一人の少女がいる。透き通るような白い肌、それに合わせたように純白の長い、長い髪。
瞼は伏せられ、その瞳の色を窺い知ることは出来ない。
眠っている。たゆたうように、揺れる漣のように。
そこは、何もない空間。ただ遠く、不安定な太鼓のリズムと、狂ったようなフルートの音が、悪夢じみた協奏曲を奏でている。
少女は全裸であった。ただ長い髪を緩くたなびかせるだけだ。
その白い体を、無数の触腕が這いずっていた。
赤緑色のタール状粘液を滴らせ、少女の身体に狂気じみた色彩を与える。
純白は穢される。穢されて、穢されて。それ以上に穢れていた。
うぞうぞと這い回る触腕は、少女の薄い胸を、茂みの無い秘部を撫で回し、タールを塗りたくる。
少女はそれに歓びを感じているのか、時たま身を震わせる。
果てぬ絶頂に囚われ、少女は奈落に落とし込まれる。
漏らす吐息が快感を訴える。
透明な粘液が快感を報せる。
夢幻の暗黒に少女は微睡む。
狂気の魔笛が旋律を奏でる。
唯々狂っていた。穢れていた。地獄じみていた。
少女を貫く触腕が蠕動する。少女の胎内に異形の精液が注がれる。
それを、少女は歓びに打ち震えながら受け止める。
眠った意識。白痴の精神で。
太鼓が一際強く、いや弱く。耳をつんざくような微かな音を鳴らした。
それは、新たな命の誕生を祝うのか、呪うのか。
少女の胎内で生まれた存在は、少女の身を介さず世に産まれ堕ちた。
フルートが響き渡る。
何十秒と、何分と、何時間と、何年と、百年、万年、億年、兆、京――果てなく響く。
それに合わせ、少女も犯され続ける。侵される、冒す。
無限の刹那。
ただ少女が目覚めるその時までそれは続く――。