体が離れるとともにどろりとした体液を伴って楔が抜ける。
「あっ、だめ……」
達したばかりでは未だ呼吸は整わず、そればかりか体に力が入らない。それをいいことにディオニュソスはアリアドネの足を掴んで思い切り開かせた。
いくら情を交わす仲とはいえ秘すべき場所をまじまじと見つめられるのは恥ずかしい。
「みないで、くださ……あッ」
ディオニュソスの指が入り込み、かきまわすように動く。敏感になった体はそれだけで過剰に反応する。
「見たいのだ。汚れを知らぬかのようなそなたの体が精に濡れる様を」
ディオニュソスが指を引き抜けば、開かれた場所から白濁とした精が溢れ出す。それは尻を伝い、糸を引いて落ちた。
「私のものだ」
痛いほどに視線を感じ、目を閉じたアリアドネは羞恥に耐えようと唇を噛む。けれど決して拒みはしない。ディオニュソスがなぜこのようなことをするのかわからないでもないからだ。
「アリアドネ……愛しい私の妻」
太股に添えた手が腰へ移動し、はっとして目を開くとディオニュソスの顔がごく近い場所にあった。
口づけられると思ったがそれよりも先に熱い楔が打ち込まれた。
日に何度もディオニュソスはアリアドネを求め、声が枯れそうになるまで愛の言葉を言わせたがる。不安なのかと思うと胸が苦しい。
「愛していると言ってくれ」
深々と根元まで埋め込まれ、息をするのもやっとだ。
「あい、して……んっ、はぁ……あ、すき……あいして、ます」
揺すられる度に触れ合った奥から快感がうまれる。もはや離れることなど不可能なほど溺れているのに、まだ満足しない。
ディオニュソスの逞しい胸に爪をたて、アリアドネは自ら腰を揺らしだす。
安堵してほしいと思う。妻になると決めた日、いや本当は初めて逢った時からアリアドネはディオニュソスを愛しているのだから。
「もっと、もっと……ディオニュソスさまぁ」
こうして求めることで彼が満足するならいくらでも求める。
何度目かもわからぬ絶頂の中、アリアドネは愛しい人の信頼を得られぬことに寂しさを覚え、けれどすぐさまそれは与えられる快楽の中に霧散した。