
その言葉がよぎる。まさか起きないなんて事ないよね?  
寝不足なだけだよね?それとも疲れたの?  
そう言い聞かせているのに涙があふれ出る。  
九澄君・・・・・起きてよ・・・・起きてよ・・・・・  
 
「やはり・・・・か」  
 
バッと振り返る。そこにはお父さんがいた。  
「お父さん!やはり・・・・てどういう事!?」  
私はすがるようにお父さんに聞く。  
お父さんは分かりやすく・・・・でも簡潔に言った。  
「もともと・・・・一人で死人を呼び戻す事はできん。たとえ・・・ゴールドでもだ」  
お父さんは話を続ける。  
「ゴールドでもこの世の理を害する事はできん。ひとりでは・・・だが。  
 しかしそいつはやってのけた。なぜか分かるか?そいつは・・・・他のものも使ったんだ。」  
他のもの・・・・?それが・・・・九澄君が寝ている理由?  
「プレートのポイントとはある意味人間で言う行動する為の肥しだ。得たエネルギー以上の行動は出来ない。  
 つまりこの男は足りないエネルギーを自分で払ったんだ。そうでなければ寝ることは無い。  
 命をつかえば既にこいつはいなくなる。だが寝ているならば答えは一つ。エネルギーの消費による持続行動だ」  
「じゃあ九澄君は起きるの?」  
お父さんは黙って・・・続けた。  
「わからん。起きるのは確かだ。今は減った分を取り戻しているのだからな・・・問題は・・・」  
いつ起きるか分からない・・・・・・?そんな・・・・せっかく・・・せっかく九澄君の事思い出したのに・・・・  
これじゃあ・・・・意味無いよ!  
私はその場で泣き崩れる。お父さんは何も言わずじっと見つめている・・・・  
そしてお父さんは最後に・・・・言ってくれた。  
「・・・・・そういえば愛花。願いはどうした?」  
「え・・・・・?」  
「願いだ。皆もう終わってる頃だろう。まさか自分の願いはないとでも言うまい?」  
「あ・・・・!」  
「九澄のような無理な願いは望むなよ?」  
私は走った。全力で・・・・願いをかなえるために!  
後でお父さんにお礼言わないと・・・・でもお父さん・・・・ありがとう!  
 
「ふぅ・・・らしくないな・・・・・」  
桜の木の下で呟く男が一人。寝ている少年を見下ろしながら言った。  
「勘違いするなよ?これはアイツに会わせてくれた礼だ。決して愛花のことを認めたわけではない」  
男は見るさきを変え空を見た。  
天を仰ぐように拳を上にのばす。  
「まったく・・・アイツも愛花も男を見る目がない・・・・こんなどうしようもない男のどこが良いんだ?」  
向こう先が光った。同時に少年に生気が戻っていく。  
「早いな・・・・そろそろいくか・・・・あぁそうだ・・・・もう一度言う。  
 たとえまた私の目の前に現れてもただで愛花は渡さんぞ?絶対に貴様のような奴に大事な娘はやらんからな!」  
吐き捨てるように男はいった。  
でもその顔は何を思うでもなく嫌な顔はせず・・・  
無論先を祝うような顔ではない。そして最後に続ける・・・・今の本音を・・・・  
 
―――― 覚悟しておけよ  
 
 
「ん・・・・・?あれ?何で俺・・・・」  
俺は目が覚めたあと状況が理解できなかった。確か俺は・・・・  
「起きた?九澄君」  
「ひいら・・・・イテッ」  
柊は俺の頭をポカポカたたく。  
「ばか・・・・ばか・・・・約束したのに!」  
「ごめん・・・・でも・・・・・ありがとな・・・」  
何があったかはすぐ理解できた。だからこそ満ち溢れていたのかもしれない。  
「ひいら・・・・愛花・・・・」  
「・・・・・何?」  
 
『これからは・・・・ずっと一緒だ』  
 
――――― 季節はすぎて・・・・忘れていくものもある・・・・  
 
――――― でも・・・それでも俺は・・・この人を守っていく  
 
――――― この世で一番大切で・・・・大好きな人を・・・・  
 
――――― それが・・・俺の『願い』だから・・・・・・・・  
 
 

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