― EpisodeT-B part 三国×桜庭    
 
                    百合の桜花、葉月に咲く ―  
 
 
 
――――砂が全て落ち切る。  
此の物語が語られ始めてから三時間が経つ。  
女性の前に独りの亡骸が横たわる。  
彼女はソレを放置し立ち去る…。  
――――――――メインディッシュが待っているから。  
 
歩みを止める。  
目の前に女性が映る。  
彼女は壁に手首を拘束されている。  
全裸で…白い肌が暗闇を照らす。  
「三国さん。起きてください」  
「………っぐうぅっ…」  
三国は眼が醒める。  
「桜庭……!!チョットなんでこんな格好……離せ!」  
「相変わらず威勢はいいですわね。少々ヤり方はフェアではないですが…お許しください」  
「何でこんな事…」  
「最初は……再戦したかった。貴女と。  
 クラスマッチでの決着がまだでしたから……でも。変わったんです」  
「変わった………?」  
「わたくしは惹かれたんです。貴女に。強くて美しい三国久美という女性に」  
「………お前、やっぱり変態だったんだな」  
「そんなこと無いですわ。同性に恋愛感情を持つ事は決して可笑しな事では無いんです。  
 北欧諸国では法整備されて社会的にも認知され、日本ほど軽蔑され忌み嫌われてはいません」  
「あんたの性癖はわかったけど……私はあいにく…」  
「駄目です。其の為にこうやって二人きりになったんですもの」  
「……………ふう……。そうだ!!他の奴らは!?」  
「大丈夫。他の『お客様』には此処にはわたくしたち二人しかいません…二人しか……ね」  
意味有り気な言い方で締める桜庭。  
三国は先程までの桜庭の奇行を知らない。  
「そうか。じゃあ早く外してくれ。女の前だからって裸は流石に恥ずかしい」  
「その必要はありませんわ」  
桜庭は三国に近づき、髪を指でなぞる。  
 
 
 
       貴女はわたくしのモノ ダレニモフレサセナイ  
 
 
 
桜庭は甘い吐息を三国の耳に吹き掛ける。  
三国の背筋にゾクゾクゥっとした悪寒が奔る。  
耳朶を甘噛みする。  
三国から濡れた喘ぎ声が滲み出る。  
「あら三国さん…女の私でも感じるんですか?」  
「うっ…うるさい……放せ…」  
「いいのよ…私に魅せて……三国さんの総てを」  
桜庭は三国の頬に手をそえ…口付けをする。  
 
互いに女性との接吻は初めて。  
同性と交わりをイケないことと思っている三国にとって、コレは洗脳。  
魂が吸い取られるかのように桜庭に唇を吸われ、舐められ、犯される。  
桜庭のルージュが三国の唇に移り…朱に染まる。  
心は上書きされた様に漆黒に塗り潰されていく―――――――  
 
三国は桜庭の舌の侵入を阻止出来なくなった。  
ヌルリと侵入する桜庭の舌。  
前歯の上を這い…歯茎の奥まで隅々を弄る。  
異物が口に入ったときの違和感・嫌悪感は皆も承知の通りだが……。  
生物が口の中を這う感覚。  
三国は為す術無くその生物を受け入れるしかなかった……はずだった。  
三国は好奇心からか、抑え切れない色欲からか…口を開き、桜庭に触れる。  
形や表面は同じだが…。  
接吻のときと同じ……愛おしさがある。  
其れは徐々に三国の中に増幅する。  
三国の口の中が桜庭の色に染まり…溶ける。  
互いの舌が絡み合い…蕩ける。  
ジワっと三国の口から溢れる唾液。  
其れが円滑剤になり…媚薬へと。  
内部から桜色に徐々に色付いて逝く――――。  
 
絡めたまま…繋がったまま桜庭は三国の胸に手を伸ばす。  
……大きな膨らみがある。  
指が柔らかな膨らみに埋まる。  
むにゅっとして形が歪む……堪らない感触。  
桜庭は夢中になり揉みしだく。  
「……あんっ…んあぅ………」  
涎と喘ぎを吐露する三国。  
其れを飲み込む桜庭。  
 
