― EpisodeT-A part 伊勢×桜庭    
 
                                  「贄」  ―  
 
 
 
 
何故だろうか。  
伊勢は今、暗闇の中にいる。  
手には手錠。  
脚には囚人用の足枷と重り。  
そして…椅子に座っている。  
括り付けられていて身動きはとれない。  
 
 
「気がついたようですね」  
暗闇から何かが飛び出す…女性だ。  
其の女性は黒のドレスを身に纏っている。  
「桜庭か!?」  
「…気安く呼ばないで欲しいわ」  
彼女は吐き捨てるように言った。  
先程までの気品など微塵もない。  
「如何して貴方がこの様な不様な姿になってるのか…知りたい?」  
「ああ、教えてくれよ」  
「ふふっ…いいわ。貴方の背後に廻って睡眠剤を注射したの。  
濃度は濃くしてるから即効性に優れていて、貴方は直ぐに眠りに堕ちたわ」  
……伊勢の意識は手洗い場への廊下を歩いている処から消えている。  
「キモチよさそうに眠ってたわよ貴方。何ならもっと沢山打ってあげましょうか?  
もれなく幻覚作用、精神依存・昂揚、交感・副交感神経系の解離…」  
「いやいやもういいって!!」  
「あら…私、趣味で薬学に凝ってるの。  
薬学って言っても、学校の薬品部みたいな温いモノじゃないわ…  
知ってました? 私の財閥の母体が製薬会社だったこと。  
今でも製薬は製造しているわ。貴方も服用した事のある解熱剤よ、医療関連にも使われているわ」  
 
「………じゃあ…さっきの睡眠剤ってのは……」  
「貴方に使ったのは当社の睡眠導入剤の新薬。  
 あくまで導入剤だから濃度を濃くしないと即効性がないからさっきそう説明したの」  
「そうか………。つうか何だよこれ!悪趣味過ぎるだろ!!  
 あんたのヘンタイ趣味は解ったから、早く解放してくれよ。どうせもうデータは採ったんだろ?  
 …………まさか…他の奴らにも……」  
「大丈夫。今回貴方にやった事は此処に来た他の『お客様』達にはやらないわ。  
 其れにデータ採取はオマケ。貴方を眠らせ拘束した理由は別にあるわ」  
「…………?」  
「知ってるのよ。貴方が私を此の会に勧誘した事も。貴方の目的も」  
「げっ!!なんで!?」  
「観月さんから聞いたわ。『九澄が伊勢の提案で桜庭の別荘で…』って言ってたわ」  
「だっはー!!やっちまったなぁ……あはは」  
「他にも理由があるわ…此れを観て」  
そう言って桜庭は冊子を取り出す。  
「??これは…」  
「貴方に被害を受けた一学年の女子生徒達の署名よ。  
 三科さん、C組のクラス委員長さん達と協力して作ったわ。  
 見事に私と柊さん以外全ての一年生女子…コンプリートまであと少しだったのにね」  
「いや……そんな目くじら立ててやることかよ…」  
「時田さんに至っては6回も触ってるわね」  
「なんで数えてんだよそんなこと!」  
「其れだけ傷ついたって事じゃない?」  
「うう…そりゃ悪かったけどさ……美の探究つうか…なんつうか」  
「そう………。なら…此れから私が行うことも―――――美の探求ね」  
 
 
桜庭は伊勢に近づき、椅子に固定された伊勢を解放し、  
いつの間にか傍にあるオペ室の手術台のようなテーブルに伊勢を連れて行く…。  
―――――手足の拘束具を外すが、再びテーブルに拘束される。  
そして………桜庭は徐にズボンを下ろす。  
「うお〜い!!まじかよ!!!?」  
「貴方がしたくてしょうがなかった事でしょ。喜びなさい。但し……」  
「……なんだよ」  
桜庭はテーブルの傍に備え付けられている砂時計を指差す。  
 
「此の砂時計の砂が落ち切るまで我慢出来たら解放してあげる」  
 
桜庭は伊勢の股間に手を伸ばす。  
細い指が亀頭に触れる。  
「!!くぅうっ………」  
「あら。まだ触っただけですわよ?」  
桜庭は焦らす様にそっと竿をなぞる。  
伊勢の背中に快感と悪寒が同時に奔る。  
伊勢が桜庭を覗く。  
前屈みになった桜庭から大きな胸が零れそうになっている。  
其れだけでもヤバいが………。  
彼は其れどころじゃないようだ。  
 
