みずくま編  
 
保健室のドアがガタガタっと鳴ったのは、廊下の窓から吹き込んでくる  
木枯らしのいたずらだと思った。こんな遅い時間に生徒が来るはずがない。  
だが。「おい。」低い声がした。驚いて戸口を振り返ると、見知らぬ男が立っていた。  
予期せぬ訪問者。「あなた、誰?」  
 
熊田は答えず、ずかずかと保健室の中に入ってくると、簡易ベッドの周りの  
カーテンをしゃーっと開けた。なるべく、この榊の女を見ないようにして。  
他の女を思い浮かべれりゃ良いんだ。そう、俺が目を閉じてりゃ、デキルさ。  
 
・・・・・・・  
 
な、なんだ、このババアのは・・・匂いもいいぜ、ババアのくせに・・・  
いや、ババアだからこそ、うまいのか?あふう、ふうぅ・・・ああ。  
ああ、うまい。うま過ぎだぜ、ババア・・・ うまいだけじゃねえ・・・   
熱い。ああ、ふうううう・・・  
 
あうっ! 突然、その熱さに直撃された熊田は、頭を激しく振って、身悶えた。  
うううぅ・・・  
 
「ごめんなさい、ちょっと熱すぎたようね。ふうふうしながら、飲んでね。」  
 
水島先生はすまなさそうに、舌をやけどして悶絶している熊田に声をかけた。  
 

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