「ふあぁ……ふう………ふふっ。抵抗しなくなりましたね」  
桜庭は絡んだ舌を解き言った。  
「はァうぅ……ダレが…アンタな…んかに……」  
「無理しなくていいんですよ……ココ、硬くなってますわよ」  
桜庭は三国の乳首を摘む。  
「貴女みたいな勇ましい御方のがこんな可愛らしいなんて……」  
ソレは張り出した胸の登頂にちょこんと立つ。  
感度がイイらしく、接吻を交わす前と後で既に大きさが違う。  
桜庭は舌を這わせる。  
口付けをしながら…胸の至る所にマーキング。  
そして乳輪の縁をなぞる。  
「んぁあは………アンっ…」  
桜庭は自身の顔を谷間に置き、両側から胸で挟む。  
「ふあぁ…キモチいい……温かくて軟らかくて…  
 男性のアレなんて挟んだら直ぐにイってしまいますわね」  
桜庭はポヨンポヨンと肌を跳ね返す胸に感嘆を洩らす。  
「そん…な……乱暴…んぅっ……する…なァ……」  
「そんな調子じゃ、其の先耐えれませんよ?……そろそろイイ感じですわね」  
乳首を舐める。  
三国の肢体が強く反応する。  
「んンッ!!ふぅうぁ……ぐうぅう……」  
「どうしたんですか?さっきから変な声をあげてばかりですよ」  
もう一方を摘む。  
楕円形に歪み、蕾から甘い香りが拡がる。  
「いい匂い…強くしたらもっと香るのかしら…」  
「!!!……ダメぇ………だ…やめ…」  
三国を無視し、さっきより強く…。  
ギュウっ…ムニュウ……むギュ………。  
しゃぶっている方も強く吸い上げる。  
ぢゅうぅ……チュッ…ヂュウウ……。  
「んああぁっ!!ダメえエェ……くぅん…い…ッ…」  
三国の中で何かが弾けそうになる。  
 
侵入を赦してはイケナイモノ。  
破裂を赦してはイケナイモノ。  
染色を赦してはイケナイモノ。  
彼女なりの第六感。  
其の感と理性の城壁を易々と『それ』は飛び越える。  
遥か上空に舞う。  
――――自身の肢体と共に。  
 
「ふあアァあぁっ!!ひゃめぇエエぇえ!!!!!」  
 
侵食。  
破散。  
そして強奪、支配。  
 
「イッたのは…初めてですか?……フフっ…貴女のハジメテを奪ったのね…」  
「ううぅう……はぅう………」  
「さっきはアレほど意識があって抵抗してなのに……  
 体躯は言葉よりも正直ね…さあ。如何して欲しいですか?」  
「うぅ………やめろぉ……」  
「……強情ですね。言うまで………ココには触れませんよ…?」  
桜庭は三国の内太腿を擦る。  
部活で鍛え、適度な筋肉でむちっとした太腿。  
締まった尻へのラインが美しく…淫靡。  
「ふふっ。男子生徒は毎日貴女の此の脚を観て興奮しているわけですね…  
 三国さん、想像してください………貴女の脚を想いながら自慰に耽る男共を」  
「さく……なにい…って…」  
「でも……私がこうやって触れてる…ふふふフフふ……」  
桜庭の指が三国の太腿、そして尻の上で踊る。  
 
桜庭が悦に浸っている間………三国も弱った脳内では既に気づいている。  
―――――熱い。  
もう一つの障壁。  
其の辺りの下腹部一帯が熱くて堪らない。  
 
そして……遂に桜庭の策に屈する三国。  
否定する理性を超える欲望が自我支配へ。  
「………。おねがい……触って…………」  
「……何処かしら」  
「……もっと…うえ………」  
「言葉でちゃんと言わないとダメよ」  
「……………」  
「……ココ…ここ………此処…」  
三国は桜庭の手を誘導しようと腰を落としてその場所を擦り付ける。  
桜庭の手にジットリとした感触。  
だが……桜庭は微動だにしない。  
「……三国さん。ココが如何したんですか?何故かしら……酷く濡れてるみたいだけど」  
「………ココぉ…アツイ……ジンジンする…桜庭ァ……触って…」  
秘部を執拗に押し付ける三国。  
「(…………ふう。仕方ないですわね…ホントはもっと卑猥な淫語を言って欲しかったんですが。  
 ××××とか○○○に□□△□△□てとか……  
 まあイイワ。 そんな事言ったら大事な読者様が先にイってしまいますわ。  
 其れに……既に私のゾクゾクが止まらないから………―――)」  
桜庭は三国の懇願を了承し、指先でそっと触れる。  
 
