北欧神話の主神、オーディンは知識に対して非常に意欲旺盛な神であり、知
識を得るためならば、どんな犠牲をも厭わないことで有名だった。
だがそれは、ラグナロクという最終戦争に対する脅えの表れでもあった。
自らがフェンリルに殺されるという絶望的な予言をされた彼は、いつでもそ
の恐怖から逃れることができないのだ。
また、主神であり絶対権力者であることにオーディン自身はいつも葛藤し、
苦悩していた。
彼の下した決断は正しかったのか。
立場上、誰の前にも表出することはなかったが、しかし本音ではいつも後か
ら悩んだりする繊細さを持っているのがオーディンという神の本質だった。
そんな悩み多き主神の心の支えとなっていたのが、伝承と知識、詩を司る女
神、サーガだった。
サーガは透き通った流麗な水晶の館に住んでいた。
庭園には同様に水晶で作られた透明な彫刻が並び、色とりどりの花々が咲き
乱れていた。
不思議なことに花々は季節と関わりなくあらゆる種類の花が咲き、実をつけ
た。
その、どこか異質な感じのする美しさは独特の空気をサーガの館に漂わせた。
春の花が満開するすぐ隣で果実が秋の完熟を見せる景観は、どこかにあるよう
でいて、決して世界中のどこにも存在しない光景なのだった。
それはまるで、悠久の時を越えた詩を語る館の主の不思議な神力によるもの
のようにも思われた。
「──サーガ、今度は一体どんな話を私に聞かせてくれるのだ?」
今日もオーディンは水晶の館を訪れ、少年のような瞳でサーガに訊ねるのだ
った。
「そうですね。どんな話をお望みですか?」
美しい女神は優しげな笑顔で聞き返します。
「おまえが話してくれるのなら、どんな話でもかまわない。かまわないが…
…、スケールの大きい話が良い。ずっとずっと遥か過去、あるいは、遥か未来。
私の想像力も及ばないような壮大な物語が聞きたい……」
「ふふ、わかりました。では遥か昔、大国に向かってただひとり立ち向かっ
た英雄の話をいたしましょうか──」
サーガは、他のどんな女神よりも神秘的な雰囲気を持ち合わせた美少女だっ
た。
光るような銀髪は足元に届くほどに伸びていて、一片の葉よりも軽く風に舞
い、思わず触れて撫でたくなるほどにさらさらとしていた。
現在過去未来、あらゆる伝承と詩を知るほどの大賢者でありながら、その顔
はあどけない少女のような童顔で、笑うとまるで子供のようだった。そして海
よりも深い藍色の瞳はすべてを見通すようで、じっと見つめられるとオーディ
ンは胸を衝かれ、時に言葉さえ失うのだった。
サーガの語る壮大な詩が語り終えられると、いつでもオーディンは胸がいっ
ぱいになった。
そして、甘えるように女神サーガを抱擁し、彼女の身体を求めるのだった。
サーガの身体は強く抱きしめると折れてしまいそうにほっそりとしていた。
それでいて胸は母性を象徴するように豊かで大きい。
オーディンは今夜も伝承の女神を褥に押し倒し、その胸をやわやわと揉みし
だいていた。
手や足は青い果実のように硬さを残しているのに、胸だけは熟れきって柔ら
かく、甘いミルクの匂いがする。
悩み多き主神は時を超越した美少女神の乳首に吸い付いた。
「ン……」
と、サーガは眉根を寄せた。目をぎゅっと瞑り、そっと開いていくと、藍色
の神秘の瞳に、もうひとつの神秘、妖艶さが漂っていた。
「ああ、サーガ。愛している。おまえは最高に美しい」
「ふふっ。そんなことをおっしゃいますと、細君が妬かれますよ」
「構うものか。私はこんなにもおまえが愛しくて、欲しくて欲しくて仕方な
いのだから」
オーディンの妻フリッグは、何かと夫に逆らう大変なじゃじゃ馬だった。彼
にとっては頭痛の種である妻よりも、儚げで優しい少女神サーガの方が心癒さ
れる存在だった。
オーディンは憑かれたように少女の豊乳を揉みしだき、吸った。
