クラスマッチ後…柊愛花にはひとつの興味事が生まれていた。それは九澄大賀と観月尚美の関係。  
 
ホーレンゲ草の件で愛花を含む三人で洞窟探索に出ることとなり、観月とはその時に知り合った。  
最初は九澄に対して不信感・嫌悪感を漲らせていたが、探索後観月の誤解も解け、一件落着。自分としてはC組以外に知り合いができて嬉しかった。  
しかし執行部で学校中を駆け回っている九澄を呼び止めて顔を赤らめつつ会話する観月を見た時、愛花は観月の抱く恋心をを垣間見た気がした。  
その時生まれた感情は淡い嫉妬を含むものだった。「もしその想いが本当なら応援してあげたい…でも私の気持ちは…」自分も九澄に惹かれている、その想いは日を増すごとに濃くなっていく。  
可愛いと言ってくれたのも、ここまで仲良くなった男も、こんな想いにさせた人も、すべて九澄という男が初めて。  
聞かなければならない。彼女の胸中を。  
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クラスマッチ後…観月尚美にはひとつの課題があった。それは九澄大賀に自分の気持ちを伝えること。  
 
出会いは最悪だった。いきなり抱きつき好き好き…ただの変質者でしかなかった。  
しかしその考えが一変した。洞窟探索中に急に芽生えた感情。そしてクラスマッチでのやり取りや妄想。  
男を否定してきた観月にとって、それは衝撃的であった。急に九澄を意識し始め、髪を切ることにした。  
目や口調、表情で悪い印象を与えていないかと不安になりイメチェンすることに。すべて九澄という男のために。  
言わなければならない。彼にこの想いを。  
 
 
 
ある日の放課後。愛花は魔化粧(リアルフェイス)を使い九澄へと姿を変える。  
クラスマッチ後に特訓したおかげで対象者の身体をほぼ100%コピーできるまでになった。  
声帯や痛覚などの繊細な筋肉や神経まではコピーできない。  
「声色には気をつけないと…元々こんな卑怯なやり方はしたくないんだけどなぁ。  
でも観月さん、私には話してくれそうにないし…ごめんね」  
愛花は呟きながら観月のいる薬品部へ。  
 
 
「どう伝えればいいんだろう…」  
観月は薬品部のカウンターにうなだれながら考え…そして妄想へ…  
 
「観月、聞きたいことがあるんだ」  
九澄は観月に言った。  
「えっ…な、なによ」  
観月は少し動揺しながら返す。  
「観月…好きな人はいるのか」「えぇ!!??」  
声が裏返る観月。顔も真っ赤になり心臓の鼓動が速くなる。身体が熱くなる。  
「べ…べつにいないわよ!男には興味はないって言ったでしょ!何度も言わせないでよね!まったくこれだから男っていう生き物は…」  
「そ、そうか…すまん。……俺な、好きな人がいるんだ。でもそいつにはまだ言ってないし、たぶん俺の気持ちに気づいてない。どうしたらいいかなと思って」  
「なんでそんなこと私に聞くの!?私が告白しろって言ったらするの?……わかったわ、したらいいんじゃない?告白。そんなこと私に聞くなんて…」  
観月は九澄に好きな人がいると聞き、驚きとやり場の無い怒りをこめてそう言った。  
「ありがとう、観月。やっと決心がついた。観月、俺が好きになった人って言うのは、実はお前のことなんだ…」  
「え…九澄……それって…」  
「そう、俺は観月のことが…」  
 
「よ、よう観月。なにしてるんだ?」「うわあぁ!!!」  
九澄に扮した愛花が声をかけると、観月はものすごい勢いで飛び跳ねた。  
「ちょっと!びっくりさせないでよ!!(うわぁ、あんな妄想の後に本人に会うなんて…)」  
思いがけないターゲットの訪問に観月は驚きを隠せないでいる。  
愛花は核心に迫るべく観月に問いかける。  
「あのね…じゃなくてあのさ…観月には好きな人はいるのか」  
「ちょ…なんでまたシミュレーションどうりの台詞が出るのよ!!さっきの妄想見てたの!?あんた何時の間にそんないやらしい魔法覚えたのよ!!」  
「え?え?ちょっと何言ってるかわかん…」  
 
その時。ガシャン!!  
観月の肘がカウンターの奥に置かれていた花瓶にあたり、落として割ってしまった。  
ラベルを見ると{超ホーレンゲ草}、ホーレンゲ草の10倍の濃度のガスを発する媚薬草である。  
その草から出るガスと胞子を観月は大量に吸い込んでしまった。  
 