 
「三国さん……貴女の御願い通り、タップリ可愛がってあげる……良くデキマシタ」  
 
 
桜庭は三国の耳元で囁きながら……触れる。  
「ふぁぅうあ!!!あ、アア、イイ、……」  
既に太腿を伝う三国の愛蜜。  
桜庭は巧みに指に絡め、其の蜜を小陰唇に塗りこむ。  
同時に大陰唇をなぞる。  
まだ陰核には触れない…周到に焦らす。  
触れずとも膣からは蜜がトロトロ溢れ出す。  
「んんぅ、っぅう……ひ…やぁあ……」  
「まだ周りをなぞってるだけですよ?不思議ですね………昼間とはまるで別人ですわ…」  
「だめぇ…じらさ……ない…でぁぅ…んはぁっ…」  
「上の口も下の口もホントにだらしないわね……  
 触ってあげるけど、私のネイル……尖ってるから気をつけて」  
桜庭の毒々しく尖った蒼黒の爪が三国のクリトリスに触れる。  
早々にプクプク勃起する。  
桜庭は表皮を剥き、剥き出しの核を爪先で引っ掻く…。  
「とっ…とがッ―――――!!?!?!イヤあああぁア!!!!」  
三国の肢体がビクビクッと大きく痙攣する。  
桜庭は其の快感が、絶頂が全身を駆け巡って脈打つ三国を観て更に興奮する。  
「ンあアァっ……――――ふぅあぁ……堪らないわ…此のカンジ。  
 やっぱり貴女が一番ね……さあ三国さん。未だ使ってない下の口が残ってるわよ」  
「ふアぁあぃっ、はひぃっ、……も…うダメ…」  
 
呂律の廻らない三国を一端放置し、桜庭は何かを取りに暗闇に消え――――戻ってきた。  
手には……反り返ったバイブが持たれている。  
「特注品でして…市販のモノよりも一回り大きいのよ。  
 使うのも初めて…此の『コ』の童貞は三国さんにアゲるわ……それじゃあイくわよ」  
桜庭は三国の膣口にバイブの先を挿入…。  
そしてスイッチを押す。  
……独特の機械音。  
時折蜜が絡んで卑猥な音――――――――プチュ、ピチャ、びチュ。  
そして時折膣内の空気が漏れて間抜けな音――――――――ブヒュっブっブブ。  
徐々に三国の体内に滑り込む。  
「まだレベル弱よ。ちょっとずつ強くしていくわね……如何ですか」  
「んああぁ……しゅご…ぃ……うねっ…てるぅ……」  
「はあんっ…いいわ三国さん…もっと魅せてぇ…モット……貴女の醜い……」  
桜庭は眼がトロンとしながらもボタンを強に切り替える。  
モーター音が転調する。  
「!!!ああjjs!!いあやffっふえj??!!」  
三国の喘ぎ声も共に転調するが…バイブがズルッと抜け落ちる。  
「……三国さん。幾らキモチイイからって弛めたらダメですよ……だらしないですね…ちゃんと咥えていないと……」  
「うぁあ……ふゃい………」  
桜庭は再び装着させる。  
「今度は抜けないよう、私が持って動かしてあげます………弛めたお仕置きとしてコッチのボタンも押してあげるわ」  
桜庭はバイブを掴み、三国の中を掻き回す。  
其れと同時に栗に口付けをし、爪で弄る。  
「あははっ!凄い量の液が出てるわ……  
 貴女みたいな美しい女性がコンナ淫らなヒト……開発したのはわたしなんですけどね……って、三国さん…!?」  
三国は反応しなくなっていた。  
イってはいるようで、愛液と痙攣は続いている。  
「意識が…無いみたいですわね……。だらしないですわ」  
桜庭は亡骸からバイブを引き抜き、手錠を外す。  
三国は力無くその場に倒れ込む。  
 
