九澄が魔法執行部にさらわれたところ〜  
 今、俺は生徒会魔法執行部の部室のソファーで宇和井さんから活動内容の説明をうけていた。  
「○○××であるから……。分かった九澄くん?」  
「はい。だいたいは分かりました。でも、一つだけ疑問があります。  
なんで俺は未だに拘束されたままなんですか?」  
「なんでって、九澄くん逃げそうなんだもん(はぁと)。」  
 心配になって窓から隠れて見ている人影はもちろん愛花達である。  
(なにあれ!絶対語尾にハートがついてた!  
さっきもキスしてたし…)  
 「あのさ……、愛花、焼き餅やいてるところ悪いんだけど…上見て、上……。」  
みんなは後ろに下がっている。愛花が上を向くとそこには巨大なUFOクレーンが……!  
「きゃー!!」  
もちろん、愛花だけクレーンに捕まえられロープで縛られる。  
「二人とも外に出て魔法で残りを追い回してちょうだい。  
執行部に近づかないように。」  
二人はうなずいて、一人は九澄の魔法を解いてから部屋からでた。  
「んー、やっと自由になれた!大丈夫かひいらぎぃ……!?」  
宇和井に九澄は押し倒され、いきなりディープキスをされて  
頭の中が真っ白になっていた。  
 
長いキスが終わると愛花は口をパクパクさせ、かおを真っ赤にして  
「九澄くんになにしてるの!!」  
すると、宇和井は九澄に体の自由が効かなくなる魔法をかけてから、  
愛花の方にいき口にロープをかけると  
「もう、九澄くんは私のものなんだからいいでしょ!  
それとも、あなたのお気に入りだったかしら?」  
「ん〜!んーー!」  
「おとなしく、そこで見ていてね!」  
やっと九澄はフリーズした頭が回復し愛花の方を向くと  
「いま、助けてやるからな!」  
動こうとすと体が首から上と手以外全く動かない。すると宇和井が  
「九澄くん、あなたはもう私のモ・ノ(はぁと)。だ・か・ら、私以外を見ちゃだめ!分かった?」  
それでも、愛花の事が気になる九澄は  
「大丈夫か柊?体動かねえけど、絶対に助ける待ってろ!」  
愛花は目に涙を浮かべてうなずいた。  
「使いたくなかったんだけど仕方がないわ。」  
寂しそうにいうと魔法を解除し、心を操る魔法を使った。  
目から生気の無くなった九澄は宇和井を押し倒し乱暴に唇を奪っていく。  
キスをしながら制服のボタンをはずしていく。キスが終わると宇和井が  
「続きはあっちでやりましょう。」  
指す方向は愛花の方である。  
 
 二人は、愛花の目の前でキスをはじめた。  
(イヤだよ…、九澄くん!目をさまして!私を早く助けてよ!)  
「いやだわ、九澄くん。涙なんか流して…。そんなにキスして嬉しかった?」  
今の九澄に涙なんて流せるはずがない。  
それは、魔法によって心を殺されているからだ。そのことを、いち早く気づいたのは愛花だった。  
(もしかして、九澄くんは完璧に心を操られていない!  
もしかして、まだ、止められるかも!)  
愛花は口にあるロープを歯でかじり始めた。九澄に声をかけるためだ。  
「いや…、く…すみ‥くん!そんなところにキスしないで、あん‥〜」  
そして、宇和井のショーツに手をかけようとしたとき、愛花の口のロープが切れた。  
「だめー!九澄くん、それ以上したらだめー!」  
九澄の手が止まる。そして、頭をかかえて急に立った。  
「いいところなのに…、さあ、続きをしま……!」  
「あっ!あーぎゃー!や・めろ、あぁ!」  
九澄はゆらゆらと壁の方に行くと、自分の頭を壁に打ちはじめた。  
「ごん・ゴン……ごん……。」  
数十回、あたまを打ちつけて自力で宇和井の魔法を追い出した。  
ゆらゆらと愛花の方に歩みよった。  
 