桜庭は指を竿から袋へ…。  
「貴方のココ、ピクピクしてるわよ」  
「…ぐうっ……はは、まだまだ…」  
指でコロコロ転がす。  
時折チュっと口付け。  
強くはしない。焦らす。  
舌を這わす。  
舌先で袋の中にある鶉の卵を突く。  
「うはぁ……」  
程好い刺激。反比例して多量の快感が脳内を……肢体を駆け巡る。  
舌は再び竿へ…。  
裏街道をゆっくりよじ登る。  
……局部は天国だが首から上は死にそうな表情の伊勢。  
唇を噛み続け、出血している。  
 
桜庭は竿の根元を強く握る。  
伊勢の竿が次第に鬱血し、血管が浮き出る。  
「どう?苦しい?」  
「ぐああぁああアア!!!当たり前だろォ!!」  
「いい反応ね。でも……」  
そう言ってもう一方の手で袋を強く握り締める。  
「ぎゃアぁぁああっ!!!!…………うはあぁ……」  
「ダメよ。もっと苦痛の表情を私に魅せて。もっと醜い顔を………声を聴かせて」  
桜庭は竿の頭部を咥える。  
既にカウパーまみれで桜庭の唇が良く滑る。  
ジュポっ……ギュウゥププっ…ジュプウウゥ……。  
「やべえぇっヨすぎるって…」  
奥まで咥え込む。  
桜庭の口蓋に伊勢の頭部が擦れる。  
「くそっくそっ……無理だわこんなの………!!!!ぐうああぁあアっ!!!」  
 
――――――――――所要時間およそ三分。  
伊勢の呆気ない程の敗北だった。  
 
「ふう……不味いわね。臭くて苦くて…美を約束されるくらいの効用が無いと呑めないわね」  
「ハアハアはあ…………はぁ…」  
「どう?キモチよかった?」  
「………見りゃわかんだろ…」  
「もちろん。貴方のイク時の顔貌、悪くなかったわ。さあ……続きを始めましょうか」  
「!!?!?続き!?」  
「そうよ。貴方が賭けに負けた罰として」  
「…………マジか!!?俺が負けたのに!?オマエお嬢様なのに気前がイイな!!!」  
「そう――――。貴方を何度でもイかせる」  
 
桜庭の声に籠もる濃艶と淫靡。  
伊勢の竿はソレだけで再起する。  
伊勢は最早、桜庭の慰めにしか眼はイってなかったが………。  
―――――彼は桜庭という女性を全く知らなかったようだ。  
 
 
 
――――――――暗闇の密室に木霊する絶叫と哄笑。  
もう竿からは精液は吐き出せないようだ。  
桜庭は溜息混じりで尿道に綿棒を滑らせる。  
「〜〜〜〜〜!!!!アアsんかえええqz!!!!」  
「どうしたの?早くイッた時の貴方の苦痛に満ちた顔……魅せて」  
伊勢の耳元で吐息を吹き掛け囁く。  
伊勢の尿道は綿棒に擦れて熱さと激痛が奔る…だが同時に至高の快感を得る。  
「さっきまでの勢いがないわ。貴方の白い液体は……ココかしら」  
そう言って桜庭は袋の卵を握り圧を加える。  
「ギャアカカイェrhj差アア!!!!!」  
「アアァアっ………ゾクゾクするわ…………でもまだまだ時間があるわ。  
 メインディッシュの方が御待ちですが…貴方との約束ですからね。  
 次は……前立腺はどうかしら?意識レベルが変化するくらいの酩酊感らしいわ」  
桜庭はオペ用のゴム手袋を付け、伊勢の肛門に指を挿入する……。  
 
    
 
     さあ………今度はどんな風に叫ぶの?  
 
     弛緩するの?  
 
     破顔するの?  
 
     醜く哭くの?  
 
     …………貴方が壊れる様を……私に魅せて――――――――――――。  
 
 
 

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