悠久の伝承の語り部の胸はオーディンにとって彼方の時の流れに母性を感じ
るようであって、胎内に抱かれるように至福の時だった。
少女神は、老人のような姿のオーディンに乳首を吸わせながら、その髪を撫
でる。
その倒錯性が、かえってオーディンを興奮させた。
彼は少女の股を開くと、その股間の襞肉に舌を伸ばした。
激しく舌で掃きまわし、淫らな粘液を音を立てて啜っていく。
「あ、ああああっ」
少女は背筋を伸ばして身体を硬くした。びくびくっ、と身体が震える。
老神はその反応に激しく欲情し、さらに激しく舌技を駆使してサーガを追い
詰める。
「は、激しすぎます、オーディン様……」
「激しすぎたらどうだというのだ」
「そ、そんなにしたら……私、乱れてしまいます……」
顔を赤くして弱々しく呟いたその表情にたまらなくなり、老神はさらに舌を
ズブッ、と奥へ刺し貫いた。
少女は顎をそらせて天を仰ぎ、腰をびくびくと奮わせる。
オーディンは、この神秘的な美少女神にもっと淫らなことをしてみたいと思
った。
透き通るように白い肌をした少女に、やってはいけないことをやってみたい
と思った。
それも主神らしからぬ甘えの表れなのかも知れなかったが、ともかくオーデ
ィンはサーガにはとことんまで甘えつくしたかった。
老神は中指を口に咥えて濡らすと、それを少女神の菊座へと近づけていった。
「あ……ッ。オーディン様、そこは違いますよ」
「ここでいいのだ」
ちゅぷ……っ ずずずずずずずずっっっ
サーガの身体が跳ねた。
中指の根元まで少女神の初心な尻穴に押し込んだ老神は、興奮のあまり息を
荒くしていた。
指をぐいっと曲げ、肛門壁を抉る。
「あ、あああああああっっっっ」
サーガは肛門をほじられる苦痛とその裏に潜む快感に身を捩る。
オーディンは全身を支配する倒錯したサディズムに陶酔しながら、中指を出
し入れし、少女の尻穴を掘り続ける。
サーガは、明らかに感じていた。
腰が振られ、顔には悦楽の表情が浮かんできていた。
神秘的な伝承の神である少女神サーガが、自分に肛門をほじられて腰を振っ
て喘いでいるかと思うと、オーディンはその場で卒倒しそうなほど欲情し、股
間のものは硬直して突き上げてくるのだった。
愛欲に狂った主神は少女を仰向けにすると、その性器に向けて自らのペニス
を突き立てていく。
「あ、あうううううっ」
「ぬおおおおっ」
ずぶ……、ずぶずぶずぶずぶずぶずぶっ
快楽にまかせ、少女の襞肉に剛直を突きこみ続けるオーディン。
サーガはその責めを受け止めながら、身体を痙攣させ、暴れまわる。
少女の快楽の声がひっきりなしに上がる。
「あああ、たまらないぞっ、サーガっ」
オーディンが呻くように言う。
「我慢ならなくなったら、溜まった毒を私の中にお吐きなさい、オーディン
様」
サーガは愛しげにオーディンの頭をかき抱き、囁いた。
主神はその優しい笑顔に涙がこぼれそうな気がした。
オーディンは、いずれ予言通り狼フェンリルに殺される。
それを知りながら、サーガは決してその話題に触れない。
あるいは、詩の神である彼女は、幾千の時空の中にあって、それもただひと
つの伝承に過ぎないことを知っているのかも知れなかった。
それは、オーディンにとっての救いだった。
恐怖に身をよじることも、苦痛にのたうちまわる事も、それはきっと主神と
いえども逃れる術のない事だ。
だが、それは何者も同じことで、やがてそれは語り継がれる伝承の一頁とな
る。
同じ。皆、同じだ。
ラグナロクによって九つの世界が滅んでも、やがて次の世界が創生され、物
語は永遠に続いていく。
そういうことだ。
──オーディンは、サーガの中奥深くに、白濁の液を噴出していった。
セックヴァベックは第4の所の名であり
その下では
氷のごとき冷たき波が屡立つ
オーディンとサーガはそこに在りて
楽しき日々を過ごす
黄金の杯を手に痛飲して
『グリームニルの歌』第7連