「…‥柊、…悪いな、遅くなって…。」  
頭から血がぽたぽたと落ちていた。  
愛花は九澄に抱きついた。そして、泣き始めた。  
「よかったよ〜!九澄くんが元に戻って…。」  
(取られるかと思った……、私の大切な人…。)  
そのとき、九澄の体が愛花の方によりかかってきた。  
「悪い…柊‥」  
「ちょっと九澄くん、しっかりして!」  
そんなときに宇和井が  
「私の九澄くんを返しなさい!早く、返さないとヒドイことになるわよ!  
さぁ、早く!」  
すると愛花は  
「やだ!九澄くんは私のものだもん!」  
この会話を九澄が聞いていたらどんなに幸運だったのだろう。  
いつもどうりに気絶している。  
愛花は宇和井に向かって口から衝撃波を出した。  
煙で周りが見えなくなる一瞬をついて、九澄の腕を自分の首にかけて保険室に向かった。  
「大丈夫、九澄くん?」  
「なんとか‥…。」  
さっきの衝撃波の音で起きた九澄だったが出血多量で自分の足では歩けないでいた。  
そのころ、魔法執行部の部室では、  
「よくも、一年のくせに…。絶対に九澄くんをとりもどすんだから!」  
部室から出るとそこには九澄の血の跡が愛花達の場所を示していた。  
 
宇和井は魔法を使い九澄を追う。  
「一年が二年をだしぬくなんて百年早いのよ!」  
そのころ、九澄と愛花はというと…、  
「九澄くん、血の跡でこっちの場所が分かっちゃうから止血しよう。」  
愛花はそう言うと九澄を壁によりかけて、上着を脱がし頭を止血した。  
九澄のよりかかった壁には血の跡がはっきりと残っていた。  
「さあ、私の肩につかまって早く行こう!」  
「あぁ、分かった。悪いな。」  
そのころ、宇和井は  
「血が乾いてない。もうすぐね!」  
そう言うと目線を上にあげた。  
九澄はというと…、止血をやめて、血をだらだら垂らしながら保険室に向かっていた。  
愛花がふたてに分かれようと言いだし、しかたなく一人で壁にしがみつきながらむかっていた。  
一方の愛花はというと九澄が止血した上着を絞りながら校外に向かっていた。  
「こっちに来るといいな宇和井さん…、大丈夫かな九澄くん…。」  
そんなとき、宇和井は途切れた血が出てきたかと思ったら二つに分かれていて悩んでいた。  
「こっちよ!こっちの方に決めた。」  
こっちとは、どっちの事か分からないが……。  
九澄・愛花があと数メートルでゴールというときに二人に足音がせまる。  
 
愛花は校舎裏から校外に塀を上って出ようとするとき後ろから肩をつかまれた。  
「愛花なにをやっておるんだ!?」  
「お父さん!」  
「それより、その血だらけの手はなんだ?その上着、九澄のか!  
九澄に何をされた!愛花こたえろ!!」  
そのころ、九澄は薄れゆく意識で保険室に向かっていた。  
(ヤバい!追いつかれる。)  
そう思ったとき、目の前に保険室のドアが!  
九澄は最後の力を振り絞って保険室のドアを開けて倒れた。  
「どうしたの九澄君、そんな血だらけで…、しっかりしなさい!」  
(↑保険の先生)  
少し遅れて宇和井が到着し血だらけで倒れてる九澄をみて、宇和井はたおれてしまった。  
そのあと、九澄は救急車で運ばれ、ゴールドカードの九澄がヤラレタという事で学校中は大騒ぎ!  
魔法執行部が九澄を血だらけにした相手を探すという事態が発生した。もちろん、いるはずがない。  
九澄は病院のベットの上で自分のしでかした騒ぎでM0(エムゼロ)に点数が入ってある事は知る余地もない。  
 
終わり  
 

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