「ちょっと!観月さん大丈夫?」  
演じるのを忘れて観月のそばに駆け寄る愛花。  
しかし返ってきたのは返事ではなく濃厚な接吻だった。  
「んんうぅ……ぅんんっ…!」  
「ん……ふぁあっ…」  
興奮しているせいか、観月の吐息が愛花の中に入ってくる。  
生温かいふわふわしたわたあめのような甘い吐息が愛花の中に入っていく。  
それにより愛花の呼吸も段々と荒くなってくる。  
胸が…胸が熱い。どうやら胞子が混ざっているようだ。  
「ふぇぁ…みぃ…づぅ……ふぃさ…ん……ふぁあ!!」  
今度は舌が愛花の口腔を支配する。  
まるでスライムのようなねっとりとした舌は愛花の唾液を欲しがっていた。  
歯、舌、口蓋、ありとあらゆる所に潜む唾液を根こそぎ吸い取っていく。  
愛花の口腔は成す術無くそのザラザラしたスライムに犯される。  
「ぷぁはぁ!……くずみぃぃ……くずみぃ………」  
唇を離す。何度も名前を唱える観月。気力すら吸い出された愛花は何も答えられない。  
「……ひゃあ!観月さん!?」  
何時の間にか愛花の陰茎に観月は触れていた。  
愛花は自分の身体が九澄大賀のコピーであることを思い出した。  
 
「(じゃあ、これって九澄くんの……)」  
「あはぁ、もうこんなに大きくなってる」「ひっひゃぁ!……んああぁ!…」  
容赦なく大賀を責める観月。それを必死に耐える愛花。  
陰嚢を口に含む。舌の上でコロコロと飴玉が転がる。  
もう片方の飴玉は手で優しく撫でる。  
愛花は初めての感覚に襲われる。  
脳に程よい刺激、全身に走る電気と鳥肌。  
「だっっだめぇぇ………何かが出ちゃうよおぉ……」  
尿意に似た感覚、このままでは観月さんを汚してしまう。我慢しなきゃ…  
しかし観月は唇を亀頭に這わせる。  
チュウウウゥ。ジュプチュプチュッジュプ。卑猥なメロディが部室にこだまする。  
「うううぅ…もうぅだめえぇえ!!」「んんぅ!!く…ぅうっっ……くじゅ…みぃの…せー…し…」  
大賀の粘液が観月の口蓋に放たれる。白く濃く熱い粘液が観月を満たしていく…。  
愛花は初めての射精による大いなる快楽に呑まれそうになるが、理性でそれを押さえ込む。  
 
そして心を落ち着かせ、真っ直ぐに観月を見た。  
…酷く穢されている。愛花は自分のせいだと思い観月に詰め寄る。  
彼女は極度の緊張・興奮で疲れているが、愛花を見つめながら、  
「くずみぃ……大好きだよ…あい…してるよ……く…ずみ…」  
その姿を見て愛花は観月の想いの強さ、一途さを知った。  
 
 
愛花は魔法を解き、観月の汚れた顔を拭き、上着を着せた。  
彼女は眠っている。先程までの淫乱っぷりが嘘のようだ。  
 
観月を保健室に運んでいる時、九澄と鉢合わせになった。  
「柊、どうしたんだこんな遅くまで…って観月!?どうしたんだ!?」  
「あっ九澄くん。観月さん、薬品部で毒性のガスを少し吸っちゃったみたい。運ぶの手伝ってくれる?」  
九澄の手を借りて、観月を保健室のベッドに寝かせる。  
「とりあえず安静にしろってさ」「そう…」  
「九澄くん…今日は観月さんのそばにいてあげて」  
「えぇ!どうしたのいきなり。俺がそばにいても…」  
「……おねがい」  
動揺した九澄だったが、愛花の言葉に凛としたものを感じ、了承した。  
「わかった。もう遅いから、ここは俺に任せて愛花は先に下校してくれ」  
「うん、ありがとう」  
そう言って愛花は保健室を後にした。  
 
 
 
まさかあんなことになるとは思わなかった。  
愛花は自分の行いを責めた。  
幸いなことに観月は愛花との情事を覚えてはいなかった。  
でも観月尚美の気持ちは本物だった。  
心から応援したい。でも…その相手は………。  
辛いのはわかってる。でも自分に正直にならなきゃ。  
「うん、決めた」  
そして自分の中にあった九澄大賀への想いが確信に変わった。  
 
「今度は私が想いを伝えなきゃ」  
 
 

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