「……そんなに良かったのかしら…コレ。三国さんの体液がこんなに…今使ったら……貴女と私の液で…」  
桜庭はドレスを巻くりあげ、ショーツの上からバイブを当てる。  
「既にこんなに濡れてるわ………んンっ…ン…ンアっ…」  
自慰を始める桜庭。  
三国にこんな姿は決して魅せられないが……。  
思い切って入り口に先を挿入する。  
「ふアァっ、イイ……やァア………アンっッ…」  
桜庭の声に濃艶な色が滲む。  
ショーツの白に愛液が滲む。  
桜庭の待っていた……首筋を奔る快感。  
ゆっくりとバイブを出し入れする。  
三国の蜜が桜庭の蜜に絡み…混合する。  
「だめぇっ……コレだけでっ………イクぅ……ふあアアぁあ!!」  
桜庭の肢体が激しく波打つ。  
沸点は意外に低く、絶頂感度は高い。  
呼吸が乱れ、必死で酸素を取り込む。  
「……ふうっ…んンっ…はうぅ…。  
 ……如何も直ぐに感じてしまいますわね……もっと…愛しい貴女の『モノ』を…味わいたいのに……」  
 
 
「なら―――――手伝ってやろうか?」  
 
 
「!!!!」  
桜庭は驚き、顔を上げる。  
先程まで倒れていた三国が立っていた。  
表情は普段のように凛としている。  
「みっ三国さん!!?どうして……さっきまであんなに疲弊して……」  
「目覚めたら……お前が私の目の前で…一人でヤッてたからな」  
「!!!………そんな……私の…してる処を……」  
「気にしなくていいんじゃないか?私もたまにするし。どうしてもガマンできない時とか……それよりもだ、桜庭」  
三国の表情が一気に強張る。  
「はっはひぃ……」  
其の剣幕だけで桜庭は情けない返事をする。  
「お前……私に何をうったんだ?」  
「!!……うった?何の事です…?」  
「解ってるんだ。トイレから出ようとした時、首筋にプスって刺されたんだ。そしたら眠くなって…此のザマだ」  
「……うぅ…」  
「説明しないと……」  
三国は桜庭にじりっと近づく。  
獲物を襲う野獣のような眼光。  
「………アレは睡眠剤です。一緒にいた伊勢くんにも使いました。彼は向こうで眠っています」  
桜庭はあっさりと自供する。  
「本当か?……だけどお前に悪戯されている時は自分じゃない気がしたんだが……  
 まさか……ドラッグとか…じゃないよな」  
「其れはあり得ません!!!私は…本当に……」  
「………じゃあホントに単にキモチよかったからなのか…女にヤラれてあんなになるなんてな……  
 う〜ん…それに私ってヤラれてる時は人格が変わるのか……?」  
「………どうやら…そうみたいですわね…」  
「まあいいか。………さて」  
「………えっ…」  
桜庭に抱きつく三国。  
驚きで桜庭は体躯が硬直する。  
「……みく………に…さん……?」  
「――――言っただろ。手伝ってあげるって」  
 
三国は桜庭の手を手錠で拘束した。  
……何時の間にか自分の拘束具を壊していた。其れを使う。  
「ちょっと!!何するんですか!?」  
「睡眠薬使ってまであんなことするなんてな…。ちょっとお仕置きだな。  
 あんなコトされて黙って見過ごすほど私は甘くないよ」  
三国は桜庭の口を塞ぐ。  
……された事を其のまま返すつもりだ。  
「!!!みぎゅ……に…んっ……はぅ……」  
桜庭とは違い乱暴で強引な三国の舌。  
急速に桜庭に侵食する。  
蹂躙し、唾液を搾取する。  
 
――――唇が離れる。  
「……っぷあは……うぁ…みきゅ……に…さ」  
驚きと抵抗からだろうか…桜庭の瞳が涙で淡く煌めく。  
元々黒く塗り潰した瞳が滲んで溶け出しそうに見える。  
美しい。  
三国の素直な感想。  
少し強引にドレスを脱がす。  
暗闇の中で妖しく光る桜庭の白い柔肌。  
四方に放たれる桜庭の漆黒の長髪。  
――――――まるで御伽噺のヒロイン。  
三国は再び桜庭に口付けをし、強く抱きしめる。  
互いの胸がムギュウっと押し合う。  
大きさも形も幸い酷似しているため、乳首同士が触れ、擦れる。  
「ぐうぅ……ひぃゃあぁ……みきゅ…に…んはあぃ……」  
擦れるたびに甘美な鳴き声。  
桜庭は必死で声を押し殺すが……其れは溢れる。  
三国は嬉しくて何度も自身の乳首を擦り付ける。  
「はふぅ……んんっ…あんっ…ひゃめ……」  
硬く屹立する桜庭の乳首。  
三国は其方に照準を合わせる。  
桜庭の唇から舌を首筋に這わせる。  
すうっと外頚静脈をなぞりながら……乳首へ。  
甘噛みし、啜る。  
「ああぁアううッ……もうぅ……やめ……」  
「どうした?さっきまでの威勢のよさが見えないな」  
「そっそんなこ…と…………!!ひゃめぇえ……」  
「そうか……じゃあココは…」  
三国は桜庭の秘部に触れる。  
 
「んんンぅ!!!……やめてぇ………んっ…んぁ…」  
指に蜜が絡む。  
三国は指に纏わり付く味見をする。  
「へえ…こんな味か…ほら桜庭。舐めてみて」  
三国は愛液で濡れた指を桜庭の口に運ぶ。  
「だっ……だれがそんなものっ……」  
「桜庭のだ…不味くないから」  
「わ…わかりましたわ……」  
桜庭は意を決し、三国の指をはむっと咥えペロペロと舐める。  
「しかし……可愛いな。こんな桜庭を見るなんてな…」  
よしよしと桜庭の頭を撫でる三国。  
桜庭の頬が次第に紅潮する。  
「みっ三国さん!私は……ただ、貴女の…」  
必死に反応する桜庭であるが…。  
自尊心が邪魔をして…自分の想いが伝えられない。  
本当は甘えたい。  
只其れを彼女に素直に出せないでいるだけなのだ。  
桜庭は口では拒否しているが抵抗はしない。  
………其れが本音だからだ。  
 
 
其のもどかしさで……桜庭は揺れて……。  
――――――――漆黒の瞳から涙が零れる。  
突然の事に…予期せぬ事態に三国はうろたえる。  
「!!ちょっと!泣くなって……嫌だったか…?抵抗しなかったから……すまん…」  
「ひくっ……違いますっ……嬉しくて……私は……ワタシハ…―――――――貴女を…あいしてる……から…」  
 
 
……言えた。  
桜庭自身も少し驚いたが…ガマンできなかった。  
 
――――――沈黙。  
痛々しいほど重い空気。  
桜庭は顔を紅に染め、歯を食い縛る。  
三国はゆっくり口を開く。  
「…………女のお前にそんな事言われても……」  
 
 
尤もな返事だった。  
だが……桜庭は本気だった。  
「…そ……そんなぁ……酷すぎますわぁ……ふああぁん……」  
「だァー!!泣くなって!!………嘘だよ。アンタみたいな美人で…こんなに可愛い奴、放っておけないってぇの」  
「……!!ふぅあああぁあんん!!!」  
「もう……悪かったよ。ほらほら…よしよし」  
少々歪んだ性癖。  
でも芯は……純情な乙女。  
自分にだけ魅せる桜庭の真の姿。  
三国も桜庭のキモチには解っていた。  
三国自身も恥じらいがあったのだ。  
 
「じゃあ……続けるよ?」  
「はい……御願いします……」  
三国は桜庭を地面に備え付けられている新たな拘束具を手に装着する。  
体勢は……自然と四つん這いになる。  
桜庭の長髪で秘部が隠れる。  
暖簾の様に掻き分けると……桜色に咲く花弁がソコにある。  
「いやぁっ……貴女とはいえ…コンナ屈辱的な姿勢………恥ずかしくて……」  
「大丈夫………綺麗だよ。桜庭」  
三国の言葉に反応して桜庭の花弁が微かにヒクヒク揺れる。  
トロトロとした甘い蜜が其の花の雌しべから溢れる。  
三国は蜜蜂の様にソレを求める。  
舌を雌しべの輪郭に沿って這わせる。  
花弁が妖しく揺れる。  
「んはぁっ………あんっ…あっ……あアあぅあぁ……」  
桜庭の脚が弱々しく震える。元々足腰は強くないのもあるが……。  
スラリと伸びた美しい脚線を三国はそっと撫でる。  
「綺麗……アンタが羨ましいよ」  
「あっ…貴女だっ…て……」  
「そう言ってくれると嬉しいな…」  
三国の舌は其の脚線へと赴く。  
時折チュッとくちづけをしながら太腿を弄る。  
舌を追うように唾液と蜜の混ざった道筋ができる。  
三国は其の道筋を指でなぞる。  
「はぅん……ゾクゾクゥ……します……わ…」  
「………ゾクゾクゥか。じゃあココはどうだ?」  
三国は桜庭の髪を掻き分け、首筋に眼をやる。  
白いうなじが眩しい。  
其処にくちづけをする。  
勿論雌しべを触れながら。  
「!!!ソコはッ!……ダメぇ………い…っひぁ…」  
「桜庭はココがゾクゾクゥってするんだよな………どうだ?…キモチイイか?」  
「ひゃあはぅ……んあぁっ………すご…く……イイで…すぅ……」  
三国は何度も接吻し、舐め、玩ぶ。  
抑揚の無い桜庭の喘ぎ声と返事が微かに漏れる。  
 
 
もっと触って。  
もっと舐めて。  
もっと撫でて。  
もっと愛して。  
意識が朦朧とするが必死で耐える。  
だって………今の愉しみが終わって欲しくないから――――――。  
 
「………ふう。さて…コレ、使ってみるか」  
充分味わったところで三国は傍に置いてある器具に手を伸ばす。  
反り返ったバイブの付いたペニスバンドだった。  
「……それは………」  
「よいしょっと……?何か中に仕込まれてるんだが…」  
「…腰を振ると…反応する内蔵型ローターです……」  
ちょうど三国の栗に其れは触れる。  
「すごいな…便利な世の中になったんだな…」  
「感慨に耽ってないで早く……焦らされるの………堪らなくイヤ…」  
「ああ。待ってろって……じゃあ…いくよ」  
三国は性玩具を桜庭の花弁に宛てる。  
人工物で互いを繋ぐ……。  
もしコレが男女のように『健全』であったら…。  
其の想いは互いにあった。  
だが……三国は腰を振り、桜庭は其れに耐えるしかなかった。  
今は……ソレでしか愛情表現ができなかった。  
「はぅ、ンアっ、ひゃぁ、……モウ………イキそう…いいッ……」  
「ン、んぅ、くぅう、……すごいな…動く度に………」  
桜庭は三国が腰を振る度に涙混じりで喘ぎ声を漏らす。  
……段々荒く、嗚咽が混じる。  
三国は黙って上から彼女を抱きながら続ける。  
桜庭の背中にムギュウっと押し付けられる三国の胸。  
細身の桜庭には其れが何よりも頼もしく……温かかった。  
膣壁との摩擦でしか熱を帯びない玩具よりも……温かかった。  
「みくっ、に、さん……、ダメ…っ、……ふゃぁ…、」  
「ンンっ…、こっち…、もイキ……、…そうだ…、さくらば…」  
「ああぁアア…、クル…、ひゃメェ……、、!!ンんアあゥぁアァあ!!!!、、、……ヒャアアぁあっ!、、、ンぁぁ、、………」  
 
絶頂は突然桜庭を襲った。  
屈していた膝さえも耐えられず地面に倒れこむ。  
三国は蜜に塗れた玩具を引き抜き…抱きしめる。  
 
 
―――――疲労困憊の二人が重なって眠る。  
各々が、女である事への自尊心と、正常に絡み合わない肉体同士を無理矢理結ぶことしかできないジレンマの狭間で苦しむ。  
玩具でしかリンクできない……。  
 
 
其れでも桜は鮮やかにサク。  
 
新たなる息吹を受け、花弁がマウ。  
 
強く、美しい幹にササエラレ。  
 
朱と桃に色づいた桜がハナヒラク――――。  
 
 
 

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